【安い】有田陶器市【体験記】
子供たちを連れて有田陶器市へ向かった。
雨模様にも関わらず、あちこちに設けられている駐車場はいっぱいで、人があふれかえる会場。 道の両側にずらりと並ぶ陶器店に圧倒される。 2割引、3割引は当たり前で、中には「全品半額」との張り紙もみえる。 人それぞれに、陶器の入ったビニール袋を重たそうに提げて、次はこの店に、いやあっちに行ってみようと、まるでテーマパークにでもいるかのように、楽しんでいる様子がうかがえる。 中にはコンテナを三段積んだ台車を持ち込んで、その中に買った陶器を山のように積んで押している人もいた。
子供たち三人は、はぐれないよう手をつなぎ合いながらオイの後ろをだまってついてくる。 と、思いきや面白そうなものを見つけると皆でそこへ飛んでいってしまうので目が離せない。 陶器は見たいし、でも子供からは目が離せないしで、忙しいったらありゃしない。 こうなることは楽に予想できたから、一人で来ようかとも考えたのだが、子供たちに陶器市の経験をさせてやりたかったのだ。
今回のお目当ては、いや今回もと言ったほうが正しいが、酒器と肴を盛り付けるための器である。 子供たちがまだ小さいので、普段使いの器はシンプルで形の統一されたものを使わざるをえないが、一人でゆっくり酒を飲んだり、来客時に格好をつけるための器というのも必要なのだ。
三つで100円などという、ウソみたいな値段で小鉢や小皿、ぐい飲みが売られている。 気に入ったものを次々に購入してゆくが、これが危ない。 おびただしい数のお店がそれぞれ、店先でこのような大盤振る舞いをしているから、その都度買ってゆくと、すぐに両手がふさがるほどの量になってしまう。 そのためグレゴリーの大型デイパックをしょっているわけだが、とにかく手当たり次第に買ってゆくと、本当に欲しいものが見つかったときに持てなくなってしまう恐れがある。
つぶれた料亭から持ってきたという、奇抜な形をした器の数々を物色する。 器を手に取り、ためつすがめつ眺めながら、どんな料理を盛り付けると映えるだろうかと思いを巡らすひと時が楽しい。 そうしていると、後ろで子供たちが陶器をガチャガチャやりだすので「ちょっと待て!」と制止しなければならない。
娘が「これかわいい!」と手に取ったごはん茶碗をキッカケに、残る二人も「じゃあおれはこれにする」「おいこれー」と自分が気に入った茶碗を持ち上げた。 仕方がないので家族全員分の茶碗を買うことになった。 それで勢いづいたのが娘で、いつもの衣類を買うときのようなハイテンションになり「これかわいい」「あれかわいい」と言いだした。 娘のいう「かわいい」は「買う」と同じ意味なのだ。 いったん落ち着かせるために食事をとることにした。
買い物をしていると時折、客と店員のやりとりが聞こえてくることがある。
客:「あのなあ、この皿、まとめて欲しいんやけどなあ、こっちとこっちの柄、どちらが料理に合うと思います?」
店員:「そーですねえ・・・」
客:「こっちやろなあ。 やっぱこっちにするわ。 店で使お思てんねん、これ全部買うやさかい、勉強してくれるんやろ?」
店員:「もちろんです!」
陶器市は「勉強」がすごい。
そのまま言い値で買うのがばかばかしく思えてくるほど、すんなりと値引きしてくれたりする。 こっちがたのんでもいないのに、支払いの際「これは値引きしない品物なんですけどね、二割引いときますから」とか、「沢山買ってくれたからどれかひとつ持っていっていいよ。 あと、これハンパな金額だからピッタリにしておきますから」ということになる。 こういうところが、客の購買意欲を一層高めるのだと思うし、このような人気一大イベントになった理由のひとつなのだろう。
町の親切度も高い。 次男が急にもよおしたので慌てていると、サッとおばさんが近寄ってきて案内してくれたり、帰り道のルートを思案していると地図で丁寧に説明してくれた。
子供たちが飲んだラムネの瓶に入っているビー玉を取り出してあげていると「ビー玉が欲しいの? よーし」とラムネの空き瓶をかき集め、次々にビー玉を取り出しては洗い、袋につめてくれたりした。 なんちゅうかもう、町ぐるみのイベントなのだ。
有田陶器市、なんと今年で108回目、有田焼創業395年、ヨーロッパ輸出352年になるそうだ。 4/29~5/5まで開催されている。 未体験の方は、是非!
※今回入手したものの中で一番のお気に入りは、焼酎カップ。 その詳細については次回記すことにする。
[…] ということで、カニを探しに陶器市へ向かったのだった→有田陶器市。 […]