長いのだから見せ場もたくさんあって当然だが
『最後のジェダイ』はスターウォーズ史上過去最長の152分。
2時間半ということでなかなかの長さ。
これだけあれば良いシーンもさぞ多かろうと思いきや、意外とそうでもなかったりする本作である。
視聴者の予想を裏切ろうという試みが多く、それがとてつもなくくどい。
普通ならこうなるよね、だからそうしませんと言われた気になるのだ。
そういった『外し』は少しで十分なのに、これだけ長い映画で何度も見せられると結構辛いものがある。
スノークの殺され方、ルークの死に方もそういった外しで、脚本時点では良いアイデアだと思ったのかもしれないが、そういうシーンの連続で成り立っているようなものなので布石もなにも効いてない。
ルークの死に際は特にわかりやすい例で、オビワンの代わりのような働きを持っているため、カイロ・レンの前に出た時点で誰も死を予感するだろう。
それを覆すためにああいった演出(幻影)を見せ、そして最期を迎えさせたわけだ(結局死ぬんかい
フォースをただのチャチな超能力にした
スターウォーズっぽく無いなーと感じたのがフォースの解釈。
マーベル、DCコミックスのヒーローみたいになってた。
フォースを都合の良い超能力にしちゃダメ。
結果的に超能力に見える――というのがフォースの本質。
だけどこの作品の場合、岩を持ち上げるシーンが出てくるとただのサイコキネシスに見えちゃう。
そういう能力に目覚めた、みたいな。
昔ヨーダが沼に落ちた戦闘機を浮かせていたけど、その際のルークとのやり取りを忘れちゃダメ。
魅力のない悪役
スノークのやられ方がマヌケ過ぎる。
いや早々に退場するという展開自体は良いと思うんだけどね。
皇帝ポジションのキャラクターとしてはしょぼいなーと感じた。
かつてダース・ベイダーが不意打ちでシスを突き落としたけど、同じ不意打ちでもそれとはちょっと違うよね。
一応もっともらしい解釈でフォローすると、カイロ・レンは暗黒面のままだったので裏切るつもりはないとたかをくくっていた可能性がありますね。
でも基本雑魚(スノークからすれば)相手にはやられちゃダメなんだけどね。
格下相手の行動を読む力、未来を見る力があるわけだから。
で、代わりにトップとなったカイロ・レンもボスキャラとしては弱い。
強さ的な意味じゃなくて印象的に弱い。
すぐに動揺するし、凶悪さも凄みも何もない。
駄作と言われがちな新三部作だったけど、今思えばダース・モール、ドゥークー伯爵、グリーヴァス将軍と敵キャラは良い味だしててたかもなー。
まとめ
今回は割と酷評気味。
展開をズラすことで意表を突いたつもりなのかもしれないけど、逆に読めちゃうという謎の現象が起きてしまった。
変わったことをしようとして長所を潰しつつ、いらないシーンもてんこ盛りと、長い映画をさらに長く見せる工夫までしてくれている。
ローズとの恋愛っぽいシーンとかもいらんよね、ぶっちゃけ。
逆にレイア、ホルドの言い分の正当性はもっときちんと見せた方が良かったかもしれない。
単独行動がなければポッドで全員逃げおおせたことだろう。
敵さんも基本アホしかいないし。
コメディシーンの追加は悪くなかったと思う。
その緩和材料で多少は視聴者が飽きにくくなった。
個人的にもちょっと笑ってしまったシーンがちょこちょこ。
まあ賛否あるんだろうけどね(スターウォーズらしくないから
戦闘シーンは過去作に比べるとかなりスピーディー。
特にセイバー戦は意識的に早くしていたようだ。
だけどスローモーションにするのはダメ。
マトリックスじゃないからね。
映像技術が進歩した時代に作られた新三部作でもセイバー戦ではスローなかったでしょ。
そういう見せ方がスターウォーズの個性。
他にもいろいろ言いたいことはあるんだけど(ルークの分身とそれに対する周囲のリアクションとか)、上げるとキリがないので、今回はこれぐらいで。
時間が経てば良いところも見つかるかもしれんしね。
でもこの時点では新三部作のほうが良かったと思ってる次第です。
旧三部作に比べると話はアレだったけど、それでもあれば紛れもなくスターウォーズだった。
追記:
「素晴らしい。全て間違っている」という言い回しは結構好き。
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