385 :
本当にあった怖い名無し:2020/03/09(月) 13:19:01.79 ID:KulB8HPv0.net
しばらく進むと最初にあった獣道も完全になくなって、草の高さも俺の頭より上になった
流石に犬は進めないレベルの林の密度になったのでそろそろ戻ろうかと子供に言ったところ、まだまだ進みたいみたい
しょうがないから俺が犬を抱きかかえて先に進んだ
そこからまた少し進むと高速道路の音が聞こえてきた
公園の端っこまで来たんだと考えていたら案の定金網が見えた
高速を車で入っていた時の記憶だと金網の先は急な下り斜面になっていてその下に高速道路が走っているはずだ
金網沿いに林を進んだらどこかしらの道に出るだろうと思い、どうせだったら来た道を戻るのではなく、突き当たった金網沿いに進んでみようと考えた
左に金網に沿って進んでいくと何かの音楽が聞こえてきた
387 :
本当にあった怖い名無し:2020/03/09(月) 13:43:36.35 ID:KulB8HPv0.net
あんまり気にせず林をかき分け進んで行くと音量が少しずつ大きくなってくる
この先から鳴っているみたい
このころには大分聞き取れるようになってきて、なんていうんだろ、NHKのど自慢みたい
演歌?いや、民謡のが近いかな?
はー、どっこいしょ、とか合いの手が入りそうなやつ
ちなみに伴奏は無く男性の独唱
しかもこれラジオやテレビじゃなくて実際に歌ってね?
気持ち悪いなと思いつつも上を見ると飛行機が飛んでいたんで意味もなくちょっと安心した
子供は全然平気そうだしもう少し進んでみよう
そろそろどこかに抜ける気もするし
少しすすむと右手に見える金網が破れている部分があった
大人がしゃがめば通れるくらい
高速道路側からこちら側に向かってあけたような穴のあきかただった
392 :
本当にあった怖い名無し:2020/03/09(月) 14:39:22 ID:KulB8HPv0.net
歌は穴くぐった左側くらいから聞こえてくる
しかももうかなり近い
怖いと気になるが半々くらいだった
ここの状況って、金網のこちら側は言ったように大人の背くらいの草が茂っているんだけど、穴の向こう側も同じくらいの高さの草が茂ってるんだよね
つまりくぐって向こう側行ったら見通し悪いからいきなり急斜面で高速道路に落ちちゃうとかもありえそうなんだわ
子供もいるし、くぐった先は高速道路の敷地だろうから何かしらの犯罪にもなりそうだし
でもやっぱり気になるから上半身だけで覗いてみることにした
子供には絶対こっちに近づかないように伝えたあとに犬を地面におろす
膝をついて左手でしっかり金網を掴んで、上半身だけ穴の中に乗り出てみた
幸い金網のすぐ向こうが斜面という感じではなく、少し余裕がありそうだった
そのまま地面に手をついている右手で歌が聞こえる方の草かき分けてみた
かき分けた少し先は開けた場所になっているらしく、草の隙間から3メートル四方くらいのスペースが見えたんだけど、そこにはこちらに人が背中を向けたしゃがんでいる人が居た
しゃがんだ姿勢で歌を歌っているんだと思う
すっごく汚れた灰色のコートもような丈が長い服を地面に引きずり、しゃがんで歌いながら何かもぞもぞと作業をしている
白髪まじりの肩下くらいの髪の毛がみえるけど、顔はわからない
それと、開けた地面の地面には何か茶色いものが敷き詰めてあった
目を凝らしてみるとドングリだ
よく見かける砲丸型のやつじゃなくて、全て丸いドングリに見えた
397 :
本当にあった怖い名無し:2020/03/09(月) 15:33:34 ID:KulB8HPv0.net
向こうの人は気付いてない
俺は目を離せずにしばらく凝視していたら、歌と作業が急に止まった
左手で横においてあった何かを掴んだと思ったら、想像していたより機敏な動作でサっと立ち上がった
俺はまずいと思ったが同時にそいつはこっちに振り返った
目が合った
歳は60歳くらい、初老の女性
歌は男性の声だったけど女性だ
髪は白髪交じりの肩下くらい、コートに見えていたのは着物だった
立ち上がっても地面につくような汚れて灰色になった着物を帯を締めずに羽織っている
左手には長い棒の先にスマホくらいの大きさの黒くて四角い物体がついた杖のようなものを握っている
そして一番異様なのは肌がくすんだ山吹色だったことと羽織った着物の下は全裸だったこと
汚いのや半裸なのはホームレスや精神異常者で片付けられるかもしれないけど、肌の色は明らかに普通じゃない
あれは汚れてなる色には見えなかった
俺はすぐに穴から乗り出した上半身を戻し、子供に帰ろうと伝え、おとなしく座っている犬を抱き上げた
まるで状況がわかっていない子供の手を握り、林の中出来る限りの速度で来た方角に走っていった
398 :
本当にあった怖い名無し:2020/03/09(月) 15:34:10 ID:KulB8HPv0.net
追ってくるような気配はない
10秒ほど走るとうしろからまたあの歌が聞こえてきた
しかも走っても歌声が離れていかない
こちらに向かってきているのだろうか、怖い
しばらく走っているとだんだん草の背が低くなってきた、あと少しで抜けられると思った時首筋に何かが当たった感覚があったが構わず走る
やっと林を抜けることができた
さっきまで遊んでいた公園だ
いつの間にか歌も聞こえなくなっていた
ラジコンを拾って急いで家に帰り今に至る
家に戻って子供にはハチが居たと説明した
あそこには絶対に近づかないようにとも
ひとつ気になっているのは何かが当たったうなじの部分
赤くなっていてとても痒い
関東を走っている誰でも知っているような高速道路沿いの公園での話