2009年1月の朝日新聞から
総索引は下記です。
【朝日新聞から総索引(2002年~)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
09-1-1
6日
そんな折、出版社に勤める郷田の同級生が事件の新事実を書き込んだ、という原稿が盗まれる。(朝刊36面)
木元健二記者。ドラマの紹介文。誤用の問題ではなく、修飾語の係り方の話。とりあえず、疑問が2つある。
1)出版社に勤めているのは郷田? 同級生?
2)書き込んだのは同級生? それとも別の書き手?
正解は、1)は同級生(郷田自身は刑事みたいなよくわからない職業)で、2)は第三者(だったと思う。自分で書いたんだったかな。だったらもう一度書けよ)。
問題は、そのことを誤解なく伝えるにはどうしたらいいか。
【修正案】
そんな折、郷田の同級生で出版社に勤める○○が入手していた、事件の新事実を書き込まれていた原稿が盗まれる。
スッキリしないorz。要は元が悪いんだようろうな。
09-1-2
9日
「バカでも一つの
ことに打ち込めば、成功出来ることを子供たちに教えたかった」という彼の言葉が意味深かった。(朝刊23面)
テレビ番組の投書欄。「彼」は某クイズ番組に出た千葉ロッテマリーンズの西岡剛選手。オンエアーも見た。バカな解答を連発しながらも、突き抜けた爽やかさがスゴかった。MCもえらく気に入ったようだった。こういうことを言える人はバカではない、って話はおく。気になったのは、「意味深かった」って表現。「意味深だった」はアリ。「意義深かった」もアリ。「深かった」もアリ(ちょっと俗語っぽいけど)。「意味深い」って言うのかな。“意味深い”でググると約11万5000件か。ウーム。
09-1-3
10日
男性棋士から金星(朝刊33面)
佐藤圭司記者。将棋の里見香奈・倉敷藤花(女流二段)が男性棋士に勝ったことを伝える記事。本文中にも「男性プロとは2回目の対戦で金星を挙げた」とある。ちなみに負けたのは稲葉陽(あきら)四段。「16歳10カ月での達成は、最年少記録という」ともある。快挙なのかもしれない。でも、これが男性棋士なら新聞記事にはならないよね。将棋界のとんでもない男女差別のことを踏まえての記事か否かは不明。
いずれにしても、プロ同士でハンディのない平手で戦っているのに「金星」ですか。名人に勝ったわけではないでしょ。まあ、売り出し中の稲葉四段に勝つのは●●に勝つよりスゴいとも言えるけど。そもそも金星って、平幕が横綱を破ることでしょ。いくら16歳だからって、タイトル保持者よ。ある意味、女流棋士のトップだよ。それでも「金星」ですか?
09-1-4
11日
制球力は一級品で、日本より外角に広いストライクゾーンは有利だが、17勝した06年と比べれば、速球は140キロ台後半が前半に、得意のカットボールも140キロ台が、130キロ台に落ちてきているのも不安材料だ。(朝刊15面)
坂名信行記者。大リーグに行く川上憲伸投手に関する記事。この記者の文章は、新聞記事とは思えないほど長い一文が目立つ。この文は約100字なんで、一般の文章としても危険な領域。ちゃんと書けてりゃ別にいいんだけど。「コントロール」を「制球」といいかえるのは新聞特有(?)だから目をつぶる。「落ちてきている」の主語がわかりにくいのも放っておく。一番マズいのは読点の使い方。「140キロ台が、130キロ台に」の読点は明らかにおかしい。この部分は直前の「140キロ台後半が前半に」と対になっている。余計な読点があるから、わかりにくくなっている。ないほうがいい。もしどうしても読点を打ちたいなら、「140キロ台が130キロ台に、」とでもするしかない。
09-1-5
14日
初日から2連敗以上した昭和以降の6人の新大関で、勝ち越したのは2人だけだ。(朝刊16面)
前沢智記者。厳密に言うと、この文は2つ意味にとれなくはない。「昭和以降の新大関って6人しかいないのか」ってインネンをつけることができなくはない。それを防ぐには、手術が必要になる。
【修正案】
昭和以降の新大関で初日から2連敗以上したのは6人。このうち、勝ち越したのは2人だけだ。
問題はそこではない。この記事が、3日目の記事であり、新大関の日馬富士は3連敗していること。そりゃ3連敗だって「2連敗以上」であるのは間違いない。でもここで言いたいのは「3連敗以上」ってことじゃないのかね。「以上」って言葉は妙な性質がある。数字を伴わないと、「○○以上」は○○を含まない。「これ以上のものはない」といったら「これ」は含まない。しかし「2以上」の場合は「2を含む」。なんでそうなるのかは知らない。「書いた以上は責任をもつ」の場合は? それも知らね。
