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1977年までアメリカの核発射コードは「00000000」!脆弱なセキュリティが明らかに

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 パスワードは同じものを使いまわさない方がいいとか、一定期間がたったら変更した方がいいとか、管理するのも大変だが、冷戦時代のアメリカの、あまりにもシンプル過ぎるパスワードが明らかとなった。

 そのパスワードは「00000000」。なんとこれが人類の未来を左右する核ミサイル発射のロック解除コードだったというのだから驚きだ。

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冷戦時代の認証コードはゼロ8つだったと当時の関係者が暴露

 これは銀行やWebサイトレベルの話ではなく、地球人類の存亡にもかかわるパスワードの話である。

 キューバ危機から続いた冷戦時代、西側・東側それぞれの盟主であるアメリカ合衆国とソビエト連邦は、お互い核兵器の開発にしのぎを削っていた。

 核こそが戦争を防止する抑止力であり、いつでも発射ボタンを押せるぞ!こっちは何基持っているぞ!と脅しながら睨み合っていたわけだ。

 さて、LGM-30ミニットマン、つまりいわゆる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射するためには、8桁のコードが必要だった。

 2004年、ICBM担当官だった元空軍発射責任者で核政策の専門家、後にNPOの「World Security Institute」を設立したブルース・G・ブレア博士は、驚くべき情報を明らかにした。

 なんと、核ミサイルを発射するために必要なパスコードは、冷戦時代の大半の期間、「00000000」というゼロが8個というものだったというのだ。

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現場の職員がこっそりゼロだけのパスコードにした?

 ブレア博士によると、1962年のキューバ危機以後、危機感を募らせたケネディ大統領によって、暗号の使用が命じられたが、それに反発する軍人も多かったようだ。

 ブレア博士は、論文の中でこう語っている。

(ICBMを実際に運用していた)オマハの戦略航空軍団(SAC)は、このセーフガードを回避するために、ロックをすべてゼロに設定することをひそかに決定した

 しかも超極秘であるはずのこの「ゼロだけ」のパスコードを、ミサイル格納庫に勤務する職員たちはほとんど知っていたという。

私がミニットマン発射担当官として勤務していた1970年代初期から中期にかけて、ロックはまだ変更されていなかった。

実際に、私たち発射クルーに与えられたミサイル発射チェックリストは、地下発射壕のロックパネルをダブルチェックし、誤って「ゼロ以外の数字」がパネルに入力されていないことを確認するよう指示していた

 この状況は、1977年に手順が変更されるまで、15年間にわたって続いたという。

 ブレア博士による暴露が事実なら、あの冷戦時代に世界の安全保障を握っていたのは、クモの糸のように細くて脆弱な、暗号ですらない数字だったことになる。

 だが米空軍はこれをきっぱり否定しており、ゼロが8個のコードが使用されたことは一度もないと述べている。ブレア博士も自身の主張を曲げておらず、真相は闇の中だ。

現在はロック解除にはより複雑な手続きが必要に

 現在では、アメリカの大統領が核攻撃を命じる際、「ビスケット」と呼ばれるカードに記された認証コード(ゴールドコード)と、「フットボール」と呼ばれる黒いブリーフケースの中身が必要だ。

 フットボールは、大統領に随行する軍人が常に携帯しているカバンのことだ。よく、あのカバンの中に核兵器の発射装置が入っていると言われるが、実際には何らかの通信装置はあるものの、発射ボタン自体はないらしい。

 この辺はゆっくりが解説してくれてる動画を見つけたので、興味のある人は見てみるといいんだぜ。

【核のボタン】アメリカ大統領の「核のフットボール」とは?

 また、ロシアにも同じようなシステムがあるようで、プーチン大統領の周囲を見ると、やはり黒いブリーフケースを携帯する軍人が随行している。

核のボタン?プーチン大統領の「黒いカバン」露出増えたその意図は?

 あちこちで紛争や戦争が起きている昨今の世界情勢において、この黒いカバンたちの出番は絶対にあってほしくないものだ。

 さすがに現在ではゼロが8個などという、笑っちゃいそうなくらい脆弱なパスコードはないと信じたいが、それにしても当時の担当者たちは、セキュリティとか機密とか安保とかをいったい何だと考えていたんだろうな。

References: Launch code for US nuclear arsenal was ‘00000000’ until 1977

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この記事へのコメント、13件

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  1. 結局のところ国家元首だ政府首脳だ軍の高級将校だって偉そうにしてるけどそこらにいるただの人間と大差なくて、
    そんな奴らが世界の趨勢を握っているっていうほんとバカバカしい世界

  2. キューバ危機の時代は、地理的に素早く反撃に出ないと反撃の機会すら無く撃ち込まれて無条件降伏になるからね

  3. 『なるほど、だから核で滅んだ平行世界があれほど多いのか』

    生き延びた我々はどう生きるか
    それを考える良いチャンスかもね

  4. そもそも当時はインターネットなんて無いからハッキングの恐れすらないしなぁ・・・
    発射コードを手紙でやり取りなんてこともしないし、ごく限られた数人だけが知ってただけだからコードを持ってる奴を突き止めるのはとんでもなく難易度高かっただろ

  5. 当時の情勢や技術レベルを思えばギリギリ理解できなくはないかも。
    公開されている米国の核ミサイル発射手順が真実で全てなら、認証コードといっても大統領の命令であると(一応の)保証をする程度の役割しかないみたいだし。
    結局、即応性が無ければ相互確証破壊は成り立たないんだから、割り切りの問題だったのでは。

  6. 12345678すら覚えられない戦略航空軍団長だったのか

  7. あの黒いブリーフケースが、数千年後の人類に「謎のミステリーバッグ」として語られるわけか

  8. 何人か同時に別々の場所で手動で鍵を使ってからコード入力しないとだからコード自体は適当でも良かったんじゃないの

  9. せめて大統領が変わったらパスワードを新しい大統領の
    誕生日に変えるくらいはしないとな!

  10. 使う気があったから即入力できるコードにしてたのでは?
    今は使うならもうかなりヤバい段階だから複雑でもいいんだと思う。

  11. 実際問題、有事に先制攻撃で司令部壊滅もしくは通信そのものが不能で本当に発射せざろう得ないときにコードが不明では使えないから緊急時に何らかの解除できる機能はある、もしくはそもそも認証コードがなかったとも以前から言われていたから、実際は「00000000」というのから枝葉の話になったのかな?

  12. ICBM発射サイトが全国に散らばっていてかなり多かったのであれば1箇所じゃないから管理するのがめんどくさくなったんじゃない。
    一度発射指令が出されたら秒を争う早さで発射しないと、こちらがやられてしまうのに「えー!エラーになったぞ!何番だよ、先週変更したか?」「いや変更はしてないはずだ、本部にパスコードが入らないと連絡を取ろう」とかやってたら上空でソ連側のが爆発する可能性だってあるわけだし、一軍で統一かつ再入力の必要がなく誰でも覚えやすい数字の組み合わせとなると。

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