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プーチン大統領は、現在は無効となっているウクライナとの条約草案の詳細を明らかにするのに最適な時期を選んだ(抄訳)

2023/06/17、プーチン大統領がアフリカの和平使節団に対して提示した、2022年3月のロシアとウクライナとの和平協定草案について、アンドリュー・コリブコ氏の解説の抄訳。多少補足した。
Putin Chose The Perfect Time To Reveal Details About The Now-Defunct Draft Treaty With Ukraine


 2023/06/17、プーチン大統領はアフリカの和平使節団に対して、現在は失効しているロシアとウクライナとの協定草案の詳細を明らかにした。
Putin shows treaty on Ukraine’s neutrality, signed by Kiev but dumped under Western pressure


 これは2022年3月にトルコの仲介でロシアとウクライナとの間に結ばれた「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と云う条約で、ウクライナが憲法に「永世中立」を明記しなければならなず、常備軍の規模も制限すると規定するものだ。この条約にはロシア、米国、英国、中国、フランスが保証人として名を連ねている。

 プーチン氏に拠れば、この条約はウクライナ側も署名していたのだが、合意の一環としてロシアがキエフから軍隊を撤退させることで善意を示したにも関わらず、英米枢軸(Anglo-American Axis/AAA)からの圧力に応えてウクライナ側が協定を破棄した。

 つまり、ロシア軍の特別軍事作戦は開始から僅か1ヵ月で終わっていた可能性が有るのだ。

 言い換えればそれ以降の展開は全て、AAAが停戦を妨害し、NATOがキエフに追加の大規模支援を行ったからこそ可能になったものだと言える。NATOがそれまでキエフ支援に全力を尽くしていなかったことを考えると、2022年4月以降の戦闘は、キエフとロシアとの戦争ではなく、NATOとロシアとの代理戦争だったと言える。AAAはキエフによるドンバス再征服計画(2022/02/16以降のドンバス攻撃の激化)を、プーチン大統領が特別軍事作戦を発動することによって先制的に回避したことに、確かに驚きはしたが、最終的にはこの紛争を終わらせないことによって、ロシアを弱体化させる機会を見出したのだろう。

 彼等は代理戦争と制裁圧力によって直ぐにロシアが崩壊するだろうと計算していたが、そんなことは起こらなかった。

 その後の15ヵ月は、西洋による対ロシア金融制裁が発展途上諸国に食糧危機と燃料危機を引き起こし、ロシアよりもグローバル・サウスに大きな打撃を与える結果となった。その対策としての所謂「穀物協定」もまた、キエフがそれらの国々に物資を輸送せず、EU諸国への輸出を優先した為、彼等の苦しみを和らげはしなかった。

 こうした窮状を背景として、これらの国々の一部の指導者達は、キエフとロシアとの和平ミッションに取り組むことを決意した。両国はグローバル・サウスにとってはこれまでは信頼出来る穀物輸入元だったのだが、この輸入を回復させる為、彼等は停戦や制裁の一部解​​除等の緊張緩和策に合意するよう、双方を説得しようとした

 プーチン大統領は、彼等が何故自分を訪問したのかを承知しており、ロシアが彼等の問題に責任を負っていないことを証明する機会を利用した。

 多極化へ向かう世界的なシステム移行の中で、ロシアはアフリカのことを、台頭する新たな極だと見做しているので、アフリカとの関係を包括的に拡大することが重要だと考えている。その為ロシアの指導者は、食糧危機の原因をロシアになすりつけようとする西洋のプロパガンダにアフリカの人々が惑わされないようにする必要が有る。特に、穀物協定はキエフ側が条件を履行していないので更新される可能性は低く、ロシアを悪魔化する情報戦が繰り返されるだろうからだ。

 そこでプーチン大統領は、それまでは信頼出来る輸入元だったウクライナからの穀物供給を妨害しているのはロシアではなく、キエフとそのスポンサーであるAAAであることを示す為に、ロシアとキエフとの現在は無効になっている条約草案の詳細を明らかにする絶好のタイミングを選んだ。

