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2019年の香港の抗議運動の背後には誰が居るのか?

2019/08/17、チャイナ・デイリーのウェイ・シンアンとツォン・ウェイピン両氏の記事。2019年に香港で起こったことが民主主義とは全く関係の無い陰謀の産物であったことを簡潔に説明してくれている。写真の幾つかは省略し、リンクを追加した。

 この話の何がとんでもないのかピンと来ない人は、例によって互いの立場を取り替えた状況を想像してみることをお勧めする。中国の諜報部が米国に対してこれと同じ様な介入工作を公然隠然と行っていたらどうだろうか。国連憲章の下では米国も中国も同等の主権を有している筈であって、米国には他国に干渉する特権が認められているとか、中国には他国からの干渉を甘んじて受けねばならないペナルティが課されているとか、或いは他国への干渉工作に「民主主義」と云う薄っぺらいスローガンをはっつければ合法となる、などと定めた法文は世界中何処にも無い。

 相手によって適用するルールを変えない、と云う原則を踏まえて思考する習慣が身に付いていれば、異常だと気が付ける事象は数多い。対照的に、対人論法的に考えるのが癖になって来ると、それはやがて「差別」と呼ばれるものに形を変えるが、本人はそれが差別なのだと気が付かない。
Who is behind Hong Kong protests?



 若し中国の外交官達がオキュパイ・ウォール・ストリートやブラック・ライブズ・マターやネバー・トランプと云った抗議活動の指導者達と面会したとしたら米国がどう反応するだろうかは想像に難くない。

 だが2019/08/06の時点で香港のメディアは、米国の政治顧問と分離主義運動の指導者達が面会していたことを2件報じていた。香港の(事実上の)米国総領事館で働いていたジュリー・イーデが、香港野党の著名人であるアンソン・チャン(左の写真)とマーティン・リー(右の写真)と会っているところをカメラに収められた。


 同日、イーデはまたジョシュア・ウォン(写真の一番右)とも会っていた。彼は2014年の違法な「オキュパイ・セントラル」運動の指導者達の一人だ。


 しかもこれらの報道よりずっと前から、米国が意図的に香港の状況を悪化させようと介入している証拠は積み上がっていた。米国の政治家達はリーの様な野党指導者達と何度も会っていたが、その中にはジミー・ライも居た(下の写真は2019/07/08、マイク・ペンス米副大統領とジミー・ライ)。

 これらの会合は、香港を危険に曝す数々の犯罪行為に更に燃料を投下するだけだった。


 中国は何度も米国に対し、他国の内政に干渉するのを止めるよう要請して来た。だが米国は「介入の手」を引っ込めるつもりは毛頭無い様だ。

 抗議活動のメッセージやそれらと連携する諸団体は、この運動が自発的に発生して来たものなのかどうか、数多くの疑念を抱かせるものだ。

 米国のニュースサイト、ミントプレスは、香港の最近の暴動に関与した一部のグループが、全米民主主義基金(National Endowment for Democracy/NED)からかなりの額の資金提供を受けていたことを報じた。NEDは「CIAのソフトパワー上のフロント組織で、米国の数え切れない程のレジーム・チェンジ(政権交代、体制転覆)作戦に於て決定的な役割を果たして来た」と報じられている。


 NEDは「非政府組織」だと自称してはいるが、その公式サイトには、「米国政府の助けとなる為、国務省を通じて米国議会から年次予算を受け取っている」と書かれている。

 「NGOとしての地位のお陰で、NEDは政府間関係の無い所や、米国政府が関与することが難しいその他の環境でも働くことが出来る。」



 NEDとCIA

 NEDは1983年に設立された。当時CIAには大きな注目が集まっていた為、米国の利益を外国の政治システムの中で推進する為の新たな方法(米国国家とは明確な繋がりを持たない)を見付けなければならなかった。

 独立した民間のNGOだと名乗ってはいるが、その機能はCIAの政治的なレジーム・チェンジ・プログラムを引き継ぐことだ。

 「我々はこの種の仕事を秘密にやるべきではないのです。世界中の民主団体がCIAから助成金を貰っているなどと見られてしまっては大変なことになります」とNEDの会長、カール・ガーシュマンは1986年にニューヨーク・タイムズに語っている。「我々は60年代にそうしたことを見て来ましたし、だからこそそれは続けられなくなったのです。我々はこうした能力を持って来ませんでしたが、だからこそNEDが作られたのです。」

 1991年にはワシントン・ポストが、これまたNEDの創設者であるアレン・ワインスタインの言葉を引用している:「我々が今日行っていることの多くは、25年前はCIAが秘密裏にやっていました。」


 NEDは特定のアジア諸国に於て「民主化」を支持していることを隠していない。公式サイトではこう宣言している:「2017年には、NEDはアジア諸国を優先課題としました………それらの国々でNEDは大きな影響力を揮いました。前年からのNEDの戦略に基付き、プログラムは各副地域に於ける重要な国々に集中し続けました。」

 2014年、ヴォイス・オブ・アメリカ(VOA)は当時のNEDのアジア・中東・北アフリカ向けプログラムの副会長ルイーザ・グレーベにインタビューした。それに拠ると、NEDは香港での様々なプログラムに約20年に亘って資金を提供しており、助成金の合計は数百万ドルにも達する。グレーべは、支援のレヴェルはこの期間中一貫していたと述べている。

