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2008年1月の朝日新聞から

1-1 
17日
☆5七歩成の場面ではすでに先手のリードが消え、ヨリが戻っていたのだ。(朝刊23面)
 将棋欄。書き手は剣記者。ニュアンスはわかる。形勢互角になっていたという意味だろう。しかし、「ヨリが戻る」にこんな用法があるのだろうか。ネット辞書を索いてみた。
 より【縒り・撚り】
 よること。また、よったもの。「糸に―をかける」
 縒りが戻・る【縒りが戻る】
 1かけた縒りが、もとに戻る。
 2物事が元通りになる。特に、男女の仲が元通りになる。「別れた恋人と―・る」
 では「よる」とは何かと調べようとすると、該当項目がない。なめとんのか! 手元の紙の辞書を繙くと、「より」の欄に「2本以上の糸を組み合わせること。組み合わせた糸」とある。こうでないと辞書じゃねえよ。こうして辞書を見ると、形勢互角になったんなら「ヨリが戻る」でも間違いとは言い切れない気がしてくる。でもなあ。そもそもこんな表現使う必要がないだろう。「先手のリードが消えていたのだ」で意味は通じるんだから。ゲスな勘ぐりをすると、「ヨリが戻る」と「寄り返す」の混用じゃないだろうか。

1-2 
24日
今回は足をすくわれた感じ(朝刊37面)
 コメントに出てきた言葉。正しい表現に出会ってやや面食らってしまうんだから、もはや末期症状なんだろうな。これってコメント主がちゃんと「足をすくわれた」って言ったんだろうか。「足元をすくわれた」と言ったのを訂正したのなら、記者のファインプレー。そのうち、ちゃんと「足をすくわれた」と言っても「元」を挿入されるようになるんだろうなぁ。

1-3 
24日
 府警生活経済課ハイテク犯罪対策室の調べによると、大学院生は昨年10月から11月にかけて、無断でテレビで放映されているアニメ画像を使ったウイルスを作成。(夕刊1面)
 言葉の問題ではなく、修飾の順番の問題。この文だと、「無断で」は「(テレビで)放映されている」にかかってしまう。もうひとつ、「昨年10月から11月にかけて」行なわれていたのが、「放映」なのか「作成」なのかわかりにくい。原則に従うと「作成」にかかるのだが、この文脈だと曖昧になっている。常識的に判断して、通常の語順にしてみる。
【修正案1】
 府警生活経済課ハイテク犯罪対策室の調べによると、大学院生はテレビで放映されているアニメ画像を無断で使ったウイルスを昨年10月から11月にかけて作成。
 相当ヘンだな、と思いつつ、「無断で」が不要な気がしてくる。全体のテーマが「著作権法違反容疑」だから無理矢理挿入した感じがする。通常は「昨年10月から11月にかけて」のような「時を表す副詞(節)」は前にもって行きたいところだけど、この文では無理。結局、一文にこれだけ盛り込むと、よほど注意しないと無様になるってことかな。

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