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2024年をワクワクさせた10の水中発見ニュース!古代遺跡から新種生物まで

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 地球の約70%を占める海は、まだまだ多くの謎が残る神秘の領域だ。それを証明するように、2024年も水中でいくつもの大発見がなされた。

 第二次世界大戦からずっと行方不明になっていた軍艦、人類が見たこともない奇妙な生物たち、さらには生命の起源についての仮説すら塗り替えかねない暗黒酸素など、特に注目すべき10の発見をおさらいしよう!

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1. 日本沿岸で紅葉のように色鮮やかなヒトデの新種を発見

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ホウエイミヤビモミジヒトデは、砂や泥の多い水域での生活に適応しているようだ/Credit: © I. Kobayashi

 世界ではおよそ2,000種のヒトデが知られている。

 相模湾より南で、伊豆半島と伊豆大島と房総半島に囲まれた海域「相模灘」で発見された「ホウエイミヤビモミジヒトデ(Paragonaster hoeimaruae)」が素晴らしいのは、日本のモミジヒトデ科の新種としては51年ぶりとなる発見であることだ。

 なおその学名は、この新種を採取した漁船「宝栄丸(ほうえいまる)」にちなんだものだ。

2. 水中ドローンが太平洋の幽霊船を発見

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1000mの海底に沈む米海軍の駆逐艦「スチュワート」 Credit: Ocean Infinity

 水中ドローンによって、太平洋の海底で78年間行方不明となっていた、米海軍の駆逐艦「スチュワート」が発見された。

 この軍艦は第二次世界大戦中、日本海軍に鹵獲(ろかく:敵の武器を押収すること)されたもので、遠くにかすむ姿を連合軍兵士が目撃したことから「幽霊船」と呼ばれるようになった。

 最終的には米海軍に返還され沈められたが、その正確な位置はこれまで忘れ去られていた。ついに明らかになった幽霊船の墓場は、カリフォルニア沿岸にあるコーデルバンク国立海洋保護区近海だという。

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この難破船は現在、カニや魚などの深海生物の住処となっている Credit: Ocean Infinity

3. 不機嫌なドワーフハゼと名付けられた新種の魚

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紅海の固有種であり、サンゴ礁の小さな穴や隙間で暮らしている/Viktor Nunes Peinemann

 赤が眩しいこの魚は、への字に結んだ口のせいで、なんだかとっても不機嫌そうだ。おかげで「グランピー・ドワーフゴビー(不機嫌なドワーフハゼ)」なんて呼ばれるようになった。

 学名「Sueviota aethon」は、2.5cmほどの小さな魚だが、立派な歯があり、じつは無脊椎動物を狙う捕食動物である。

4. 81年間行方不明だった第二次世界大戦の潜水艦を発見

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1943年、64人の乗組員とともに沈んだHMSトルーパーの姿/Credit: YouTube / Planet Blue

 第二次世界大戦期の1943年10月、英海軍の潜水艦「HMSトルーパー」は、64人の乗組員を乗せてベイルートから出港し、そのまま帰還することはなかった。

ソナーと水中ドローンによる調査によると、どうやらドイツの機雷によって海中に没したようだ。

 現在はギリシャ、イーカリアー海水深253mの海底に、3つに割れた姿で眠っている。

5. シロナガスクジラよりも長い世界最大のサンゴを発見

 世界最大の動物はシロナガスクジラだが、群体も含めるならソロモン諸島で発見された「コモンシコロサンゴ(Pavona clavus)」が最大だ。

 この単一の群体サンゴは、幅33.8m、長さ31.7m、高さ5.5mと巨大なもので、過去300年にわたって南西太平洋に形成された。

一周するのに183mも泳がねばならない巨体は、300年間にわたる成長の賜物で、なんと宇宙からも見えるという。

6. 銀色のキメラ、ゴーストシャークの新種を発見

 アズマギンザメの一種であるこの魚は、その名に反して、正確にはサメではなく、その近縁で通称「銀色のキメラ」なんかかっこいいぞ。

 ニュージーランドで発見された新種「Harriotta avia」は、異様に細長い口がチャームポイントで、大きな目と長く広い胸ビレ、美しいチョコレートブラウン色といった特徴がある。

 普段はニュージーランド近海、水深2546mの深海で暮らしているので、普通の人が出会うことはまずないだろう。

7. 海底の「暗黒酸素」の存在が確認される

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6000mの深海底をおおう岩石のようなものは、暗闇の中に酸素を供給している/Credit: Wikipedia Commons

 酸素に乏しい深海で生物たちはどうやって生きているのか?

  今年、太平洋北部の深海底で発見された「多金属団塊(マンガン団塊)」がその謎を解く鍵かもしれない。

 海底をおおうこの岩の塊は、日光がほとんど届かない暗闇の中で天然の電池として機能し、微量の酸素を作り出している。

 この発見は深海生物がこの暗黒酸素(ダーク・オキシジェン)に支えられている可能性を告げるとともに、地球上最初の生物がこれまでありえないとされてきた場所で誕生した可能性をも示唆している。

8. 日本近海で毒々しい新種クラゲを発見

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神秘的で美しい姿だが、その触手はその触手は「毒の武器庫」と呼ばれるほど危険なものだ/ Dhugal John Lindsay/JAMSTEC

 メトロイドを思わせる「セキジュウジクラゲ(Santjordia pagesi)」は、太平洋の水深700mの深海で、触手を使って狩りをしながら生きている。

 その触手は「毒の武器庫」と呼ばれるほど危険なものと考えられるが、仔細が判明するまでにはしばらく時間がかかるだろう。

 東京から480km南にある小笠原諸島、須美寿カルデラにしか生息していないため、そう滅多なことではお目にかかれないのだ。

9. アンコウの釣竿を制御する神経メカニズムが判明

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Photo by:iStock

 アンコウは頭から生えたルアー付きの釣竿でエサをおびきよせるユニークな魚だ。

 今年、海洋生物学者はトレーサー分析という方法でこの魚を調べ、その釣竿を動かす運動ニューロンを特定した。

 アンコウの運動ニューロンは、この魚が進化する過程でだんだんと移動したようなのだが、その進化的な影響は陸上を歩く脊椎動物にも及んでいるという。

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 Credit: Journal of Comparative Neurology

10. チリ近海で100種を超える新種を発見

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こちらのフサアンコウは、異世界のクリーチャーのようだが、地球上の生物だ/ Schmidt Ocean Institute

 チリ近海で2800kmに及ぶサラス・イ・ゴメス海嶺は、まるで異世界から来たような生物たちが暮らしている。

 水中ドローンによる調査では、100種以上の未確認種が発見された

 甲殻類・軟体動物・魚類・海洋哺乳類などいずれも新種だろうと期待されており、ムチイカのようなきわめて珍しい動物も目撃された。

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image credit:Schmidt Ocean Institute

References: Ghost ships to ghost sharks: 10 wildest underwater discoveries of 2024 | Popular Science

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この記事へのコメント、6件

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    1. 検索したらここのサイトの「まるで海のミルキーウェイ、世界最大級の深海生物「クダクラゲ」の鮮明映像」がヒットしたからクダクラゲだと思う

  1. 謎と不思議の大冒険!世界はまだまだ分からない事がたっぷりなんだ!

  2. 海洋棲息生物は地上生物より遥かに多いらしい。
    護っていかないといけないね。

  3. 9.はアンコウ目だけど、カエルアンコウ(Striated Frogfish、旧イザリウオ)の一種ですね。

    1. 9.、10.と2連続で画像がカエルアンコウで、しかもどっちもモフモフっ子という珍事w

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