Disappointment
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■中国に擦り寄るアメリカ
卓越した演説で登場したオバマ大統領であったが、アメリカ合衆国の国力が弱体化した現在においては御用済みの気配である。辛うじて医療保険と金融規制法を議会通過させたが、所詮それは骨抜き法案であり、変革(チェンジ)を求めた支持者たちは失望し、それはもはや絶望に近い。
オバマ大統領の参謀は、地元シカゴや選挙支援者の論功行賞の職を別にすれば、元クリントン政権の側近が大量採用されている。ここから、ヒラリー国務長官の隠然たる影響力が伺える。そのため、オバマ政権の中国に対する態度は、クリントン大統領時代と似通っている。
オバマ政権は、中国海軍が海外に展開することを黙認し、チベットやウィグルの人権問題も口にしなくなった。ミャンマーでは、インド洋進出の道路・港湾が建設されているが、一言も苦言を呈することがないばかりか、タイの争乱を黙認し、独立国としてのタイの尊厳を尊重する姿勢など全く見られない。G20でのIMFの支援増額、北朝鮮問題の六カ国協議の丸投げ、人民元の交換比率変更など、北京にすり寄る態度ばかり見られる。武器の台湾輸出、ダライラマとの会見、グーグルに対す検閲などの問題でも、アメリカ合衆国の国是である人権という概念をすっかり忘れたかのような対応である。
■日本離れするアメリカ
他方で、日本に対するアメリカの態度もまた、クリントン大統領時代のそれに似通ってきている。
郵政民営化などにより日本の国民資産が外国金融機関を経由して、上海や沿海の都市に摩天楼を林立させる構図が見られる。北京オリンピックと上海万博に至る過程は、米国の戦後の対日占領政策と近似する。
ガイトナー財務長官は、在京の米国大使館で勤務した経歴があるが、日本国民の資産を海外移転するために、いかなる関与を行ったのかなども検証すると興味深いであろう。
いずれにしても、米中関係は相互に戦略パートナーとする新戦略同盟の関係になっている。オバマ大統領は、ミルトン・フリードマンと国際金融勢力の影響下で米国の工場と化した北京政府と、世界規模の諸問題において協調を維持することを明確にしている。もはやそこに、日米同盟の入り込む隙間などない。ソマリア沖での海賊対策の艦船を、海上自衛隊から人民解放軍に差し替えたのも、その一端である。
■無作為に陥る日本
オバマ政権内では、日米同盟の空洞化に対する警鐘を鳴らさず、従来の主従関係を維持するだけの同盟論が大手を振ってまかり通っていた。グァムへの移転は、内々の了解が達成されていないのか、太平洋の勢力分割が話されたのではないか、普天間基地の移設は日本の安全保障に寄与するのか、台湾海峡事件の時のように空母を派遣してほしいとする北京内部の分裂の担保のためなのか、新戦略同盟の強化の為に利用されているのではないか、など、何ら疑いの声が上がることはなかった。
韓国哨戒艦の沈没事件においても、トンキン湾事件や、イラクの大量破壊兵器の有無の様に謀略をやってのける過去の履歴を疑いもしなかったようだ。
とはいえ、アメリカ内に知日派が存在することもまた事実である。「自立・自尊の外交や北方外交を展開した祖父を持つ鳩山総理であっただけに、抵抗すべきであった」と吐露した対日政策関係者OBがいたことを記録にとどめておきたい。また、ロン・ポール共和党上院議員とバーニー・フランク下院議員・歳出委員長は、米国の国防予算は天井を破っており、普天間は閉鎖すべきであると公式に発言していた。
日本が天文学的に巨額な米軍費用を負担していることを、ワシントンで喧伝すべきであるが、霞ヶ関の外交出先は、自立・自尊の日本外交を内包した鳩山政権を支援することなく、岡田外務大臣からして小間使いに過ぎなかった。
■日米同盟を再構築せよ!
アジア太平洋において、日本以外に米国の戦略的な同盟国となれる国はない。米国の政策を心底から支持することのできるのは、大東亜戦争を闘い、太平洋で米軍と死闘を尽くした日本だ。それにも関わらず、米国経済・社会の弱体化が深まる中で、アジアの力関係を変化させ、北京の帝国の台頭を許し、日本の常任理事国入りに反対したのは、米国の一部拝金勢力と在京の追従者である。
アメリカの中間選挙を契機にして、日米双方で、政治・外交を再編成し、対等互恵の日米同盟を再構築することは不可能ではない。米国は、65年も経つのだから、日本において占領軍の横柄な態度はやめるべきだし、東京裁判、原爆投下などの一方的な歴史を見直す良い機会だ。またそれは、日本においては、アメリカに依存する現在の体制から脱却し、自立自尊の将来戦略を描き、国体の本義を追求して取り戻す救国の機会にもなるだろう。
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