幸せを運ぶ回転寿司。
4月下旬、昨年の12月以来、久しぶりに娘と会食を愉しんだ。都営三田線の西台駅前にある『魚屋路(ととやみち)』で、4ヶ月振りの回転寿司。腎機能低下を考えると折角の寿司が不味くなるので、外食の時は病気の事をなるべく忘れるようにしている。
娘が主役だから娘の注文した物に少し箸をつける程度だが、普段の食事が味気のない腎臓食なので少量でも十分腹を満たす事が出来る。然し、最近はその腎臓食にもだいぶ慣れてきたせいもあり、外食の味の濃さに眉をしかめる時がある。
病気を抱え厳しい食事制限のある中では箸をつける事に躊躇いが生じ、思うように食が進まない事も多々あるが自分の限界をわきまえてさえいれば、十分に料理を愉しむ事は可能だと思っている。
くるくる回る回転寿司を眺めているだけでも食べた気になれると言うのも不思議であるが、眼で愉しむのも食事の醍醐味だと思う。どうしても口に入れたい物がある時は娘と二人で半分ずつ分けて食べる。
健康的で若い娘が次々と回って来る皿を手に取り、元気に寿司を頬張る姿を見るのも親として幸せのひとときだと思う。最後には必ず甘いデザートを一つ注文するが、それも親子で半分ずつ食べるようにしている。
このように親子で会食を愉しむ時間がこれからも末永く続くよう、私は私なりに病気の進行を遅らせる努力を怠らないようにしたいと思う。幸せを運んでくれる回転寿司に感謝しながら、娘と二人店の外に出ると、沈みゆく太陽が西の空を真紅に染め上げていた。