不滅の名盤!!コルボによるフォーレのレクイエム
作曲者 : FAURÉ, Gabriel 1845-1924 仏
曲名  : レクイエム Op.48 (1886-87/1893改訂)
演奏者 : ミシェル・コルボ指揮 ベルン交響楽団, 聖ピエール=オーリアン・ド・ビュル聖歌隊, アラン・クレマン(boy-sop), フィリップ・フッテンロッハー(br), フィリップ・コルボ(org)
CD番号 : ERATO(RVC)/RECD-2815

先日作ったソナチネを少しだけ改訂する。一度没頭して書いたものは、少しだけ時をおいて見直すのがとても良い。あまり時間が経ちすぎると今度は忘れているから、ミスを発見するよりも別の曲にしたくなってしまい、大改造が始まってしまう。だから私は旧作にほとんど手をつけない。
ソナチネの改訂はホンの少しだけで終わったけれど、気になっている部分をちょっとだけ直しただけなのに、全体がフッと息を吹き返したように生き生きしてくるから不思議だ。

ところで、こんな名盤について今更書くことはないと思いつつも、今朝はなんとなくこれを聞いてしまい、書かずにはいられない心境となってしまった。私の不動の「無人島へ持っていく…」の一枚である。
聖ピエール=オーリアン教会は行ったことがないが、スイスでは珍しいカトリックの州であるフリブールに生まれたミシェル・コルボのこの不滅の名盤は、あらゆる意味で一期一会の奇跡のような一瞬をとらえたものだった。
ベルン交響楽団は当時はシャルル・デュトワがフランス物を担当し、頻繁にギュンター・ヴァントなどが振っていた。アンサンブルもこの時代が最も良かったのではないかと想像している。(それほど録音が多くないので、想像するしかないのが残念だ!!)
スイスの名バリトンで、録音も多いフッテンロッハーの歌は素晴らしい。特に「リベラ・メ」の歌は曲の核心に迫る名唱だと思う。また少年合唱を使ったことも、そしてそのレベルが大変高いことによって、この名演の価値が更に高められている。そして今はどうしているのかは知らないけれど、ボーイ・ソプラノのクレマン少年!!彼が歌った「ピエ・イエズ」は不滅だ!!はじめて聞いた時(確かこれはLPではB面のあたまだった)、涙が止まらなかった。
「サンクトゥス」だって「アニュス・デイ」だって、そして最後の「イン・パラディスム」だって美しい。でも、彼が歌った「ピエ・イエズ」はあり得ないほど無垢で美しい。おかげでエリー・アメリンクをはじめこの曲の素晴らしい多くの名唱が全部吹っ飛んでしまった。結局、誰の演奏を聞いても満足できないのは、そこにクレマン少年がいないからなのだ。
ミシェル・コルボの甥だったか、弟だったか忘れたけれど、フィリップ・コルボのオルガンにのせて歌うクレマン少年の歌を、聞いたことがない人はぜひ一度!!
これわまとめあげたミシェル・コルボは素晴らしい。けれど、彼もこの後、このレクイエムのイメージがつきまとうこととなり、それが煩わしいものとなっていったのではないかと心配する。
こんな演奏は、彼にも二度とできるものではなかった。再録音はあるが、あれはすべきではなかったと私は思う。ちなみに、公式には発言したことはなかったが、彼の再録音はどれも私の気に入らなかった…。モンテヴェルディもモーツァルトも、そしてフォーレも…。彼は逆だろうが…、難しいものだ。

しかし、フォーレのレクイエムというのは不思議な曲だ。名前の売れた大演奏家とメジャーなオケでやると大体つまらない演奏となる。この曲に最も向いていたはずのジャン・フルネの録音を私は4種類持っているが、何故かどれも良くない。最初のものはデュリュフレがオルガンを弾き、カミーユ・モラーヌが歌うという豪華版だったのに、合唱が駄目。あれはオケもいかにも気乗りがしていない雰囲気で、たった二日でさっさと終わった感じである。いや、早い遅いではないのだけれど、フルネはきっと不満だったのではないか。
で、以後の録音(ちょっと記憶にたよるしかない状況なので頼りないけれど…)も、ライブを含め、全部今ひとつとなっているのは実に残念だ。
世評の高いアンドレ・クリュイタンスのものも、二度目のものなどは、ソリストが豪華版で良い演奏だと思うが、この曲にどこかマッチしていないというか、違和感がある。その点、先日聞いたフレモー盤は少し問題もあるが、とても良い雰囲気で、最後まで聞かせる力をもっていた。
昔、ちょっとだけ仕事を一緒にしたベルナール・トマがFORLANEにミシェル・ピクマルなどと録音したものは、あまり上手い人がいなかったけれど、なかなかに聞かせるものがあった。特に合唱がよかった印象が残っている。でもこれなんてもう手に入らないだろうなぁ…。

写真はミシェル・コルボの生地フリブールのサン・ニコラ大聖堂の中でのスナップ。これはちょっとぶれてしまったのだけれど、当時六歳だった(今はもう成人しているが)私の娘がなんだか天使のように写っていて、大好きな一枚…(親ばかです、ごめんなさい!)
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by Schweizer_Musik | 2010-02-27 08:30 | CD試聴記
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