2005年~2007年4月の朝日新聞から
●2005年
【1・2月】
05-1-1
1月31日
「おすぎのピリ辛!」という連載コラム(夕刊7面)。最近のバラエティー番組で目立つテロップに腹を立てている高校生(18歳)の投書におすぎ氏が答えている。あれは業界では「ボイス・オーバー」というらしい。驚いたのは、あれをやめようとした動きに対する反応。あの文字を消したり小さくしたりすると、視聴率がデキメンに下がるそうな。ってことは「視聴者をバカにしている」なんて論調は無意味になる。バカな視聴者のニーズに応えているだけなんだもん。
05-2-1
2月2日
朝刊1面から。
一太郎のジャストシステムと松下電器産業の間の訴訟について、判決があったそうな。こんな訴訟があったなんて知らなかった。松下が主張していたのは、ヘルプモードを巡る特許権、どうやら、「ヘルプモード」ボタンをクリックしたあとにほかのボタンをクリックすると、機能が説明されるらしい。
松下が持っているってことは、これはワープロ専用機時代の特許なんだろうか。パソコンのOSがらみの機能の特許を松下がもっているとは思えない。似たようなヘルプはあるけど、これが特許として認められるのかね。
「松下がビジネスパートナーとしてのジャストシステムに見切りをつけた」って見解があるそうで、そのとおりなんでせうな。いずれにしても、ほとんど死に体のジャストシステムにトドメを刺すことになるんだろうな。根強いファンがいるといわれる一太郎君はどこに売られるんだろう。それは大した実害はないとしても、ATOKがどうなるのかが問題だよな。
どっちに転んだとしても、Wordの市場が大きくなるんだろうな。アーァ。
05-2-2
2月2日
夕刊1面から。
文化審議会の国語分科会が、常用漢字の見直しを提言する報告書を提出したとか。「遅まきながら」と申しましょうか。えーと。新聞が「誰」とかを使うようにしたって話を数カ月前に目にした気がするけど、いつだったっけ。
それはさておき、常用漢字表で「相当に普及」している例としてあげられているのは、「育む」「応える」「関わる」。個人的にはぜひ認めてもらいたいのは「関わる」だけど、3つのなかではいちばん目にすることが少ないような……。
【4月】
05-4-1
4月29日
「三者三論」(朝刊17面)のテーマは「近ごろ、日本語が変?」。取り上げられているのは、「私って言葉とかにうるさいじゃないですか」といった用法。
明海大学の井上史雄教授の話は興味深い。「じゃないですか」は「~じゃん」(関西なら「~やん」)の丁寧形ではないか、という説。たとえば、「オレってファッションには超うるさいじゃん」が「私ってファッションにはとてもうるさいじゃないですか」になる。微妙。「じゃん」は語尾が上がる気がする。
【6月】
05-6-1
6月18日
生活面の投書欄(朝刊23面)に、「無洗米は既洗米では?」というタイトルのおもしろい投書があった。趣旨はタイトルのとおり。根拠はいくつかあげられている。
1)「無洗米」では、「洗っていない米」の意味にとれる
2)「無」という否定語は、もともと無人機、無銭飲食など名詞につく
3)「洗」という動詞につくのは「未」「不」であるべき(ただし意味は逆になる)
主張はおおむね正しいと思う。肯定するにも否定するにも、ちょっと考えがまとまらない。いずれにしても、現実に「無洗米」という奇妙な言葉が登場して定着しつつあるのだから、何をいってもムダだろうな。
05-6-2
6月25日
朝刊23面から。
常用漢字表の再検討がスタートしたことを伝えている。この遠因(?)になったと思われる報告書が提出されたのは、今年の2月2日。朝日新聞の夕刊1面に記事が出ていた。そいでもって、25日の記事にはおもしろいデータがいろいろ出ている。「戦後の漢字政策の流れ」なんていう年表は、そのまま引用したいぐらい。
この記事の中心になっているのは、常用漢字表と一般の感覚のズレ。
