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2011年11月の朝日新聞から

【索引】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html

●朝日新聞から──番外編 よく目にする誤用の御三家
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-122.html

●朝日新聞から──ではない 世に誤用の種は尽きまじ
「7割以上が間違ったら、もうそれは誤用ではない」のか?
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-194.html

mixi日記2011年11月30日から


【2011年11月】

11-11-1
8日
 弟子のイワシの食べ方など、箸の上げ下ろしまで口を出す角界随一のうるさ型。
(朝刊25面)
 抜井規泰記者。急死した鳴戸親方に関する記事。なぜ「イワシ」限定? 「イワシの食べ方」と「箸の上げ下ろし」は重言なのか、なんて話はパス。「角界随一」と「角界一」はどう違う、なんて話もパス。気になったのは「うるさ型」。昔、「うるさ型」なのか「うるさ方」なのか調べたことがあった。そのときは両方あったような。
「うるさいタイプ」なら「うるさ型」。「うるさいお方」なら「うるさ方」。どうも、現在は「うるさ型」しかないようだ。


11-10-2
9日
春遠からず 吉報待つ球児(朝刊29面)
 記者不明。高校野球の秋季地区大会終了の記事。別に間違いじゃないけど、相当気持ち悪い。元々のことわざは、「冬来たりなば春遠からじ」。これの前半がとれたんだから、「春遠からず」でもおかしくない……はず。でもそういうのアリなの? 結論だけを言うなら、こんなまぎらわしい使い方しないでほしい。


11-10-3
27日
指揮官の檄に奮起(朝刊25面)
 永田篤史記者。文中には「檄(げき)でスイッチが入った」とある。なぜ「活」と言わない。なぜルビをつけてまで「檄」を使いたがる。「檄を飛ばす」に関しては、もう誤用とは言い切れない気がする。でも、あんまり崩さないでほしい。そのうち「ファンが檄を飛ばす」とか「声援が檄になりました」なんて使い方も出てくるのだろうか。


11-11-4

http://www.asahi.com/paper/column.html
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2011年11月13日(日)付「天声人語」

 ちゃぶ台返し、と聞いて昭和の人気野球漫画「巨人の星」を思い出す方もおられよう。わが世代には懐かしい主人公・星(ほし)飛雄馬(ひゅうま)の父親の「得意技」とされた。ところが原作にはその場面はないという▼一度だけ、主人公を張り倒したはずみでちゃぶ台が転ぶ。テレビアニメで毎週絵が流れ、「常習犯伝説」になったらしいと、前に同僚が書いていた。さて、漫画はともかく、本物の巨人である。「ちゃぶ台返し」がお家騒動の引き金になったようだ▼球団会長の渡辺恒雄(わたなべ・つねお)氏(85)が「鶴の一声」でコーチ人事を覆した、のだという。「一声」には慣れていると思われた身内からの反旗である。渡辺氏は反論の談話を出し、外からは理非は見えにくいが、ごたごたに辟易(へきえき)のファンは多かろう▼しょせんは内輪もめともいえ、世間に訴えた清武英利球団代表には、喝采とともに疑問視する声も飛ぶ。他球団ならここまで話題になるまい。名門に加え、君臨する渡辺氏の個性ゆえである▼大リーグの名門ヤンキースの大スターだったディマジオは言ったそうだ。「(球場で)自分を見るのが最初で最後の人がいる。その人のためにプレーしている」と。テレビのない時代、日々最高のものを見せようと張りつめるプロ魂は気高くさえある▼日本の選手にも同じ魂があろう。そんな選手の一途さにくらべ、澱(よど)んだような内紛劇は見るにつらい。いまや巨人は昭和の栄光から遠い。平成の巨人に「ナベツネ伝説」だけが残るようでは、ファンは寂しい。
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 いつにも増して細かいところにイチャモンをつける。「天声人語ファン」の人は読まないように。

「おられよう」
 まずこういう「おられる」の使い方。間違いではないだろうが、一般の方にはおすすめできない。
 辞書をひく。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%81%8A%E3%82%8B&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=02640800&pagenum=1
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お・る〔をる〕【▽居る】
[動ラ五][文]を・り[ラ変]


1)人が存在する。そこにいる。「海外に何年―・られましたか」
2)「いる」の古風な、または尊大な言い方。また、「いる」に比べて方言的な響きを帯びる。「君はそこに―・ったのか」「都会にはセミも―・らんようになった」
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◆(1) 助動詞「れる」の付いた「おられる」「…ておられる」の形で尊敬表現に用いられる。(2) もとはラ変活用。室町時代以後、四段活用に変化。
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 1)ととってもらえるならマシかも。フツーは2)ととられるのでは。
 解釈は3通り。「古風」「尊大」「方言」。「古風」と言えばよろしいイメージだが、単に「古くさい」とも言える。
 この件に関しては下記のコメント[117]~でも話題になった。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=49592413
 わざわざ「おられる」を使う理由がわからない。「おられよう」ではなく、「いるだろう」で十分だろう。どうしても尊敬表現にしたいなら、「いらっしゃるだろう」にすればいい。
 この場合さらによくないのは、尊大な印象になりがちな「いえよう言葉」と併用して「おられよう」になっていること。「おられよう」って聞くと、家電のブランドですか、って気がしてしまう。実際によく似た家庭用プリンターがある。
「いえよう言葉」に関しては下記参照。
【伝言板 板外編3──文語調の表現は避ける〈2〉】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1798044706&owner_id=5019671
【2011年7月の朝日新聞から】(11-07-5)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1757027663&owner_id=5019671
※11-07-5参照。
 おかしいでしょ。尊大な印象になる言い回しを使ってまで、尊敬表現にするって。うんとわかりやすく書くと、ふんぞり返った偉いセンセーが無理に敬語を使っている印象になる。ある意味正しいか(さすがに言いすぎ?)。

