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2009年11月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●2009年11月
09-11-1
11日
 大会直前にけがをした若手のホープ、狩野に代わり招集された26歳。(朝刊25面)
 平井茂雄記者。女子バレーの山口選手の活躍を伝える記事。ここで問題です。26歳なのは狩野選手でしょうか、山口選手でしょうか。この狩野はたぶん狩野舞子のことなので21歳。姉の狩野美雪なら32歳。だったら、そうわかるように書こうよ。

09-11-2
14日
スマステ!! 伝説番組
SMAPがんばりますっ!!二度と見れないマル秘未公開リクエストSP(朝刊40面)
 番組欄の番組表にあった(原文は「マル秘」がヤクモノ)。真っ向からの「ラ抜き言葉」を新聞で目にするのは初めてかも。これは下記のトピで教えてもらった。
●●記者。
【大衆の目に触れるメディアやネットのSS(スクリーンショット)を貼りつけるトピ。】322
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=9756702
 コメントした人が朝日新聞にメールしたところ、下記の返信が来たそうな。さすが新聞はちゃんと対応するようだ。

================================
ご指摘のテレビ欄の番組表部分は、
テレビ局が出した資料をもとに、
番組表を配信する会社が制作して、データを配信してきているもので、
朝日新聞の編集局がこのような表記をしたものでばありませんが、
ご指摘いただいたこを担当の部署に伝え、
こうした表記を見逃さないよう、
今後の紙面作りの参考にさせていただきます。
ご連絡ありがとうございました。

これからも朝日新聞をよろしくお願いいたします。


朝日新聞社 東京本社 お客様オフィス
================================

09-11-3
14日
 朝刊b5面に向井理のインタビュー記事がある。「09-11-2」のネタがどこにあるのか探して目についた。書き手は“あの”竹田さをり記者。会話の語尾だけを拾う。「ないです」「店長です」「あった」「忙しかったです」「違う」「わけじゃない」「守らない」「近い」「もやもやする」「模索中」マットーなデス・マス体になっているのは、たった1か所だけ。それはさすがに……。

09-11-4
27日
 全国紙の毎日新聞社が、地方紙を中心にニュースを配信する共同通信社に来年4月から加盟することになった。(朝刊1面)
 川本裕司編集委員。間違いではないけど、4月「に」加盟して、4月「から」配信を受ける、」んだよね。ふと疑問なんだけど、地方紙並みの取材体制になるんだから、購読料金は当然値下げするんだろうね。

 ネタが少ないんで、朝日新聞がらみの書籍から拾ったネタを加えておく。

●今月の読書から
『天声人語1』
 朝日新聞社の文庫本で昭和56年の刊行。ずいぶん前に古本屋で見つけてシリーズで買った。はずなんだけど数冊しか見つからないorz。第1巻は1945年9月~1949年12月のなかからまとめている。いわば傑作選だろう。
 これも一応「朝日新聞から」だろう。いやがらせの気持ち半分でチェックしながら読みはじめた。いやー、いろいろ目につく。
 学生時代、新聞の朝刊1面のコラムと社説は読解のための教材に最適、とか言われた気がする。朝日新聞はその代表格で、「天声人語」と言えば名文の代表格だったはず。少なくとも、古い時代と近年のものはそういうものではないということがわかる(黒笑)。

09-11-5
 そのように愛読されている理由はいろいろあろう。
 まず、文章の素晴らしさである。(〈「天声人語」刊行にあたって〉)
 要は「まえがき」で、書き手は当時の論説主幹。し、正気なんだろうか。ある程度の内輪ボメはアリだろう。しかし、これはさ……。「文章の質の高さ」くらいならアリかもしれない(それでも十分恥知らずだけど)。「素晴らしさ」って、それはいくらなんでも……。

09-11-6
 外部団体がその自主性を求める空気は昨今ようやく昂まり来った。(p24.)
 最後の部分はなんて読むのだろう。「キタった」なんだろうな。

09-11-7
 それよりやや遡(さかのぼ)った頃、デモクラシーの名において滔々(とうとう)たる物質的利益の主張と追求とが一世を風靡(ふうび)した時、これも人並み優れた道徳家であった、亡き吉野作造博士はその独有の民本主義、人道主義の立場から、インテリの主張はもっと精神的なもっと品の良いものを含むべきことを要望したことがある。(p.64)
 昭和21年の文章だから文体が古くさいのはしかたがない。ただ、一文が長すぎることは時代の問題じゃない。しかも中ほどにある「道徳家であった、亡き吉野作造博士」のテンは打ってはいけないテンの典型。この程度の書き手がこんなに長い一文を書くのはやめましょう。一文が短ければ罪は軽いが、こんなに長いと……。
 あえて【修正案】を示す。【修正案1】でまだ長い気がするなら、【修正案2】までばらすべき。
【修正案1】
 それよりやや遡って、デモクラシーの名において滔々たる物質的利益の主張と追求とが一世を風靡した頃のこと。これも人並み優れた道徳家であった亡き吉野作造博士はその独有の民本主義、人道主義の立場から、インテリの主張はもっと精神的なもっと品の良いものを含むべきことを要望したことがある。
【修正案2】
 それよりやや遡って、デモクラシーの名において滔々たる物質的利益の主張と追求とが一世を風靡した頃のこと。これも人並み優れた道徳家であった亡き吉野作造博士は、インテリの主張はもっと精神的なもっと品の良いものを含むべきことを要望したことがある。独有の民本主義、人道主義の立場からの主張だった。

09-11-8
高根の花(p.66)
 こんな代用漢字を昭和21年に使っているとは……。けっこうルビをつけているみたいだから、高嶺の花でいいでしょ。なんならルビなしでもいいかも。

