2009年4月の朝日新聞から
バックナンバーは下記。
● 朝日新聞から総索引(2002年~)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
今月は「誤用ではないけれど……」という表現が多い。限界? 否定はできない(泣)。
09-4-1
4日
札幌市の円山(まるやま)動物園で、昨年12月に生まれたシロクマの双子が大層な人気という。性別の取り違いで有名になったツヨシ、ピリカ姉妹(元兄弟)の弟か妹だ。こうして人気者を授かることもあれば、ままならぬことも多い。命をつないでのやり繰りは大変だ▼東京・上野動物園の08年度の入園者が、前年度より60万人少ない290万人にとどまった。300万人を下回るのは60年ぶり。不況に加え、昨春の「リンリン大往生」でパンダ不在となったのが響いた▼パンダの賃借料は2頭で年1億円ともいい、石原都知事は「世界も狭くなったんだから、いるところに行って見てきたら」と冷ややかだった。しかし園内の提案箱は「パンダが見たい」との声であふれた。子どもと数字は正直だ▼客数の日本一は守ったものの、北海道旭川市の旭山動物園が13万人差まで迫っている。ペンギンの散歩などで知られる旭山は、廃園の瀬戸際からユニークな見せ方で巻き返し、映画にまでなった▼名物園長だった小菅正夫さんは3月末に定年を迎え、最後に自らガイドに立った。「動物園の役割は命をバトンタッチさせること、動物のすごさを見てもらい、絶滅させてはいけないと思ってもらうことです」▼すごいのはおりの外にもいる。東京ディズニーランドとディズニーシーの08年度の入園者は過去最高の2722万人。レジャーの「安近短」傾向が、ほどよい追い風になったらしい。繁殖や飼育にやきもきする動物園をよそに、こちら、天寿も定年もない「80歳のネズミ」が出ずっぱりだ。(朝刊1面)
「天声人語」。現在の筆者がなんていう人か知らない。天下の「天声人語」の評判をこれ以上落とす前に交代したほうがいいと思う。もの文章はかなり不快。ひとことで言うと、ウマく書こうとする意識があまりにも強い。
インネンを含めて、ちょっと細かく見てみよう。
・大層な 間違いではない。むしろ「大変な」より由緒正しい日本語。でもさぁ。これが死語か否かで当時新卒のtobirisuが社長と口論になったのはもう●十年前だよ。久しぶりに見た。
・性別の取り違い 「取り違え」じゃないのかな。手元の『広辞林』にも「取り違え」しかない。「間違う―間違い」だけど、「取り違える―取り違え」ってことなのかな。自信がない。
・提案箱は「パンダが見たい」との声であふれた 微妙だけど、〈提案箱には「パンダが見たい」との声があふれた〉が自然な日本語では。
そういう些細なことは大した問題ではない。不快なのは、ウマく書こうとして外している表現が鼻につくから。
〈命をつないでのやり繰りは大変〉〈子どもと数字は正直だ〉〈天寿も定年もない「80歳のネズミ」が出ずっぱり〉
……フツーに書かんかい。
09-4-2
10日
阪神の先発石川はクイック投法が速くなくマスクをかぶる狩野は肩が強くない。(朝刊21面)
別に間違いではない。ただ、「速くなく」は相当ヘン。無神経ってことか。「苦手で」くらいかな。
09-4-3
12日
天才肌ゆえ、これまであまり見なかったビデオにもかじりついた。(朝刊23面)
平井隆介記者。女子バレーで連覇を果たした東レの木村沙織選手の記事。明らかにヘンだけど、直しようがない。とりあえず、読点を削除するくらしかできない(どうしても読点を打ちたいなら、「ビデオにも」の後だろう)。まとまな文にするのは手術が必要にになる。
【修正案】
天才肌ゆえ、これまでビデオはあまり見なかった。しかし、今シーズンは(対戦相手のビデオに)かじりついた。
09-4-4
20日
企業で働いていた邦之(中居正広)は不況の折、職を失う。(朝刊15面)
月9の新番組『婚カツ!』を紹介する記事の冒頭。これはなんじゃ? 「大企業」「上場企業」「一流企業」などならアリだけど、「企業で働いていた」はヘンだろう。理由は説明できない。大した会社ではないなら、「サラリーマンの」でもいい。
09-4-5
23日
開幕から全試合に先発出場し、安打のなかったのは3試合だけ。打率は上昇を止めない。(朝刊18面)
山田佳毅記者。根本的な問題として「止めない」をどう読むか。常用漢字表命の新聞が「やめない」はナシだろう。でも「やめない」のほうがまだマシな気がする(「上昇することをやめない」くらいのほうが自然な気がするけど)。「とめない」は相当ヘン。「打率は上がる一方だ」くらいがフツー。でも、現実にはそんなことはありえない。だって、安打のなかった日もあるんでしょ。
09-4-6
26日
1面に東京書籍の広告が出ている。書名は『最新 歴史でひも解く鉄道の謎』。「紐解く」と書こうとして、「紐」が常用漢字表外であることが気になるなら、こうするしかない。だったら「ひもとく」にしなよ。東京書籍って、辞書なんかも多数出してるシッカリした出版社だと思っていた。もはや幻想なのねorz。
2)【「紐解く」と「繙く」の違い】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=18459809&comment_count=19&comm_id=6251
