
紹介されていたのは「牧師のたのしみ」なのですが、どこかで読んだ気がするなあ、と思っていたら。
なんと赤塚不二夫の「おそ松くん」に、まったく同じ内容のマンガがあったのを思い出したのです!
イヤミとチビ太の古道具屋コンビが、古道具を安く買いたたいては儲けているという設定でした。二人が目をつけたのは、おそ松一家が隣人からもらい受けた古くて薄汚いタンス。
イヤミが「こんな汚いタンスは欲しくない」と言いながら見ると、なんと江戸時代の名人の作と判明!
その結末やいかに!
ちなみに、チビ太を主人公にしたシリーズ「チビ太くん」でも、似たようなネタがあります。こっちは古道具屋のイヤミと、大きな壺を転がして歩いている宿無しチビ太との丁々発止のやり取りと結末が見事でした。
「キスキス」は1960年の刊行ですが、日本語訳はいつでたのかしら?
赤塚不二夫は早くにこの作品を読んで、そのエッセンスをマンガに取り入れていたのですね。「おそ松くん」シリーズでは、ほかにもO・ヘンリーの「賢者の贈り物」や「警官と讃美歌」をマンガ化しています。そのいずれもが、イヤミとチビ太を主役に使っていました。
このあたりは、同じ顔が六つそろっているだけの六つ子よりも、イヤミとチビ太という外見的なインパクト、キャラクタ設定が強力な二人を用いるほうが効果的だと計算していたのでしょうねえ。
なんだか、赤塚不二夫の話に終始してしまった。
ちなみに「キスキス」収録作品は、短編というにはちと長いかな。いや、十分短編なんですが、ショートショート的な手軽さを予想していると、細部に渡る描写と細かな背景設定やストーリーを動かすための蘊蓄に驚かされます。
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