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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

雪灯りに誘われて。

2024年03月21日
エッセイ 12
雪01

雪02

雪03

 
 私が子ども時代を過ごした故郷の静岡県藤枝市は温暖な気候に恵まれている事もあり、は滅多に降らない。降ったとしても積もる様な事は先ずない。私の幼い記憶の何処を探してもの姿は見当たらない。その代わり冬になると天候に関係なく富士山に積もったが風に運ばれてヒラヒラと舞い落ちて来る。それを『風花』と呼んでいた。それがまるで白い天使の羽根の様に見えて風花の舞う日は嬉しくて外ではしゃいだものである。
 上京して最初に迎えたある冬の日、目覚めて窓の外を見ると辺り一面が白銀の世界だった。「東京ってこんなに雪が降るんだ…」と驚きつつ東京の冬の寒さを思い知らされる一日となった。冬でもコートが要らないほど温かい静岡で育った私にはこの時の身も凍り付くような冬を経験するのは初めての事で、すっかり風邪を引いてしまい何日も仕事を休んでしまった事を覚えており、西大井の木造アパートは隙間だらけで厳しい越冬となった。
 2月5日の東京は午後から降り始めた雪が夜になって激しさを増し、都内全域に大雪警報が発令された。交通網が発達した都会の利便性は何処へ行くにも申し分ないのだが、自然の猛威には相変わらず脆弱である。この日、私は大きなミスを犯してしまった。夕刻になって薬が切れている事に気付いたのである…。窓を開けると外は真っ白で雪が降り積もっている。薬局は午後19時で閉店なので慌てて外へ飛び出した。雪を撮りたいと言う衝動に駆られ、右手にカメラを携えツルツル滑る階段を用心深く下り駅の近くにある薬局へと向かった。
 時計を見ると19時まで残り15分しかなく、かなり焦りつつ急ぎ足で歩を進めた。雪に足を捕られ歩きにくくかなり呼吸も荒くなり参ったが、何としても今日の内に薬をと言う気持ちで全力を出し切って歩いた。閉店3分前で滑り込みセーフ!帰りにダイエーで一週間分の食料を買い込んだためバッグはパンパンに膨れ上がった。多分重量は10キロはあったと思う。ダイエーを出た時が最も雪が激しかった。帰路の途を撮影しながらゆっくり歩いた。傘は持っていたが撮影に邪魔になるので畳んでバックへ。頭が雪で濡れるとまずいのでダウンジャケットのフードを被った。
 シャッタースピードを早くすれば止まった雪が写せ玉ボケの幻想的雪景色が撮れる事は知っていたが、気温0℃以下の元で手指は凍り付き指の感覚が全く無くなってしまい、シャッターボタンを押す事もままならない状況で、カメラの細かい設定が出来る状態ではなかった。心身ともに冷え切って冷凍庫の中にいるような感覚だったが、雪の風景を撮ると言う目的が凍て付く寒さを上回っており、疲労感は殆ど感じなかった。
 家に着くなり冷え切った身体を温めようと熱々のシャワーを浴びて漸く生き返った。真夏の暑い時にキンキンに冷えたビールを飲むその逆パターンである。東京タワーの記事でもう無茶な撮影はしないと約束したが、それをいとも容易く破ってしまった。寒さは心臓の大敵である事は重々承知していたのだが(反省)…。
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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

コメント12件

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山田

こんばんは

大阪は雪が降らないので
びっくりの雪の量ですね
それでも頑張っていい写真が撮れましたね
心臓には寒さは大敵ですね
私も腎臓が悪いので寒さは大敵です
心臓の苦しいときは手の内側をもめば楽になりますよ
それでだめな場合は手の小指と薬指をもめば発作が止まることがあります
病院に行くまでの救急措置になることがあります
一度試して見て下さいね

2024年03月21日 (木) 20:43

☆AMEX☆

怪我をしなくて良かったですね~
文章を読んでる途中でかなり気になりましたよ・・
しかしこの写真はジオラマモード?でしょうか。
面白いですね。

2024年03月22日 (金) 17:34

雪野繭

あの雪の日に撮影に行かれたのですか?
今年は気合が入っていますね。
(私は家で籠城してました。)
東京は滅多に雪の積もらない都市なので、
撮影対象としては、その珍しさも手伝って、
やっぱり撮影に行かれた方が多かった聞きます。
とても幻想的な写真が撮れて、良かったですね。
しかも無事故で。
きっと心臓も頑張ってくれたのでしょう。
思い出になる写真だと思います。

2024年03月23日 (土) 20:30

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2024年03月25日 (月) 05:36

apricot・a

ただのどこにでもある普通のガストが
凄く特別なもののように見えます。
流石ですね~、こんな風に撮れるんですね。
俊樹さんのお買い物する様子が何だか微笑ましいですが、
おからだご自愛くださいね。

2024年03月25日 (月) 09:02

sado jo

雪の降る街を

いい雰囲気が出てますね~♪…雨だとこうはいかない。
これで相合傘のカップルが歩いてたりするとまるで映画のワンシーンですよね。
都会に降る雪ってもの凄くロマンチックなムードがありますね。
(▼)高英男とダークダックスの『雪の降る街を』プレゼントします♪

https://www.youtube.com/watch?v=XoK-lNmEeRc

2024年03月25日 (月) 16:44

元井 広夢

東北地方なので雪が当たり前です>しかも夏には30℃超えますし(汗)

>東京ってこんなに雪が降るんだ…
全国ニュースになるくらいですし(マテ

>寒さは心臓の大敵である
雪国ってだけで身体に負担があるのです(汗)

2024年03月26日 (火) 22:11

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2024年03月27日 (水) 19:29

ネリム

こんにちわ
雪の景色綺麗ですね。

2024年03月29日 (金) 14:30

こまちょんた

温暖な地域に住んでいるので雪は滅多に降らず、雪の予報だと子供の頃から、今でもちょっとワクワクします。
それにしてもきれいな写真が撮れましたね。
薬局に間に合ってよかったです。気を付けましょう。

2024年03月30日 (土) 17:27

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

今朝持病の第二派が、が起きて、痛いところを処置してもらいました。しばらく寝ながら治療します。☆☆

2024年04月12日 (金) 19:53

荒野鷹虎

俊樹さんへ!!

足の浮腫みがすごいので、デイの介護士さんも、特別な西友買い物の日であり、車いすで出かけてくれた。感謝。明日は休ませていただき、休養して今日買い出しした、おいしい食料を楽しいにします。やすらぎ」の人は介護士精神に満ち溢れています。感謝。☆☆。

2024年07月12日 (金) 21:21