● 朝日新聞から総索引(2002年~)
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
今月は「誤用ではないけれど……」という表現が多い。限界? 否定はできない(泣)。
09-4-1
4日
札幌市の円山(まるやま)動物園で、昨年12月に生まれたシロクマの双子が大層な人気という。性別の取り違いで有名になったツヨシ、ピリカ姉妹(元兄弟)の弟か妹だ。こうして人気者を授かることもあれば、ままならぬことも多い。命をつないでのやり繰りは大変だ▼東京・上野動物園の08年度の入園者が、前年度より60万人少ない290万人にとどまった。300万人を下回るのは60年ぶり。不況に加え、昨春の「リンリン大往生」でパンダ不在となったのが響いた▼パンダの賃借料は2頭で年1億円ともいい、石原都知事は「世界も狭くなったんだから、いるところに行って見てきたら」と冷ややかだった。しかし園内の提案箱は「パンダが見たい」との声であふれた。子どもと数字は正直だ▼客数の日本一は守ったものの、北海道旭川市の旭山動物園が13万人差まで迫っている。ペンギンの散歩などで知られる旭山は、廃園の瀬戸際からユニークな見せ方で巻き返し、映画にまでなった▼名物園長だった小菅正夫さんは3月末に定年を迎え、最後に自らガイドに立った。「動物園の役割は命をバトンタッチさせること、動物のすごさを見てもらい、絶滅させてはいけないと思ってもらうことです」▼すごいのはおりの外にもいる。東京ディズニーランドとディズニーシーの08年度の入園者は過去最高の2722万人。レジャーの「安近短」傾向が、ほどよい追い風になったらしい。繁殖や飼育にやきもきする動物園をよそに、こちら、天寿も定年もない「80歳のネズミ」が出ずっぱりだ。(朝刊1面)
「天声人語」。現在の筆者がなんていう人か知らない。天下の「天声人語」の評判をこれ以上落とす前に交代したほうがいいと思う。もの文章はかなり不快。ひとことで言うと、ウマく書こうとする意識があまりにも強い。
インネンを含めて、ちょっと細かく見てみよう。
・大層な 間違いではない。むしろ「大変な」より由緒正しい日本語。でもさぁ。これが死語か否かで当時新卒のtobirisuが社長と口論になったのはもう●十年前だよ。久しぶりに見た。
・性別の取り違い 「取り違え」じゃないのかな。手元の『広辞林』にも「取り違え」しかない。「間違う―間違い」だけど、「取り違える―取り違え」ってことなのかな。自信がない。
・提案箱は「パンダが見たい」との声であふれた 微妙だけど、〈提案箱には「パンダが見たい」との声があふれた〉が自然な日本語では。
そういう些細なことは大した問題ではない。不快なのは、ウマく書こうとして外している表現が鼻につくから。
〈命をつないでのやり繰りは大変〉〈子どもと数字は正直だ〉〈天寿も定年もない「80歳のネズミ」が出ずっぱり〉
……フツーに書かんかい。
09-4-2
10日
阪神の先発石川はクイック投法が速くなくマスクをかぶる狩野は肩が強くない。(朝刊21面)
別に間違いではない。ただ、「速くなく」は相当ヘン。無神経ってことか。「苦手で」くらいかな。
09-4-3
12日
天才肌ゆえ、これまであまり見なかったビデオにもかじりついた。(朝刊23面)
平井隆介記者。女子バレーで連覇を果たした東レの木村沙織選手の記事。明らかにヘンだけど、直しようがない。とりあえず、読点を削除するくらしかできない(どうしても読点を打ちたいなら、「ビデオにも」の後だろう)。まとまな文にするのは手術が必要にになる。
【修正案】
天才肌ゆえ、これまでビデオはあまり見なかった。しかし、今シーズンは(対戦相手のビデオに)かじりついた。
09-4-4
20日
企業で働いていた邦之(中居正広)は不況の折、職を失う。(朝刊15面)
月9の新番組『婚カツ!』を紹介する記事の冒頭。これはなんじゃ? 「大企業」「上場企業」「一流企業」などならアリだけど、「企業で働いていた」はヘンだろう。理由は説明できない。大した会社ではないなら、「サラリーマンの」でもいい。
09-4-5
23日
開幕から全試合に先発出場し、安打のなかったのは3試合だけ。打率は上昇を止めない。(朝刊18面)
山田佳毅記者。根本的な問題として「止めない」をどう読むか。常用漢字表命の新聞が「やめない」はナシだろう。でも「やめない」のほうがまだマシな気がする(「上昇することをやめない」くらいのほうが自然な気がするけど)。「とめない」は相当ヘン。「打率は上がる一方だ」くらいがフツー。でも、現実にはそんなことはありえない。だって、安打のなかった日もあるんでしょ。
09-4-6
26日
1面に東京書籍の広告が出ている。書名は『最新 歴史でひも解く鉄道の謎』。「紐解く」と書こうとして、「紐」が常用漢字表外であることが気になるなら、こうするしかない。だったら「ひもとく」にしなよ。東京書籍って、辞書なんかも多数出してるシッカリした出版社だと思っていた。もはや幻想なのねorz。
2)【「紐解く」と「繙く」の違い】
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