2012年4月の朝日新聞から
【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html
●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html
【2012年4月】
12-03-06
31日
戦後、団塊の世代と共に成長したマンガ市場だが、出版科学研究所によると昨年、マンガ雑誌の推定販売部数は16年連続で減少し、単行本売上高もここ16年で最低となった。「日本が世界に誇るコンテンツ」は足元で先細りが続いている。(夕刊be evening4面)
小原篤記者。「昭和史再訪」のテーマは「力石徹告別式」。1970年3月14日の朝日新聞に「まさにマンガ 頭にきたか」というタイトルの記事がのった。ここで言う「マンガ」は「バカバカしい絵空事」くらいの意味。この記事は「マンガをバカにしたマスコミ」の代表例として語り草になったらしい。コラムとして『あしたのジョー』のデータ的なことがのっている。いろいろ危ういものを感じる。単行本の累計部数は1600万部を超えているとのこと。当時としてはとてつもない数字だと思う。これを現代に当てはめると、『ONE PIECE』(ワンピース)数巻分になってしまう。そのあたりのことは断わってくれないとね。「団塊の世代と共に成長」って感覚は古くないか? 「16年連続で減少」かもしれないけど、その間、活字媒体はどうなんでしょうね。それで「先細り」って。ところでこの場合の「足元」ってなんのこと?
12-04-01
3日
清張作品ではラストが雑なことが割とあるが、本作品は違う。“女の本性”を「これでもか!」と描き切った、まさに清張ワールド。(朝刊38面)
小田健司記者。ドラマの紹介欄。別に誤用でもなんでもないのに取り上げるのは問題かな。でもこの文章は相当ヒドいよ。まず「清張作品ではラストが雑なことが割とあるが」って部分が気になった。日本の推理小説界の巨魁を相手にこんな大胆なことを書いていいのだろうか。主観なら何を書いてもいいのかな。同じことを書くにも「清張作品はラストが雑になりがちだが」(もっとヒドいか)くらいだろうか。そんな悪評あったかな。「割とある」とか書く記者にそんなこと言われてもなぁ。で、「まさに清張ワールド」って、「ラストが雑なことが割とある」んでしょ。さらに言えば、「女の本性」って何? 「悪女の本性」とか「女の性(さが)」ならわかるけどさ。それに、それって清張の持ち味じゃないでしょ。しかも原作は短編小説なのよ。どう描き切るの。
12-04-02
5日
在学中に白羽の矢
(朝刊28面)
渡辺元史記者。大きめの見出しなので目立つ。リードには「児童書で有名な出版社が在学中から白羽の矢を立て」とある。「白羽の矢」は本来は……なんてもう書く気は少ししかない。問題は別のところ。本文を読むと、絵本作家の関口喜美さん(こういう場合はやはり敬称をつけたくなる)は、在学中の2010年に個展を開いた。そのときに、出版社5社に案内状を送ったところ編集者に目にとまった。こういうのって「白羽の矢」って言うのだろうか?
12-04-03
5日
(記)(朝刊27面)
第70期将棋名人戦七番勝負の特集記事。第1局の観戦記を担当する作家の海堂尊の原稿の末尾に(記)とある。初めて見た。すぐ下の渡辺明竜王のコメントの末尾には(談)とある。これはよく見る。フツーは記名原稿だと当然本人が書いているが、談話だったときに(談)とか入るものだろう。(記)って……。
12-04-04
28日付「天声人語」
http://www.asahi.com/paper/column.html
================================引用開始
エーゲ海のミロス島で、農夫がその大理石像を見つけたのは1820年の春。両腕は欠けるも、体重は右に、視線は左に向けて、額から伸びた鼻筋が美しい。フランスの外交官らの機略で、「ミロのビーナス」はルーブル美術館の至宝に落ち着いた▼以来、原則として門外不出である。例外は1964年、日本への旅だった。手前みそながら、仏政府にかけ合い、東京と京都で展示を企てたのは朝日新聞だ。一点のみの美術展を、172万人が訪れた▼わが国にも誇れる女神像がある。こちらは純然たる祖先の作である。山形県で20年前に出土した「縄文のビーナス」が、土偶では四つ目の国宝に決まり、きょうから上野の東京国立博物館で公開される▼4500年前、縄文中期の逸品だが、現代彫刻の趣がある。国宝に推した文化審議会は「土偶造形の一つの到達点」と評した。縄文人(びと)からの贈り物と喜ぶのは、所蔵する山形県の吉村美栄子知事だ。「豊穣(ほうじょう)の祈りや再生の意味がある土偶が国宝となり、東北の再生にもつながる」と▼ミロのビーナスの倍の歳月を知り、渡航歴はすでに本家をしのぐ。フランス、中国、ドイツ、英国をめぐり、縄文文化の豊かさを伝えてきた。文化使節としての実績は国の宝にふさわしい▼素焼きの立像に向き合えば、大胆な捨象(しゃしょう)の美を思うはずだ。次いで土の香り、祝祭のさざめきだろうか。じんわりと、五感に太古がこみ上げる。時をせき止めて、縄文の匠(たくみ)を守り通した国土に、改めて感謝したい。
================================引用終了
2文目の「体重」ってなんなのだろう。いくら考えてもわからない。
「倍の歳月を知り」もこの記事だけでは何がなんだか。「渡航歴はすでに本家をしのぐ」って、本家(これも意味不明)は「原則として門外不出」だよね。
12-04-05
30日
各階級ごとの世界ランキング22位に入っていない加藤と石井はロンドン五輪に出場できない。(朝刊19面)
記者不明。こんなにベタな重言を見るのは珍しいかも。
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●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
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●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
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【2012年4月】
12-03-06
31日
戦後、団塊の世代と共に成長したマンガ市場だが、出版科学研究所によると昨年、マンガ雑誌の推定販売部数は16年連続で減少し、単行本売上高もここ16年で最低となった。「日本が世界に誇るコンテンツ」は足元で先細りが続いている。(夕刊be evening4面)
小原篤記者。「昭和史再訪」のテーマは「力石徹告別式」。1970年3月14日の朝日新聞に「まさにマンガ 頭にきたか」というタイトルの記事がのった。ここで言う「マンガ」は「バカバカしい絵空事」くらいの意味。この記事は「マンガをバカにしたマスコミ」の代表例として語り草になったらしい。コラムとして『あしたのジョー』のデータ的なことがのっている。いろいろ危ういものを感じる。単行本の累計部数は1600万部を超えているとのこと。当時としてはとてつもない数字だと思う。これを現代に当てはめると、『ONE PIECE』(ワンピース)数巻分になってしまう。そのあたりのことは断わってくれないとね。「団塊の世代と共に成長」って感覚は古くないか? 「16年連続で減少」かもしれないけど、その間、活字媒体はどうなんでしょうね。それで「先細り」って。ところでこの場合の「足元」ってなんのこと?
