私的胡蝶の夢 2004.5.31
時々、絵葉書のようにはっきりとした夢を見る。
最近見た夢――
強い陽射し、真っ青な空、銀色の滑走路、そこに飛行機が、着陸するようにふわっと墜落する。
落ちた瞬間に白い煙が機体の下から雲のように湧き上がり、機体を包み、空を隠していく。
飛行機は白く窓の辺りに赤の英字がかかれていた。
空は青く雲ひとつなく、滑走路のような銀色の空き地には陽炎がゆらゆらと立っていた。
私はよくそんな脈絡のない、鮮明で極彩色の「災害」の夢を見る。その一部を書いてみよう。
私は山の上の大きなホテルのようなところにいる。
山の下には、大きな湾が広がり、その湾に沿って、弓なりに街が広がっている。
私は大きなガラス窓から眼下の街と向こうに広がる海を眺めている。湾に打ち寄せる波は穏やかだ。
のんびりと眺めていると、沖から、壁のように津波が押し寄せてくる。夢の中の登場人物の私は、「この場所は山の上だから大丈夫」と判断し、逃げもせず、それを眺めている。
津波は街を呑み込み、山裾を上がってくる。
次第に不安になり、それでも動けずにそれを見ていると、津波は山を駆け上がり、やがて目の前のガラスに波が押し寄せる。
その時点で逃げようと走り出す。
廊下に逃げ、大きな木のドアを閉めたが、その向こうに水が……
高いビルの屋上から、飛ぶ。
手を広げて、ゆっくりと落ちていく。やがて地面に叩き付けられ、全身がばらばらになるような痛みを覚え、気を失う。
他のビルより突出した高いビルが二つあり、そのビルのかなり高い階(同じ高さの隣のビルを見上げるくらいの階)で、下を見ると、真下には通りが見え、通行する車や歩いている人が見える。
目を上げると隣のビルがゆっくりと傾いて崩れていく。
眼下の人や車が蜘蛛の子を散らすように逃げているのが見える。
やがて、自分のいるビルも傾いていくのが判る。
床が斜めになり、崩れ、大きな穴が開き、その穴に吸い込まれ下に落ちていく。
自宅と思しき家で一階の居間にいると、突然、嵐になった。
二階の窓を閉めたかと不安になり、階段を上ると、二階は屋根が飛ばされ、雨がシャワーのように降り込んでいる。
そこから外を見ると、真っ暗になった家の前の空き地に布団や洗濯物、クローゼットの中のものが投げ出されていて、水浸しになっている。
雨はどんどん酷くなり、家の周りの土地が流され、土台が見えるほどになっている。大きな穴が開き、そこに轟々と音を立てて、水が流れ込んでいる。
穏やかに流れる大きな川の側の家で、川の流れを見ていると、上流から大きな木や石が流れてきて、水量がどんどん上がり、川辺の家を次々と呑み込んでいく。
広い平原で夜空を見上げると、真上の空は大きな宇宙船で覆われていた。
かなりの数の宇宙船が交戦している――らしいと思ったところで、夢は終わった。
なぜ宇宙船かと思ったかというと、停止していたからだ。飛行機なら、飛び続けていなければ落ちてしまう。
もっと、多くの夢を見ているが、書き出していたわけではないので、忘れているのも多い。
胡蝶の夢というのをご存知だろうか?
荘子は夢の中で蝶になり、百年間、花から花へ飛ぶ夢を見、目覚めた。
そして、自分が蝶になった夢を見たのか、蝶が荘子になった夢を見ているのか疑った。
私の場合、夢の中の私はいつも災害に遭遇している可哀想な人だ。
できれば、今の私が真実であることを願ってしまう。
現実でも、結構、苦労しているのに、夢の中ではもっと苦労しっぱなし。
つくづく貧乏性なんだなあ……と思う今日この頃である。
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