北森瓦版 - Northwood Blog (Author : 北森八雲. Since July 10, 2006.)
AMD Unveils Ryzen 9000 CPUs For Desktop, Zen 5 Takes Center Stage at Computex 2024(AnandTech)
AMD Zen 5 Storms into Gaming Desktops with Ryzen 9000 "Granite Ridge" Processors(TechPowerUp)
AMD announces Zen 5 Ryzen 9000 processors launch in July — 16% IPC improvement for four new Ryzen 9, 7, and 5 'Granite Ridge' processors(Tom's Hardware)
「Ryzen 9 9950X」などZen 5採用の最新世代CPU「Ryzen 9000」シリーズ発表(hermitage akihabara)
AMD、Zen 5採用で16%性能向上の「Ryzen 9000」(Impres PC Watch)
AMD、Zen 5コアを搭載するRyzen 9000シリーズやRyzen AI 300シリーズを発表 (マイナビニュース)
AMD Ryzen 9000 Series Desktop Processors Deliver World Class Gaming and Creator Performance(AMD)

AMDは6月3日、Ryzen 9000 seriesを発表した。Ryzen 9000 seriesはSocketAM5パッケージを採用し、既存のすべてのSocketAM5マザーボードにBIOS updateで対応できる。Ryzen 9000 seriesは新しい“Zen 5”マイクロアーキテクチャを採用する。CPU complex dies (CCDs) は4nmプロセスで製造され、I/O dieは6nmプロセスである。
 
マイクロアーキテクチャの詳細には触れられなかったが、Ryzen 9000 seriesのIPCについては“Zen 4”から平均で16%増と説明され、対抗製品である第14世代Core processor―“Raptor Lake Refresh”への優位性が見せられた。

ラインナップは以下の通りである。
 
Ryzen 9000 series CPU(4nm / Granite Ridge / SocketAM5)
MNコア数
スレッド数
定格周波数
Boost時周波数
キャッシュTDP対応メモリ
Ryzen 9
9950X
16-core
32-thread
4.30GHz
Boost 5.70GHz
L2=1MB x16
L3=64MB
170W2ch DDR5
-5600?
'24/6/3
$***
Ryzen 9
9900X
12-core
24-thread
4.40GHz
Boost 5.60GHz
L2=1MB x12
L3=64MB
120W2ch DDR5
-5600?
'24/6/3
$***
Ryzen 7
9700X
8-core
16-thread
3.80GHz
Boost 5.50GHz
L2=1MB x8
L3=32MB
65W2ch DDR5
-5600?
'24/6/3
$***
Ryzen 5
9600X
6-core
12-thread
3.90GHz
Boost 5.40GHz
L2=1MB x6
L3=32MB
65W2ch DDR5
-5600?
'24/6/3
$***


“Zen 5”世代となるRyzen 9000 seriesが発表された。最初に発表された製品は4製品で上から順にRyzen 9 9950X, Ryzen 9 9900X, Ryzen 7 9700X, Ryzen 5 9600Xである。コア数は16-core, 12-core, 8-core, 6-coreでほぼ前世代のラインナップを踏襲している。ダイの構成も前世代と似通っており4nmで製造される“Zen 5”のCCDが1~2ダイと6nmのIODで構成される。
Ryzen 9000 seriesとRyzen 7000 seriesのスペックを比較すると、Boost時周波数は同等か若干上昇、定格周波数は若干引き下げられている。TDPはRyzen 9 9950Xこそ170Wが維持されたが、それ以下のモデルは引き下げられRyzen 9 9900Xは120W、Ryzen 7 9700XとRyzen 5 9600Xは65Wとなった。

“Zen 5”のアーキテクチャに関しては詳しくは触れらなかったが、いくつかキーワードが提示された。

  • 分岐予測の正確性とレイテンシの改善
  • より広いパイプラインとベクタによる高いスループット
  • より高い並列性を実現するためのより深いウィンドウサイズ


そして最大2倍となる項目として以下が挙げられた。

  • フロントエンドの命令帯域
  • L2 to L1およびL1 to FPのデータ帯域
  • AIとAVX512スループットの向上によるAI性能


結果として“Zen 5”は“Zen 4”から平均で16%のIPC向上を成し遂げたとある。グラフで示されているが10~35%の性能向上が示されている。35%と高い工場を示しているのはGeekBench 5.3 AES XTS benchmarkで、AVX-512命令セット群に含まれるVAES512とVAES256拡張によるものと推定されており、AVX-512命令周りに何かしらの改良が施されたのではと推測されている。

このRyzen 9000 seriesと対になるチップセットとしてX870E/X870も発表された。X870E/X870はUSB4をサポートするチップセットで、PCI-Express 5.0にも対応する。X870EとX870の違いはチップセットが有するI/Oの数でX870EがPCI-Express 4.0を12本とPCI-Express 3.0を8本、X870がPCI-Express 4.0を8本とPCI-Express 3.0を4本有する。ただし、USB4チップを搭載するため、PCI-Express 4.0レーン4本分はそちらに使われる。事前の情報通りであればX870EがPromontory21をデイジーチェーンで2つつないだ構成、X870がPromontory21 1基の構成となるだろう。

