社会保険庁化する京都議定書

北海道洞爺湖サミット:カーボンオフセットでCO2排出分を「相殺」(毎日) 外務省のサミット準備事務局は「カーボンオフセットする場合は、世界に恥ずかしくない手法をとりたい」と話している。 わざわざ「世界に恥ずかしくない」と恥ずかしい話しているのだから、一応やましいことしているという自覚はあるようだ。
カーボンオフセットの元ネタはCarbon offsetとかCarbon Offsettingあたり。
寄付して相殺というのはもう京都議定書詐欺事件が露になったということで確定。相殺というのは差し引き勘定で、寄付は相殺じゃない。
こうなると、何でも通る。現在、8%超過している排出量も、そのうち第三世界への無償援助もカーボンオフセット扱いされてめでたく京都議定書の約束通り2013年までに1990年比6%減の二酸化炭素排出は達成されることだろう。まことにおめでたいことだ。
環境対策のために寄付しようが、排出権を買おうが、累積赤字である大気中の二酸化炭素濃度が減るわけない。いや、むしろ地球温暖化は加速するだろう。
大体、政府の言う環境対策というのは環境対策技術とほとんど同義で、要するに付加価値を生み出す技術開発費だ。現実に付加価値の高い物を作れば作るほどそのために付加エネルギーが消費される。効率を良くすれば良くするほど見た目は省エネでも、見えないところで余計なエネルギーが消費される。
全世界が高度な省エネ技術に基づいた高級な製品ばかりを使うようになった一体どれだけのエネルギーを消費することになるんだろうか?
何よりも寄付=補助金だから、環境関連産業には打ち出の小槌になるだろう。
排出権とは、新興国が先進国並みに二酸化炭素を排出しても良いという前提なくして成り立たないので全世界が先進国並みに二酸化炭素を排出するまでOKという制度だ。喜ぶのは市場のトレーダーくらいなものだろう。
こういう誤魔化しの制度なら日本にエキスパート集団がいる。社会保険庁解体に反対する同庁職員をこの際、人材活用でスカウトすれば良い。彼らはプロの目でどうすれば帳尻合わせで排出隠しできるかを巧みにやってのけるだろう。クールビズも排出削減、打ち水キャンペーン費も排出削減、環境広告キャンペーンも排出削減、森林オーナー制度の赤字分も寄付と見なし排出削減、とまあ、気が付いたら10%くらい削減できました、「世界に恥ずかしくない」成果が達成されていることだろう。
大体、元環境相の小池百合子防衛相が「ハイブリッド戦闘機」だの「燃料電池戦車」と平気で言う国だ。本当に作って「排出削減扱い」されてしまうのもあながち絵空事じゃなさげだから怖い。
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