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尖閣ビデオ流出をめぐるチェス

念のために書いておきます。
以下は私の個人的見解であって、私が代表を務めている会の公式見解ではありません。
会の公式声明はこちらです。むろん、流出犯をヒーロー視して擁護しているわけではありません。
この流出事件を、最重要容疑者である検察自身が捜査することに問題提起しているとお受け取り下さい。

で、私の個人的見解ね。
例の流出ビデオ。メディアは「義憤」という言葉を使っていますが、何が義憤なんだかまったく判りません。衝突事件そのものが隠蔽されたというならともかく、あのビデオだけでは、せいぜい、「素人目に見たら、漁船が悪いようにも見える」程度の代物でしょう。
もちろん、プロの操船関係者なら違う意見が出る可能性だってある。
そもそも、肝心の船長はすでに釈放されていますから、この件に関しての政治判断がいまさら動くわけもないし、日本語で編集されたビデオというだけで、国際的な問題にする気も見られない。
強いて義憤というなら、その「高度な政治的判断を、那覇地検が独断でやったこと」への抗議でしょうかね。ただ、そんなものに職をかける人がいるかどうかは疑問ですが。

とはいえ、2ちゃんねるあたりから、便乗デマも流れているようです。
いわく、中国漁船側が、海上保安庁職員を銛で突いて二人殉職したとか、海上保安庁職員が、犯人を庇って、全員「自分がやった」と主張しているとか。
どっちもデマなんですが、特に前者のは、ほとんど関東大震災の時の「朝鮮人が毒を入れた」レベルの悪質なものですね。論理的に考えてそれはあり得ないってことが判らないのだろうか。まあ、論理的思考ができるなら、そもそもこんなのに引っかからないわけですが。

で、それはともかく、マスコミが必死で「義憤」を煽っている報道にもかかわらず、大半の人は、このビデオ流出に裏があると考えていらっしゃるようです。

けっこう見られるのは、TPPや八ツ場ダム中止撤回を今週のでかいネタにしないための「官邸陰謀説」です。

ただ、私としては、ビデオ流出だけでも政権バッシングの理由になるうえ、ましてやAPECの時期にこれをやって日本の情報管理の不行き届きを晒し、さらに不要に中国を刺激して、その結果、日中首脳会談や日ロ主要会談が吹っ飛べば、最悪の場合、倒閣方向に進むこともあり得るだけに、官邸は、いくらなんでも、そこまでのリスクを取るほどのバカではないだろうと。

(もっとも、「菅+仙谷は、小沢叩きさえやっていれば、霞ヶ関とマスコミが自分たちを守ってくれると本気で信じているんだよ」という意見もありますが)

いずれにしても、告発状受理の話は見事に消されました。前日にちょうど検討会議のメンバー発表があって話題になっていましたから、ここで告発状のことが出れば、今週のニュースはかなり検察に批判的な流れになったものと思われたんですがね。いやあ、やられちゃいましたね。

いずれにしても、動機を考えてみますと、今回のビデオ流出は、それでなくても外交失点が多いという批判を受けて支持率急速低下中の官邸が、またもや下手に対応すれば、流れ次第では倒閣まっしぐらもあり得るというネタであるということを考慮いたしますと、内閣崩壊となれば、当然、法相も辞任となり検討会議も白紙になりますから、いずれにしても、唯一得をするのは、改めて、検察組織かと

もちろん、そう考えるなら、どなたか米国と近いところにいて、かつ、ポスト菅を狙える政治家と検察が組んでやった可能性もあるかもしれませんね。その場合、ポスト菅は前原その人物で、自民・みんなと連立、小沢離党というシナリオでしょうか。

とりあえず、検察正常化と、これ以上の日本の属国化を防ぐことを当面の第一義に考えるのであれば、柳田法相退任にならないように、当面は菅消極支持するしかないんですかね。

テーマ : 時事ニュース
ジャンル : ニュース

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