常用漢字表外でなじみのある漢字としてあげられているのが、「奈・鹿・栗・鎌・串」。常用漢字表にあってなじみのない漢字としてあげられているのが「窯・畝・勺・銑・璽」。ウーム。常用漢字表にあるかないかについてはある程度の自信があるつもりだったが、勘違いだったことが判明してしまった。ほとんど使われない「璽」がなぜか常用漢字表に入っている記憶はあったが、あとはグチャグチャ。記事中に、「常用漢字でないのはどれ?」ってクイズもある。問題になっているのは以下の18字。
伊俺頑枕笹賭薫藤藩漸崎塑岡嗣袖謙翁瞳
「嗣」に至っては、「ジ」以外の読みが浮かばず、画面に出すのにひと苦労した。
ちなみに正解は次の9字。
伊俺枕笹賭藤岡袖瞳
【7月】
05-7-1
7月24日
黒35でFとして、次に黒41から決められれば理想形だが、白はGに飛んで足元をすくってくる。(朝刊17面)
囲碁の観戦記にあった文章。これだとさほど異和感がないというより、この場合「すくう」のは「足元」であって「足」ではない。「下からすくってくる」とか「足元をうかがわれる」とかすると妙な感じになる。
【8月】
05-8-1
8月5日
朝刊37面から。
ビブロス社が発行している「マガジンエルフィックス」誌上で、「全国統一オタク検定試験」という企画があったらしい。この企画のきっかけになったのは、野村総研が昨年発表した「オタク層の誌上規模推計と実態調査」。
1)アニ 20万人/200億円
2)アイドル 80万人/600億円
3)コミック 100万人/1000億円
4)ゲーム 80万人/780億円
5)組み立てパソコン 5万人/320億円
「主要5分野」の市場規模は計2900億円になるそうな。これは多いのか少ないのか。
05-8-2
8月28日
囲碁欄と将棋欄の間にある「棋信」(朝刊27面)というコラムに05年版「レジャー白書」の数字が引用されている。「レジャー白書」ですか。そういうものがありましたね。かつては毎年買い替えるような仕事もしたもんだ。04年の囲碁は人口450万人で、将棋人口は840万人。20年前は囲碁人口が700万人で、将棋人口が1680万人だったの激減している。ただし囲碁は10代の参加率が10年前の比べて男性が2倍、女性が5倍と激増している。
10代で囲碁の人気が高まったのは、「ヒカルの碁」の影響が大きいんだろうな。
それはさておき、20年でそんなに減ってるんですか。関係者にとって由々しき問題だろうな。ちょっと意外だったのは、両者の格差が大きかったこと。同年代で考えると、たしかに将棋を指すヤツのほうが圧倒的に多かった。ただ、当方がガキの頃の記憶だと、身の回りに囲碁の有段のジジイはゴロゴロしていたが、将棋の有段者はほとんどいなかった。このあたりの“温度差”は何が原因なんでしょ。
05-8-3
8月30日
スポーツ欄のコラム(朝刊19面)のタイトルに〈「殴るな」なぜ守られぬ〉とある。書き出しにも同様の表現が見える。
=================================
人は人に暴力をふるってはならない。立法を待つまでもなく、コモンセンス(常識)であるはずのことが、どうして守られないのか。
=================================
この「守られぬ」「守られない」の働きは当然のことだが「受け身」。「可能」なら「守れぬ」「守れない」になる。
ややこしいのは、この文脈だと「可能」のほうが素直に感じられること。パッと見たときに「可能」に余計な「ら」が入っているように見えてしまった。まあ「可能」の「行ける」を「行かれる」とするのは古い形ってだけで間違いとはいえないらしいけど。
【9月】
05-9-1
9月6日
実にテンポのいい投球だった。1球とて、同じ球がない。(夕刊13面)
書きたいことはことは判る。緩急や球種に変化をつけ、ていねいピッチングをしていたんだろう。それは判っても、こういう書き方はいろいろな意味で腹立たしい。なんでこういう大げさな書き方をする必要があるんだろう。ここまで大げさに書くと、ウソになる。厳密に考えれば、同じ球を投げなかったわけがない。それはおいといて、日本語の問題に限っても相当ヘン。
1)この「とて」は強調の意味なんだろうな。「も」でいいじゃない。
2)この「1球」は大丈夫なんだろうか。「ひとつとない」「ひとつとしてない」と同類の誤用じゃないだろうか。
●2006年
06-3-1
