ショートショートを書きました
面白い、つまらない、どっちでしょう?
評価、感想を下さい。
「地獄のおしるこ」
絞首刑によって死刑囚のジアリは死んだ。
それからやはりと言うべきか、一路、地獄行きとなった。
こうしてはじめて踏み入れた地獄は、それはもう壮絶で悲惨なものだった。
熱く煮えたぎる血の池につけられている者。身体のあちこちに五寸釘を打ち込まれている者。息ができない深い水底に沈められている者。鋭い牙の猛獣に手足を食われている者──etc.
ここでは命が尽きることはない。苦しみだけが永遠に続く。どこを見ても阿鼻叫喚の有り様で、その光景はまさに地獄絵図であった。
ジアリは生きた心地がせず、ゴクリと唾を飲み込んだ。身がすくんでしまい、その場から一歩も動けなくなってしまった。
「やい!貴様。そんな所でなにをぼけーっと突っ立っている」
監督員の鬼が怒鳴り声をあげた。
「はやいところ苦行の刑を決めろ!」
「あ、あ、あ……」
ジアリはおろおろと狼狽した。だがそのとき、ある刑が目に映った。
お椀を手に持ち、なにやら必死に食べている男たちがいる。目の前にはコックの栓があって、食べているそばからお椀へと注がれている。
「あれはお汁粉ではないか?」
どこか香ばしい匂いが漂い、注ぎ口からは作り立ての湯気がのぼっている。
食べるだけでいいなら他の刑と比べ、よっぽど楽だ。甘い物にも目がなかったジアリは即決した。
「私はあの罰を受けたいと思います」
「そうか。よし、わかった」
ジアリはお椀を渡され席に着いた。
「このコックから出てくるから残さず食べろ」
「はい」
「よーし。準備はいいな」
そう言われジアリはじっと栓の口を見つめた。
だが、お汁粉が出て来ない。
「ん?どうも相手の調子が悪いようだな」
鬼は渋面を浮かべ、それから大きな声で言った。
「おーい、誰か。下剤と浣腸を持って来ーい」