くじらの独自ルート
「今日のオススメ:鯨」とホワイトボードに書かれてあるのを見逃さなかった。
初めて入った居酒屋さんで、まるで吉田類氏のように、顔を赤らめ半ニヤケで熱燗を飲りながらモツ煮込みを食べていた時のことだった。
しばらくして鯨肉の盛り合わせが届いたが、レベルが高い。 鯨肉といっても質、茹で方で味が大きく変化してくるが、この店のクジラは旨い。 「おいしー」
何度か言葉を交わすうちに判ったが大将は気さくな人だ。 クジラの茹で方についてはかなりこだわりを持っているようだ。 話を聞いているだけで肴になる。
熱いクジラトークを繰り広げる中、大将は口角泡を飛ばしながらクジラは安いとしきりに言う。 いやそんなことはない。 むしろ、クジラは高いと反対する。 「こんな紙のように薄く切られたサエズリによくこんな金だすね」と、クジラを買うときはいつも嫁に文句を言われる間違いない事実だ。
「自分の場合、独自のルートもっておりますさかい、仕入れは大分安いもので」と大将。 自分が独自ルートを持っていることを自慢しているようにも聞こえて、少しムッとする。 「じゃ、どんだけ安いんだ。 じゃ、大将はこのクジラでどんだけ儲けてるのかっ!簡潔に、述べよ」
まるでハカを踊るオールブラックスのような勢いで大将につめよったのだが、それは教えられないらしい。 当然か。 店を出る際に判ったのだが、この店のクジラは安い。 かなり良心的な値段設定なのだ。 大将が自慢していたことは本当だったのだ。
とここまで書いて、クジラを食べたくなったので、冷凍庫から正月用にとっておいたくじらを取り出して、薄切りにして食べる。 合鴨鍋のつけだれで食べると激ウマ。
鯨の給食再び
長崎市内の小学校給食で鯨が29年ぶりに復活したそうだ(4月のこと朝日新聞より)。
捕鯨が盛んだった頃の食文化を子供たちに伝えるのが狙いだそうで、近年調査捕鯨の拡大による鯨の市場価格の低下も追い風になってるのだとか。 給食でクジラが食えるなんて、実に、実にうらやましい。
最早給食を食べることは不可能だから、せめて毎日の食卓に一品鯨モノを出せるぐらいに、もう少し安くなってくれるとうれしいのだがムリか。 せっかく調査捕鯨拡大したんだから。
「昔は鯨は安かった」「昔くじらを食べ過ぎたのでもう食べたくない」このような話をいままで幾度となく先輩方に聞かされてきたわけだが、もしかすると今給食で食べてる小学生も、大人になったときに自分の子や孫にそういうのかもしれない。 いや、もしかするとこれ以降さらに調査捕鯨が拡大され、昔のように鯨が安くなっていくのかもしれない。 そうなると一体どういうことになるのか。 「鯨が給食に出されていたのを知らない世代」という言い方よりも「鯨が給食に出されなかった時代があったのだかつて」なんて言われるのかもしれない。
現在は鯨の価値が最高潮の時代であり、あと6、70年もすると、昔のように鯨食べ放題(だったのか)の時代がやってくるのかもしれない。 そう考えると、今という時代を生きねばならないオイその他鯨フリークは身がよじれる思いを死ぬまで持ち続けなければならず、死んでも死にきれないという話になってくるのではなかろうか。
東海林さだおさんが丸かじりにて「卵の美味しさは異常だ、皆安いから有難がっていないが、卵の美味しさからすると、もう少し値段が高くてもよいのではないか」というような話があったように記憶しているが、鯨の美味しさはどうであろうか。 値段と旨さのバランスはとれているのだろうか。 妥当にも思えるし、高すぎるようにも思えなくもない。
オイには夢がある。 鯨の各部位おおよそ食える部分全部(すえひろ、べーこん、赤身、オバ、さえずり、百尋、尾の身等)を目の前にズラリと並べ、いっぺんに、それを少しずつ味わいながら、チビチビ酒を飲むことである。 それには最低いくらぐらい必要なのかを、特売のベーコンをつまみながら少し考えた。
※この前寿司屋で鯨のあご肉の煮付けを食べた。 甘辛に煮付けてあり、どこか獣のにおいがした。
クジラの切り落とし
以前熱く語ったクジラの切り落としが、また手に入った。 サエズリである。
ただ単に「切り落とし」というだけで妙に安くなるという制度に感謝しつつ、前々から試してみたかった白切肉のタレでクジラを食べてみると、やはりよく合う。
『ごあいさつ』
あけましておめでとうございます。 本年も、どうぞよろしくおねがいします。
クジラ、ミンクかナガスか?
世の中には人を虜にする珍味がごまんとある。
昔々、鮭皮大名なる人物がいたそうだが、その大名曰く、「鮭の皮は薄くて少ない。 もっと鮭の皮を食いたい。 鮭の皮ならば丼で何杯でも食えるぞワシは。 フォッフォッフォ。」
というほど鮭の皮が好きだったのだそうな。
似たような話はほかにも沢山ありそうではあるが、とにかくある食べ物がすごく美味しくて、好きなので、もっと沢山食いたいという願望の結果、このような大げさな話になってくるわけだ。
オイの周囲にも、こんな人がいる。
オレはね、さんまのハラワタだったらね、丼3杯は食えるね。 もうね、サンマ本体はさておきワタを愛しているわけよ。 なんとかしてさ、サンマのハラワタを、フォアグラみたいに肥大させることはできないものかね。 丼3杯は食えるぞしかし。
なんて熱く語る。
(more…)鯨の畝須
さーさーあけましておめでとうございます。
今年一発目をかざる食い物は鯨。 鯨肉。 中でも畝須バイ。
大晦日、人間であふれ返る長崎は築町商店街にわざわざクジラを買うためだけに出かけて買ってきたとさ。 鯨肉のなかでも特にさえずり という舌にあたる部分が大好きで買い込んだオイばってんが、ちょっと目についたこの畝須も買ってきたと。 一日に食お。
と、新年早々チョットづつ食う予定であった鯨なんだけど、一日は帰省。 二日もよそでお食事ということで、三日になってようやく手をつけたワケばい。 うーん美味かね。 独特やね。 もったいないので極薄に切りわけた畝須をひとつつまんでグビリ。 またグビリとやる。 そこで疑問さ。
この畝須というのはいったいクジラのどの部分か? そこでしばらくweb検索する。 あちこち見回ったところ、どうやらこれは鯨の下あご部分にあたるそうで、ウネっているので畝須(うねす)ということらしか。 あの妙に赤いベーコンと同じ部位であるらしいね。 そうですかね。
それはそうと、あの赤いベーコンというのはなんだかすごい赤い。 あまりに赤くてなんだか購入をためらったワケばってん、なんだか昔よく食った真四角のハムば思い出すね。 子供の頃とりつかれたようにいっぺんに何枚も食べて、母ちゃんにこっぴどく怒られたことば思い出したバイ。
っということで今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。