昭和の遊び~ワンバン野球

昭和の子供である(大人でもある)私が、昔よくやった遊びについて。
こ のごろは近所の子供が集まって草野球をするというような姿はあまりないらしい。
最近は、野球にしろサッカーにしろ、きちんとしたチームがあって、野球場とかサッカー場というところで、きちんと審判までつくような環境で、公式ルールに則ってプレイするものらしい。
先日、NHK「プロファイラー」の“ベーブルース”を見ていたら、ベーブルースが現れるまでは、バッターはボールをグラウンドに打ち付けるスタイルが主流、フライアウトを避け、バッターとランナーを連動させる戦術性の高いスポーツだったという。
番組では触れられていなかったが、これはタイ・カッブのスタイルで、ゲーム性云々の前に、反発力の弱いボールが使われていた時代のことという説もある。

はじめに書いたように、この頃は子供の野球といっても、用具・ユニフォームを揃え、野球場などで、1チーム9人(以上)で行われるの普通だが、私が子供の頃は、そういう「正式」な競技をやるチャンスはそうそう身近なところにはなく、野球まがいのことを、ちょっとした空き地でやるというのが普通だった。(最近は空き地がないからできなくて当然かもしれないが)
そしてそういう環境で、子供の数もそろわない状態で遊ぶには、独特のルールが必要となる。
ワンバン野球も、誰が作ったのか、そうした独特のルールで遊ぶものだった。
ネットでワンバン野球を調べても、私が言うような野球まがいの遊びのことはヒットしないようなので、ここに記録のために、うろ覚えだけれどルールを書いておく。
まず1チームの人数だが、特に決まっていない。集まった子供たちを2チームに分けて、みんなが守りにつく。奇数人数だと余りが出るわけだが、そういう場合も仲間内で認める「格」というものを配慮してどちらかのチームへ入れる。
たいていの場合、10人も集まらないから、守備につけるのはピッチャーを入れて4~5人だから、普通の4ベースだとヒットばかりになる。また空き地も狭いことが多いということもあるから、普通は三角ベースで遊ぶことになる。また守備人数がどうしても少ないからキャッチャーは相手チームに頼んで、ピッチャーのボールを受けることに徹してもらう。当然盗塁は禁止である。
というか、バッターがボールを打つまで離塁禁止で、離塁が早かったらアピールプレイによりアウトとなる。
![]() 元画像:高岡おとぎの森公園 ドラえもんの空き地 |
使うボールはゴムボール(軟式テニス用のボールだったかもしれない)。ピッチャーはこれを下手から投げ、バッターはバットなど持たずに素手(通常握り拳)で打ち返す。
そして「ワンバン野球」という名前の由来がこの打球の制限。フィールドには円弧を描いて示す扇型の区画があり、バッターはこの区画内にボールをワンバウンドさせなければならない。この区画をノーバウンドで超えると即アウトである。
こうすることで狭い空き地でも遊べるし、野手が少なくてもヒットが出にくくなり、ゲームとして面白みが出るわけだ。
つまりこのワンバン野球、道具はゴムボールだけで成立する。バットもグラブも不要である。(ベースはそのへんの石ころを集めて目印にすれば十分である)
三振や四死球、ファウルや、アウト、セーフの判定は野球と同じだけれど、ワンバン野球では時として独特のルールを導入することもあったように思う。それはランナーにゴムボールを当てればアウトというルール。もっともこれはある意味危険で、ツーアウトやランナーなしなら問題ないが、他にランナーがいる場合、あたってあらぬ方向へボールが弾んでいけば、その間に走られてしまう。また、ボールをランナーにフェアキャッチされたらアウトにならず、それどころかそのボールを遠くへ投げられたら万事休すともなる。
少年野球とか公式の野球をする子供にはバカにされるような話だろうけれど、昔はこういう遊びもあったんだ。そしてこういう遊びだと、小学校の低学年から高学年まで、男の子も女の子も一緒に遊べる。
もっとも、今はこんな遊びができるような空き地も少ないだろうし、年齢が違う子供が集まって遊ぶようなことも減っただろう。それに、公式の野球グラウンドでやったら滑稽だろう。
昭和な遊びである。