つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「検察なめんなよ」がどうして問題となるのか

 今日早朝、米国から素晴らしいニュースが飛び込んできました。大谷翔平の妻真美子さんがご懐妊されたとのこと。ちょっとミーハー的反応ですが、日本人としては誠に嬉しいニュースです、と同時にちょっと安心しました。実は、バッドインフルエンサー筋では悪意あるうわさが飛び交っていたからです。それは「大谷はLGBTだから、2人は仮面夫婦ではないのか」とか、「でなければ、新婚早々(男女関係を邪魔するような)犬など飼わない」とか。

 常識的にはあり得ない話ですが、SNS上の自らのチャンネルアクセスを増やすために、意図的にでたらめ情報を流布する者はいます。また、そういう情報に飛びついて、大谷を貶めるように面白おかしく周辺に二次伝達する人もいます。ですから、今回のご懐妊ニュースはそのようなうわさを完全否定し、2人が本物の夫婦であることを証明しました。すがすがしい、素晴らしいニュースです。

 悪意筋はいろいろ言いますが、小生の感覚では、大谷家が犬を飼うのは不思議でないと思います。大谷はシーズン中は米国大陸のさまざまな都市に行き、試合をしますから、ロサンゼルスの自宅でゆっくりくつろぐ時間はそう取れないでしょう。ですから、嫁いできた米国でいきなり放っておかれる妻のために、心の優しい大谷がペットを用意したことは十分理解できます。愛犬デコピンの様子を見ると、明らかに奥方の方になついている様子で、奥方が可愛がっていることも良く分かります。

 という大谷話はさておき、別件に転じます。先般来、検察の取り調べ方法が問題になり、テレビで取り上げられていました。学校法人の土地取引に絡む横領事件で、大阪地検の検察官が取り調べ対象者に対し「検察をなめんなよ」「お前らは金のためにやっているのだろうが、こちらは命を懸けているんだ」と脅かしている様子が映像で明らかにされました。今は司法当局の取り調べの模様は録画、録音され、場合によっては公開されることがあるので、この事件で無罪になった被告側がその公開を要求したようです。

 で、最高検察庁はこの取り調べ方法に対し「やりすぎ、不適正」と認定したとのこと。ですが、小生は第一感として、この程度の発言ではやりすぎだとは思いませんでした。この事件の被告はたまたま無罪となったため、無罪の関係者に対して取り調べが厳しすぎるのではないか、意図的に事件を作り上げようとしているのではないかとの印象を持たれました。ですが、それはたまたま無罪事件であったからで、一般の事件で黙秘ないし虚偽の発言を繰り返す被疑者、被告への取り調べではこのくらいの発言があっても全然おかしくないと思います。

 一般に警察でも検察でも、猫なで声だけの取り調べなんてありえないでしょう。時には声を荒げる、脅し文句を言うのは常套手段です。「なめんなよ」ぐらいがどうしていけないのか。脅しがなければ本当に取り調べ側をなめる被疑者、被告もいるでしょう。今回のケースでは、別段、胸ぐらをつかんだり、手を挙げたりしているわけではない。あくまで言葉だけの問題ですから、小生は大阪地検の検察官のやり方は十分許容範囲内だと思います。

 和歌山のドンファン富豪を殺したとされる事件で裁判を受けている元妻の被告も一貫して犯行を否認しています。和歌山と言えば、あのカレーによる集団殺人事件の女性被告も無罪を主張しています。事件後に簡単に犯行を認めるような人なら、もともと重大事件など起こさないものでしょう。極悪犯、大量殺人犯は得てしてしたたかです。ある意味筋金入りの人間なのですから、いろいろな形で取り調べをするのは道理にかなっています。

 「検察なめんなよ」くらいで取り調べ側が特別公務員暴行陵虐罪などに問われていたら、取り調べ側は委縮してしまい、今後重大な悪を見逃す恐れすらあります。今回の件で、取り調べ側はどうか縛りなど感じず、悪者をあくまで強気で攻めて、立件して欲しいと思います。

 上の写真は、今日(12月29日)朝の横浜・野毛山公園の風景。池にはサギとカモがいて、水面に映る姿が可愛い。丘の上ではまだカエデの紅葉や、寒いのに、健気にも満艦飾で花を咲かせている寒椿も見られます。