 また、NATOが支援するキエフの自殺的反攻作戦と云う状況を踏まえることで、そもそもAAAが和平プロセスに介入しなければ、この大惨事は完全に回避可能であったことを、平均的な西洋人に示すことも出来た。

 アフリカが仲介する和平協議は、キエフの反攻が最終的に終わってから、冬頃に再開される可能性が非常に高い。その間にアフリカ和平使節団が双方から非公式の調停を要請される可能性が有る。

 AAAの圧力によって最終的にウクライナが破棄することになった署名合意の詳細を予め使節団が知っておくことによって、両国は中断したところから再開することが出来る様になる。そうなれば交渉をより効果的に促進することが出来るだろう。

 こうした理由から、プーチン大統領がこの条約の詳細を明らかにするのを今まで待っていた理由も理解出来る。恐らくは穀物協定が期限切れになる7月から、食糧危機の責任をロシアになすりつけようとする情報戦が再開されるだろう。ロシア・アフリカ首脳会談はその直ぐ後だ。 プーチン氏はこれに先立ってアフリカのパートナー諸国を安心させる為に、この証拠を和平使節団に提示し、食糧危機の責任がロシアには無いことを説明し、彼等が誤解しないようにしたのだ。

ザンビア大統領、中国は融資の利子を最低1%しか取らないと演説

「中国がアフリカに仕掛ける債務の罠」のザンビア版のデバンキング。
Zambia President's speech made China take only 1% interest on its loans



 2023/06/24に公開されたザンビア大統領へのブルーバーグのインタビューに関連して、関係者等の証言では、ザンビアは中国を含む国々と締結した債務再編合意の一環として、2037年まで最低僅か1%の金利を支払うことに合意した。

 基本シナリオでは金利は14年後に最大に達するが、それでも2.5%に過ぎない。

 貧困国への融資取り消し運動を行っている英国団体「負債正義(Debt Justice)」の推計では、ザンビアは中国の二国間融資に対して平均3.9%を支払っていた。
Zambia to Pay 1% Interest After ‘Mission Impossible’ Debt Deal

 BBCの報道では、中国からの融資の金利は「約4%で商業市場金利に近く、世界銀行や、フランスやドイツ等の個別の国からの一般的な融資の約4倍」と云うことになっている。

 だが「負債正義」のデータを見てみると、西洋諸国の金利は中国の金利よりも随分高い。


 更に世界銀行の金利を公式サイトで確認してみると、酷い時には113.3%にまで達しており(1993年)、10%を下回ることが多くなったのはここ10年程度に過ぎない。


 因みに中国は、IMFと世界銀行も債務再編で削減措置を講じるべきだと云う見解を主張した様だが、これが「協議の障害となった」と報じられている。IMFのクリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事を含む関係者達は「大胆な債務救済」を歓迎したと報じられているが、自分達ではやりたくなかったらしい。

 付け加えておくと、中国は支払いが困難な相手に対しては債務帳消し措置を繰り返している。「借金を返さないのは人殺しよりも悪い犯罪だぞ」といきり立って、返せないのなら構造調整しろ、うちらの企業や投資家や銀行にお前等の国を丸ごと売り払え、と要求して来る西洋諸国とはえらい違いだ。アフリカ諸国が中国から借金したがっていることは、それ程不思議なことだろうか。

プーチンは代理戦争の政治的解決はまだ可能だと強く示唆している(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の記事の抄訳。プーチン大統領自身の発言から、2023年6月時点で、彼がウクライナ紛争に関して交渉と対話による政治的解決の希望をまだ捨てていないことを証明している。

