モロッコの洞窟の中で、死んだ動物の皮や毛をきれいに剥ぐの為に使用されたと思われる道具が発見された。回収した皮は、衣服を作るのに使われたようだ。
見つかった特徴的な道具は、およそ12万年前のものと判明したため、衣服を作る行為が始まったのは、これまで考えられていたよりも遥か昔にさかのぼることになる。もしかしたら、歴史が塗り替えられることになるかもしれない。
考えられていたより古く、人類は衣服を作っていた
研究プロジェクトチームの論文著者で、ドイツ・マックス・プランク人類史科学研究所の人類学者、エミリー・ハレット博士はこう語る。
骨で作られたこれらの道具は、なめし革や毛皮にするために動物の生皮を剥ぎとるために使われたと思われる形状をしていて、使用痕もあります
さらに、このコントラヴァンディエル洞窟から出てきた肉食動物の骨には、人間が肉を得るために処理したのではなく、毛皮のために皮を剥いだことを示す、特徴的な切断跡が残されていました
古代に毛皮や革を加工していた初期のホモ・サピエンス(現生人類)は、この時点ではまだアフリカを出て、地球のあちこちに住みついていたわけではない。
次々に世界中に散らばっていく人類大移動以前から、初期の人間は驚くほど高度なことを行っていたようだ。
この研究によって、10万年ほど前からアフリカの考古学記録に現われ始めた、人間らしい特徴的な行動リストに、また新たな項目が加わることになったという。
モロッコ、コントラバンディエル洞窟の発掘中に、実際の衣服が見つかることは期待できない。10万年以上も前の革や毛皮の服が、現在まで朽ち果てずに残っているはずはないからだ。
しかし、衣服の痕跡についていたシラミのDNA分析から、このシラミは8万3000年から17万年前のどこかで、人間のアタマジラミから進化した可能性があることがわかった。
つまり、その起源は現生人類がまだアフリカだけで生活していた頃にさかのぼり、人類がかなり昔からずっと、衣類を作っていた証拠になる。
動物の骨から作られた道具
『iScience』誌(2021年9月16日付)に発表された詳細によると、ハレット博士ら研究チームは、モロッコの大西洋岸にあるコントラバンディエル洞窟から、数十年以上にわたって発掘された動物の骨を詳細に調べたという。
これらの骨は、紀元前12万年から9万年にさかのぼる地層の中から発見され、そばには当時、洞窟を使っていた人間の遺骨も見つかった。
回収された62個の動物の骨のいくつかは、明らかにさまざまな用途のために加工されているものがあり、中でもそのうちのひとつが研究者たちの目を引いた。
これは、ウシの肋骨を曲げて端をスパチュラのようなへら型にした頑丈なものだ。
「スパチュラのようなへらの形をしたものは、革や毛皮に加工する工程で、生皮に穴をあけたりせずに、くっついている内側の結合組織をこそげとるのに便利な道具だ」と書かれている。
道具として加工された跡がまったくない骨もいくつかあった。しかし、骨につけられたひっかき疵から、くっついていた皮や毛が丁寧に、しかも完璧に取り除かれていることがわかった。
このような痕跡がある骨は、古代のキツネ、ヤマネコ、ジャッカルなど、厚い毛皮をもつ動物のものと思われることも注目に値する。
ハレット博士らは、現代のウシとよく似た動物の骨にも、こうした加工疵のあるものがあることに気づいた。
しかし、この場合は切断疵や引っ掻き疵の特徴が違っていて、食用として骨から肉を取り除いたときにつくタイプの疵だったという。
もうひとつの興味深い発見は、クジラの歯だ。部分的に加工されていて、石を薄く削るために使われたものらしい。
やはり紀元前12万年から9万年頃のもので、考古学的発掘で見つかった海洋哺乳類の骨でできた道具としては最古のものだ。これまで、北アフリカではこのようなものはどの時代からも発見されていない。
ネアンデルタール人も衣服を作っていた可能性
ハレット博士は、服を作るメリットを発見したのは、ホモサピエンスだけではないと考えている。ヨーロッパのネアンデルタール人は、サピエンスがこの地にやってくる前、およそ4万年前には、動物の皮や毛皮から服を作っていたという。
この説を裏付ける証拠がある。フランス南西部のふたつの洞窟アブリ・ペイロニとペシュ・ド・ラゼで、リゾワールと呼ばれる皮をなめす特殊な道具が発見されている。
この洞窟には、かつてネアンデルタール人が住んでいたとされ、この道具はおよそ紀元前5万年頃に作られたものと思われる。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの考古学者、マット・ポープ博士は、古代人はすでに皮を細工してものを作り出す方法をマスターしていたに違いないと言う。
「これは単に服を身に着けるようになったことに留まりません。単純にに剥ぎ取った皮よりも、防水性があり、体にフィットし、動きやすい服だったのではないかと想像できます」
動物の革は洋服以外にも様々な用途に使用されていた
よく加工された革は、容器、風よけ、シェルターなど多くの有用なものとして使われたことだろう。
ヨーロッパのネアンデルタール人が、同じような高度な道具を使っていたことから、彼らもまた、さまざまな革製品を作ることに長けていたはずだと、ポープ博士は考えている。
ハレット博士は、アフリカで人間が住んでいた洞窟を調査しているほかの考古学者が、古代の服作りに関わる同じような証拠をほかにも見つけるかどうか、興味をもってみている。
こうした証拠があることが判明した今、なにを探せばいいのかがわかり、服作りのタイムラインを先史時代にまでさらにさかのぼらせるような発見があったとしても、頭から否定することはないだろう。
References:A worked bone assemblage from 120,000–90,000 year old deposits at Contrebandiers Cave, Atlantic Coast, Morocco: iScience / Moroccan Cave Find Shows Ancient Humans Made Clothes 120,000 Years Ago | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo
こういうニュースが知れ渡ると来春あたりモロッコファッションのリバイバルブームが来るで。
落ち葉だらけの水たまりに捨てた動物の生皮が
落ち葉のタンニンでなめされて、水たまりが干上がって
偶然頑丈な皮革になっているのを発見したのが
なめし皮の歴史の始まりって習ったけど
いまは別の説があるのかな。
※2
そうなんだ。
餓えたときに剥がした皮についた肉を舐めたり齧ったからだと想像してた。
いまでも皮を噛んでなめす習慣があるしね(なめす≒舐めるとか???)
