「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」の感想を集めてみたpart17
「Redmineによるタスクマネジメント実践技法」の感想を見つけたのでメモ。
ありがとうございます。
【元ネタ】
小川明彦 阪井誠 『Redmineによるタスクマネジメント実践技法: チケット駆動開発+テスト工程管理のA to Z』
(引用開始)
Redmineはオープンソースで開発されているBTS(Bug Tracking System)で、もともとはバグが発生したらそれを修正してリリースするまでにどれぐらいかかるか、とか、修正はだれが担当してるか、とか、それと一緒にプログラム・ソースのヴァージョン管理システムとも連携させましょうか、ついでにガント・チャートも出力しちゃったり……! とかいうクッソ意識高い系のシステムであり、本書はそれを応用して、システム開発全般のマネジメントにも使っちゃいましょうよ! というモノ。
この手の技術書ってツールのインストール方法とかヴァージョンが変わると陳腐化されやすい知識から解説がはじまったりするんだけれど、この本にはそういうのがあんまりない。日夜プロセスやメソッドは改善されていくし、ツールは変化していくけれど「こういう事象にはこういう風に使うとイイっすよ!」というアイデア集として使える。「ウチじゃまだExcelを使って進捗表を作ってるんですよ……」という残念な職場にいらっしゃるIT関係者各位は、これを読んだらまるでRedmineが7つ目のドラゴンボールに思えてくるのではないか。
かく言う私の職場も、こうした便利なタスク管理ツールがなく、大部分の人がExcelで進捗更新して(Notes上に貼られた……)、もちろんそんなの更新がめんどうくさいから、リアルタイムな更新なんかみんなしないわけで、一週間に一度ぐらいしかプロジェクト進捗表が更新されない、なんてザラな環境にあったりするのだった。で、それはあまりに邪悪だ……と思って、せめて自分のチームで使う用にだけでもExcelじゃない進捗ツールがあれば……、と思って、ちょっと前にNotesで作り込んじゃったのね。ホントはRedmineとか導入したかったんだけども、自由な職場ではないので「なんか、こんなRedmineってこんな感じだろう(使ったことないけど……)」と想像しながら。
それは新たな邪悪さの温床では……という感じではあるのだが、これが大活躍で。Excelだとみんな更新してくれないけど、Notesでフォーム作って、ボタンを押せばフィールドに日付が入って、自動で作業状況の集計をしてくれる、ってだけで、めちゃくちゃにリアルタイムに情報が集まり、かつ、たまたま業務でイレギュラーなタスクの割り込みがあったときも「だれがいま一番余裕か!?」っていうのもすぐに把握できるようになったんだよ!!! わざわざ、もう「すみません、いま余裕ありますか……」と雰囲気で恐る恐る作業依頼をしにいかなくても良いんだ!!!!!!
本書を手に取ったのは、Excelじゃないとこんなにありがたい感じになるんだ……じゃあ、ホンモノをRedmineを利用したら、どういうことになってしまうんだろう……と思ったから。読んでみたら「俺の考えたRedmineっぽいモノ」とは、結構違ってて「ウワッ、こういう感じで設計すれば、もっと使い勝手良かったじゃん!(次は絶対パクろう)」とか良いネタ本にもなってくれたし、何より、本書の執筆者たちも「作業の進捗がツールで見えるだけで、こんなに楽になることがあるんだ!」という自分と同じユリイカ感を書いてたのも「そうだよね!」と全力で同意したくなった。
人の管理とかをやりはじめたばかりのIT関係者の方々は、これを読むといろんな発見があると思います。Redmineを導入できなくても、ウォーターフォールでも、職場の状況が見えないことで発生ストレスを、どう解決するかのヒントがたくさん含まれているなかなか射程範囲が広い本だと思います。これキッカケにPMBOKとか、ホントにマネジメントっぽい知識体系にもちょっと興味が広がったりもしたよ。
(なお、現在はHerokuでRedmine動かして、個人的にゴニョゴニョとなにかを試しているところです)
(引用終了)
ここ2,3年は、開発環境周辺の技術がクラウドも含めて、従来よりも急激に進化しています。
ExcelやMS Projectによる進捗管理は、それなりのノウハウを試すこともできますが、スケールアップしにくく、メンバー自身が自発的に行動するように促すことも出来ません。
Scrumの自己組織化、アジャイル開発におけるタイムボックス開発、PMBOKによるEVM、ITILを使った運用保守のタスク管理という概念も、僕はRedmineを通じて体験したし、その利点も、そして導入上の落とし穴も体験できました。
所詮ツールに過ぎないかもしれないけれど、現代はソフトウェアが業務の効率化や情報の整理だけでなく、ツールを使った運用によって新人がスキルを身に付けたり、Wikiなどを通じてノウハウを共有したり、課題が会社全体に公開されることで皆が突っ込み合えるような仕組みを作れたりします。
問題にぶつかった
→解決できなくて、無視したり、隠そうとする
→どんどん傷口が広がる
→最後は火を噴いて、誰も止められなくなる
というパターンが従来は多かったと思いますが、Redmineのようなツールによって、課題や進捗が見える化されることで、Scrumのいう「透明化」が促進されます。
すると、
問題にぶつかった
→解決できなくて、転げるが、全ての作業履歴が公開されている
→気づいた人が、アドバイスしたり、ツッコミを入れたり、手伝ったりする
→転げた人も、周囲の支援を受けて、何とかやり遂げる
のようなパターンへ変化するでしょう。
つまり、強制的に改善せざるを得ない環境を作り出すことによって、問題が解決されるだけでなく、解決できなかった人も経験を通じて成長できるチャンスを得られるでしょう。
Redmineの背後にあるチケット駆動開発は、たくさんの可能性を秘めていると思います。
【追記】
他の人の感想も追記しておく。
Redmineによるタスクマネジメント実践技法 mkisonoさんの感想 - 読書メーター
(引用開始)
「プログラマの思索」ブログをたまに読んでいたので、内容的に新しいところはあまり無かったが、本でまとめて読むと効率がいいように感じた。興味があるところまででひとまず終わりにして、Testlinkとの連携については読んでいない。
(引用終了)
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