長寿の秘訣は異性への関心、性欲を持つことか

 先般、ユーチューブをサーフィンしていたら、面白い動画チャンネルを見つけました。女性が出てきて「長寿の秘訣は何か」みたいなテーマで2つの秘訣を話していたのです。小生ももう後期高齢に入った老人ですので無関心でいられず、思わず全部見てしまいました。で、その女性が言うには長寿の秘訣の一つ目はまず笑いを忘れないこと。これは昔から言われているので、特筆することではないですね。かつて指圧の大家で有名な浪越徳次郎先生も「押せば命の泉湧く」などと言って笑いと指圧が健康にいいと喧伝していました。

 ネット情報によりますと、笑いは脳に刺激を与え、情報伝達物資の「神経ペプチド」を多く生成する効果があるとか。この神経ペプチドがNK細胞を活性化させ、人間の免疫力を高めるそうです。ちなみに、NK細胞とはナチュラルキラー細胞のことで、体内に異物が入ると自然に排除しようとする免疫力を作り出す大元です。笑えば笑うほど免疫力が高まれば、薬要らず、病院要らず。まあ、確かに巷間見てても、よく笑う人は健康そうに見えるし、長生きしそうな感じがします。

 で、長寿の2つ目の秘訣とは何か。それは性欲を持ち続けることだと件(くだん)の女性は言います。彼女によれば、あくまで男性だけを対象にした長期間調査で、異性に関心を持つ人と持たない人との寿命の差を調べたところ、圧倒的に性欲や異性に関心を持つ人の方が長生きしているとのことです。問題は老齢になれば、男性機能は低下しますし、そういう機会も訪れにくいでしょう。それでも、異性に関心を持つことが長寿につながるとその動画は強調するのです。

 小生などは60、70歳台に2つのがんをやっている”病弱人間”。その点ではこれまで異性への関心、すけべさが足りなかったのが”原因”ではないか、そのために免疫力が欠如してしまったのではないか。知的活動ばかりに関心を持ち、原稿執筆にまい進してきたことが仇になってしまったのか、と今さらながら反省しています。なお、以上はほとんど冗談で書いていますが……、半面そう納得せざるを得ないとの思いもあります。

 ですから、動画チャンネルの女性は、年取った男性がいやらしいこと、すけべなことを言ったり、異性への関心を示したりすることに対し周囲の人は「いい年して」などと言ってさげすんだりしてはならない、当の老人本人も恥ずかしがらないようにと忠告しています。小生も意識の中ではまだ枯れるつもりはないので、そのように”勇気”づけられると嬉しい気分になりました。「性とは生につながる」と言っていた方がいましたが、確かにその通りですね。小生の友人の中でも、長生きしている男性を見ると、異性への関心を捨ててない人が多いように見受けられます。

 昨日、中高年の女性2人との飲み会を開いた折、小生がこの話題を提供したのですが、彼女らも「性欲と長寿には大いなる関係性がある」との考え方に同意していました。で、彼女らの経験談。共通の知り合いで、90歳過ぎの男性がいます。ほとんどぼけ老人なのですが、飲んだ帰りに女性に対し「ホテルに行こう」と誘ったり、「お前さんは最近、ワシに余り連絡してこないな。〇〇君と浮気しているからではないか」と嘆いたりするそうです。ぼけ老人にしては、たくましい嫉妬心、異性への関心を示し、まさに尊敬に値します。その意識が長生きにつながっているのでしょう。

 そこで小生の関心は、性への執着と長生きの関係は男性ばかりでなく、女性にもあるのではないかという点。飲み会の彼女らに聞くと、「女性もそうでしょう」とのことでした。岸恵子やデビ夫人らの高齢女優、タレントで容色の衰えない人は、単に健康食品や化粧の効果だけでなく、絶対男性との関係を保っているとの見方でした。結論的に言えば、小生も長寿と性欲保持には大いに関係があると確信する一人です。ですから、外見的にも、脳細胞においても、老齢と見られるのを避けるため、まだ枯れるのは止めようと心に誓ったところです。

