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検察審査会から音楽スタジオまでの長い一日

 さて、伊藤詩織さん関連の文書開示がされたので、行ってまいりました。

 簡単に経緯を言いますと、伊藤詩織さんの検審申し立てが「不起訴相当」と議決されたのが、9月22日。
 じつはこの時点まで、私としては、この問題に踏み込むとは思っていなかったわけです。
 が、江川紹子さんがネットに晒してくださった詩織さん事件の議決書を見て、目を疑っちゃったわけです。
 なにこれ、異様。

 つまり、あたくしが代表を務める「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」でも、いままで検審申し立てを何回かやっているわけなんですが、こんな議決書見たことない、わけです。
 ふつう、議決書というのは、どういう証拠を見て、どういう議論をして、どういう判断を下したか、ということが説明されています。議事録が公開されない以上、それは最低限やらなくてはならないことでありましょう。

 で、以前の田代虚偽報告書事件では、3ヶ月毎に半数が入れ替わる検審で、8ヶ月もかけて(つまり最初の審査員は全員入れ替わっている)審査し、しかも、補助弁護士の正体が、東京弁護士会の会長と副会長だけで審議会も開かずに独断で選んだ元検察高官(なんじゃそりゃ!)。で、起訴相当ではなく「不起訴不当」でおさめちゃって、世間の批判を浴びたわけです。
 そりゃもう、誰が見たって、補助弁護士が誘導しまくって、しかも起訴議決が出そうになるたびに引き伸ばして審査員を変えたと見えますわな。
 ただ、その検審ですら、議決書自体はちゃんとしてたわけです。いちおう、A4用紙13枚びっしりと、どう審議されたかは説明されているわけです。

 ところが、詩織さんの議決書には説明がありません。そういう証拠を検討したのかも不明です。しかも、補助弁護士名も記載されていません。

 補助弁護士名は、議事録に記載されなくてはなりませんので、名前がないということは、議事録が違法であるか、もしくは、補助弁護士が存在していなかったということになりますが、その場合、準強姦罪についての法律や判例、また、今年になって世界的趨勢を受けて性犯罪が厳罰化されたことなどの、適正な説明を、誰が審査員にしたのでしょう?

 というわけで、開示請求を行ったのが、9月29日です。
 で、それがようやく開示されたわけですね。

 といっても、恒例のこととはいえ、不開示の文書がまず多いです。
 議事録はおろか、検察審査員の選定基準も公開されないし、どういう説明をしたかという記録も出さないし、開催日程も、どういう資料が配布されたのかも、出ません。その理由が素敵です。議事録も、どういう説明をしたかという記録も、開催日程も、どういう資料が配布されたのかという記録も、「個別の審査事務に関する文書」であって、「行政文書」じゃないんだそうです。
 そして、「平均年齢のわかる審査員選定録」は「廃棄した」んだそうです。
 どこの佐川だよ(笑)。

 ただ、じつは、検察審査会がとんでもないブラックボックスなのは、陸山会事件の時から問題になっていたことなのでして、上記の文書の不開示は想定内。

 で、そういう意味では、開示される文書も、どういうものが来るか、しかも、開示されたとはいえ、ほぼ黒塗りなのも、想定内ではあったわけです。

 が。
 今回、それまでの開示文書と一点違う点が。

 つまり、「検察審査員及び補充員選定録」という文書が4枚あることで、少なくとも4回の審査会が開かれたことがわかるわけですが、今まで公開されていた、立会判事と検事の氏名が、詩織さんのケースでは、黒塗りになっています。
詩織さん選定録

 検審事務局によると、筆跡や印影は個人情報に当たるという判断が今回からなされたため、非開示になったとのこと。へえー。印影はともかく、公務員の筆跡が個人情報って。それも、今回から、ですか。
 ちなみに、以前のはこんな感じ。
以前の選定録


 まあ、なんといっても、検察はすべての証拠を検審に出さなくてはならないという規定すらないので、都合の悪い証拠を出していない可能性はじゅうじゅうあり、ましてや、検察官がニセの証拠まででっちあげて検審に渡していた前科まであるわけなんですが、そのうえ、審査補助弁護士がいたかどうかも、補助弁護士がいないとして、どういう説明がなされたのかも、さらに審査員の選定に誰が立ち会ったのかも不明、というわけなんです。

 みなさん、これが日本の司法の実態なのですわ。すごい法治国家です。

 と、気を滅入らすヒマもなく、検審に持ち込んだパソコンとポータブルスキャナで黒塗り書類を大量スキャンしたあと、ちゃちゃっと弁護士会館でゴハンを食べて、次に出かけたのが、リハーサルスタジオ。

 はい、この19日開催の、安冨歩さん、大熊ワタルさん、阿部篤史さんとのライブの4時間にわたるリハーサルでございます。
 安冨さんは、なんと新曲2曲を初演。どっちもかなりおもしろいのですが、個人的には万葉集の...(あ、詳しい内容は当日まで内緒ね)が、かなり心に響きました。
 それから、このメンバーの定番の曲としてのビクトル・ハラ作品や「鳥の歌」のほか、今回は、阿部さんの泣かせるピアノを聴いていただく名品や、グルーブ満開のキューバものもやりますよ。
 また、特別ゲストとしてご参加の、鉄琴の片岡祐介さん、一曲だけご参加のはずが、なんか.....いろいろ叩いていらっしゃったような....当日が楽しみ。

「さあ、では休憩にしましょう」
「わあい、休憩だ」
 といって、セッションを始めちゃったりする(どんだけ音楽が好きなのよ)愉快な方々との、強烈に楽しく、また、キレのあるライブになる予定です。それから、安冨さんとお衣装の打ち合わせも。こっちもすごいことになりそうです。

 こちらは、いろいろトンデモであった今年の嫌なことを吹き飛ばし、来年への活力をお互い充電する、すてきな一夜になりそうです。

12月19日(火) 大塚 Welcomeback 八木啓代&Friends feat. 安富歩
(東京都豊島区南大塚3-44-11 フサカビルB1)
お問い合わせ・ご予約/03-5957-5141
Open p.m.6:30 Start p.m. 7:00 〜 Charge:3000円
アクセス/JR「大塚」駅下車。南口から徒歩2分   地図

あの「ヤバい4人」が再びライブに結集!エリートの欺瞞言語を研究した『原発危機と「東大話法」』、「超訳論語」など話題の書籍を次々に上梓しつつ「女性装の東大教授」としても話題を集める安富歩氏をゲストに、東京アンダーグラウンド界から世界を股に縦横無尽に駆け巡る大熊ワタル (cl)、超絶ピアニスト・阿部篤志(p)との異種格闘技がよみがえります。
もちろんトークタイムもあります!

Vo.八木啓代、P. 阿部篤志、Cl. 大熊ワタル+Vo.安富歩

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Author:PANDORA
ラテンアメリカと日本を拠点に活動する音楽家・作家 八木啓代のBlog
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3.11を心に刻んで (岩波ブックレット)
人は、どのような局面において言葉をつむぐか。30人の執筆者が震災を語ったエッセイ集。澤地久枝、斎藤 環、池澤夏樹、渡辺えり、やなせたかしらと並んで八木も寄稿。
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禁じられた歌ービクトル・ハラはなぜ死んだか(Kindle版)
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