国大協は「論点整理」で新テストに関して何が言いたかったのか?(2)
「最も考慮すべきこと」として、記述式試験を採用しない自由を認めるのも選択肢だと主張している点が実は重要である。個別試験において、記述式・論述式試験が適切に行われれば、何も拘る必要がないのではないかというわけである。主要な国立大学が、共通試験の記述式試験の結果を利用しないとすれば、文科省の検討・準備グループは、正に労多くして益少ない議論をしてきたことになる。「それを言っちゃあ、おしまいよ。」というような指摘である。しかし、国立大学としては、あくまで個別試験によって入学者選抜を行うことを原則と考えていることは明らかで、文科省もそれを容認せざるを得ないと考えるならば、新テストの検討も再び原点に立ち返って、現実的にオペレーション可能な形に整理し直した方がよい。
論点整理という中途半端な文書を公開したことは異例だが、文科省の検討・準備グループが袋小路に入り込んで行くのを、現実に引き戻す効果が得られれば、まんざら悪くもない。恐らく国大協は裏で文科省と調整しているはずだから、今回も、文科省の露払い役として機能しているものと推測できる。今後、政策の方向転換があれば、やっぱりということになる。そうならなかったら、文科省はこの件に関して当事者能力を失っていると見なして良い。そもそも、国大協の論点整理などという婉曲な手段をとらずに、文科省が自力で落とし前を付けられないのだろうか?これまで新テストの迷走気味の検討に費やした年月は、何だったのだろうか?虚ろな真夏の夜の夢だったのなら、早く目覚めるに越したことはない。
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