地球防衛
NASAが小さな探査機を小惑星に衝突させる実験に成功したことが報じられていた。⇒NASA、無人探査機を小惑星に衝突させる実験 軌道の変化確認へ(BBC News)
太陽系にはたくさんの小惑星があって、それがたまに地球へやってくる。隕石である。小さなものは大気との摩擦で燃え尽きるが、大きなものは地球へ衝突し、地球の生物世界に甚大な被害を与えるとされる。
良く知られているように、恐竜が絶滅した原因の有力な説は、彗星衝突である。これは中生代と新生代の境界地層には、通常では考えられないほどのイリジウムがあって、それは彗星由来であろうとされている。
さらに古生代と中生代の境界にも同様の状況が見られ、地球での大絶滅は、一度ならぬ彗星や隕石の衝突があったのではないかとされている。こうした大絶滅を引き起こすような天体衝突は数千万年に１度ぐらいの割合で起こるともいう。
このような事態が今起こったら、それは人類への膨大な災厄となると考えられ、それを防ごう、そのため地球に衝突する小惑星が見つかったら、その軌道を変えようというわけだ。
こうした設定の映画は今までにいろいろ作られている。
隕石衝突モノの映画ランキングというページがあるが、あの大ヒットしたアニメ「君の名は。」もその一つ。
今のところ地球にぶつかりそうな小惑星は発見されていないというが、まだ観測されていない小惑星もあるだろうし、小惑星同士の衝突とかで軌道が変わることもあるだろうから、まったく安心ということにはならないのかもしれない。
あるニュース番組で紹介されていたのだが、小惑星の軌道を精確に把握するためには、継続的な観察が必要で、このため世界の天文家（アマチュアも多い）が協力して追跡しているという。大天文台は多様な研究目的で望遠鏡を向けるから、特定の天体の追跡はできないからだそうだ。
こうした努力には頭が下がる思いだけれど、同時に本当に衝突回避ができるのだろうか。
地球にぶつかるほどの小惑星だったら、その大きさはかなり大きいものだろう。それに比してはるかに軽い探査機の衝突で軌道が有効に変更できるのだろうか。軽い探査機が大きな運動量で衝突するためには、相当な高速でぶつからなければならないが、そうなると狙いを定めてぶつけることが難しい。
NASAの実験は、どのぐらいの速度でぶつけたんだろう。
小惑星に到達する技術なら、はやぶさで２度経験しているが、高速衝突はまた別の技術だろうな。
地球に衝突することが判明するということは、同時に衝突の正確な日時もわかるということである。
恐竜たちは何も知らず、まさに青天の霹靂のことだっただろうけど、人類は絶滅へのカウントダウンを体験することになる。その期間はどのぐらいだろう。
六二郎。