 上の写真は、横浜伊勢佐木町モールで見かけたクリスマス・デコレーション。下の方は、小生が関係しているある団体の年末打ち上げ宴会での風景。会社の幹部がサンタ姿でサックスを吹く余興もありました。

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エマ・シャプランの歌声はソプラノ特有のキンキン声でなく、すがすがしく耳に入る。

年賀状は”虚礼”だし面倒だが、止められない

 毎月半ば、何本かのアルバイト原稿の締め切りがあり、それに集中します。今年も今日までにすべてのノルマを終えて、やっと年賀状書きに取りかかれる状態になりました。近年、老齢の友人からは、「年賀状は今年で最後にしたい」との連絡をもらったり、同年齢のある友人は事前の喪中欠礼のように10月ごろにはがきを寄越して、「来年新年から年賀状は出しません」とわざわざ言ってきたりしました。

 確かに年一度だけの恒例行事とはいえ、面倒くさいことこの上ないですね。小生は一応今年は書くことに決め、年賀郵便を買いに行きましたが、そこで初めてはがきが一枚85円に値上がりしていることを知りました。ふだん連絡はPCのメールかLINEでやるので、はがきも封書も最近とんと縁がありません。ですから、定型郵便物の値上がりなんてどうでもいいのですが、この値上がりを見て、もう年賀状も徐々に減らしていこうとの思いが募りました。

 長い間会っていない友人、先輩、後輩に「小生は元気しています。最近こんなことをしています」という近況報告をすると言う趣旨なら、年賀状の意味はある程度理解できます。近況報告をわざわざメールかLINEでするというのも不自然ですから。年一回ならそういうご機嫌伺いの意味はあるなとずっと思っていました。ですが、少なくとも年末12月、それも20日以降に忘年会などして「良いお年を」などと言って別れた友人に年賀状を出す意味ってあるのかな。年中定期的に会っている人に形式的に年賀状を出す意味ってあるのかとも感じています。

 内人は定期的に会っている友人間ではもう”虚礼”は止めようとなったらしいです。それで出す枚数は極端に減りました。そこで、小生も今年は方針を変えて、今年元旦に受け取った年賀状には無条件に今年も書いて出すが、1月3日以降来た年賀状には最初から書くのは止めようと決めました。1月3日以降の年賀状は小生のものを見た返事として寄越したものであり、却って負担を与えてしまった結果。という判断から、相手に余計な負担をかけないためにももうこちらから先に出すのはよそうと考えたのです。でもこちらが出さないのに元旦に来たものには返礼はしようとの原則も決めました。

 昔から年賀状は虚礼だ、止めるべきだという議論がされてきました。老齢になって負担感が増してきた小生もそう思うようになってきました。そしてひと思いに全面的に止めるかとちらりと考えたのです。が、こちらが止めれば今後年々来る枚数は減っていき、やがてゼロになります。年明け元旦に年賀状が来ないことを想像するとやはり寂しい。老人になればなるほどそういう思いが募るのではないか。今の心境としては、虚礼は虚礼だと思いながらも、なくなれば寂しいという思いの方が強いので、少なくとも今年は励行することにしました。

 年賀状話はさておいて、後期高齢の老人とはいえ、さまざまな団体、友人グループに属しているので忘年会も多いです。そういう友人からは不思議に「来年早々に新年会をやろう」ではなく、必ず「忘年会をしよう」という誘いになります。忘年会なら12月いっぱいにやる必要がありますが、新年会は別段1月でなくとも良く、互いの都合次第でずるずると先延ばしになることも。そして結局、立ち消えになるケースもあります。そういう意味で期限を区切った忘年会の方がやりやすいのかも知れません。

 小生は胃がんをやって胃を全摘しているので、他人より食べる量が少なく、しかもスピードが遅い。で、会合ではどうしても食事、酒も控えめになるので、下世話な言い方になりますが、割り勘分の元が取れない。それはそれで仕方がないことですが、たまにごく親しい友人には冗談交じりに「ああ、いつも割り勘負けだ」と愚痴を言います。すると、友人は「今までさんざん割り勘勝ちしてきたからいいんじゃないの」「長い人生で採算取れているんじゃない」と返されます。