 何度も繰り返し指摘したことだが、プーチン氏は2000年に大統領に就任して以来、一貫して西洋との平和的共存を求め、武力ではなく対話や交渉による緊張の緩和を求めて来た(まぁ「ロシアゲート」等の反ロシア・プロパガンダがフェイクニュースだと見抜けない人には全く逆の光景が見えていたのかも知れないが)。それらの努力は全て米国主導の西洋によって否定されて来た。ウクライナ戦争を終わらせる鍵を握っているのは米国主導の西洋の方だ。プーチン大統領の方では最初から戦争などやりたくなかった。NATO拡大による軍事的緊張の高まりについては外交の場で散々警告して来たし、ドンバス戦争も軍事介入せずミンスク合意でウクライナの国内問題として解決させようとした。特別軍事作戦を開始してからも、僅か1ヶ月でキエフと和平合意を結ぼうとしている(が、西洋に妨害された)。ウクライナ戦争は「ロシアによるウクライナ侵略」ではなく「ウクライナを捨て駒の代理としたNATOによるロシア侵略」なので、軍事的にどちらが勝っても負けても終わらない。政治的解決無くして脱エスカレーションは有り得ない。本気で戦争に終わらせたいなら、外交重視で国際法を遵守し、他国を尊重する礼儀正しく辛抱強いプーチン氏にロシアを率いていて貰った方が良い。
Putin Strongly Suggested That A Political Solution To The Proxy War Is Still Possible



 プーチン大統領は2023年6月中旬に、ウクライナでのNATOとロシアの代理戦争の政治的解決は依然として可能であると強く示唆している。 ロシア軍がポーランド国境に到達するまで特別作戦は止まらないと確信していた代替メディア・コミュニティの彼の支持者達はこの評価に激怒するだろうが、これはプーチン自身の言葉に基付いている。

 1)2023/06/13、従軍記者達との会見

 2)2023/06/16、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム本会議

 3)2023/06/17、アフリカ諸国の代表団の長達との会談

 以下は、これらからの抜粋と、彼の発言の要点だ。その後、プーチン大統領が想定しているこの代理戦争の最終局面を要約し、最後に、彼の計画の実行可能性についての幾つかの考察を行う。時間を掛けて冷静に検討すれば、恐らく非常に合理的な考えだと解る筈だ。



1)従軍記者達との会見

 ・「([特別軍事作戦の目標と任務は)現在の状況に応じて変化していますが、勿論全体としては何も変わりません。」

 ・「ウクライナの防衛産業は間も無く完全に存在しなくなるでしょう。(略)非武装化の問題は非常に現実的な観点から提起されているのです。」

 ・「我々の損失はウクライナ軍の損失の10分の1です。(略。ウクライナ軍の兵装の)これらの損失は、国外から供給された装備の約25%か恐らく30%に相当します。」

 ・「(国境地域へのウクライナ軍の攻撃は)主に我が国の兵力と資源を(前線から)こちら側に振り向けさせることを目的としています。」

 ・「この状況が続けば(略)我が国の領土に到達することが不可能な程の距離に、或る種の緩衝地帯を設ける為の問題を検討しなければならなくなるでしょう。これは別の問題です。(略) 状況がどの様に展開するかを見守る必要が有ります。」

 ・「(2022年3月にウクライナとの間で結ばれた和平合意草案について)彼等はこれを放棄しましたが、我々はこの時間を利用して、事実上ノヴォロシアの略全域と、アゾフ海とマリウポリにアクセス出来るドネツク人民共和国のかなりの部分を含む現在の場所を獲得しました。そして幾つかの例外を除いて、ルガンスク人民共和国の略全域も。」

 ・「我々は(キエフに)戻る必要が有るのでしょうか?(略)目標に応じて動員を決定する必要が有りますが、今日はその必要は有りません。」

 ・「西洋はウクライナに武器を氾濫させています。これは事実であり、誰も隠している訳ではありません。それどころか、彼等は寧ろそれを誇りにしています。」

 ・「この年、我々は主力兵器の生産を2.7倍に増やしました。最も需要の高い武器の製造に関しては、これを10倍に増やしました。 10倍です!」

 ・「全てがメディアで取り上げられる訳ではありません。 ウクライナのエネルギー・システムに対する攻撃は、彼等が一線を超えていることへの答えではないのでしょうか? そして、キエフ郊外、キエフ市の殆ど境界内に在るウクライナ軍の主幹情報総局の本部を破壊することは、答えではないのでしょうか? いいえ、それが答えなんです。」

 ・「ウクライナは実在するし、私はそれを敬意を持って扱わなければいけません。(略)彼等が我々の歴史的領土に住みたいのであれば、彼等は自分達の政治的指導者層に影響力を発揮して、ロシアと適切な関係を確立し、これらの領土から誰も我々に脅威を与えないようにしなければなりません。」