【3月】
3月18日
足元をすくわれた米国のスター軍団は悲痛だ。(朝刊17面)
「足元をすくう」は、もうふつうの表現になってしまったのだろうか。
【11・12月】
06-11-1
11月1日
気を抜けば、足元をすくわれかねない。(朝刊16面)
06-12-1
12月7日
韓国との戦いを意識しすぎると足元をすくわれる。(朝刊16面)
●2007年
【1月】
07-1-1
1月15日(月)
朝刊11面に、「漢字、世につれ」という1ページの記事が掲載されている。一部の漢字を伝統的な「康熙字典体」にするんだって。やめてくれよな。たしかにJISの書体には問題が多い。それでもなんとか広まりつつあるんだから。ただでさえ、伝統的な書体を使えって主張するヤツがいて、「小樽」の「樽」とか、「飛騨」の「騨」とか、そのたんびに作字してんだよ。新聞がそんなことを始めたら、ムタイなことを言い出すヤツが増えるじゃないか。
07-1-2
1月28日(日)
新聞の書体がかわることに対応すると思われるミニ連載「漢字とつきあう」が始まる。笑ったのは「葛」の字。有名なのは葛飾区。パソコンなどの画面だと下中央が「ヒ」になるが、正確にはちょっと違う。DTPの現場では悩みの種。奈良県の葛城市は、2004年に合併の際、パソコンにある字なのであえて「ヒ」の「葛城」を採用した。ところが今月30日に出るウィンドウズ「ビスタ」では、「ヒ」の「葛城」は出なくなったとか。「騨」も「ビスタ」では口が2つ並ぶ本来の文字が出るらしい。ウィンドウズならどっちだっていいじゃない。問題は、Macにはいっさい反映されないってこと。また作字かよ。
【4月】
07-4-1
7日
夕刊9面に大食い界のアイドルギャル曽根のデータが出ている。「162cm、45kg、BMI 16.7で、理想体重より14kg少ない」とのこと。理想体重59kgはないだろう、と思って調べたら、大きくは間違っていない。小さいかたには有利な計算方法なのね。
ただし、BMIの算出法は
体重(kg)/身長(m)/身長(m)
だから、正確には彼女のデータだと、17.1が正解。BMIが16.7になるのは、体重が44kgのとき。やっぱり数字はうかつに出せない。理想数値とされるBMI 22に一番近くなるのは58kgのとき。これなら「14kg少ない」もつじつまが合う。
07-4-2
8日
朝刊14面にマンガの『ハチワンダイバー』が紹介されている。「将棋、囲碁、麻雀など盤上の勝負を描いたマンガは少なくない」とある。これはどうなんだろう、と疑問に思ってgoo辞書で「ボードゲーム」を索いてみる。「チェスやオセロなど、盤上のこまを動かして勝敗を競うゲームの総称」とある。厳密に言うと、これもおかしい。オセロはこまは動かさない。おそらく世界で一番普及しているボードゲームの囲碁も、盤上のこまは動かさない。「盤上のこまを動かすなどして」ぐらいが正解かな。
もとの文章に戻ると、「盤上の勝負」に麻雀を入れるのはムチャ。明らかに毛色が違う。とはいっても、仮に麻雀を外すと、もう文章がグチャグチャ。麻雀マンガは専門誌が数冊あるほどメジャーだけど、囲碁・将棋を題材にしたマンガは近年専門誌に連載されるようになった作品を別にすると、競技人口の割には意外なほど少ない。囲碁だと、『ヒカルの碁』のほかに何かあったかな。将棋はかつての『5五の龍』は名作だった。あとは近年の『月下の棋士』が有名かな。少し前に「少年サンデー」で連載されていたけど、すぐにポシャった。ネットで調べると、このほかにも「アフタヌーン」で将棋マンガが連載されているらしい。
もうひとつの不満は、作者の経歴にふれていないこと。最近知ったのだが、アマの県代表クラスらしい。アマのトップクラスとはちょっと差があるんだろうな。5~6段ってとこかな。そりゃ原作いらないわ。
【続きは】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=881031344&owner_id=5019671
【総索引】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=890371504&owner_id=5019671
