2007年09月 : 異常な日々の異常な雑記 QLOOKアクセス解析 アクセスランキング

ロックとオタクと思想と政経と社会について思いつきを垂れ流すブログ
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『School Days』(元永慶太郎)

[ 2007/09/30 ]

凄まじくヘタレな主人公をめぐる三角関係を描いた、エグエグでドロドロなエロゲー原作のグロアニメ。
エロゲー原作のアニメを見たのは、これが初めて。

原作のゲームはプレイ時間が50時間くらいある、と聞いてやる気にならなかったが、アニメは全12話であること、オリジナルを超えるエグさであるということなので、見ることにした。
アニメ本編とともに、ゲームのハイライトシーンもニコニコ動画にあがっていたので、相互に補完しつつ鑑賞した。
事前にWikipediaでネタばれ情報を読んでいたが(でなきゃ見なかった)、それでも面白かった。

ここまでの経緯が素晴らしいスキャンダルにまみれている。
そして、そのスキャンダルがさらにこの作品の名声を高めている。
近年稀に見るロックな作品だと思う。


2005年に発表されるも、無名ブランドでまったくのノーマークだったにも関わらず、過剰なシナリオが評価され、その年のトップクラスの売上を記録する。

だが、リリースされた作品にはバグが続出したため、修正パッチが何度も連発される。

最終的に11回もパッチがリリースされ、最後のヴァージョンは200Mを超える容量になった。

今年になってアニメ化されるや、作品の影響を受けた模倣犯が現れ、最終回が放映中止に追い込まれる。

最終回放送に差し替えられた、何の変哲もない風景映像に写った船を、ファンサブで見ていた外人が絶妙なスレッドの流れのタイミングで「nice boat.」と評する。

以後、国境を越えて、オタクたちの間で「nice boat.」という言葉がネタとしてブレイクする。

放映中止にともない、ゲームの発売元がアニメ最終回の試写会を独自に開こうとするも、その入場資格に「未開封の『Shool Days』のソフト(約1万円)を持参する」という無茶な条件を提示する。(後に撤回)

CSにて放映されるや、ゲーム版を上回るグロくもカタルシスを感じさせる展開に「大絶賛」の嵐。
ボートも登場するサービスぶり。
事件がなくても地上波での放送は無理だったのでは、との声も。


作品の内容もさることながら、それにまつわるネタ、事件の豊富さに圧倒される。
一種の祭状態であるが、こういう無軌道ぶり、スキャンダラスさというのは70年代のロックで死に絶えたかと思っていたのだが、考えてみればエロゲー業界では多かれ少なかれ起こっているわけで、良くも悪くも商業的な環境の未成熟さが見せるトラブルを眺めるのは興味深かった。


内容自体は大枠としては昼メロの発展系でしかないわけだが、その描写の酷烈さによって、多くの人々にトラウマを与えるに十分な出来だった。
三角関係を描いた作品は恋愛ものでは定番であるが、ひどいご都合主義のハーレム作品もある一方で、シリアスな作品ではどうも男が頂点の三角関係ものはえぐい話が多い。
現実でもそうなのだろうが、やはり女性の人生における恋愛の比重の重さがうかがえる。

私は、これまで恋愛メインのエロゲーとしては『Kanon』とか『Air』とか、どちらかというと主人公がヒロインたちを救ってやる、という作品をプレイする機会が多かったのだが、オタク一般における評価の高さに比べ、個人的にはそれら恋愛を重視した作品にそれほどいれこまなかった。
今作のように対等な男女が近代的自我をむき出しにして恋愛をする作品にいたってはやったこともなかった。
だが、これには、ボリュームを圧縮したアニメ版とはいえ、苛烈な印象を刻まれてしまった。

近年、少女マンガで性描写の過剰な恋愛がクローズアップされているわけだが、オタク達のあいだでもおそらく『君が望む永遠』あたりから、過剰な恋愛描写のエロゲーがヒットするようになってきた。
それぞれ逆ベクトルから過剰な恋愛がマイノリティ達に支持されている、という現象が面白い。
おそらくクロスすることはないのだろうけど、男の恋愛妄想と女の恋愛妄想の行く末を想像してみるのも楽しい。


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[ 2007/09/30 ] アニメ | TB(0) | CM(-)

『天元突破グレンラガン』(今石洋之)

[ 2007/09/30 ]

エヴァ以来となるガイナックスのロボットアニメ。
今日、完結した。
庵野秀明が現場を離れてからのガイナックス作品はどうも見る気になれなかったのだが、この作品は前評判も高かったので、1話から見ていた。

超越した存在によって地上を追われ、地下に追いやられた人々が様々な敵と戦い、様々な味方と出会い、そして別れていく話。
主人公がどん底からヒーローへと駆け上がっていく展開には古きよきロボットアニメの王道を感じる。
エヴァ以降、様々なSFアニメで顕著になった病的な迷走や難解な衒学趣味は希薄で、正しく子供のための熱血アニメになっていた。
多くのキャラクターが次々と死んでいく作品だが、その死にっぷりがどれも清々しくて、心が洗われる。
後味の悪くない、悲しさ。

リアリティなき世界において、ひたすらテンションを盛り上げていく怒涛の展開が爽快だった。
これは演出の勝利。
8話の悲劇から見せる異様なテンションが、ラストまでまったく衰えない構成力に感動する。
ストーリーそのものよりも、作品を貫く志の高さにしびれる。
最後まで見た人なら、誰もがきっとがんばろう、と思える作品になっていた。


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[ 2007/09/30 ] アニメ | TB(0) | CM(-)

『車輪の国、向日葵の少女』(あかべぇそふとつぅ)

[ 2007/09/26 ]
日本に酷似した背景を持つものの、「特別高等人」と呼ばれる人々の裁量によって法が運営されている国で、その特別高等人になるべく試験を受ける少年と、刑罰に相当する「義務」を負った少女達との交流を描いたヴィジュアルノベル。

広義のディストピアものではあるが、エロゲー的なノスタルジック人情話が秀逸で、危うく泣きそうになった。
現実社会の功利主義的な体制に対する批判は感じるものの、ディストピアものにしてはそれほどシニカルさが感じられないのは、主人公がそれぞれのヒロインを救ってやる、というエロゲーフォーマットにも忠実だったからかもしれない。
人間観自体が真摯で、ひねったところがないのにも関わらず、きっちり感動できたことにライターの実力を感じた。
なんだかんだ言いつつ、人間性に対する深い信頼がそこにはある。

また、ディストピアものといえば大抵の場合、共産主義に代表される超管理国家であるのだが、この作品ではプラトン的な哲人政治によって運営されている国家を題材にしている。
いずれにせよ、イデオロギーに跳ねた集団の内実が醜く描かれるのはこの手の作品では常套ではあるが、哲人政治がそこで描かれる、というのはちょっと例がないかもしれない。
ただ、これは個人的な興味でしかないけれども、設定としてこれだけ面白いものを持ってきたのなら、もう少し、その哲人政治の歴史や内実を描いてほしかった、というのはある。
「エロゲー」の限界なのかもしれないけれど、設定の面白さをエロゲーフォーマットが邪魔しているような気がしてならなかった。
たしかにそっちのフォーマットでも感動できるし、大多数のユーザーはそっちを望んでいるんだろうけどなあ。

どっぷり作品世界を楽しむことはできたんだけど、少し食い足りない気がして、それだけが残念だった。


車輪の国、向日葵の少女(通常版)
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[ 2007/09/26 ] ゲーム | TB(0) | CM(-)
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