写真:記者会見の様子(左よりテーマソング作曲拓野氏、ヤキソバマンレッド、作詞市川氏)
さて毎回さまざまなイベントを見聞している当シリーズ、なんと今回は記者会見に潜り込んできました。群馬県太田市のローカルヒーローヤキソバマンにテーマソングができたことで行われた共同記者会見というこれまたレアな記者会見です。
それではいってみましょう。
プロローグ:ヤキソバマンを育んだ街~群馬県太田市とヤキソバ~
写真:高架化されて一新された太田駅
ヤキソバマン記者会見本編に行く前に少し背景と言うか、ヤキソバマンが活躍している太田について少し書こうと思います。
太田市@Wikipediaより
北関東工業地域有数の工業都市であり、近隣の桐生市、館林市、足利市、佐野市とともに両毛地域の都市核となっている。これらの工場で働く日系ブラジル人、ペルー人など、隣接する伊勢崎市、大泉町同様、在日外国人が多く住んでいることも特徴の一つである。~中略~
太田の中心街空洞化の様相は、2007年にはテレビ東京のドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」でベルタウン閉鎖の状況が取り上げられるなど、隣接する伊勢崎市と並んで県内で最も状況が深刻である。日中は太田駅周辺部でも閑散としており、高架事業が一通り完成し威容を現した駅構内も、今や地域の名産品店・土産店舗すら存在していない状況になっている。
写真:太田駅周辺の光景(左より日曜昼間なのに営業してない観光案内所、シャッター通り化している駅前通とシャッターが閉じテナント募集中の駅前店舗)
一言でまとめると「工業は盛んだが中心市街地を中心とした商業が壊滅的な状況にある」といったところでしょうか?確かに工場の立地が多く財政的に豊かで交付税不交付団体らしいのですが駅とその周辺にはそんな感じが全く見受けられません。確かに駅は高架化され立派なのですがエキナカの観光案内所は春休みの日曜なのに人影が無く、駅から大工場へ向かう北口はシャッター通りでいつまでたってもテナントが現れない状況です。
写真:ボロボロで買い手のつかないマンション
活気が無いのは商業だけではありません。最近商業の衰退した地方の中心市街地や駅前でもマンションの建設が盛んですが、太田の駅前には相当前に作られゴースト化したマンションがいまだに残り新たなるマンション建設などどこの世界といった風情です。前にも書いたのですが「もはや駅前は土地ではない」と言った状況になっています。
写真:市役所そばのヤキソバ専門店「ヤキソバ太田」とその名物メニューの太麺ヤキソバ
写真:ヤキソバを出すイタリアンレストランPiAとえびヤキソバ
そんな惨状の中太田市ではヤキソバを活性化の起爆剤にしようと2002年にヤキソバのれん会が作られ、上の写真にあるようにいかにも濃いイメージのある太麺ヤキソバからイタリアレストランパスタベースのものまで幅広いバリエーションをそろえ、周辺の佐野市(ラーメン)、桐生・館林市(うどん)、足利市(そば)と共にPRを行っています。しかし同じくヤキソバを名物にしている秋田県横手市や静岡県富士宮市等に比べ圧倒的に知名度等の点で劣っているのが実情です。
そんな中で出てきたのがヤキソバを食べて太田を盛り上げようとするヒーローヤキソバマンでした。
ヤキソバマンは誰でしょう~記者会見その1~
写真:CDをもちポーズを決めるヤキソバマン
さて記者会見に入ります。記者会見で話題になったこと、まず会見場で配られた資料によると
・昨年7月のおおた夏まつりを皮切りにこれまで20以上のイベントに戦隊ヒーロー物の赤いコスチュームに頼まれてもいないのに参加
・至近のイベントでは3/2に行われた北関東道路の開業イベントで太田桐生IC~藪塚IC約20kmを自転車で走破
・必殺技等はまだ公開していないものの圧倒的な存在感で知る人ぞ知る存在に
写真:コーヒーをおいしそうに飲むヤキソバマン
さてそんなヤキソバマンにまずは質問が集中しました。そして判明したことは
生まれ:ヤキソバ星(?)、地球に降り立ってからはずっと太田市
何故太田を選んだのか:横手や富士宮に比べていまひとつぱっとしないので盛り上げようと思った
サイズ:身長165cm、体重55kg
世を忍ぶ仮の姿:工場勤務の勤め人で30代、ただしヤキソバとは無関係
太田のヤキソバについて
のれん会関係の店舗はすべて食べ歩いたとの事、太田のヤキソバはさまざまなバリエーションが売りで個人的には細麺の普通のヤキソバが好きとの事
初めてイベントに参加した際の感想:すごく緊張したとのこと、しかし今は名刺を配ったり、おいしいお店の案内をしたりと活躍中
ヤキソバは作れますか:自分の納得するものはまだまだ作れないとの事、現在栃木県のローカルヒーロークックマンの協力の元修行中
レッドの由来は:紅しょうが、今後は青海苔をイメージしたブルー、麺をイメージしたイエロー等メンバーを増やす予定、やってみたいと言う方はマネージャーか、レッドまでとの事
その他エピソード:地元太田商業の学園祭でたまたまたこ焼きを食べていたら「ヤキソバマンがたこ焼きを食べている」とびっくりされたこと
