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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

ひと月遅れのジングルベル。

2024年01月31日
エッセイ 15
クリスマス01

クリスマス04

クリスマス03

クリスマス05


 クリスマスイベントが日本に広まり定着する切っ掛けを作ったのは銀座の明治座と言われている。クリスマス商戦を何処よりもいち早く展開し、庶民向けの豊富な商品の販売は人気も上々で大成功を収め、日本に於けるクリスマスの礎となった。 
 クリスマスと言えば欠かせない物がプレゼントである。サンタクロースに願い事をし、贈り物を心待ちしていた幼い記憶を誰もが皆持っていた。そんな無垢な心からやがて月日が経ちその正体を知る事となる。そして今度は自分が親になりサンタを演じている。
 サンタクロースの真実を知るのは平均で7歳だと言われているが、私は今でもその存在を信じている。人類がこの地上に生まれ進化し栄光と繁栄を繰り返して来たが、その影には醜い権力の争いが常に付きまとって来た。それでもサンタクロースは年に一度訪れるのである。サンタは神の化身、諍いの絶えない人間に心を痛めた神は、サンタクロースに姿を変えて子どもや大人に一つのプレゼントを置いて行く。
 それは愛である。愛情の篭ったプレゼントほど嬉しいものはない。愛とは受け取るものではなく、与えるものだと教えてくれている。頂いた愛は人から人へと受け継がれていくもの。貴方は生まれながらにしてこの世に生を受けた時、既に母胎の中で愛を感じとっているのだ。
 そして私にはどうしても忘れる事の出来ないクリスマスに纏わる思い出がある。それは私が小学生だった頃の事。貧困は、時に子どもの心を傷つける。わたしはそれを子ども時代にうんざりするほど味わって来た。空腹に耐えきれず石ころの下の蟻の巣を見つけると大量の蟻を両手で救い口に頬張ったりもした。赤蟻は蜜を持っているのでそれが飴の様に甘かった事を覚えている。
 その日はクリスマス・イヴだったと思う。時計が午後�10時を回った頃、泥酔しきった父が真っ赤な顔をして帰宅し「とし坊、土産だ」と言って私の前に差し出した小さな白い箱の中身は、酒臭いイチゴのショートケーキだった。しかも何処かで箱を落としたのか、半分グチャグチャに潰れかけていた。それでも私はそれが嬉しくてたまらず、涙をポロポロ零しながらそのケーキの甘さを味わった。42年の短い人生の中で父からの贈り物はその小さな崩れかけのケーキのみだったが、酒と自分が流した涙のしょっぱさが入り混じったケーキの味を今でも忘れていない。
 酒を一杯引っ掛けて酔わないと自分の息子の為にさえまともな贈り物も出来ないほど、恥ずかしがり屋だったのだろう。酔えば必ず暴言と暴力で私を傷つけて来たが、私自身は一度も父を嫌った事はなかった。父よりもむしろ父を狂わす『酒』に恨みを抱いていた。この世から酒が無くなって欲しいと何度も神様に手を合わせていた。
 クリスマスは平和の象徴でもあり皆が楽しめるイベントでもある。が、しかしその隣では
明日の糧を求めて餓え続け、サンタクロースの来ない子どもたちが大勢いる事も忘れないでいて欲しい。今、あなたがもし幸せだと思ったら、それは「当たり前」ではないことなのだと認識して欲しい。
※写真は東京ソラマチイルミネーション
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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

コメント15件

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山田

こんにちは

まさに同感です
大変苦労されてきましたね、良く分かります
昔は苦労された方が今と違って多いですね
しかし今も虐待で亡くなる子供がおおいのも事実ですね
私が小説で書いた子供たちも悲劇でしたが
皆が幸せになれる世の中になってほしいです

2024年01月31日 (水) 15:22

桜子

こんばんは

とても可愛くて綺麗な写真ですね

辛い思い出はいつかきっと
笑顔で思い出すことが出来ますように
「幸せな時間」としてだけ思い出せますように
上手く言えないけど ごめんなさい

2024年01月31日 (水) 18:26

apricot・a

夢のようなお写真ですが、
俊樹さんの悲しい思い出に心が痛みます。

深い文章に、ステキなお写真が少し違ったものに見えました。

2024年02月01日 (木) 16:12

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2024年02月01日 (木) 17:50

ネリム

こんばんわ
綺麗で可愛い写真だなと思いました。

2024年02月01日 (木) 21:28

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2024年02月03日 (土) 18:23

雪野繭

イルミネーションのお写真、とても綺麗いです。
寒い中、とてもご苦労様でした。
俊樹さんはクリスマスに特別の思い出があるのですね。
私も母には思い出があります。
甘党の人なので、24日のイブの前日ということから、
23日からケーキを食べていました。
そして本番の24日、消化試合の25日も。
とにかくケーキの大好きな人だったので、
中性脂肪が300くらいはありました。
晩年は少し自粛して、24日だけに減らしてもらいました。
私は甘党ではないので、クリスマスの思い出は、
あまりありません。

2024年02月03日 (土) 19:36

sado jo

空腹に耐えかねて蟻を食べた話は悲惨の一言に尽きます。
自分が育った地方では、その日暮らしの日雇い労務者を「二五四(にこよん)」と呼びました。
おやつも買ってもらえないそんな家の貧しい子供が、木の幹を剥いで中に産み付けられた幼虫(芋虫)を食べてました。
21世紀の今日になっても貧困家庭はなくならず…それどころか自己中心的な男は増えるばかりで産んだ責任はないがしろです。
子供が産まれた時点で女が自由を失う様に、男も子供が一人前になるまでは自由はない…その自覚があれば貧困は減らせるはずです。
人は何の為に生きているのか?を問えば「未来の為に生きている」と言うのが真理だと思います。

2024年02月03日 (土) 19:59

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2024年02月04日 (日) 18:37

みけ

本当に そうですね。
賑やかで
楽しいクリスマスの夜。
心のどこかで
この世界とは 
また違うところで
生きてる誰がの事を
思うひとときが
誰の心にも 
あるといいなと思いました🌱✨

そして
今回も素敵は写真ですね❤️
青の色が とっても綺麗✨で
お父様のお話と共に
心に残りました(*´ω`*)

2024年02月05日 (月) 14:54

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

時度しか、繋がらず、明日の記事に予約投稿でお詫びを書きました。不思議ですねー。ブログの、特徴でしょうかねー☆☆。

2024年02月06日 (火) 22:28

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

訪問履歴も残りませんが、私の、ブログも、古い機械で、コメント欄には、一度ではいられなといわれています。大変失礼しています。☆。☆。

2024年02月07日 (水) 20:33

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

今日は、珍しく入力でき明日。勉強の仕方が、分からないのが困りました。☆☆、偶然だけでは、またはいられなくなりますからね^^。

2024年02月08日 (木) 19:25

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

漸く。スマホも、通話できるようになりました。ご指導有難うございました。しかし、スマホ八土器おかしくなる時もあり、油断はできません。☆☆

2024年02月10日 (土) 19:33

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

今朝は、寒波で寒い日でした。明日も寒いようです。こんばんは、珍しく、一回目で、ログインできてうれしかたです。原因が分かりません。☆☆

2024年02月11日 (日) 19:19