 確かにその通りですね。割り勘負けしても、親しい友人と歓談する楽しさには代えられません。ということで、12月20日以降も5日間も会合が連なります。

 上の写真2枚は山口県岩国市の錦帯橋近くで見かけた風景。下の写真は錦帯橋の橋上から川の上流を見上げた風景。

貸金庫窃盗の損害額査定は難しいのでは

 三菱UFJ銀行の練馬だかどこかの支店で、貸金庫の担当行員が銀行側管理のカギを勝手に使って金庫内の中身を窃取していたという事件は衝撃的でした。と言うのは、他人事ではないのです。我が家も横浜の地元信用金庫の貸金庫を利用していますから。で、本日、内人が改めて貸金庫内をチェック、預託物の有無を確認するほか、金融機関側に安全性の確保をお願いするところです。我が家が預けているものなんて世間的には高が知れたものですが、されど我が家には大事なものです。

 それにしても、貸金庫からの窃取に目を付けた三菱UFJ銀行の女性行員というのは、第3者的に見れば、すごいヤツだと思います。というのは、貸金庫に収めるべき”ブツ”は普通利用者しか分からない。場合によっては利用者本人が忘れてしまうこともあり得ます。第3者が盗ったかどうかは確認しにくいのです。つまり、なくなったと利用者が言い張ってもそれを証明することはできない。収納物件のリストなんてないのですから、今回の被害額も算定しにくいでしょうね。

 貸金庫は原則的に現金は置けないそうです。しかし、当該女性行員は金庫の中の現金と貴金属を専門に盗っていたようです。「原則」を無視していかに利用者が現金を置いていたかが良く分かります。なるほど今日このごろ家屋に押し入るトクリュウ系の強盗事件、空き巣事件が多いので、自宅に多額の金は置いておけない。それなら、自宅に金庫を用意するという安全策を考えてもいいのですが、これだといかにもものものしい。第一、小型金庫だと大勢の強盗団はそのまま運んでしまう場合もあり得ます。という意味では、街中の貸金庫というのは庶民には大助かりな防衛手段なんですね。

 本来、現金は銀行預金の中に入れるべきものですが、今時の金融機関は金の出入りにうるさい。3ケタ以上の金を下ろすときなどは「何にお遣いですか」などと余計な詮索をするし、場合によっては入金の場合もそう。まあ、預金が逃げて行っては商売にならない銀行側にしてみれば、当然の詰問なんでしょうが、われわれからすれば煩わしいことこの上ない。で、結局、世間的に公にしたくない、少しまとまった金は貸金庫に入れるというケースが増えてくるのでしょう。

 我が家が使っている貸金庫は内人が管理しており、小生はしっかり見たことがない。その伝言によれば、せいぜい数百万円を入れるスペースしかないとのこと。で、我が家は家屋の権利書など書類関係が中心で、盗まれて分からなくなるような現金、貴金属はなるべく入れないようしています(内人談)。でも、三菱UFJなどの大銀行の貸金庫だと大きなスペースの金庫もあるようで、これだと数億円くらいなら入れられそう。実際そうしている個人、企業などがあるのではないでしょうか。

 ところで、当方はじめ世間で大いに関心があるのは、結局、三菱UFJは被害額をどう算定するのかという点です。昨日記者会見した半沢(直樹?)頭取は、すでに一部で損害賠償を済ませていると発言しています。損害の算定をどうしたのか、利用者の自己申告なのか。現金は「原則」置けないという規定で突っ張れば、現金の補償はしなくてもいいのですが、それでは世間が納得しないでしょう。難しい判断が迫られそうです。

 信用で成り立っている金融機関、しかも一番信用が求められる貸金庫で身内による犯罪とは三菱UFJだけでなく、全金融機関が影響を受けます。それだけに他人事でないので、さぞや震撼したことでしょう。女性行員は随分、罪深いことをしてくれたものです。まさに安心し切っていたときにまたまた驚かされるというラフカディオ・ハーンの「むじな」の世界です。少なくとも他の金融機関で同様被害がないことを祈るばかりです。

