2011年5月 7日 (土)

都内の雨は放射能雨ではないが、もう後はない

新宿区百人町での環境放射線値が上昇してないという根拠だけであるが、都内は今日の雨も放射能雨ではないだろう。

そのことは、まず安心なことだが、放射線値のこれまでの推移から少し考察してみる。

都内環境放射線値は「ヨウ素以外による都内環境放射線残量の推定」による計算では、0.066μSv/Hに概ね収束し、それは年間約0.5mSvに相当する。
原発事故前の約2倍で一般人に対する安全値とされている年間1mSvの半分という値。
今後は地表に堆積した、ヨウ素以外の半減期の長い放射性物質であるセシウム等が減少すれば、放射線値も下がるはずである
これらの計算の基にしている、新宿区百人町の測定環境の詳細がわからないが、地表の土に近ければ、セシウム等は雨で土壌に染み込むだけで放射線値は下がらないようである。
チェルノブイリでは、雨がほとんど降らない地域らしいが、事故後今までで約20cmくらいまで染み込んでいるとのこと。
このことは、都内もそれらの土壌除去をしなければ、もう事故前の放射線値に戻ることは、今後数十年間はないことになる。

この期間の測定からすると、福島原発で爆発がなくなった3月21日以降は都内環境放射線の上昇はないことから、爆発事故がなければ、放射能の都内への影響は特段にない様子。
これは放射性物質が、上空高くまで上らなければ、それらが都内まで離散することはないのだろうと思われる。
逆にいうと、福島原発で、ヨウ素以外の半減期の長い放射性物質を含むような爆発事故が、あと1回でも発生すると、都内の年間放射線量は1mSvを超えた状態が10年以上続くことになる。
そうなると、現在の一般人に対する安全基準からすると、都内全域は居住に適さないことになる。そうなったら、都内全域から退去するか、土壌除去処理をするかが必要になるということだ。

したがって、福島原発の安定化は必須のことであり、もう後はないと考えるべきなのだろう。

5月 7, 2011 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2011年4月 8日 (金)

ヨウ素以外による都内環境放射線残量の推定

都内環境放射線発表サイトの定点観測を始めていたわけですが、3月21日以降は、ヨウ素以外の放射性物質の飛散が確実になったため、ヨウ素を仮定して実測値と比較しているのは無意味になりました。
ヨウ素だけであって欲しいという淡い希望は捨てて、今後数年間に残留するであろう環境放射線残量の推定に計算を書き直しました。

ということで、プログラムを書き換えたついでに、ドメインも改めてみました。(苦笑)
http://EastJapanDisaster.info/radiation-monitor/past_data.est.html

「Assumed baseline」というのが、放射性ヨウ素による放射線の影響がなくなった後の、残留放射線量として推定した値です。

公表されている環境放射線量の値を、基準値(baseline)に対する増加分に対して、ヨウ素の半減期である8日間で減衰させることを単純にシミュレーションしたものです。

ヨウ素の半減期は8日ですが、3月15日翌日以降の環境放射線量の減衰を見ると、環境放射線は、もととなった放射性物質の半減期よりも早く除去されるようです。そうだとすると、半減期8日間よりも減衰してよいはずなので、3月21日以降の減衰が低いということは、ヨウ素以外の放射性物質がこのシミュレーションよりも多いのかもしれません。しかし、そのあたりのことはよくわからないので、ヨウ素以外の残留が「少なくとも」これだけあるということにはなるものと思います。

以上の考え方を使って、放射線量が増加した日(雨の日)を起点として、その後減衰している期間(晴天の日)の放射線量の実測値の減衰曲線に対して、半減期8日での減衰曲線を比較して、それの基底値(baseline)を単純に求めています。
そのため、雨が降ってから晴れが続く日数が長い程、予想精度があがります。
発表されているデータの精度が3桁しかないので、それで2次曲線を近似計算しているため誤差が大きく、晴れが最低でも3日間くらいないと予想基底値が安定(誤差が収束)しませんが、目安程度に使えると思います。

前回の記事に続いて繰り返しますが(笑)、専門家ではないので、そもそも上記の計算式(特に放射性ヨウ素の半減期と環境放射線量の減衰の関係)についてご意見があればお知らせいただけると幸いです。