そんなヤキソバマンでしたが、印象に残ったのは口数が少なく口下手なところ、マネージャーさんやテーマソングを作ったソングライターがフォローすることしきり、しかしそんな彼が赤いコスチュームを身にまとい頑張っていると言うのは非常に面白い構図だなと感じました。
テーマソングができるまで
写真:作詞作曲のお二方
さて続いて話題になったのはある意味で今回のメインテーマであるテーマソングのことこのテーマソングのきっかけとなったのは作曲の拓野氏が自分のライブの予告が乗っているフリーペーパーを読んでいたときにたまたま太田のヤキソバ特集が乗っていてそこでたまたま写っていたヤキソバマンをみて以下のように思ったそうです。
・このヒーローにテーマソングがあるのだろうか、ヒーローにはテーマソングは不可欠取り敢えず作ってみよう。
・このヒーローは少し頼りなさげだから一緒に盛り上がっていくような曲を作ろう
後で聞くともともと拓野氏は大の戦隊ヒーローもののファンでこのヤキソバの記事で印象に残ったのもヤキソバのことではなくヤキソバマンのことだったそうです。
そして曲ができたので作詞の市川氏に詩を依頼したそうなのですが市川氏は以下のようなことを考えて詩を作ったそうです。
・戦隊ヒーロー物は子供に聞いてもらってこそ、だから子供に慕われやすいポジティブなものを作ろう
そうしてあっという間にテーマソングが出来、本業の合間を縫ってレコーディングまでしてしまったそうです。
そこで問題になったのはせっかく出来たテーマソングをヤキソバマンにいかに届けるかと言うことでそこで太田の市役所へ行った際にマネージャー氏を紹介され、マネージャー氏を通じてヤキソバマンさんに伝わり正式にテーマソングになったそうです。
マネージャー氏はもともと町を盛り上げようと企画などを考えていた際にネットを通じてヤキソバマンを知ったそうでなかなか面白い縁を感じました。
また拓野氏は前橋在住で地元の上毛電鉄を盛り上げようとテーマソングを作っていたと言うことで当方とも話があったのが印象的でした。今後全国都市緑化ぐんまフェア と言うイベントでライブをやるとの事で上毛電鉄のテーマソングは長すぎて無理なようですがヤキソバマンのテーマは演奏するそうなのでそちらに行かれるのも面白そうです。
また今回のテーマソングを聞くには以下のような手段があると言う発表もマネージャー氏からなされました。
・ヤキソバマンのテーマ・ソング@群馬県太田市・近隣活性化、文化・農業・観光振興~我楽多クラブ~ からダウンロード
・FM TAROにリクエスト
・ヤキソバマンblog:上の我楽多クラブへのリンクあり、またテーマソングが流れるであろう出没スポットの予告も
今回のテーマソングはまだ販売はなされないようですが反響が大きければ販売も考えるとの事でした。このテーマソングを買いたいと考えている方は積極的にダウンロード&リクエストを
いかにバックアップするか~マネージャー氏との話より~
写真:太田きっての高層ビル太田市役所
さて今回の記者会見実は私が参加するきっかけとなったのはたまたまマネージャー氏と知り合いでその伝から情報を得たことでした。記者会見終了後は久しぶりに会ったマネージャー氏と色々話しました。特に印象に残ったエピソードとしては地元太田商業の高校生たちの造ったサイトの話がありました。
太田商業の高校生たちは授業の一環としてこのヤキソバに関するサイトを作る等太田のヤキソバを活性化するためにさまざまな取り組みを行っています。実際上の写真にあるヤキソバのお店に関してはこの高校生のサイトを参考に探し当てたものです。
しかしそんな高校生たちのせっかくの頑張りをフォローする存在が少なすぎると言う問題が浮かんできたそうです。
実際私がお店を訪れた際も店舗や駅などでもこのサイト関係を含めてMAP等お店めぐりをするのに有効なフライヤー等は無くせっかくの高校生の頑張りがネットのHPだけで終わっています。
そしてマネージャー氏の話によるとこの授業そのものが受講者が減り今後高校生による盛り上げそのものがなくなる可能性も否定できないようです。
個人的に前橋と言う地方都市に住んだときにものすごくうらやましいと感じたのは意思決定の人数が少ないことで東京のような大都市では無理でも若い世代が思い切って店舗を持ったり出来ることでした。逆に太田のような場合せっかく若い世代が頑張ってもそれをバックアップできなければその利点を生かせず、若い世代にとってはい続けるメリットを感じられない場所になっているのではと感じます。
太田の駅前のシャッター通りは若い世代の頑張りを見捨てた事で若い世代そのものから街が見捨てられた象徴のように感じたのは気のせいでしょうか?
はたしてヤキソバマンがそれを変えられるのかそこにも注目していきたいと感じた記者会見でした。
ここまで書ければ、もう立派な記者さんですよ(笑)
このエントリーも含めて、太田市に関して書いて頂いているものを市長宛に送りつけて欲しい位です。
市民で無い人が見た太田市の惨状ですと突きつけられれば、少しは反省するかもしれません。