 ・「(西洋がウクライナに損失が出ようとも武器を供給し続けるかどうかについては)議論の余地が有ります。」

 ・「(キエフの反攻が壊滅的な失敗に終わった後)我々は状況がどの様になるかを注視し、この理解に基付いて更なる措置を講じます。」

 ・「彼等(西洋)は単に砲弾を持っていません。ですが劣化ウラン砲弾は倉庫に有ります。当面はこれらの砲弾を使用すると決めた様です。」

 ・「(EUの)経済問題は雪だるま式に増大しています。(略)従って、EU内で(ウクライナ向けの武器の)全てを生産するのはそれ程簡単ではありませんし、生産を拡大して新しい施設を建設するのは更に難しい。」

 ・「米国はこの紛争に益々関与を深めており、殆ど直接的に関与して、深刻な国際安全保障危機を引き起こしています。(略)これは非常に深刻な問題であり、我々がそれを知っていることを、彼等も知っておくべきです。」
 
 ・「何千回も言いましたが、我々は、和平合意に繋がる可能性の有るあらゆる協議への参加を、決して拒否したことは有りません。(略)最終的には、それは米国の利益に関するものです。 彼等が問題解決の鍵を握っていることを我々は知っています。若し彼等が交渉を通じて今日の紛争を本当に終わらせたいのであれば、武器と装備の供給を停止するというひとつの決定を下すだけで良いのです。それでお終い。ウクライナ自体は何も製造していません。 明日になれば、彼等は形式的ではなく実質的な会談を行い、我々に最後通告を突き付けるのではなく、例えばイスタンブールで合意されたことに立ち戻ることを望む様になるでしょう。」

 ・「実際、米国にははっきりとものを考え、世界を第三次世界大戦に導きたくないと思っている人々が沢山居ます。そこでは勝者は居ませんし、米国でさえ勝ち抜けることは出来ないでしょう。」




2)サンクトペテルブルク国際経済フォーラム本会議

 ・「(ウクライナに送られたF-16戦闘機が)ウクライナ国外の空軍基地に配備され、敵対行為に使用された場合、我々は、我々に対する敵対行為で使用されたリソースを何処でどの様に攻撃出来るかを考えなければなりません。NATOがこの武力紛争に更に関与するという重大な危険が有ります。」
 
 ・「我々は(外交への扉を)閉ざしたことは有りません。閉ざすと決めたのは彼等ですが、それでも彼等は隙間から我々を覗き見続けています。」

 ・「(前線では)成功の可能性が殆ど無いことを知っているので、彼等は(ベルゴロドとクレムリン、ロシア国内への攻撃を通じて)我々に厳しい対応をするよう挑発しているのです。そして我々を指差して「奴等を見ろ、奴等は悪意に満ちていて残酷だ。誰も奴等と取引なんかすべきじゃない」と言いたいのです。彼等は我々が現在協力している全てのパートナーにこれを言いたいのです。ですから、その様な行動を取る必要は有りません。」

 ・「(ロシア軍に前線から注意を逸させる為の攻撃については)私は既に、我々に隣接する領土に対するこうした攻撃が続く場合には、ウクライナ領土に緩衝地帯を設ける可能性を検討する申しました。これがどの様な結果を齎すかを、彼等は理解する必要が有ります。我々は軍事目標に対して長距離高精度兵器を使用しており、これら全ての分野で成功を収めています。」」

 ・「私は既に、究極の抑止力(核兵器)の使用は、ロシア国家の存亡が脅やかされた場合にのみ有り得ると申しました。この場合、我々はロシア国家が利用可能なあらゆる力と手段を確実に行使します。 この点については疑問の余地は有りません。」



3)アフリカ諸国の代表団の長達との会談

 ・「ロシアは如何なる会談も拒否したことは一度も有りません。(略)トルコは信頼醸成手段を作り上げる為に、そして条約の草案を作成する為に、ロシアとウクライナの間の一連の会談を主催しました。(略)しかし、我々が約束通りにキエフから軍を撤退させた後、キエフ当局は、彼等の主人がよくやる様に、それを歴史のゴミ箱に投げ捨てました。これは控え目な表現ですが、私は汚い表現は避けようと思います。彼等はこれを拒否しました。彼等が他の協定から離脱しないという保証が何処に有るでしょうか? ですがその様な状況下であっても、我々は決して会談を拒否たりはしませんでした。」