 VOAに拠れば、香港に於けるNEDの3つのパートナーは、米国に拠点を置く「連帯センター(Solidarity Center)」と「香港人権モニター(Hong Kong Human Rights Monitor)」(これは1997年以来香港で活動しており、約15万ドルの助成金を受け取っている)、そして米国の全米民主研究所(National Democratic Institute。助成金40万ドル)。だ

 ミントプレス・ニュースに拠れば、香港の諸団体に対する資金提供は実際には1994年にまで遡り、香港人権モニターは1995〜2013年に190万ドル以上を受け取っている。

 NEDの公式サイトに拠ると、香港での活動に対して連帯センターには15万5,000ドル、NDIには20万ドル、また2018年には香港司法センターに9万ドルの助成金を与えている。NDIは2016〜17年に65万ドルを受け取っており、連帯センターは2015〜17年に45万9,865ドルを受け取っている。

 香港に於けるこの3つのパートナーの活動を通じて、NEDはこの地域の他の諸団体とも緊密な関係を築いて来た。

 ロシアのRTのTVネットワークの番組『リック・サンチェスが送るニュース』が7月に放送した回では、6つの組織がNEDから金銭を受け取り、NEDと協力していることが暴露された。それらの団体は以下の通りだ。

 ・香港人的資源管理研究所
 ・香港貿易組合連合
 ・香港ジャーナリスト協会
 ・公民党
 ・労働党
 ・民主党(創設議長はマーティン・リー)

 これらは全て香港メディアの連合である民間人権陣線(Civil Human Rights Front)のメンバーであり、これにはサウスチャイナ・モーニングポスト、香港フリープレスも含まれており、反引き渡し法デモを組織したのもこれだ。

 2014年のFOXニュースの番組『デフコン3』のインタビューで、ハンドソン研究所のシニアフェローであるマイケル・ピルズベリーは、米国は香港の政治情勢に対し或る程度の影響力を保持していると述べた。

 「我々はまた様々なプログラムに対して全米民主基金を通じて何百万ドルもの資金提供を行って来ました。………ですからその意味では、(米国は香港の抗議活動に一枚噛んでいると云う)中国の非難は完全に誤っている訳ではありません。」
China blames US for Hong Kong protests



 現在の香港の抗議活動のオルガナイザー達が、NEDが連合のメンバーの一部と繋がっていることに気が付いていない筈は無い。2014年のVOAのインタビューで、グレーべは、活動家達はNEDのパートナー達と一緒に働くことのリスクを知っていると語っている。「ですが彼等は尚も『国際協力は正当である」と主張します。」

 2ヵ月後、リーは米国を訪れ、国務省のマイク・ポンペオと会談し、NEDが主催するイヴェントに参加した。
New Threats to Civil Society and the Rule of Law in Hong Kong


 7月上旬、ライはペンス、ポンペオ、国家安全保障顧問ジョン・ボルトンと何人かの共和党上院議員を含む米国の政治家達と会談した。

 2014年の違法な「オキュパイ・セントラル」運動でも同じ様な流れが起こった。リーとチャンは2014年4月にワシントンで、「オキュパイ・セントラル」の為の計画についてグレーベと話し合い、運動とその主要プレイヤー、アジェンダや要求について語った。

 その2日後、マーティン・リーとアンソン・チャンは当時の米副大統領ジョー・バイデンと会談した。


 米国の歴史家ウィリアム・ブルムが、その名前が含意するものとは正反対のことをする組織だと評したNEDは、世界的な介入を止めようとしない。それは民主主義を、世界各地で「カラー革命」を煽る為のツールとして利用している。

 サウスチャイナ・モーニングポストは、NEDは「労働組合、政治派閥、学生クラブ、市民団体、その他の団体」に毎年1億7,000万ドル以上を約束していると報じている。

 1991年のワシントン・ポストの報道に拠ると、NEDは1980年代には「レジーム・チェンジ」を扇動する為に、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアの「民主勢力」に資金提供した。

 ブラウン大学の国際・公共問題専門家スティーブン・キンザー氏に拠れば、NEDは最近では、モンゴル、アルバニア、ブルガリア、スロバキアの選挙に影響を与えようとし、「ウクライナ、ベラルーシ、モルドバ、ジョージア、セルビア、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナで反ロシア運動」を構築している。キンザー氏は同組織は「民主主義を攻撃する為の全米基金」と呼ぶのがより適切であると語った。

 NEDはまた、中国の新疆ウイグル自治区とチベット自治区の「市民団体」に金銭を与えており、地域の安定を妨害している。

 中国社会科学院の専門家、張国清氏はグローバル・ピープルに対し、NEDは世界中、特に中央アジア、中東、南米で「カラー革命」を計画することに長けていると語った。この種の「革命」は米国にとって国家権力を転覆する為の主要な政治的ツールとなっている、と張氏は述べた。

 それは世界中の民主主義を守っていると主張しているが、実際には米国の納税者の負担で標的とする国々を不安定化させている。
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川流桃桜

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