 上の写真は横浜駅前の高島屋デパート1階で見たクリスマスの飾り。今年ももうその日が迫っていますが、年賀状はまだ書いていない。

HTS指導者のジャウラニに残忍性は見られない

 このブログで何度も書いてきたけど、少なくとも中年以降の男性の顔はその人の人生、特にどう生きてきたか、今後どう生きようとしているのかとの心情が表れると世間では言われているし、小生もそう思っています。少なくとも、だらだらと生きてきた小生にはまったく厳しい面構えはないし、信念も見られないと他人からは思われるでしょうね。でも、清く貧しく普通に(美しくではなく)生きよう、金、贅沢には恬淡としようと思っているので、そういう感じは見受けられると思います。

 日暮の話はともかく、そういう視点でシリアを解放した過激派組織「シャーム解放機構(HTS)」のジャウラニ指導者を人相見してみました。正直言ってこの人の第一印象は悪くない。過激派独特の残酷さ、非情さは見られず、優しい目をしている。元アルカイダ系の組織にいたというが、今は縁を切っているとか。で、ダマスカスを解放後、彼は直ちに刑務所に入っていたアサド時代の政治犯を釈放しました。アサドに代わりHTSだけで強権体制を敷こうという感じは見られません。

 ジャウラニ自身も新政府のトップになることを避け、事前に北西部イドリブ県に設置してあった「シリア救国政府」の指導者バジル氏を暫定首相に据えました。自らの権力奪取というより国民のことを最優先に考えているのか。ジャウラニとバジルは確かに、一党一派に偏らず、国内の融和を優先する政府を目指すと言っています。もし、それが事実だとしたら、実に立派。なんだか、シリアに煌々たる明かりが差し、前途が開けた感じがします。

 それに比べて、バッシャール・アサドというのは実に貧相な顔をしていました。英国で医師免許を取り、そこで妻を娶っているので西洋化した人のように見られますが、父親の後を継いだあとは残忍の限り。西洋文化に接し、民主主義下にいた人間がよくそこまでできるなという感じです。ちょぼひげを付けると、彼ほどヒットラーに似た人物はいません。まあ、北朝鮮のカリアゲ君こと金正恩も、スイスで学校教育を受けながら祖国に戻って残忍な方法で自らの批判派、反対派を粛清していきました。今後の教訓として、独裁国家の独裁者の子弟を西側で学ばせてはなりません。

 人相見の話を続けます。ロシアのプーチンの顔、特に目つきには強い権力志向、残忍性が見られます。彼は以前はそうではなかったようですが、東ドイツでのスパイ生活の後の長い権力の座で徐々にそういう顔になっていってしまったのでしょう。正直、習近平の顔には残忍性は見られません。でも、10年以上最高権力者でいたために、他者への睥睨感があり、その驕りの心が顔に出ています。すべては自分でなんでもできる、中国語で言うところの「我習近平、説了算」と思っているからでしょう。

 権力はその人にとって楽しく愉快なことですから、長く持ち続けたいのかも知れませんが、これは麻薬を吸引し続けるの同じで、やがて身体を損ね、顔つきは確実に悪くなります。日本のマスコミ界、経済界にも100歳近い年齢になっても社内権力を手放さない人がいますが、悲しいかな顔は貧相になっています。人間は一定の年齢になったらやはり枯れるべきでしょう。枯れるということは地位、権力、栄華追求とは無縁になるということです。端から権力などと縁がなかった人間が言うのは説得力に欠けますが…。

HTS指導者のジャウラニ氏。

 上の写真は大阪の道頓堀、通天閣前新世界に入る路地の風景。

アサド政権崩壊で誰が喜び、誰が”負け組”か

 いやはや、日本の政界は相変わらず、「政治とカネ」の問題とやらで紛糾していますが、その間、国際情勢はドラスチックに動いています。大変化と言えば、中東シリア。50年以上政権を保持してきたアサド家が崩壊したことで、驚きました。父親のハーフィズ・アサドの後を継いで2000年に政権を掌握した息子のバッシャール・アサドが爾来ずっと独裁体制を敷いてきた。2010年から12年にかけて北アフリカ、中東に吹き荒れた民主化のうねり「アラブの春」でもアサド政権は倒れなかったのです。何故、今ごろになって倒れるのか。