プーチンが思い描く最終局面

 現時点では、プーチン大統領は第二回目の動員を行って紛争をエスカレートさせることには明らかに消極的だ。ウクライナ東部と南部でロシアの基盤を固めると云う軍事的目的は既に達成しているので、和平合意に達すると云う政治的目的が失敗したとしても、当面はその必要は無いのだ。

 ウクライナの非武装化は依然としてプーチン大統領の最も重要な目標のひとつであって、ウクライナの軍産複合体を略全て破壊したことからもこれは明らかだ。

 キエフ軍は2014年以前のロシアの国境を攻撃し続けているが、プーチン氏はこれは自国の軍の注意を前線から逸らすことが目的だと信じている。だからそこに緩衝地帯を作ることは可能だし、軍を派遣せずミサイル攻撃だけで達成出来るだろうが、まだやろうとはしていない。

 現在の「兵站競争/消耗戦争」は明らかにロシアに有利だ。ロシアの軍事生産は2.7~10倍に急増している一方で、西洋は既にウクライナに送る物資を枯渇させており、文字通り他に砲弾が残っていない為、劣化ウラン弾を送っている。またこれはEUの経済問題が「雪だるま式」に増大している事情と合わせて、NATOがロシアに勝つことは不可能だと、プーチン氏は確信している。

 なのでNATOが支援するキエフの反攻が終了した時点で、和平交渉が再開される可能性が有る。その場合、現在失効しているウクライナとの和平条約草案が復活する可能性が有る。

 このシナリオは米国がウクライナへの武器供与を停止した場合にのみ可能となるが、マイケル・マッコール下院外務委員長は、反攻が失敗すれば議会がこの援助を維持する為の追加支出案を可決出来なくなるかも知れないと述べているので、その可能性は有る。

 だが米国が野放図にウクライナ支援を続ければ、そのシナリオが実現する以前に、空や海、或いはF-16が配備されたNATO加盟国で、ロシアとの衝突が起こる可能性が残っている。

 リベラル・グローバリストのエリート層が、そうした衝突を作り出せば、ロシアに2022年以降の新たな領土を放棄させ、従って自分達も有権者達の前で「面子を保つ」ことが出来ると考えれば、彼等は意図的にそうした衝突を作り出す可能性すら有る。

 米国が始めた挑発の結果として1962年のキューバ危機の様な核対決の可能性が生まれた場合、プーチン大統領はそれをハッタリと見做すだろうが、しかし核による先制攻撃は行わず、従来公言して来た様に、自衛の為にのみ核兵器を使用することだろう。

 プーチン氏は明らかにそうした状況が発生することを望んでいないが、それを決めるのは米国だ。

 米国が反攻失敗後もキエフへの武器供給を止めることを拒否した場合、ロシアは引き続き「兵站競争/消耗戦」に耐えることが出来るが、EUには既に支援を続けるだけの余力は残っていない。この事実は、戦争屋が介入しない限り、中身の有る緊張緩和が行われる可能性が高いことを示している。



まとめ

 プーチン大統領は、現在は失効しているウクライナとの和平合意草案を復活させることで、紛争を完全に終結させることは出来ないにしても、停戦によって接触線を凍結出来る可能性は高いと考えている。ロシア憲法の領土割譲の禁止に違反すること無く、接触線を新たな国境とする、創造的な外交法的解決策が見付かる可能性さえ有る。

 重要なのは、これらの議論は、キエフの反攻終了後に米国がキエフへの武器供与を停止した場合にのみ可能になると云うことだ。

 リベラル・グローバリストのエリート支配層は、和平合意に同意するとしても、自国の有権者達の前で「面子を保つ」為に、ヤケになってロシアに対応の微妙な譲歩を強要するかも知れない。そうなると対立が生じる可能性が有る。

