公益通報者保護制度
2006年4月1日から、公益通報者保護法が施行されますね。
内閣府がこれのポータルサイトを用意してくれており、とてもよくできています。
ただ、公益通報者保護を Whistleblower Protection と英訳するのは、いただけません・・・
内閣府の「公益通報者保護制度ウェブサイト」は、
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/koueki/index.html
として公開されています。
法条文そのものの他に、運用上のガイドラインや報告様式の雛形なども用意してくれています。
また、立法時の審議内容や諸外国の動向調査報告書などを、まとめてくれており、ポータルサイトとしてよくできています。
他の法律もこれくらいのことをやってくれていると大変ありがたいです。
他の事案についても、立法審議時、施行時、施行後の政府としての情報提供のお手本として見習って欲しいものです。
ところが・・・
ちょっと残念だったのは、このポータルサイトそのものではなく、内閣府のホームページのリニューアルです。2006年1月6日にリニューアルされたのですが、それまでは、ホームページから、上記のポータルサイトには、「公益通報者保護制度」という見出しからワンクリックでアクセスできたのに、リニューアルによって、2クリックになってしまいました。ワンクリックできるといいのに。。。
ということで、クリック1回分の違いだけなのですが、ここに URL を残しておくことにしたのでした。w
本題に戻りますが・・・
関連情報のポータルサイトとしてお奨めしますが、現時点での、公益通報者保護法制度の内容そのものについては、まだ議論の余地が多くありそうです。
まず、このサイトでは、公益通報者保護を Whistleblower Protection と英訳していますが、これはやめた方がいいと思っています。
Whistleblower Protection の邦訳は、内部告発者保護でよいと思います。正確には、内部はなくて、単に告発者保護だとは思いますがまぁいいでしょう。
そこで、なぜ、公益通報者保護を Whistleblower Protection と訳さないほうがよいかというポイントはいくつかあります。
・Whistleblower Protection = 内部告発者保護と思われており、そうすると公益通報者保護=内部告発者保護と誤解される。しかし、公益通報者保護制度は、外部告発者も対象にしている。・・・でも、これは些細なことです。
・内部告発者保護は、不正の告発を広く対象にするが、公益通報者保護制度は、公益通報を限定的に定めている。・・・こっちが大きな違い。
今後の運用の議論の中で、これらの違いがなくなって、公益通報者保護=告発者保護となれば、それ以後は、公益通報者保護を Whistleblower Protection と英訳してよいと思いますが、それまでは言葉による誤解を生じることになるのでやめたほうがよいと思います。
たとえば、個人情報保護をプライバシー保護と混同してはいけないのと同じ問題です。
それぞれの英訳は、Personal Information Protection と Privacy Protection とで異なるわけです。
公益通報者保護を Whistleblower Protection と英訳することは、個人情報保護を Privacy Protection と訳してしまうことと同じようなものだと思います。
名は体を表すことになりますから、米国において、Whistleblower Protection Act として名と体が定着している「名」を安易に使い始めるのはよくないことです。
その「名」に体を合わせるという覚悟を示したいということであればよいのですが、まだそう決めているわけではないのでしょうから。。。
英訳語のことだけ書きましたが、本題の、公益通報者保護制度の中身については、気になるところがありますが、それはもう少し勉強してから書くことにします。
1月 7, 2006 | Permalink | コメント (0) | トラックバック (0)
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