脳みそでなめすやり方もあるから(Naなど電解質が多い)、これは脳みそを皮で包んで保存したり調理したからかな?
※7
なめしの発明はいつなんだろうと思ってました。
初期は、ごわごわというかカチカチの鎧みたいな毛皮を着てたんじゃないかと想像してます。
モフモフが気持ちいいのは昔の人類も同じだろうから、毛の部分を内側にした鎧みたいなのを着ている人がいたのかもとかね。
※18
>毛の部分を内側にした鎧みたいなのを着ている人がいたのかもとかね。
レスありがとうございます。
推測ですが、基本、撥水性重視で着たからですよ。
ウチの祖父は木こり・炭焼きで、腰に狸の毛皮を3枚巻いていたそうで、座ると濡れるからそれを防ぐためとか(地べたに座ることも多いため)。
皮から濡れるとどうしようもないでしょうから。
あと童話で「熊猟師が雪に閉じ込められて撃った熊の毛皮を着て悪夢にあい、翌日、敵視してた猟師に助けられて『毛皮を内側に…』」という話があったのですが、見つかりません。
オチにつながるのであらすじ全部は書きません。
(「なめとこ山の熊」しか見つからないですが、未読ならぜひ ttps://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1939_18755.html)
毛皮は種類に応じて靴や襟巻きなどなど細かく使い分けていたようです。
調べて見ると面白い話が一杯ありますよ。
犬とか猫とか外敵から守る為に狭い所入りたがるけど服着るってのが代替行為と考えるとかなり早い時期から服着てたと思う。
何処かのタイミングで人類の体毛は薄くなった訳だから
その頃に体毛の代わりになるモノが必要になって
毛皮を鞣す方法を編み出したのかな。
それとも毛皮を着ることで体毛が薄くなっていったのかもしれない
※4
祖先からずっとアフリカに住んでて
あまり着込む事無く、毛むくじゃらでもない
アフリカ人の存在を無視してる気がするw
※15
12万年前と今じゃ気候も全然違うけど
アフリカ、現代でも場所によっては冬はセーター必要になるくらいには冷えるぞ
骨の道具が出るならその前に木で作られた道具があったはず。
加工のしやすさからいって木製の道具が原型となり骨→石→自然金属→青銅→鉄となる流れだから。
もちろん木製品が残ることはまずないから、証拠は見つからない。
ただスキナー(皮剥ぎ)が今回の発見のもっともっと前からあったには違いない。
>もうひとつの興味深い発見は、クジラの歯だ。部分的に加工されていて、石を薄く削るために使われたものらしい。
これは黒曜石などに押し当て力を加えることで鋭利な欠片を得るのに使うものだから、この頃には毛皮と加工石器を使っていたことになる。
先に高緯度地方に進出したネアン叔父さんが使っていた服の作り方を、我々ホモは教わったのかもしれない。
もし未来にタイムマシンが出来たとしても、記録の残された現代より、この石器時代、ネアンとホモの出会い、あるいは恐竜やアロマノカリスを見に行くほうが楽しいだろうな。
※5
ネアンデルタール人もホモだよ
※5
※8
ありがとう。
じゃあホモからホモ・サピエンス(現生人類)に訂正します。
縄文人みたいにおしゃれしたりお酒作ったりしてたのかもね
まだ見つかってないだけで
>>衣服の痕跡についていたシラミのDNA分析から、このシラミは8万3000年から17万年前のどこかで
衣服既にないけど、シラミ居たのか
「服を着る」って大きな分岐点だよな
防御、羞恥、文化、他の生物との違いが明確に表れ始めた兆しって感じする
本当冷静に陸上哺乳類見てみると、毛がこんなに無いなんて奇形でしかないんだよな、、、なんでそうなったのかは本当に不思議
>>13
ゾウやサイにも無いぞ。
暑い地方で超大型だと体温上がり過ぎるからっぽい。キリンは首が細長い分表面積が増えるから大丈夫なのかな?
人間はそれらより小さいけど哺乳類の中では結構大きい方だし、森から草原に進出したから元の環境より暑くなった・長時間移動するために効率良く放熱する必要が生じたらしい。
>衣服の痕跡についていたシラミのDNA分析から、このシラミは8万3000年から17万年前のどこかで、人間のアタマジラミから進化した可能性があることがわかった。
つまりアタマジラミと(コロモ)ジラミとの分岐から、さらに衣服の使用はさかのぼれると書かれているけど、こんなのも↓
『アタマとコロモは色も形も違い、かつては別種とされていたが、アタマを毛布にたからせて飼うと、やがてコロモに変わることがわかり、今日では同種の別系統として扱われている。』
というネット記事をあるので、この年代はあてになるのかな?
何なん?このスレ画w
ホモサピエンス、ホモサピエンス以外の動物基本的にナメててじわる
犬猫に感情ないと思ってるし、ネアンデルタール人もは服も作れないと思ってる