「わが世代には懐かしい」
 そう書くだけの記憶があるなら、なぜ星一徹の名前が出てこない。さらに言えば「わが世代」なら飛雄馬よりも一徹のほうに共感をもつでしょうに。筆者は根本的なミスをしている。「原作にはその場面はない」ってどういう意味? おそらく、「アニメ」ではおなじみでも「原作マンガ」にはないという意味で書いたのだろう。ところが文中にはまだアニメの話は出てこない。「漫画」(ヤな表記だな)の話をしていて「原作」と言ったら、梶原一騎が書いた「原作」でしかありえない。
 もちろん「原作」にないシーンが「マンガ」に出てくることはある。非常に有名なところでは、『あしたのジョー』で力石徹が「原作」と違う大男に描かれた、なんてのがある。これは誰のミスなんだろう。結果的にはこのミスを力石の過酷な減量に結びつけることで(梶原一騎……正確には別名義か、ならではの力業)、あの名作が生まれたと言われる。
 そんなことはどうでもいい。「天声人語」の話に戻る。結局、マンガのことをよく知らない●●が書いた文章、というイメージになっている(さすがに言いすぎ?)。
 星一徹の「ちゃぶ台返し」と、ナベツネの「鶴の一声」による状況ヒックリ返しを、「巨人つながり」でまとめたつもりなんだろう。勘弁してほしい。
 ところで、それまでの有意義な話し合いを台なしにする●●発言……みたいな意味で「鶴の一声」って使っていいのだろうか。その決断の是非は関係ないのかな。ことわざの世界では鶴っていいイメージなんだけど。

「理非」
 そうか。こういう言い方もあるんだ。「理非曲直」で成語だとばっかり思っていた。どちらも自分では使わないけど。

「喝采とともに疑問視する声も飛ぶ」
 微妙すぎてよくわからない。「視」をする「声」ってどういうことなんだろう。これはさすがにインネンか。


11-11-5

http://www.asahi.com/paper/column.html
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2011年11月20日(日)付「天声人語」

 言葉の誤用例の定番に「役不足」がある。本来は、その人の力量に比べて役目が軽すぎることを言う。それが往々、「彼では役不足だ」などと、役目やポストに器量が及ばない意味に使われる。広まったのは後者のケースが目につくからだろう▼歴代の閣僚にも誤用をもって表すべき人はいた。今ならさしずめ防衛相の一川保夫氏か。ブータン国王夫妻を招いた宮中晩餐会(ばんさんかい)は欠席し、仲間の議員の政治資金パーティーに出ていた。「こちらの方が大事」と挨拶(あいさつ)したそうだ▼またか、の感がある。一川さんは就任に際して、「私は安全保障の素人だが、それが本当のシビリアンコントロールだ」と述べて、周囲を呆(あき)れさせている▼普天間の問題では沖縄県の仲井真知事に、「自衛隊の小松基地を抱える石川県に生まれ育ったので苦労も十分わかっている」と言っていた。沖縄の歴史を少し学べば、自衛隊と米軍の基地の違いは分かるのに、である▼沖縄の基地は、沖縄戦をへて、あるいは銃剣とブルドーザーによって奪われた土地だ。米兵は犯罪をおかしても基地に逃げ込めばすんだ。基地問題の根には、米軍の分厚い壁と、人の尊厳の蹂躙(じゅうりん)がある。知事が不快感を示したのは当然だろう▼人の世には「地位が人をつくる」という情け深い俗言がある。だが、その間にも世界は動く。折しも太平洋をはさんで米中は緊張を高めている。防衛に限らずTPPあり復興あり。あの人もこの顔も、「役不足」で国の足を引っ張らないよう願いたい。
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 うーん。
 下記のときも疑問に思ったが、筆者は紙面に「役不足」の誤用が登場していることを知らないのだろうか。
【07年度「国語に関する世論調査」2──朝日新聞の開き直り2】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-286.html

 これはさすがにあからさまにインネンかなぁ。
「広まったのは後者のケースが目につくからだろう」……ですか? たぶん違うと思う。正しい意味で使うケースがめったにないからだろう。うん? それだと同じことか? 似ているけど、ちょっと違うと思う。
 個人的には、マンガの影響が圧倒的に大きいと思う。言葉としてカッコいいしね。そんなことを言ってもしかたがないか。
 で、あえて誤用の意味で「役不足」を使って、訳のわからない文章になってませんか?
 防衛相の発言は、単なる「失言」だろう。まあ、そういう失言をするのは「役目やポストに器量が及ばない」からだ、と言えなくはない。

「犯罪をおかしても」
 これを重言とあげつらう(これも「誤用関連」の定番〈これも本来の意味から外れた言葉らしい〉らしい)のはムチャなんだろうな。

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