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ブラックホールの周囲をかこむ降着円盤を実験室で再現することに成功

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 イギリスの研究チームが、ブラックホールの特徴を人工的に再現することに成功したそうだ。

 ブラックホールを実験室で再現しようという試みは以前にもあったが、今回はブラックホールの周囲を公転しながら落下する物質によって形成される円盤状の構造「降着円盤」の再現だ。

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 『Physical Review Letters』(2023年5月12日付)に掲載されたこの研究では、降着円盤から噴出されるジェットまで観察されており、ブラックホールの秘密を解き明かすツールとしての利用が期待されている。

回転するプラズマリング、ブラックホールを囲む「降着円盤」

 「降着円盤」とは、ブラックホールに引き寄せられた物質が、ブラックホールに向かってゆっくりと渦を巻くことで作られる、高温で回転する円盤のような構造のことだ。

 インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、プラズマを利用した「MAGPIE(Mega Ampere Generator for Plasma Implosion Experiments)」という装置で、この降着円盤を再現した。

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photo by iStock

 「プラズマ」とは、固体・液体・気体に続く物質の第4の状態のこと。

 物質を熱すると、固体から液体、気体へと変わるが、さらに熱すると原子の電子やイオンが自由に動き回れるようになる。この不安定な状態の原子がプラズマだ。

 ごく身近なものなら蛍光灯がそうだし、炎や雷だってプラズマだ。

 今回の実験では、8つのプラズマ源をおもちゃの風車のように円形に配置し、中心から少しズラした位置を狙って放出した。

 すると、その中心にブラックホールをかこむ降着円盤のような、回転するプラズマのリングが作り出された。

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8つのプラズマビームによって作られた回転するプラズマのリング / image credit:Valenzuela-Villaseca

 実際のブラックホールからは強力なジェットが放出されているが、このプラズマリングからも同じようなジェットが確認されている。

ブラックホールの謎を解明する手がかりとなる可能性

 この実験では、プラズマ源が長持しないため、直径6mmほどのリングがわずか210ナノ秒(0.000000210秒)出現しただけだ。

 それでも衝突するプラズマは重力に似たものを作り出すので、ブラックホールのような超重力がない状態でも降着円盤を研究する実験ツールになるそうだ。

References:Plasma accretion disk around black holes recreated in a lab / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント、11件

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  1. 210ナノ秒とかよく観測できたな。
    画像撮影もしてるし技術の進歩ってすごいわーって素人ながら感心する。

  2. 重力に似たものってなんだろう?

    風で竜巻が起こるようなことが、プラズマで出来たって実験なのかな??
    はてながいっぱい

  3. ブラックホールが発生する危険があると、大型ハドロン衝突型加速器の実験中止を求めるデモが起きたけど
    今回は無かったのかしら?

    1. >>4
      例えあの実験でマイクロBHができたところで、投入した質量以上の重力は発生できないから
      瞬間で消えるか。何らかの奇跡が起きて消えなくても何かに影響を与えるレベルに成長するには数十だか数百億年かかると聞いたな

    2. >>4
      原理が全く違うからなぁ。これは四方八方からプラズマを吹き付けたら真ん中で回転したってだけだし。

  4. 衝突するプラズマは重力に似たものを作り出す
    聞いたこともないぞ。誤訳か?

  5. 素人の理解だと本来ブラックホールにガス雲とかが超重力でプラズマ化して回転しながら吸引されるという状況を逆に外部からプラズマを吹き付ける事で疑似的に再現しようとしたってことなんか?
    その結果ブラックホールで観測される降着円盤の様なものが再現されたという話であってブラックホールの様な超重力は作られてないってことか。

  6. これを私なりに理解すると、
    ブラックホールには時間あたりに吸い込める限界があって、その限界を超えた物質の渋滞が降着円盤や双極ジェットを作る。
    なら、ブラックホールを巨視的に見れば何も吸い込まない球体として近似できる。なんなら何にもなくていい。強い引力の代わりに八方からプラズマをちょっと角度を付けて流したら降着円盤と双極ジェットができた。って感じなのかな?

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