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2012年5月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html


【2012年5月】

12-05-01
17日
目を見張るような内容。(朝刊22面)
 鈴木健輔記者。「瞠」が使えないからこう書くしかない。それはわかっているけどさぁ。


12-05-02
26日
酸いも甘いも知り尽くした38歳左腕が最下位チームの暗い雰囲気を変えてみせた。(朝刊21面)
 小俣勇貴記者。「誤用」とまでは言えないかもしれない。個人的な語感だと「酸いも甘いも噛み分ける」の形で慣用句。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E9%85%B8%E3%81%84%E3%82%82%E7%94%98%E3%81%84%E3%82%82&stype=0&dtype=0
================================引用開始
酸(す)いも甘いも噛(か)み分・ける
人生経験が豊かで人の心の機微や世間の事情によく通じている。酸いも甘いも知っている。

◆「酸いも甘いも嗅(か)ぎ分ける」とするのは誤り。
================================引用終了
 辞書も同様の見解の気がするが、なぜか解説の中に「酸いも甘いも知っている」とある。じゃあ「酸いも甘いも知る」もアリなの。ちなみに『大辞林』も同じ項目を立てながら、解説中に「酸いも甘いも知る」とある。さて、「酸いも甘いも知り尽くした」はアリなんだろうか。


12-05-03
29日(朝刊1面)
http://www.asahi.com/politics/update/0528/TKY201205280580.html
================================引用開始
首相、小沢氏と「乾坤一擲」 増税法案の一部分離も示唆

 野田佳彦首相は28日、首相官邸で内閣記者会のインタビューに応じ、民主党の小沢一郎元代表との会談について「お会いする以上、乾坤一擲(けんこんいってき)だ。一期一会のつもりで説明したい」と述べ、消費増税法案への協力を求める考えを強調した。

 輿石東幹事長は同日の記者会見で、輿石氏を含めた3者会談は30日午前に党本部で行うと発表。そのうえで「国民の生活が第一という政権政党の責任を果たそうという意味合いだ。首相と元代表が腹を割って話し合う。タイムリミットはない」と語った。

 インタビューで首相は「法案は党内で相当長い時間をかけ、党議になっている。その基本路線を(小沢氏に)理解していただくことを目指したい」と強調。法案採決で民主党議員が造反した場合は「党議に反すれば党として対応するのが基本だ」と述べ、処分する考えを示した。

 また、首相は消費増税法案をめぐって自民党が提案した社会保障制度を議論する超党派の「国民会議」の設置に賛意を表明。そのうえで消費増税関連7法案について「この国会中に採決をしなければいけないものと、中長期的な課題として(野党と)協議に持っていくものを整理する必要は出てくる」と述べ、増税法案の成立を優先し、社会保障関連法案の一部を先送りする可能性に言及した。
================================引用終了
 記者不明。ネット上にテキストがあったので、転載した。
 気になったのは、「乾坤一擲」と「一期一会」の使い方。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%B9%BE%E5%9D%A4%E4%B8%80%E6%93%B2&stype=0&dtype=0
================================引用開始
けんこん‐いってき【▽乾×坤一×擲】
運命をかけて大勝負をすること。「―の大企画」
================================引用終了
『大辞泉』の記述のとおりだろう。「乾坤一擲の大勝負」ならフツー。「乾坤一擲の作」のように「入魂」の意味で使うのもアリかもしれない。でも「~は乾坤一擲だ。」「~は入魂だ。」というのは相当あやしい。
「一期一会」もどうなんだろう。
■Web辞書『大辞泉』から
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E4%B8%80%E6%9C%9F%E4%B8%80%E4%BC%9A&stype=0&dtype=0 「」
================================引用開始
いちご‐いちえ〔‐イチヱ〕【一期一会】
《「山上宗二記」の中の「一期に一度の会」から》茶の湯で、茶会は毎回、一生に一度だという思いをこめて、主客とも誠心誠意、真剣に行うべきことを説いた語。転じて、一生に一度しかない出会い。一生に一度かぎりであること。
================================引用終了
 言いたいことはわからなくはない。「1回限りの大勝負」ってことなんだろう。もう少し言葉を選ぼうよ。たびたび話題になる関取の昇進口上だってここまではヒドくない。
 こういう言葉をムヤミにつかって、誤用だったり微妙な使い方だったりすのはさぁ……。
【第2章5比喩の使い方】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-133.html

12-05-04
30日
内閣府の関係者は「裏金が動く蓋然(がいぜん)性の高い公益申請は、認められないでしょう」と釘を刺した。(朝刊21面)
 抜井規泰記者。大相撲の年寄名跡買い上げの話。「蓋」は新常用漢字表に追加されたはず。追加されたものにルビをつける理由がわからない。どんなルールになってたっけ。それ以前に、わざわざこんな言葉を使う理由がわからない。この関係者「可能性」ではなく「蓋然性」と発言したのかね。さすがホニャララだよ。
【学者の言葉〈3〉── 専門用語の誘惑】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2295.html


12-05-05
31日
 なし崩しに再稼働しようとしている。だが、脱原発依存の流れは変わらない。(朝刊1面)
 竹内敬二編集委員。原発の話の冒頭。「しようとしている」って無神経じゃないか? 「する気なのか」「しようとする意思が読み取れる」くらいじゃダメなのかな。「脱原発依存」も一瞬戸惑った。おそらく「脱原発・依存の流れ」と読んだからだろう。書き手の意図は「脱・原発依存の流れ」なんだろう。世間ではそれを「脱原発の流れ」って言わないかなぁ。そのあたりはパスしておく。問題は「なし崩し」。
■Web辞書『大辞泉』から
================================引用開始
なし‐くずし〔‐くづし〕【▽済し崩し】
物事を少しずつかたづけていくこと。徐々に物事を行うこと。「企画が―に変更される」
================================引用終了
 典型的な「誤用」は「ウヤムヤのうちに」「成り行きで」の意味。さて、書き手はどちらの意味で使っているのだろう。

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