4月 8, 2011 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2011年4月 4日 (月)

都内環境放射線発表サイトの定点観測

福島第1原発の事故による都内の環境放射線量への影響についてまとめてみた。
それと、新宿百人町での放射線量の報告サイトがあるので、それを自動収集・計算するようにしてみた。

結論は、
http://project.yosihiro.com/EastJapan311/radiation-monitor/past_data.est.html
なのだけれど、何のことだかわからないと思うので、解説は以下のとおりです。

健康安全研究センターというところが、年間を通して環境中の放射線量などの測定を行っていて、都内では新宿区百人町での測定値をウェブサイトで報告している。
http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/index.html

毎時間のデータ(report_table.do.html)と、毎日のデータ(past_data.html)がある。

上記の毎時間のデータについては、データ加工がしやすいように、自分のサーバでCSVに変換する自動処理プログラムを定期的に実行するようにしてみた。
http://project.yosihiro.com/EastJapan311/radiation-monitor/report_table.do.csv

もとのデータが古いデータを削除していくのに対して、こちらは自動処理を開始した3月15日からのデータを蓄積しておくようにしておいた。

最も簡単な使用例としては、CSVファイルをExcelで開いて、全データを選択して、「挿入」「グラフ」で「折れ線グラフ」を選んで「次へ」をクリックしていくとグラフ表示できる。

CSVファイルに変換するだけでは芸がないので、何か計算をしつつ、別のウェブサイトの記録と紐付けてみると、いわゆるマッシュアップになっておもしろいかなということで、毎日のデータの方を以下のように加工してみた。

まず、ウェブサイトやCSVファイルを見ても、数字ばかりで何のことかわからないので、数字の値の意味を以下にまとめてみた。

・過去の新宿区百人町における平常値の範囲は、文部科学省によると0.028~0.079毎時シーベルト(このページに掲載されているPDFに記載)
・毎時0.05μシーベルトは年間438μシーベルト(0.05×24時間×365日=438)に相当。
・人体に悪影響が始まる年間100㍉シーベルト(以下の図を参照)の200分の1。
Radiation
・毎時10μシーベルトが、概ね年間100㍉シーベルトに相当するが、それは、毎時10μシーベルトの状態が365日24時間連続したときに100㍉シーベルトに到達するので、毎時10μシーベルトでもまだ余裕はある。
・これらの放射線量増加が放射性ヨウ素によるものの場合、ヨウ素の半減期8日間は1日約8.3%の減少に相当。(1-8.3%=0.917004の8乗が約0.5)
・雨により上空に浮遊している放射性ヨウ素が地表に落下して放射線量が増えている場合には、増加分について雨が明けてから1日約8.3%以上の減少があれば、ヨウ素が原因である可能性が高い。
・減少が少ない場合には、ヨウ素以外、たとえばセシウム(半減期30年間)などである可能性がある。

以上を踏まえて、環境放射線量が毎日何%減少しているのかを自動計算しながら、天気記録とマッシュアップした結果が以下のページ。

http://project.yosihiro.com/EastJapan311/radiation-monitor/past_data.est.html

ページ中の天気記録は、Yahoo! Japanの天気情報からデータを取っており、3月15日の記録は都内としては晴れになっているが、新宿地域は強い雨だった。
3月15日の雨がやんだ後に、環境放射線量が急速に減衰しているのがわかるが、3月21日の雨の後は、減衰率が下がっている。
これは多分、上空に浮遊している放射性物質がヨウ素だけではなく、半減期が30年間のセシウムも増えたためなのだとうと思う。(専門家じゃないので、よくわからないけど)

ちなみに、福島原発の放射性物質がどのくらい遠くまで離散するのかについては、福島原発からのヨウ素の拡散状況のアニメーション
というのがネットにあった。(もともと、ここで再掲載するつもりはなかったので、出所が不明になった。ご存知の方は知らせてください。)

ただ、いずれにしても、現在の値であれば、人体には悪影響のある値に100倍近く余裕があるので、あまり心配しなくてよいのだろうと思っています。

現在の値と言っているのは、4月3日のデータに基づいて書いたが、最新の状況は、以下のページに掲載しています。

http://project.yosihiro.com/EastJapan311/radiation-monitor/index.html

4月 4, 2011 | | コメント (0) | トラックバック (0)