ここで、搭載されていれば確実に発表されたはずだが、発表されなかったものがある。それはNPUである。別項のRyzen AI 300 seriesは50 TOPSの処理能力を有するNPUを搭載し、Copilot+への対応がうたわれたが、Ryzen 9000 seriesに関してはNPU絡みの発表はない。NPUを搭載していれば大々的に発表されるどころか、ブランド名がRyzen AI 9000になる可能性まであっただろう。明言はされていないが、Ryzen 9000 seriesにはNPUは搭載されていないと推定される。NPUを搭載するならIODになるだろうが、おそらくこのIODはRyzen 7000 series―“Raphael”と同じものだ。Ryzen 9000 seriesのI/OもRyzen 7000 seriesに準じており、2ch DDR5に対応、24本のPCI-Express 5.0レーン(+別にチップセット接続用のPCI-Express 4レーン)を搭載する。また内蔵GPUも前世代同様でRDNA 2世代のGPUを2 CU搭載する。

Ryzen 9000 seriesに関してはおそらくdGPUでCopilot+へ対応させるよう動くのだろう。NVIDIAはGeForceでCopilot+の要件を満たせるよう動いているようで、AMDにもRadeonでCopilot+の要件を満たせるような働きかけを行うことが期待されるだろう。

Ryzen 9000 seriesの解禁予定は来月7月が予定されており、リテール市場にもこの時に解禁される。
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コメント
この記事へのコメント
201159 
> 35%と高い工場を示しているのはGeekBench 5.3 AES XTS benchmarkで、AVX-512命令セット群に含まれるVAES512とVAES256拡張によるものと指定されており

(「指定されており」は「推定されており」かな?)
Windowsの次期バージョンではHomeでもBitLockerが有効になるらしいからその対応ですかね?
それもいいけどDesktop向けCPU(非APU)にもNPU載せてくれないかな
2024/06/04(Tue) 00:13 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201162 
9700Xがマジで65Wか、人気商品になりそうだ
IPCだけでなく、ワッパの向上も良い感じではなかろうか

NPUに関しては、GeForceが高価格化してる現状、早期にCopilot+要件を満たす低価格Radeonの投入が出来れば商機は有ると思うのだが

Ryzen 8000G規模のGPUを低価格で投入出来ないものか
2024/06/04(Tue) 06:23 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201165 
RDNA3をあと何回繰り返すのでしょうか?
いい加減なにかリークとAMDを化学反応させるとおかしな事になっていると言う事に気付くべきです。50%リークwから-36も下回っていますが、これはARLにシングルもワッパも競合できません
そしてネーミングに関して、AMDはComputexの間近までRyzen AI 100として発表する様でしたが直前に変えたことも本当なようです。
2024/06/04(Tue) 07:34 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201167 
>Ryzen 9000 seriesにはNPUは搭載されていないと推定される。
軽量NPUの出番は、あと数年は無さそうだしなあ・・・
ちょっとまともなことをやろうとすると、すぐ中量級・重量級が必要になっちゃうし。
2024/06/04(Tue) 07:50 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201168 
IODせめてRDNA3に変えてくれたらいいのに
2024/06/04(Tue) 08:10 | URL | LGA774 #mQop/nM.[ 編集]
201169 
Phoenixは1か月遅れたから、本当に出るのか分からないけど、結局最近のリーク通り早めに出ることになったのか

Zen5気になるけど、WindowsのRecallがどういうことができるのかも気になるから、NPU載ったのが欲しいな
2024/06/04(Tue) 08:56 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201174 
MicrosoftはNPUがPlutonで守られていない限りCopilot+ PCとは認めないんじゃないかと思います
AIはルールベースで縛れないので処理能力としては十分であっても外部のGPUにOSの中核機能を任せるわけにはいかないのだと思います
2024/06/04(Tue) 10:00 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201178 
Lunar LakeはN3Bみたいですね
同プロセス・同時期対決が見てみたかった
2024/06/04(Tue) 18:49 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201180 
Intelがやらかしてしまったので、9600X・9700Xが今後のトレンドになりそうですね
2024/06/04(Tue) 22:23 | URL | LGA774 #8hqL4htE[ 編集]
201182 
R23で+17%ってことはスコア的にはSTで2400~2500、MTで45000前後か
Unlimitedの14900KS(410W)と同等か少し高い程度のスコアを230W以下で実現しているあたりワッパの高さが伺えるな

懸念点はTDPが下がった分ベースクロックも低下しているので(65WのRyzen 5/7は特に)、マルチターボも低下してそうな点ぐらいかな
2024/06/04(Tue) 23:39 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201184 
性能約20%向上は朗報!下駄履かせずにですよね?
後は円の価値も向上でお願いします(;^ω^)
2024/06/05(Wed) 00:11 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201222 
2018 年から開発されたアーキテクチャの割には…
2024/06/05(Wed) 13:33 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201223 
>201174
IODに内包されているGPUにNPU的な動きをさせることはできないんかね?
…って将来的にはやりそうだな
2024/06/05(Wed) 14:00 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201321 
ウインドウズ10を強制的に使えなくさせるのは辞めてほしいわ。
これにするにもウインドウズ11にしないとな
2024/06/08(Sat) 19:43 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201345 
50~100TOPSくらいのNPUにおまけのGPUみたいなのを出すならこの構成でもいいのかな?
ただそれが出るとIntel含めて買い替えの需要は一気になくなる可能性があるのか
2024/06/11(Tue) 09:38 | URL | LGA774 #-[ 編集]
201402 
散々噂されてたIPC+40%は結局幻だったと…(GeekBench5はメモリとAVX-512の影響が強くてあまり参考にならない)
RGTによる飛ばしリークの歴史がまた1ページ
2024/06/13(Thu) 23:46 | URL | LGA774 #-[ 編集]
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