赤い涙のランドセル(鎮魂歌)追記有り。
何処から流れ着いたのか
埠頭の風に煽られて
波間に漂う
赤いランドセルひとつ
取り残された悲しみが
君の背中の温もり
恋しがる
春をたっぷり詰め込んで
君と歩いた通学路
待ち焦がれていた
新学期
けれども波が春まで奪い去り
置いてきぼりのランドセル
波間で溺れたランドセル
名札の君が消えかけて
赤い涙が海染める
2年前の3月11日、被災地を巨大津波が襲いました。波が引いた後に残った瓦礫の山また山、その中に見つけた数多くのランドセル。そんな光景を見て胸を締め付けられる思いでした。
この「赤い涙のランドセル」はそんな中で出来上がった詩です。
初掲載
2012.5.27