ナットのピアノ協奏曲
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作曲者 : NAT, Yves 1890-1956 仏
曲名  : ピアノ協奏曲 (1954)
演奏者 : イヴ・ナット(pf), ピエール・デルヴォー指揮 フランス国立放送管弦楽団
CD番号 : EMI/347826 2

イヴ・ナットのピアノ協奏曲の自作自演は、彼の作曲家としての仕事を知るために素晴らしい遺産だ。
造形美もだけれど、新古典主義的な響きはどこもアイデアに満ち、彼は他にどんな曲を書いたのだろうと、聞けないもどかしさと、わずかにこれだけでも残ったことへの感謝を表明するしかなさそうだ。
音は1954年11月4日のライブだけに、期待は出来ないけれど、鑑賞には差し支えない程度のものである。ライブ故の雑音は意外と少ない。シャンゼリゼ劇場での初演の模様のようだが、もう少し分離の良い音だったら…と思わなくもないが、やはりかけがえのない録音に違いない。
トッカータ風のパッセージの見事さはやはり特筆すべきだろう。更に、第2楽章のペーソスにあふれた表現は、彼がいかにメロディー・メーカーであったかを証明している。
デルヴォー指揮のフランス国立放送管弦楽団の演奏は全く申し分の無いもので、終演後の大きな拍手も当然と思う。
それにしても、彼のベートーヴェンのソナタをはじめ、シューマンやブラームスの録音など、モノラルというだけで忘れ去るにはあまりにもったいないことだ。

by Schweizer_Musik | 2023-05-30 20:00 | CD試聴記
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