【1・2月】
05-1-1
1月31日
「おすぎのピリ辛!」という連載コラム(夕刊7面)。最近のバラエティー番組で目立つテロップに腹を立てている高校生(18歳)の投書におすぎ氏が答えている。あれは業界では「ボイス・オーバー」というらしい。驚いたのは、あれをやめようとした動きに対する反応。あの文字を消したり小さくしたりすると、視聴率がデキメンに下がるそうな。ってことは「視聴者をバカにしている」なんて論調は無意味になる。バカな視聴者のニーズに応えているだけなんだもん。
05-2-1
2月2日
朝刊1面から。
一太郎のジャストシステムと松下電器産業の間の訴訟について、判決があったそうな。こんな訴訟があったなんて知らなかった。松下が主張していたのは、ヘルプモードを巡る特許権、どうやら、「ヘルプモード」ボタンをクリックしたあとにほかのボタンをクリックすると、機能が説明されるらしい。
松下が持っているってことは、これはワープロ専用機時代の特許なんだろうか。パソコンのOSがらみの機能の特許を松下がもっているとは思えない。似たようなヘルプはあるけど、これが特許として認められるのかね。
「松下がビジネスパートナーとしてのジャストシステムに見切りをつけた」って見解があるそうで、そのとおりなんでせうな。いずれにしても、ほとんど死に体のジャストシステムにトドメを刺すことになるんだろうな。根強いファンがいるといわれる一太郎君はどこに売られるんだろう。それは大した実害はないとしても、ATOKがどうなるのかが問題だよな。
どっちに転んだとしても、Wordの市場が大きくなるんだろうな。アーァ。
05-2-2
2月2日
夕刊1面から。
文化審議会の国語分科会が、常用漢字の見直しを提言する報告書を提出したとか。「遅まきながら」と申しましょうか。えーと。新聞が「誰」とかを使うようにしたって話を数カ月前に目にした気がするけど、いつだったっけ。
それはさておき、常用漢字表で「相当に普及」している例としてあげられているのは、「育む」「応える」「関わる」。個人的にはぜひ認めてもらいたいのは「関わる」だけど、3つのなかではいちばん目にすることが少ないような……。
【4月】
05-4-1
4月29日
「三者三論」(朝刊17面)のテーマは「近ごろ、日本語が変?」。取り上げられているのは、「私って言葉とかにうるさいじゃないですか」といった用法。
明海大学の井上史雄教授の話は興味深い。「じゃないですか」は「~じゃん」(関西なら「~やん」)の丁寧形ではないか、という説。たとえば、「オレってファッションには超うるさいじゃん」が「私ってファッションにはとてもうるさいじゃないですか」になる。微妙。「じゃん」は語尾が上がる気がする。
【6月】
05-6-1
6月18日
生活面の投書欄(朝刊23面)に、「無洗米は既洗米では?」というタイトルのおもしろい投書があった。趣旨はタイトルのとおり。根拠はいくつかあげられている。
1)「無洗米」では、「洗っていない米」の意味にとれる
2)「無」という否定語は、もともと無人機、無銭飲食など名詞につく
3)「洗」という動詞につくのは「未」「不」であるべき(ただし意味は逆になる)
主張はおおむね正しいと思う。肯定するにも否定するにも、ちょっと考えがまとまらない。いずれにしても、現実に「無洗米」という奇妙な言葉が登場して定着しつつあるのだから、何をいってもムダだろうな。
05-6-2
6月25日
朝刊23面から。
常用漢字表の再検討がスタートしたことを伝えている。この遠因(?)になったと思われる報告書が提出されたのは、今年の2月2日。朝日新聞の夕刊1面に記事が出ていた。そいでもって、25日の記事にはおもしろいデータがいろいろ出ている。「戦後の漢字政策の流れ」なんていう年表は、そのまま引用したいぐらい。
この記事の中心になっているのは、常用漢字表と一般の感覚のズレ。
