髪を伸ばそうとしていたのはプログレの影響だったのだが……

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1970年代に活躍したプログレッシブロックバンドの雄「イエス」。
キーボード奏者のリック・ウェイクマンは、金髪の長髪がトレードマーク。ステージではケープを羽織り、山積みのキーボードやシンセサイザーに囲まれて演奏する姿は「キーボードの貴公子」などとも呼ばれていました。
そのころはまだ、ぼくは自分が貴公子だと僭称もせず、周囲もぼくが貴公子であることには気づいていませんでした。今に至っても、自分以外には誰も気づいていませんが。

「プログレ」や「イエス」や「リック・ウェイクマン」に夢中だったのは、高校生のころです。
夢中の熱がこうじて、自分もリック・ウェイクマンばりに髪を伸ばそうと真剣に考えていたものです。髪を伸ばしさえすれば、「キーボードの貴公子」になれると思っていたのですね。
髪を伸ばしさえすれば、ですよ。あとはキーボードが弾けるようになればカンペキです!

実際には、髪が金色でもなく(当時は髪を染めることは、ほぼ不可能だった)、髪はストレートでもなく(少し床屋にいかないだけで昆布が波打ったような髪型になる、まあ今では波打つほどの髪もないが)。
しかもキーボードも弾けないし、バンドも組んでいないし、どう考えても「キーボードの貴公子」になるのは無理があると思ったりもしました。
髪を伸ばすのをあきらめかけていたころ、決定的なできごとがありました。

数少ない友人のひとりから、「似合わないからやめておけ」と忠告されたのです。
友人の表情が真剣だったことから、イジワルや嫉妬心(「こいつが髪を伸ばしたらカッコよくなるかもしれない」という危惧から出ると思われる)ではなく、単なる事実だと感じ取りました。

我ながら賢明な判断だったと思います。
もっとも、そのころはプログレよりもジャズに系統しはじめていたせいもありますが。

以上のような自分の勘違いを踏まえて世間を見回しますと、男性で肩よりも長いロングヘアスタイルにしているのは、たいていがブオトコですね(個人の感想です)。
街なかをザンバラのロングヘアでうろついているのは、たいてい脂ぎった顔をしたデブのブオトコ兄ちゃんだし(個人の感想です)。
後ろで縛った長い髪をたらして歩いているのは、栄養失調のように痩せた体をした神経質そうで面倒くさい性格だろうなと思われるブオトコ兄ちゃんだし(個人の感想です)。

マンガには長髪の美少年や美青年がたびたび登場します。
もっとも有名な例をあげれば、魔夜峰央先生の「パタリロ!」に登場するバンコラン少佐とか。

ですが、ロングヘアの美少年や美青年はマンガの中にしかいません。
現実世界の美少年や美青年は、髪を伸ばすとか鼻の下を伸ばすといった道楽に時間やエネルギを費やしたりはしないようです。

だって、そんな面倒なことをしなくても、そのままで十分にイケてるんだから!


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