09-11-9
 千二百九十五字の常用漢字が国語審議会で内定したが、これは国語問題の応急薬で、国語革命の根本問題はまだ残っている。それにしても漢字を覚えるために浪費されたエネルギーが、いくらかでも学問の内容に向けられるようになるのは喜ばしい。
 朕の字は一先ず残されたが御名御璽の璽がなくなった。英語では朕に相当するウィ(アイの複数形)というのが古典的に使われることがあるが、普通には皇帝でも鍛冶屋でも「私」は「アイ」に変わりはない。朕から始まって私僕俺余予吾妾など多過ぎる。薨の字を残したのは「死」にもやはり階級制を残す気か。飢餓の字を残すとは迷惑至極。キガの事態を無くする事が先決だ。進駐の字も、民主化さえ実現すれば自然消滅する。内閣が先頭に立って反民主をやっては、進駐の字も事実も残る。(p.78)
 あれ。この当時は当用漢字じゃないの、って問題はおく。この段階からこんなバカな論議があったのね。別に「薨」の字があってもなくても、暗黙の「階級制」はあるに決まってるじゃん。仮に残しても、ホントに滅多に使わないんだから影響はないよ。
 問題は、「キガの事態を無くする事が先決だ」って発想。それが実現したとして、過去の事実や発展途上国の実態までかえることはできない。だったら事態があってもなくても、言葉は残していいのでは。以前、ゲラに「アジアの街で乞食を見かけた」みたいな表現が出てきて揉めたことがあった。なんとか「物乞い」にかえてもらったけど、日本国内に実態がなくなったからといって、「乞食」という言葉を使えなくするのはムチャだよ。典型的な言葉狩りだと思う。
 日本国内でキガの事態をなくしたって、過去や他国の飢餓は残るの。漢字を使えなくしたら、表現できないでしょうに。「餓鬼道」みたいな言葉はどうするのよ。
 
09-11-10
 新憲法の口語体の文章も初めの翻訳調にくらべて非常によくなったが、まだむずかしい字がよほど残っている。たとえば福祉、隷従、払拭、威嚇、享受、拷問、弾劾、報酬、遵守、虞などである。国語審議会の常用漢字も、憲法にある字まで除くわけにゆかぬので、憲法の用字とにらみ
合わせている有り様だ。、一字でもやさしく整理してもらいたい。(p.106)
 前項に引き続き、p.106の〈新憲法のかなづかい〉でも、よくわからないことを書いている。以下、ろくに調べもしないで書く。ヤリダマにあげられた漢字のうち、現代ではあまり使われなくなっているものはどれか。「遵守」と「虞」かな。「遵守」は「順守」と書くのだろうか。よく見るのは「順法」。これはむしろ「遵法」に戻すべきという動きになっている。あとはフツーに使われている(常用漢字表外字もあるけど)。

09-11-11
 水のヒーロー古橋広之進の名を知らぬ若者はいないとしても、二十代の青年男女でかつての「輝ける労農党首」の面目を知らぬ者は少なくなかろう。(p.155)
「面目を知る」が現代語として通じるか否かは別として、問題は「知らぬ者は少なくなかろう」。これは三重否定だろうか。相当ヘン。

09-11-12
 沈黙している大部分の国民は、今さら東条らのカストリ的、璽光尊的迷句に酔うとは思われない。(p.179)
「璽光尊」がわからないので調べてしまった。
http://dic.yahoo.co.jp/search?stype=0&ei=UTF-8&dtype=2&p=%E7%92%BD%E5%85%89
 たぶん「インチキ教祖」みたいな意味で使っている。当時はそれで通じたのよね。その直前の「カストリ的」の使い方もよくわからない。一瞬「カリスマ的」と読んでしまった。

09-11-13
十年後には日本人の平均寿命もよほどよくなるかも知れない。(p.190)
 当時の平均寿命は、よくなったり悪くなったりしたらしい。意味はわかるけどさ。

09-11-14
(前略)パン・アメリカン・ワールド・エアウェイズは同九月から日米航路に就航しているし、(後略)(p.215)
 これは「重言」ではなく「誤用」だろう。「(九月)に就航している」か「(九月)から運航している」のはず。

09-11-15
五星紅旗の五星は、漢満蒙蔵回の五族を表したものかと思ったがそうではなく、一つの大きな金の星は新中国を指導する中共を象徴し、それを弧にとりまく四つの小金星は、労働、農民、小資本、民族資本の四階級を組み合わせたもので、階級国旗である。(p.258)
 Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%97%97)には「労働者・農民・小資産階級・愛国的資本家の4つの階級を表わす」とある。それならわかる。「漢満蒙蔵回」はスゴいな。「蔵」がチベットで「回」はウイグルなんだろう。

09-11-16
 永井瓢斎の登場で天声人語の声価は大いに上がり、洛陽の紙価を高からしめた。(p.266)
 これは「あとがき」。こういうことをヌケヌケと書く精神に関してはもう何も書きたくない。問題は言葉の使い方。「高からしめた」ってフツーに考えれば「タカからしめた」って読むんだろうな。手元の『成語林』だと、元々は「洛陽の紙価貴し」。「洛陽の紙価を高める」とも、単に「紙価を高める」とも言うとか。元々の意味だと、人々が競って書き写したので紙価が上がったそうな。それは知らなかった。一般には「書籍の売れ行きがいいこと」を言う。だから紙価が上がるのよ。「天声人語」の評判がいいからといって、人々が競って朝日新聞を買い、大ベストセラーペーパーになった……そんなわけないだろ。

テーマ : 書評
ジャンル : 本・雑誌

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