2011年第1クールでもっとも盛り上がったアニメ。
平凡な女子中学生の前に突然現れた魔法少女達と、彼女に魔女退治の為に「魔法少女になってよ」と迫ってくる変なイキモノが紡ぐダークメルヘン。
衝撃的な10話が放送された後に東日本大震災の影響で最終回の放映が一旦中止になり、完結が危ぶまれたことでネット上で異常な盛り上がりを見せ、ちょっとした祭り状態になっていたがどうにか無事に完結した。
放送告知の広告が読売新聞に一面で掲載されるという、アニメとしては異例の煽りも光っていたし、連日2chアニメ板のスレッドが異常な速さで回転していくさま、アキバでの盛り上がり具合などを見ているだけで楽しかった。
脚本を書いたアダルトゲームのシナリオライター虚淵玄のネームバリューで、「その筋」では放映前からかなり期待されていた作品だった。
つまり、魔法少女ものでありながら、深夜枠での放送といい、ライターの実績といい、最初から男性向けであることが分かっていた作品だった。
虚淵の書いた作品は10年くらい前の作品である『ファントム・オブ・インフェルノ』くらいしかプレイしたことなかったけど、制作スタッフの豪華さも相まって初回から楽しませてもらった。
数年に一度出るか出ないかってレベルの作品だと思うんだけど、ただ個人的には微妙な部分もけっこうあった。
「通常の」魔法少女ものにありがちな少女的な夢や希望、メルヘンを一旦は描きながら、それらをすべて否定した上で、尚、普遍的な夢や希望を描いたのはかなり面白いとは思った。
それは、実力のある作家が描いたなら設定や舞台、キャラクターの属性などがどうであろうと「シリアスなテーマのフォーマット」を当てはめてもきちんと機能しますよってだけのことなのかもしれないけれども、ギャップが生み出す衝撃はそれでも相当なものがあった。
ストーリー構成の完璧さ(見事すぎてあざとさを感じてしまったけど)、演出の華麗さがそれをうまく盛り上げている。
ただ、これって「魔法少女」である必然性ってあるの?ってのは常につきまとっていた疑問で、それは最終回を見終わっても拭いきることができなかった。
魔法少女というフォーマットでなければ描けないテーマだったとは思えない。
そりゃキャッチーだし、時代の要請なんだろうけど、ここで描かれている少女たちの成長って女としての成長じゃないんだよなあ。
少年の成長物語に近いものを感じてしまう。
たしかに女性の男性化、男性の女性化というのは現実世界でも進んでいるけれども、男性を主なターゲットにしているアニメ作品で、役割のある男性キャラが二人だけでしかもまったくの端役ってどういうこと?っていうのは違和感としてずっとあった。
まあ、百合ものだから、と言われればそれまでなんだけど、腐女子がホモカップルに恋愛の理想を見ているように、百合好きはレズカップルに「勇者とお姫様」の理想を見ているのかもしれない。
うーん、オタクの変態化がますます進んでいくんだなあ・・・。
それにしても、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん』が流行ったときもそうだったけど、この作品も『エヴァンゲリオン』との比較をしている輩がネット上にワラワラ湧いていた。
『ガンダム』や『ヤマト』と比較している人はいないし、『ハルヒ』と『まどか』を比較しているスレッドは見当たらなかった。
もうかれこれ16年、『エヴァ』はアニメの評価基準であり続けているのか。
すげーなあ。
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