 アラブの春の時にアサド政権に歯向かったのは「イスラム国(IS)」でした。この組織は非常に狂暴ということで周辺国やイスラム諸国の支持が受けられず、結局、ロシア、イラン、さらには欧米諸国の支援もなく、支配地域を狭められ、最終的に雲散霧消させられてしまいました。もちろん残党はアフガニスタンや東南アジアなど世界各地に散らばり、一定の力を保持していると言われますが、組織全体を束ねるリーダーがいないので、大きな勢力にはなりえません。

 で、今回、アサド政権を倒した反体制勢力って何者?メディアの報道を見ると、「シャーム解放委員会(HTS)」という組織で、トルコの支援を受けているとか。欧米からはテロ組織に認定されているのですが、ISほどの過激性はないようです。つまり、シリア国内の反アサド勢力が糾合してできた”穏健な”組織であり、ISがかつてイラクやヨルダンなど周辺国へも浸透を図り、あわよくば自らの「中東大帝国」を作ろうとしたような野望もないように見受けられます。

 したがって、シリアの政変がこの国内部だけで収まっているのなら、それはその国の勝手ということ。ですが、シャームが寄せ集め軍団であるなら、アサド後の政権作りをどうするか、非常に関心が持たれるところです。シリアはトルコの隣国であり、中東のあばれ牛イスラエルとも地理的に近い、地政学的に重要な位置にあります。アサド独裁政権は、ロシア、イラン、レバノンの武装組織「ヒズボラ」の支援を受けて維持されてきたとはいえ、トルコにとっても、NATOにとってもある程度の安心感がありました。

 それが今、国家経営の方向性も政治姿勢も分からないシャームなる組織に支配されたとしたら、周辺国は枕を高くして寝られないでしょう。隣国レバノン南部にいるヒズボラは最大の危機感を持ち、レバノン全土を自らの支配下に置く動きに出るかも知れません。今でもヒズボラ系議員がレバノン議会にいると言われますが、国内はシーア派のヒズボラと違うスンニ派やキリスト教徒も多い。南部ではイスラエルの攻撃にさらされているので、自らの生存をかけて全土支配を企むでしょう。

 一方、シリア東部やトルコ、イランの辺境地域に居留するクルド人もひそかに国家作りを狙うかも。というのはこの民族はずっと独自の統一国家を持ち得なかったので、それは悲願なのです。このクルド人には米国がバックに付いていると言われ、場合によってはこれを機会に建国を宣言するかも知れません。トルコ、西欧、米国にとってはアサド政権の崩壊は望むところでしょう。ただ、レバノンをヒズボラが完全支配したら、隣国イスラエルにとっては脅威になり、望まない筋書きです。

 今回のアサド政権崩壊で一番困ったのは、イランでしょう。シリアという同じシーア派系(アラウィー派)の橋頭堡を失っただけでなく、イラン北部に居座るクルド人が米国の力を借りて勢いを強めたら、イスラエルとの2正面作戦を余儀なくされます。シリアに駐留し中東への関与を図っていたロシアも今回の事態で拠点を失うことになります。もし、ウクライナ戦争への将兵転戦がなく、シリアでの軍事プレゼンスを落とさずにいたら、アサド政権の崩壊には至らなかったかも知れません。という意味ではロシアも”負け組”です。

 ガザ、イランを含めて中東地区は今、世界最大のホットプレイスであり、目が離せません。日本も中東にエネルギーを頼っている以上、刮目して見守るべきです。

 上の写真は山口県岩国市の錦帯橋の風景。ウィークデーだったので観光客は少なかったです。

長距離フェリー、ネットカフェ―睡眠を初体験

 一週間ほどかけて九州、中国地方、そして大阪を旅行してきました。男メンバー3人が29日夜、横須賀中央駅前に集合。一杯飲んでからフェリー埠頭に移動。横須賀ー門司間を運航する「ソレイユ」号に乗船して、午後11時45分、出航しました。船内は広々として快適空間。早速風呂に入り、酔いのほてりを静めました。湯舟はジェットバスで、低温のサウナも付いている。さらに、ドアを開けると、露天風呂もあったのでびっくり。ただ、船が動いて風が冷たい上に夜間に見る景色もない。あっても海原が続くだけで面白くないので、入浴は遠慮しました。

