ポリーニとアバド/VPOのブラームスのピアノ協奏曲第2番に思う
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作曲者 : BRAHMS, Johannes 1833-1897 独
曲名  : ブラームス/ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.83 (1878-81)
演奏者 : マウリツィオ・ポリーニ(pf), クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : Grammophom/UCCG-9500

亡くなった友人のヴァイオリニストと話したことを思い出した。彼は長年コンマスとしても仕事をしてきたから言えた言葉かも知れないけれど、偉くなる指揮者って、いつも同じテンポなのだと言っていたっけ。色々な人がいるから、これが偉くなる指揮者の条件とか言うのでは決してないけれど、ポリーニとアバドの弾くブラームスの2番を聞いていてそのことを思い出した。
この録音は1976年5月の録音なのだけれど、この二人、オケをベルリン・フィルに変えて、ほぼ20年後の1995年12月に行った再録音がある。そしてこの2つの録音の演奏時間がほとんど変わらないのだ。聞いた感じもほとんど同じ。この変わらなさと、友人の言葉とどこかオーバーラップして思えてくる。
オケはウィーン・フィルとベルリン・フィルで多少のテイストの違いはある。奏者が違うのだから当然だけれど、テイストは全く同じ。二人のこの曲への解釈がこの50年前の録音の時点で完成していたということもあるだろうけれど、思いつき、場当たり的な演奏ではない、確固たるものがこの演奏にはあるように思える。
考えに考え、推敲に推敲を重ねて行ったブラームスに相応しい演奏だと思う。
二人ともイタリア人だから歌心がどうのという国籍に起因する思い込みに支えられた評が、これほど相応しくない演奏も珍しいと思う。ブラームスがこの演奏を聞いたらニコニコと満足するに違いないと、私は思う。

by Schweizer_Musik | 2023-04-17 04:59 | CD試聴記
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