アンモニア【ammonia】
アンモニア(NH3)
特有の刺激臭のある無色の気体で,圧縮することによって常温で容易に液化します。粘膜刺激,呼吸器刺激,腐蝕性があり,眼に入ると結膜浮腫等を起こします。主な発生源は,畜産農業,鶏糞乾燥場等。アンモニア
アンモニア
窒素原子に3個の水素原子が結合してできた塩基性の化合物。NH3。常温では気体で水によく溶け、塩基性を示すアンモニア水となる。生体内ではアミノ酸などの窒素化合物の代謝で作られるが、ほ乳類では尿素に転換されて排出される。
化合物名や化合物に関係する事項: | アントラサイクリン系抗がん剤 アントラセン アンピシリン アンモニア アンモニア水 アンモニウム イオン |
アンモニア(あんもにあ)
アンモニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/25 04:57 UTC 版)
アンモニア | |
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アザン | |
別称 窒化水素 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 7664-41-7 |
PubChem | 222 |
EC番号 | 231-635-3 |
国連/北米番号 | 無水物: 1005 水溶液: 2672, 2073, 3318 |
RTECS番号 | BO0875000 |
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特性 | |
化学式 | NH3 |
モル質量 | 17.0306 g mol-1 |
外観 | 常温で刺激臭のある無色透明の気体 |
密度 | 0.6942[1] |
融点 |
-77.73 °C, 195 K, -108 °F |
沸点 |
-33.34 °C, 240 K, -28 °F |
水への溶解度 | 89.9 g/100 cm3 (0 ℃) |
酸解離定数 pKa | 38 |
塩基解離定数 pKb | 4.75 (H2Oと反応) |
屈折率 (nD) | εr |
構造 | |
分子の形 | 三角錐形 |
双極子モーメント | 1.42 D |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH | -45.90 kJ mol-1[2] |
標準モルエントロピー S | 192.77 J mol-1K-1[2] |
標準定圧モル比熱, Cp | 35.64 J mol-1K-1[2] |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | ICSC:0414(日本語) ICSC 0414(英語) |
GHSピクトグラム | [3] |
GHSシグナルワード | 危険 [3] |
Hフレーズ |
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NFPA 704 | |
引火点 | なし[4] |
発火点 | 651 ℃ |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 塩化アンモニウム 炭酸アンモニウム |
関連物質 | ヒドラジン アジ化水素 ヒドロキシルアミン クロラミン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
アンモニア(英: ammonia)は、分子式 NH3で表される無機化合物。常圧では無色の気体で、特有の強い刺激臭を持つ。
水に良く溶けるため、水溶液(アンモニア水)として使用されることも多く、化学工業では基礎的な窒素源として重要である。また生体において有毒であるため、重要視される物質である。塩基の程度は水酸化ナトリウムより弱い。
窒素原子上の孤立電子対のはたらきにより、金属錯体の配位子となり、その場合はアンミン(英: ammine)と呼ばれる。例えば:
液体アンモニアの白色ボンベ。日本においては内容物によって塗装色が定められている。 液体アンモニアには単体アルカリ金属、アルカリ土類金属およびユウロピウムなどを溶解する性質がある。アルカリ金属、特にセシウムの溶解度は非常に大きく、これらの金属の希薄溶液は溶媒和電子によって青色を呈するが、濃厚溶液は金属光沢ブロンズ様の液体となる。液体アンモニアに溶解した金属ナトリウムは、バーチ還元などの有機反応に利用される。さらに、金属溶液は高濃度で金属的な伝導挙動を示すことが知られている。
比誘電率は −33℃ において 22.4 であり、水に比べてはるかに低い。無機塩類の液体アンモニアに対する溶解度は一般的に低いが、アンモニアの配位能力によってヨウ化銀(AgI)などは非常によく溶ける。
毒性