 門司到着は翌日の21時ですから、ほぼ丸一日かけての船旅です。3人の男が談話室で酒盛りし、2段ベッドに寝込んだのが夜中1時過ぎ。ベッドは成人男子の体形にはちょっと長さも横幅も不十分な感じ。174センチの小生でも頭が壁についた状態で寝て、足が反対の壁につく長さ。193センチの大谷翔平ならとても寝られる長さではない。でも、よくよく考えたら、大谷がこのフェリーの大衆向け客室を利用することはないと思いますが…。横幅ももう10センチあったらなーと思います。体重65キロの小生でもきつきつなんですから、100キロ近い人には、このベッド空間は苦痛かも。

 船の時速は約50キロとか。ですから、朝7時ごろに目覚めてもまだ和歌山県の潮岬沖。新幹線なら関西まで3時間程度で来られるのに、なんとゆっくりしたことか。で、航路はその後瀬戸内海を通らず外洋を行き、昼ごろに室戸岬、足摺岬沖を越え、豊後水道に入りました。船内にはレストランがあるのですが、朝飯、昼飯、夜飯時の1時間程度しか開かないので,食いっぱぐれることもある。もともとは貨物輸送主体のフェリーですから、乗客向けの暇つぶしサービスなどない。あるのは映画上映くらい。もっとエンターテイメントがあればいいと思ったのですが、それは欲張り過ぎか。

 門司港には定時に到着。埠頭には大型バスが用意されており、そのまま新幹線の小倉駅まで送ってくれました。この辺のサービスは申し分ない。ただ、残念だったのは、仲間が小倉か門司で予約したホテルの名を思い出せないので、途方に暮れる。後期高齢者老人の悲しいサガか。結局、新たに小倉駅周辺でホテル探しをしました。ただ、当日は福岡でジャニーズ系団体の若者向けイベントがあるとかで、どのホテルも満室。福岡に泊まれない人が小倉まで押し寄せてきたのです。これにも驚きました。

 ホテルがない以上、選択肢は限られる。まさか寒空に野宿するわけにはいかないので、駅近くのネットカフェーに一夜の”宿”を求めました。幸いなことに3つの個室がなんとか確保され、安堵しました。そのあとメシを食いに外に繰り出したのですが、午後11時近くなので飯屋はほとんど閉まっている。なんとか海鮮料理屋を見つけ、カキフライを頼んだのですが、これが存外にうまかった。ただ、すぐそばのテーブルでは、もう深夜なのに、件(くだん)のジャニーズ系イベントに来たと見られる若者が宴会をしており、うるさいことこの上ない。

 で、早々にそこを辞し、ネットカフェ―の個室に潜り込みました。小生、たまに東京に出て何人かとの約束の間に2時間以上の開きがある時、ネットカフェ―で時間つぶしをすることがあります。もちろん椅子にもたれて仮眠を取るのが目的です。でも、本格的に一晩の宿を求めたことはありません。今回、いい経験をさせてもらいました。その個室では椅子をフルリクライニングしてベッド代わりにし、そこにある小さい膝掛けや持ち込んだジャケットを掛けました。部屋も寒くないし、小生の身長なら足も十分に伸ばせるので、小生は着の身着のままでしたが、結構寝られました。

 ただ、部屋はわずかな板で区切ってあるだけで、背丈の上の部分は共通空間。数十人が個室を埋めているため、人のいびきとか、トイレなどに移動する音とか、やたらうるさい。それでも小生はなんとか眠れました。どこでも寝られるというのが記者時代からの習性。一緒に行った仲間は慣れない空間であるうえ、うるさいとのことで5時近くまで眠れなかったとか。その彼はちょっと太り気味なので、船でも十分な睡眠が取れず、ネットカフェ―でもこの有り様。大変な2晩になったようです。

 3泊目は、飛行機で来た他の女性メンバーも加えた本格的な九州旅行に。最初に泊まった佐賀県唐津のシーサイドホテルは超豪華ホテルであり、ベッドもふかふか。前2晩ちょっとみじめな思いをしてきたので、”隔世”の感がありました。2晩目は武雄市の有名ホテルであり、ここも豪華でした。

 上の写真は、武雄市・御船山楽園ホテル公園の紅葉。下の方は吉野ケ里古墳での再現家屋。