常用漢字表外でなじみのある漢字としてあげられているのが、「奈・鹿・栗・鎌・串」。常用漢字表にあってなじみのない漢字としてあげられているのが「窯・畝・勺・銑・璽」。ウーム。常用漢字表にあるかないかについてはある程度の自信があるつもりだったが、勘違いだったことが判明してしまった。ほとんど使われない「璽」がなぜか常用漢字表に入っている記憶はあったが、あとはグチャグチャ。記事中に、「常用漢字でないのはどれ?」ってクイズもある。問題になっているのは以下の18字。
伊俺頑枕笹賭薫藤藩漸崎塑岡嗣袖謙翁瞳
「嗣」に至っては、「ジ」以外の読みが浮かばず、画面に出すのにひと苦労した。
ちなみに正解は次の9字。
伊俺枕笹賭藤岡袖瞳
【7月】
05-7-1
7月24日
黒35でFとして、次に黒41から決められれば理想形だが、白はGに飛んで足元をすくってくる。(朝刊17面)
囲碁の観戦記にあった文章。これだとさほど異和感がないというより、この場合「すくう」のは「足元」であって「足」ではない。「下からすくってくる」とか「足元をうかがわれる」とかすると妙な感じになる。
【8月】
05-8-1
8月5日
朝刊37面から。
ビブロス社が発行している「マガジンエルフィックス」誌上で、「全国統一オタク検定試験」という企画があったらしい。この企画のきっかけになったのは、野村総研が昨年発表した「オタク層の誌上規模推計と実態調査」。
1)アニ 20万人/200億円
2)アイドル 80万人/600億円
3)コミック 100万人/1000億円
4)ゲーム 80万人/780億円
5)組み立てパソコン 5万人/320億円
「主要5分野」の市場規模は計2900億円になるそうな。これは多いのか少ないのか。
05-8-2
8月28日
囲碁欄と将棋欄の間にある「棋信」(朝刊27面)というコラムに05年版「レジャー白書」の数字が引用されている。「レジャー白書」ですか。そういうものがありましたね。かつては毎年買い替えるような仕事もしたもんだ。04年の囲碁は人口450万人で、将棋人口は840万人。20年前は囲碁人口が700万人で、将棋人口が1680万人だったの激減している。ただし囲碁は10代の参加率が10年前の比べて男性が2倍、女性が5倍と激増している。
10代で囲碁の人気が高まったのは、「ヒカルの碁」の影響が大きいんだろうな。
それはさておき、20年でそんなに減ってるんですか。関係者にとって由々しき問題だろうな。ちょっと意外だったのは、両者の格差が大きかったこと。同年代で考えると、たしかに将棋を指すヤツのほうが圧倒的に多かった。ただ、当方がガキの頃の記憶だと、身の回りに囲碁の有段のジジイはゴロゴロしていたが、将棋の有段者はほとんどいなかった。このあたりの“温度差”は何が原因なんでしょ。
05-8-3
8月30日
スポーツ欄のコラム(朝刊19面)のタイトルに〈「殴るな」なぜ守られぬ〉とある。書き出しにも同様の表現が見える。
=================================
人は人に暴力をふるってはならない。立法を待つまでもなく、コモンセンス(常識)であるはずのことが、どうして守られないのか。
=================================
この「守られぬ」「守られない」の働きは当然のことだが「受け身」。「可能」なら「守れぬ」「守れない」になる。
ややこしいのは、この文脈だと「可能」のほうが素直に感じられること。パッと見たときに「可能」に余計な「ら」が入っているように見えてしまった。まあ「可能」の「行ける」を「行かれる」とするのは古い形ってだけで間違いとはいえないらしいけど。
【9月】
05-9-1
9月6日
実にテンポのいい投球だった。1球とて、同じ球がない。(夕刊13面)
書きたいことはことは判る。緩急や球種に変化をつけ、ていねいピッチングをしていたんだろう。それは判っても、こういう書き方はいろいろな意味で腹立たしい。なんでこういう大げさな書き方をする必要があるんだろう。ここまで大げさに書くと、ウソになる。厳密に考えれば、同じ球を投げなかったわけがない。それはおいといて、日本語の問題に限っても相当ヘン。
1)この「とて」は強調の意味なんだろうな。「も」でいいじゃない。
2)この「1球」は大丈夫なんだろうか。「ひとつとない」「ひとつとしてない」と同類の誤用じゃないだろうか。
●2006年
06-3-1
【3月】
3月18日