09-1-6
14日
(前略)ここにあるのは、まさに純粋な「友情・努力・勝利」の物語なのだ。
たとえ一度失敗しても、挫折しても、あきらめずに思い続けるまっすぐな情熱と、復帰を待っていてくれる人がいれば、人はまた立ち直って歩き続ける。これは、一度は挫折した作家・末次由紀にとっても、見事な復活戦である。(夕刊12面)
書き手は評論家の藤本由香里。夕刊に定期的に掲載されているマンガ紹介のコラム。この文章で、何が書いてあるかわかる人がどのくらいいるんだろう。まあ、あからさまに「盗作」とか「トレース」と書くのは気が引けたんだろうな。某書のように、ノータッチってのはどうかと思うが、こんなふうに訳のわからない書き方もどうかと思う。だって、マンガに詳しくない一般人に向けたコラムなんでしょ。書くならもっとちゃんと書くべき。ってことはノータッチもありなのかな。「末次由紀にとっても、見事な復活戦である」のはどうなんだろう。作者にとっては「復活戦」だけど、作品は別に「復活戦」じゃない。
引用部の直前に「ここにあるのは、まさに純粋な「友情・努力・勝利」の物語なのだ。」とあるのも、一般人にわかるんだろうか。マンガ読みにとっては、「友情・努力・勝利」が「少年ジャンプ」が作り上げた少年マンガの三大要素(もう古いか?)っていうのは常識だけど。
09-1-7
16日
どんな球種でもストライクが取れるのが上原の強みだ。(朝刊19面)
ニューヨーク=村上尚史記者。上原浩治投手のメジャー入りを伝える記事。ほとんどインネンです。よく見る表現だけど、よく考えるとヘン。ストライクが取れない球種は投げないだろう。
09-1-8
21~24日
朝刊の文化面に、3回にわたって「新常用漢字表(仮称)」に関する記事が出ている。21日が23面、22日が23面、24日が32面。読んでて頭が痛くなった。そんなことしてなんの意味があるんだよ。これ以上余計なことしなくていいから。
【朝日新聞から総索引(2002年~)】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
09-1-1
6日
そんな折、出版社に勤める郷田の同級生が事件の新事実を書き込んだ、という原稿が盗まれる。(朝刊36面)
木元健二記者。ドラマの紹介文。誤用の問題ではなく、修飾語の係り方の話。とりあえず、疑問が2つある。
1)出版社に勤めているのは郷田? 同級生?
2)書き込んだのは同級生? それとも別の書き手?
正解は、1)は同級生(郷田自身は刑事みたいなよくわからない職業)で、2)は第三者(だったと思う。自分で書いたんだったかな。だったらもう一度書けよ)。
問題は、そのことを誤解なく伝えるにはどうしたらいいか。
【修正案】
そんな折、郷田の同級生で出版社に勤める○○が入手していた、事件の新事実を書き込まれていた原稿が盗まれる。
スッキリしないorz。要は元が悪いんだようろうな。
09-1-2
9日
「バカでも一つの
ことに打ち込めば、成功出来ることを子供たちに教えたかった」という彼の言葉が意味深かった。(朝刊23面)
テレビ番組の投書欄。「彼」は某クイズ番組に出た千葉ロッテマリーンズの西岡剛選手。オンエアーも見た。バカな解答を連発しながらも、突き抜けた爽やかさがスゴかった。MCもえらく気に入ったようだった。こういうことを言える人はバカではない、って話はおく。気になったのは、「意味深かった」って表現。「意味深だった」はアリ。「意義深かった」もアリ。「深かった」もアリ(ちょっと俗語っぽいけど)。「意味深い」って言うのかな。“意味深い”でググると約11万5000件か。ウーム。
09-1-3
10日
男性棋士から金星(朝刊33面)
佐藤圭司記者。将棋の里見香奈・倉敷藤花(女流二段)が男性棋士に勝ったことを伝える記事。本文中にも「男性プロとは2回目の対戦で金星を挙げた」とある。ちなみに負けたのは稲葉陽(あきら)四段。「16歳10カ月での達成は、最年少記録という」ともある。快挙なのかもしれない。でも、これが男性棋士なら新聞記事にはならないよね。将棋界のとんでもない男女差別のことを踏まえての記事か否かは不明。
いずれにしても、プロ同士でハンディのない平手で戦っているのに「金星」ですか。名人に勝ったわけではないでしょ。まあ、売り出し中の稲葉四段に勝つのは●●に勝つよりスゴいとも言えるけど。そもそも金星って、平幕が横綱を破ることでしょ。いくら16歳だからって、タイトル保持者よ。ある意味、女流棋士のトップだよ。それでも「金星」ですか?
