「どうぶつのタマタマ学」
丸山貴史(著),成島悦雄(監修)「進化のたまもの! どうぶつのタマタマ学」について。
例によって通勤電車で読んだのだけれど、大きな見出しで「精液」とか「陰嚢」とかいう文字が現れるので、前や横に女性がいると、あわてて読み進むのだが、ページをめくってもやっぱりそういう文字が現れる。
ということで、書名を「金玉」とかにしなかったことの言い訳が次のように書かれている。
が、ここは真摯な生物学愛好家として、そうした周囲の眼など気にせず読み進めなければならぬ。
一方、多くの動物は生殖器を見せびらかす。生殖の準備ができていることを示し、雌雄とも相手にアピールするのである。
それが生物として自然な行動であるという含意を持ってだろうか、著者は書いている。
ところでデズモンド・モリスは『裸のサル』で、性を秘め事にする人類のスタイルは、一夫一婦制を守るためにできたものではないかとしていたと思う。人類のメスはセックス・アピールが強く多くのオスを引き付けてしまう。しかしそれでは他種に例がないほど負担の重い出産・育児へのオスの協力が得られにくくなる。確実に養い主のオスをつなぎとめるためには、セックスを秘め事にせざるを得ないというような理屈だったと思う。
上の藤子・F・不二雄ワールドの紹介の前に、次のように書いている。
もっとも人類は、陰に隠れて交尾していても、大きな声を上げるメスがいる。そうすると周囲のオスをも惹きつけてしまうのだが、なぜ声を上げるメスがいるのか。これもなかなか難しい問題である。
なんだか本の内容に入る前に妄想を書きすぎた。
中身の面白いところは稿をあらためて。
例によって通勤電車で読んだのだけれど、大きな見出しで「精液」とか「陰嚢」とかいう文字が現れるので、前や横に女性がいると、あわてて読み進むのだが、ページをめくってもやっぱりそういう文字が現れる。
生殖器って下品なの?
では、なぜ生殖器の名前を出すことが下品だと思われるのでしょうか。それは、ヒトの社会において、交尾は隠す傾向にあるからです。そのため、交尾に用いられる生殖器についても、露骨に言及するのは無作法だと考える人が多いのでしょう。こうした感覚は、イギリスのヴィクトリア朝時代でとくに強く、同時代に活躍したチャールズ・ダーウィンは、フジツボの生殖器について記述するのにさえ、かなり窮屈な思いをしたようです。
ちなみに、いまでも日本では、公共の場で生殖器を露出していると、「公然わいせつ」という罪に問われる可能性があります。有罪になると、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金という、そこそこ重い刑に処されますから、生殖器というのは国家的にも隠すべきものなのです。
では、なぜ生殖器の名前を出すことが下品だと思われるのでしょうか。それは、ヒトの社会において、交尾は隠す傾向にあるからです。そのため、交尾に用いられる生殖器についても、露骨に言及するのは無作法だと考える人が多いのでしょう。こうした感覚は、イギリスのヴィクトリア朝時代でとくに強く、同時代に活躍したチャールズ・ダーウィンは、フジツボの生殖器について記述するのにさえ、かなり窮屈な思いをしたようです。
ちなみに、いまでも日本では、公共の場で生殖器を露出していると、「公然わいせつ」という罪に問われる可能性があります。有罪になると、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金という、そこそこ重い刑に処されますから、生殖器というのは国家的にも隠すべきものなのです。
(第1章冒頭から)
はじめに | ||
第1章 タマタマの基礎知識 | ||
1 タマタマとはなにか? | ||
耳慣れないタマタマという言葉を使うわけ/生殖器って下品なの?/交尾を隠す動物もいる?/外性器と内性器/収納できる外性器/哺乳類はみんな包茎 | ||
2 タマタマの機能 | ||
タマタマは精子をつくる/精子と精液/雄性ホルモンをつくり出す/睾丸と金玉/それは私のおいなりさんだ | ||
第2章 陰嚢の謎 | ||
1 陰嚢のある哺乳類 | ||
哺乳類の分類/陰嚢のない哺乳類もいる/もともとあったか、なかったか | ||
2 陰嚢の役割 | ||
鼠径管を通って陰嚢へ/陰嚢ができたのはなぜ?/陰嚢は冷えやすい/血管による熱交換/本当に高温に弱いのか?/陰嚢をめぐるさまざまな説 | ||
3 鳥のタマタマ | ||
鳥にもタマタマはある/チンチンを持つ鳥は少ない/卵とチンチン/鳥は陰嚢がなくても平気なの?/恐竜のタマタマ | ||
第3章 タマタマを切ろう | ||
1 動物の去勢 | ||
どうして切るの?/愛玩動物の去勢/食用動物の去勢/サラブレッドの去勢 | ||
