米ニューヨーク州検事総長のAndrew Cuomo氏は米国時間2009年7月9日,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Tagged.com」に対して提訴する意向を正式に伝えたと発表した。同サイトが詐欺的な電子メール・マーケティングを実行し,プライバシを侵害したとしている。
Tagged.comは,新規登録したユーザーに,個人用電子メールの連絡先データへのアクセス情報を同サイトに提供するよう促し,その連絡先リストをもとに大量の電子メールをスパム送信したという。電子メールは,Tagged.comユーザーが画像を同サイトで公開したことを知らせる内容となっており,そのユーザーが発信元であるかのように見せかけていた。
しかし実際には,該当する画像は存在せず,電子メールもそのユーザーが送信したものではなかった。同州検事局によると,Tagged.comはこのようにして,今年4月から6月にかけて数千万通の電子メールを送りつけていた。
Cuomo氏は,「Tagged.comの行為は,家に押し入ってアドレス帳を盗み出し,記載されている全員に詐欺メールを送りつけるのと同じことだ」と非難している。
Tagged.comの電子メール・マーケティングについてはユーザーから苦情や批判が挙がっており,6月に一時的に停止している。しかしすでに6000万通以上のメールを世界中に送信済みだった。
同州検事局の発表を受け,Tagged.comは同日,公式ブログで「新しい登録プロセスをテストする際に用いた『invite your friends(友達を招待しよう)』という言葉が混乱を招いた。しかしユーザーの許可なしに電子メールを送信してはいない」と釈明。ただし「一部ユーザーが混乱して,あるいはうっかり承認してしまったことは認識している」とした。また,検事局から連絡を受ける前に,ユーザーからの苦情を受けてすぐに登録プロセスを停止したと主張した。
[ニューヨーク州検事総長の発表資料]
[Tagged.com公式ブログの発表資料]