09-1-4
11日
制球力は一級品で、日本より外角に広いストライクゾーンは有利だが、17勝した06年と比べれば、速球は140キロ台後半が前半に、得意のカットボールも140キロ台が、130キロ台に落ちてきているのも不安材料だ。(朝刊15面)
坂名信行記者。大リーグに行く川上憲伸投手に関する記事。この記者の文章は、新聞記事とは思えないほど長い一文が目立つ。この文は約100字なんで、一般の文章としても危険な領域。ちゃんと書けてりゃ別にいいんだけど。「コントロール」を「制球」といいかえるのは新聞特有(?)だから目をつぶる。「落ちてきている」の主語がわかりにくいのも放っておく。一番マズいのは読点の使い方。「140キロ台が、130キロ台に」の読点は明らかにおかしい。この部分は直前の「140キロ台後半が前半に」と対になっている。余計な読点があるから、わかりにくくなっている。ないほうがいい。もしどうしても読点を打ちたいなら、「140キロ台が130キロ台に、」とでもするしかない。
09-1-5
14日
初日から2連敗以上した昭和以降の6人の新大関で、勝ち越したのは2人だけだ。(朝刊16面)
前沢智記者。厳密に言うと、この文は2つ意味にとれなくはない。「昭和以降の新大関って6人しかいないのか」ってインネンをつけることができなくはない。それを防ぐには、手術が必要になる。
【修正案】
昭和以降の新大関で初日から2連敗以上したのは6人。このうち、勝ち越したのは2人だけだ。
問題はそこではない。この記事が、3日目の記事であり、新大関の日馬富士は3連敗していること。そりゃ3連敗だって「2連敗以上」であるのは間違いない。でもここで言いたいのは「3連敗以上」ってことじゃないのかね。「以上」って言葉は妙な性質がある。数字を伴わないと、「○○以上」は○○を含まない。「これ以上のものはない」といったら「これ」は含まない。しかし「2以上」の場合は「2を含む」。なんでそうなるのかは知らない。「書いた以上は責任をもつ」の場合は? それも知らね。
09-1-6
14日
(前略)ここにあるのは、まさに純粋な「友情・努力・勝利」の物語なのだ。
たとえ一度失敗しても、挫折しても、あきらめずに思い続けるまっすぐな情熱と、復帰を待っていてくれる人がいれば、人はまた立ち直って歩き続ける。これは、一度は挫折した作家・末次由紀にとっても、見事な復活戦である。(夕刊12面)
書き手は評論家の藤本由香里。夕刊に定期的に掲載されているマンガ紹介のコラム。この文章で、何が書いてあるかわかる人がどのくらいいるんだろう。まあ、あからさまに「盗作」とか「トレース」と書くのは気が引けたんだろうな。某書のように、ノータッチってのはどうかと思うが、こんなふうに訳のわからない書き方もどうかと思う。だって、マンガに詳しくない一般人に向けたコラムなんでしょ。書くならもっとちゃんと書くべき。ってことはノータッチもありなのかな。「末次由紀にとっても、見事な復活戦である」のはどうなんだろう。作者にとっては「復活戦」だけど、作品は別に「復活戦」じゃない。
引用部の直前に「ここにあるのは、まさに純粋な「友情・努力・勝利」の物語なのだ。」とあるのも、一般人にわかるんだろうか。マンガ読みにとっては、「友情・努力・勝利」が「少年ジャンプ」が作り上げた少年マンガの三大要素(もう古いか?)っていうのは常識だけど。
09-1-7
16日
どんな球種でもストライクが取れるのが上原の強みだ。(朝刊19面)
ニューヨーク=村上尚史記者。上原浩治投手のメジャー入りを伝える記事。ほとんどインネンです。よく見る表現だけど、よく考えるとヘン。ストライクが取れない球種は投げないだろう。
09-1-8
21~24日
朝刊の文化面に、3回にわたって「新常用漢字表(仮称)」に関する記事が出ている。21日が23面、22日が23面、24日が32面。読んでて頭が痛くなった。そんなことしてなんの意味があるんだよ。これ以上余計なことしなくていいから。