2 ヒトの去勢 | ||
ヒトだって去勢する/去勢をして出世しよう!/宗教上の理由による去勢/美声を求めたカストラート/日本の去勢事情 | ||
第4章 食べものとしてのタマタマ | ||
1 海の動物のタマタマ | ||
わりとメジャーなマダラの白子/いろいろな魚の白子/卵巣か? 精巣か? ウニの生殖巣/そのほかの棘皮動物 | ||
2 陸の動物のタマタマ | ||
意外とレア? 哺乳類のタマタマ/ブタのタマタマは出まわりやすい?/ウシのタマタマは「山のカキ」/レアな哺乳類のタマタマ/おうちでも食べられる?/わりとレアなニワトリのタマタマ/鳥のタマタマは小さい? | ||
第5章 タマタマの雑学 | ||
1 タマタマの大きさくらべ | ||
最大のタマタマの持ち主は?/最小のタマタマの持ち主は?/タマタマの大きさと繁殖スタイル/乱婚のものはタマタマが大きい/アンテキヌスの過酷な繁殖行動/タマタマが大きいと偉い?/同じ種でも大きさが変わる | ||
2 いろいろな動物のタマタマ | ||
陰嚢をなくした哺乳類/半水中生活をするアザラシ上科/カバのタマタマは移動する/おしりの穴に収納したビーパー/男勝りなプチハイエナのメス/オスも袋を持つ有袋類/穴を掘る哺乳類/中途半端に陰嚢をなくした哺乳類/タヌキの金玉は畳8枚分?/オスの体全体が陰嚢になる動物/タマタマだけで繁殖するパロロワーム | ||
解説 | ||
参考文献 | ||
著者・監修者プロフィール |
……書名に入れるワードとして、金玉はあまりにも下品すぎるという意見が出たためです。本書を手にとってくれた方であれば、「金玉のほうがわかりやすい」と思うかもしれません。でも、書店で生殖器の名前を目にすると、不快に感じる方も一定数いるようなのです。それが、タマタマであれば、「偶々」や「マタマタ」などと誤認してくれる可能性もありますから、婉曲に表現することには利点もあるんですね。
せっかく書名に配慮したのに、開くページページに「陰嚢」「精液」の文字が並んでは……が、ここは真摯な生物学愛好家として、そうした周囲の眼など気にせず読み進めなければならぬ。
一方、多くの動物は生殖器を見せびらかす。生殖の準備ができていることを示し、雌雄とも相手にアピールするのである。
それが生物として自然な行動であるという含意を持ってだろうか、著者は書いている。
余談ですが、藤子・F・不二雄は『気楽に殺ろうよ』という作品で、「交尾をあけっぴろげに行い、食事を隠すべきものとする」 パラレルワールドを描きました。その世界において、主人公を診察した精神科医は、「種の繁栄につながる公益的な欲望である性欲は罪深いものではなく、個の生存を目的とした独善的な欲望である食欲は恥ずべきものだ」という価値観を示しています。
この作品については全く知らなかった。というか、こういう内容なら、藤子不二雄Aっぽいように思うのだけど。どんなマンガか気になってネットを検索したら、YouTubeに動画化(アニメではない)したものがあった。
ところでデズモンド・モリスは『裸のサル』で、性を秘め事にする人類のスタイルは、一夫一婦制を守るためにできたものではないかとしていたと思う。人類のメスはセックス・アピールが強く多くのオスを引き付けてしまう。しかしそれでは他種に例がないほど負担の重い出産・育児へのオスの協力が得られにくくなる。確実に養い主のオスをつなぎとめるためには、セックスを秘め事にせざるを得ないというような理屈だったと思う。
上の藤子・F・不二雄ワールドの紹介の前に、次のように書いている。
でも、なぜヒトは交尾を隠すようになったのでしょう。さまざまな意見がありますが、ヒトは交尾行動や生殖器を隠すことで、交尾の価値を釣り上げているのだと考える人がいます。「隠されると見たくなる」という心理を突いているわけですね。そして、交尾の価値が上昇した結果、それを取り引き材料にして、メスはさまざまな要求をオスに突きつけることができるようになったのかもしれません。
もっとも人類は、陰に隠れて交尾していても、大きな声を上げるメスがいる。そうすると周囲のオスをも惹きつけてしまうのだが、なぜ声を上げるメスがいるのか。これもなかなか難しい問題である。
これをチコちゃん(Don't sleep through life!)に訊いても、多分、教えてくれないだろうなぁ。
深夜の民放番組で「〇〇ちゃんに笑われる」(Don't sleep in bed!)というような番組を企画したらどうかな。(〇〇ちゃんは、イクでもシコでも、ソコでもお好きな名前を入れてください。というかチコちゃんという名前には何か思いがこもってるのだろうか)
なんだか本の内容に入る前に妄想を書きすぎた。
中身の面白いところは稿をあらためて。