足元をすくわれた米国のスター軍団は悲痛だ。(朝刊17面)
「足元をすくう」は、もうふつうの表現になってしまったのだろうか。
【11・12月】
06-11-1
11月1日
気を抜けば、足元をすくわれかねない。(朝刊16面)
06-12-1
12月7日
韓国との戦いを意識しすぎると足元をすくわれる。(朝刊16面)
●2007年
【1月】
07-1-1
1月15日(月)
朝刊11面に、「漢字、世につれ」という1ページの記事が掲載されている。一部の漢字を伝統的な「康熙字典体」にするんだって。やめてくれよな。たしかにJISの書体には問題が多い。それでもなんとか広まりつつあるんだから。ただでさえ、伝統的な書体を使えって主張するヤツがいて、「小樽」の「樽」とか、「飛騨」の「騨」とか、そのたんびに作字してんだよ。新聞がそんなことを始めたら、ムタイなことを言い出すヤツが増えるじゃないか。
07-1-2
1月28日(日)
新聞の書体がかわることに対応すると思われるミニ連載「漢字とつきあう」が始まる。笑ったのは「葛」の字。有名なのは葛飾区。パソコンなどの画面だと下中央が「ヒ」になるが、正確にはちょっと違う。DTPの現場では悩みの種。奈良県の葛城市は、2004年に合併の際、パソコンにある字なのであえて「ヒ」の「葛城」を採用した。ところが今月30日に出るウィンドウズ「ビスタ」では、「ヒ」の「葛城」は出なくなったとか。「騨」も「ビスタ」では口が2つ並ぶ本来の文字が出るらしい。ウィンドウズならどっちだっていいじゃない。問題は、Macにはいっさい反映されないってこと。また作字かよ。
【4月】
07-4-1
7日
夕刊9面に大食い界のアイドルギャル曽根のデータが出ている。「162cm、45kg、BMI 16.7で、理想体重より14kg少ない」とのこと。理想体重59kgはないだろう、と思って調べたら、大きくは間違っていない。小さいかたには有利な計算方法なのね。
ただし、BMIの算出法は
体重(kg)/身長(m)/身長(m)
だから、正確には彼女のデータだと、17.1が正解。BMIが16.7になるのは、体重が44kgのとき。やっぱり数字はうかつに出せない。理想数値とされるBMI 22に一番近くなるのは58kgのとき。これなら「14kg少ない」もつじつまが合う。
07-4-2
8日
朝刊14面にマンガの『ハチワンダイバー』が紹介されている。「将棋、囲碁、麻雀など盤上の勝負を描いたマンガは少なくない」とある。これはどうなんだろう、と疑問に思ってgoo辞書で「ボードゲーム」を索いてみる。「チェスやオセロなど、盤上のこまを動かして勝敗を競うゲームの総称」とある。厳密に言うと、これもおかしい。オセロはこまは動かさない。おそらく世界で一番普及しているボードゲームの囲碁も、盤上のこまは動かさない。「盤上のこまを動かすなどして」ぐらいが正解かな。
もとの文章に戻ると、「盤上の勝負」に麻雀を入れるのはムチャ。明らかに毛色が違う。とはいっても、仮に麻雀を外すと、もう文章がグチャグチャ。麻雀マンガは専門誌が数冊あるほどメジャーだけど、囲碁・将棋を題材にしたマンガは近年専門誌に連載されるようになった作品を別にすると、競技人口の割には意外なほど少ない。囲碁だと、『ヒカルの碁』のほかに何かあったかな。将棋はかつての『5五の龍』は名作だった。あとは近年の『月下の棋士』が有名かな。少し前に「少年サンデー」で連載されていたけど、すぐにポシャった。ネットで調べると、このほかにも「アフタヌーン」で将棋マンガが連載されているらしい。
もうひとつの不満は、作者の経歴にふれていないこと。最近知ったのだが、アマの県代表クラスらしい。アマのトップクラスとはちょっと差があるんだろうな。5~6段ってとこかな。そりゃ原作いらないわ。
【続きは】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=881031344&owner_id=5019671
【総索引】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=890371504&owner_id=5019671