粘膜に対する刺激性が強く、濃度 0.1% 以上のガス吸引で危険症状を呈する。悪臭防止法に基づく特定悪臭物質の一つであり、毒物及び劇物取締法においても劇物に指定されている。日本では高圧ガス保安法で毒性ガス及び可燃性ガスに指定され、白色のボンベを用い、「毒性」などの注意書きは赤で書くように定められている。液体状のものが飛散した場合は非常に危険で、特に目に入った場合には失明に至る可能性が非常に高い[6]。高濃度のガスを吸入した場合、刺激によるショックが呼吸停止を誘発することがある[7]。生体において、血中アンモニア濃度が高くなると、中枢神経系に強く働き、意識障害が生じる。
急性毒性[7]
- 吸入 ラット LC50 2000ppm/4hr
- 吸入 マウス LC50 4230ppm/4hr
- 吸入 ウサギ LC50 7 mg/m3/1hr
- 吸入 ネコ LC50 7 mg/m3/1hr
- 経口 ラット LD50 350 mg/kg
人体においては、摂取した蛋白質が肝臓で分解される過程でアンモニアが生じ、さらに尿素へと変化する。肝機能が低下するなどしていると「汗がアンモニア臭い」と感じられることがある[8]。またアンモニアを吸引するなどした場合は量によっては危険であるため、血中アンモニア濃度を測定する。また、魚介類などの人間以外の生体については、環境水における濃度を測定する。
燃焼
通常の状態における空気中での引火性は知られていない。発火点は651℃で空気中のアンモニア含有量が16–25%で爆発性ガスができる。液体アンモニアはハロゲン、強酸と接触すると激しく反応して爆発・飛散することがある。酸素中では燃焼し、窒素酸化物を発生する[9]。
アンモニア水
「水酸化アンモニウム」も参照アンモニアの水に対する溶解度は気体としては非常に大きく濃厚水溶液が存在し、また密度は濃度と伴に減少し、市販の濃アンモニア水は25 - 28%程度のものが多く、26%(d=0.904 g cm-3)のものはモル濃度は13.8 mol dm−3である。アンモニアは水に対しかなり発熱的(すべての気体の溶解熱は発熱的であるが)に溶解し、また溶解に関するギブス自由エネルギー変化も負の値を取るため[10]、水に非常に溶けやすいことになる。これは極性のアンモニア分子が、より極性の強い水分子と水素結合を形成するためである。
アンモニウムイオン (英: ammonium) はアンモニアに水素イオンが付加(配位結合)することにより生成し、アンモニア水の電離によっても一部生成する1価の陽イオンであり、オニウムイオンの一種である。正四面体型構造をとる。
アンモニウム塩
アンモニウムイオンを含むイオン結晶をアンモニウム塩(アンモニウムえん、英: ammonium)と呼び、アンモニアと酸との中和反応によっても生成する。多くのものが水に可溶であるが、過塩素酸塩、ヘキサクロロ白金酸塩などは溶解度が低く、アンモニウム塩の溶解度はアンモニウムイオンとイオン半径の近い、カリウム塩およびルビジウム塩に類似する。加熱により分解し、過塩素酸アンモニウムなどは爆発する。
- 無機アンモニウム塩
- 塩化アンモニウム NH4Cl(塩安)
- 過塩素酸アンモニウム NH4ClO4
- 硫酸アンモニウム (NH4)2SO4(硫安)
- 硝酸アンモニウム NH4NO3(硝安)
- 炭酸アンモニウム (NH4)2CO3(炭安)
その他関連物質
- 有機アンモニウム塩
- 酢酸アンモニウム CH3COONH4
- クロラミン NH2Cl, NHCl2, NCl3(アンモニアの水素原子を塩素原子でいくつか置換したもの)
- アンモニアの酸化体としては硝酸やヒドラジンなどがある。
- 第四級アンモニウムカチオン R4N+
合成
現在ではアンモニアの工業生産はハーバー・ボッシュ法によるものが一般的である。実際のプラントでは水素と窒素を鉄触媒存在下 25 - 35 MPa、約500℃ で反応させると[13]、
X-15のエンジンがアンモニアを燃料として使用していた 前述のようにアンモニアは条件次第で燃焼し、燃やしても代表的な温暖化ガスである二酸化炭素が生成されない。このためアンモニアを火力発電用燃料として使う技術開発が行われている。微粉炭と混焼させたり[25]、ガスタービン発電で燃料や空気の供給量・速度を調整したり[26]する方法等が研究されている。2020年現在、日本の火力発電所の燃料として利用する実証試験が行われている[27]。この試験では、産油国であるサウジアラビアの化学プラントで天然ガスからアンモニアを製造する際に、排出される二酸化炭素を分離回収して、EOR(石油増進回収)やCCS(二酸化炭素回収貯留)に利用する。こうしたことから、使用するアンモニアを、カーボンニュートラルな燃料として、「ブルーアンモニア」と呼称している。
グリッド・パリティ達成、再エネの価格低下により地域によってはブルーアンモニアより安く再生可能エネルギーによるグリーンアンモニアを製造可能になっている。経済産業省では3円/kWhでアンモニアを製造できると試算しているが、発電時の損失、火力発電所の改修コストを考えると最終的な発電コストは23.5円/kWhとしている。[28]
水素貯蔵
水素をそのままの状態で保存するよりアンモニアのほうが沸点、蒸気圧を下げ簡単に液化できるため水素貯蔵の一つとして研究されている。
アンモニアから水素の生成は吸熱反応で、400℃近い加熱された触媒によって生成される[29]。