12-04-01
3日
清張作品ではラストが雑なことが割とあるが、本作品は違う。“女の本性”を「これでもか!」と描き切った、まさに清張ワールド。(朝刊38面)
小田健司記者。ドラマの紹介欄。別に誤用でもなんでもないのに取り上げるのは問題かな。でもこの文章は相当ヒドいよ。まず「清張作品ではラストが雑なことが割とあるが」って部分が気になった。日本の推理小説界の巨魁を相手にこんな大胆なことを書いていいのだろうか。主観なら何を書いてもいいのかな。同じことを書くにも「清張作品はラストが雑になりがちだが」(もっとヒドいか)くらいだろうか。そんな悪評あったかな。「割とある」とか書く記者にそんなこと言われてもなぁ。で、「まさに清張ワールド」って、「ラストが雑なことが割とある」んでしょ。さらに言えば、「女の本性」って何? 「悪女の本性」とか「女の性(さが)」ならわかるけどさ。それに、それって清張の持ち味じゃないでしょ。しかも原作は短編小説なのよ。どう描き切るの。
12-04-02
5日
在学中に白羽の矢
(朝刊28面)
渡辺元史記者。大きめの見出しなので目立つ。リードには「児童書で有名な出版社が在学中から白羽の矢を立て」とある。「白羽の矢」は本来は……なんてもう書く気は少ししかない。問題は別のところ。本文を読むと、絵本作家の関口喜美さん(こういう場合はやはり敬称をつけたくなる)は、在学中の2010年に個展を開いた。そのときに、出版社5社に案内状を送ったところ編集者に目にとまった。こういうのって「白羽の矢」って言うのだろうか?
12-04-03
5日
(記)(朝刊27面)
第70期将棋名人戦七番勝負の特集記事。第1局の観戦記を担当する作家の海堂尊の原稿の末尾に(記)とある。初めて見た。すぐ下の渡辺明竜王のコメントの末尾には(談)とある。これはよく見る。フツーは記名原稿だと当然本人が書いているが、談話だったときに(談)とか入るものだろう。(記)って……。
12-04-04
28日付「天声人語」
http://www.asahi.com/paper/column.html
================================引用開始
エーゲ海のミロス島で、農夫がその大理石像を見つけたのは1820年の春。両腕は欠けるも、体重は右に、視線は左に向けて、額から伸びた鼻筋が美しい。フランスの外交官らの機略で、「ミロのビーナス」はルーブル美術館の至宝に落ち着いた▼以来、原則として門外不出である。例外は1964年、日本への旅だった。手前みそながら、仏政府にかけ合い、東京と京都で展示を企てたのは朝日新聞だ。一点のみの美術展を、172万人が訪れた▼わが国にも誇れる女神像がある。こちらは純然たる祖先の作である。山形県で20年前に出土した「縄文のビーナス」が、土偶では四つ目の国宝に決まり、きょうから上野の東京国立博物館で公開される▼4500年前、縄文中期の逸品だが、現代彫刻の趣がある。国宝に推した文化審議会は「土偶造形の一つの到達点」と評した。縄文人(びと)からの贈り物と喜ぶのは、所蔵する山形県の吉村美栄子知事だ。「豊穣(ほうじょう)の祈りや再生の意味がある土偶が国宝となり、東北の再生にもつながる」と▼ミロのビーナスの倍の歳月を知り、渡航歴はすでに本家をしのぐ。フランス、中国、ドイツ、英国をめぐり、縄文文化の豊かさを伝えてきた。文化使節としての実績は国の宝にふさわしい▼素焼きの立像に向き合えば、大胆な捨象(しゃしょう)の美を思うはずだ。次いで土の香り、祝祭のさざめきだろうか。じんわりと、五感に太古がこみ上げる。時をせき止めて、縄文の匠(たくみ)を守り通した国土に、改めて感謝したい。
================================引用終了
2文目の「体重」ってなんなのだろう。いくら考えてもわからない。
「倍の歳月を知り」もこの記事だけでは何がなんだか。「渡航歴はすでに本家をしのぐ」って、本家(これも意味不明)は「原則として門外不出」だよね。
12-04-05
30日
各階級ごとの世界ランキング22位に入っていない加藤と石井はロンドン五輪に出場できない。(朝刊19面)
記者不明。こんなにベタな重言を見るのは珍しいかも。