すくなくとも、最近読んできたような、社会科学の本よりは天声人語やカストリ雑誌のルポのような俗っぽい内容に感じました。
私個人が文化政策論を振りかざす層を生理的に好かないというのは、もちろん多いに読後感に悪影響を及ぼしているとは思いますが……。
アームズ・レングス(Arm's length)原則
もとは金融用語で、「資本ないし利益関係にある当事者同士の取引は、第三者間で行われるそれと逸脱したものであってはならない」という約束事を示した言葉です。
例えば、大銀行が関連子会社に不合理な取引を強いて節税を行うというような行為を防止するというような事です。
それがどういう訳か、第二次大戦後のイギリス政府と美術館の関係性の説明に援用というか盗用というか……をされた模様。
乱暴に解釈すれば、「政府機関は文化振興予算を出したら、展示に口出しをしてくるな」という意味で使っているようですが……。
そりゃ介入は良くないでしょうが、展示内容の後出しだの無駄に対立をあおったタイトル付けだの露悪的なアプローチは通常の商取引ならアウトなのでは……?
不祥事を起こした芸能人がCMやら映画やらから干されるのと同様、それが不利益になるのであれば資金が引き上げられるというのは全く不合理ではないように感じます。
それにしても……嫌っている層から活動資金を恵んでもらわないと存在自体を維持できない現状について、実際のトコロどう考えているのでしょうかね。