 何れにせよ、プーチン大統領は現時点で紛争への関与を拡大する計画は持っていない。第2の動員令も行っていないし、緩衝地帯を設けることにも消極的だし、自国の「一線」を超えることに対する対応は、どんなものでも公言することを控えている。

 彼は現在、キエフの反攻の失敗、EUの経済問題、そしてNATOの備蓄の枯渇問題の条件が組み合わさることによって、昨年の条約草案が復活する可能性に賭けているが、これは実際、非常に合理的だ。

プリゴジンのクーデター失敗後の最初の音声メッセージは案の定、真実を捻じ曲げている(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の記事の抄訳。多少補足した。クーデター未遂後にワグナーのトップ、エフゲニー・プリゴジンが公開した音声メッセージのファクトチェック。
Prigozhin’s First Audio Message Since His Failed Coup Predictably Twists The Truth



 2023/06/26、ワグナーのトップのエフゲニー・プリゴジンは、テレグラムで10分以上の長さの音声メッセージを公開し、その中で、自身の未遂に終わったークーデターについて、自分なりの説明を行った。

 元の投稿はこれ

 ロシア語が聴き取れない人は、ここで自動翻訳による英訳を読むことが出来る。

 このメッセージを確認すれば、彼がクーデター未遂のついての真実を予想通りに捻じ曲げていることを確認出来る。彼のメッセージの目的のひとつは、自分にはレジームチェンジ(政権転覆)の意図は無く、自分のしたことは単なる抗議行動だったと主張することだ。



ワグナーは本当に完全に解散させられるところだったのか?

 ワグナーのトップは、世界中でロシアの利益を推進する上で様々な功績を打ち立てて来たにも関わらず、あらゆる民間軍事会社は国防省と契約せよと云う命令に逆らい、署名を拒否した為に、ワグナーは07/01までに法的に存在しなくなるだろうと主張していた。

 法律上は確かにそうだったかも知れないが、ワグナーはロシアの対アフリカ政策の柱として機能しているので、これをロシアが完全に解散させたかどうかは疑わしい。

 ワグナーの法的地位が剝奪されれば、そのメンバーは特別軍事作戦への参加を禁止され、ロシア国内での活動が制限されていたかも知れない。だがアフリカを拠点とする現地活まで妨害されていただろうと信じる理由は無い。殆どのメンバーの愛国心を考えれば、大多数は恐らく国に奉仕し続ける為にアフリカに再配備されていただろう。



プリゴジンは自分の手をロシア人の血で汚したことを認めた

 プリゴジンは次の2点を主張している。

 ・ワグナーは装備を集めていたが、それは土壇場の合意に達することが出来ずワグナーがそれ以上活動出来なくなった場合に備えて、06/30までに装備を国防省に引き渡す為の準備だった。

 ・06/30に国防省はワグナーに対して奇襲攻撃を行い、これにより30人以上のメンバーが死亡した為、その日遅くにロストフとモスクワへの行進が決定された。

 これらどちらの主張も独自に確認することは出来ないが、国防省と連邦保安庁は何れも、爆撃の事実を否定しており、これは無視すべきではない。

 冷めた見方をすれば、クーデター計画を持っていなかった筈のワグナーが何故あれ程の装備を集めていたかを説明する為に、プリゴジンが話をでっち上げたと見ることも出来る。

 この物語に於てはワグナーは自衛の為に行動したと云うことになるが、これは国民の支持を保持する為には重要なことだろう。

 プリゴジンは、彼の軍が報道された通りに、実際にロシア空軍に対して発砲したことを認めた。詳細は未確認だが、この件では少なくとも10人以上が死亡している。彼等はそれを後悔しているが、爆弾が投下されてから初めて発砲したと主張している。

 この事実は、このクーデター未遂がプーチンが仕掛けた偽旗作戦であって、NATOを警戒させずに北部戦線に兵力を展開する為だったと云う陰謀論の信憑性を否定している。

 彼がプリゴジンと共謀して自国のパイロットを殺害したなどと云うことは考えられない。それにこのクーデター未遂はワグナーに大きな注目を集めたが、戦闘員達が数週間掛けて散開し、その後で再終結した方が、秘密作戦を展開する上では遙かに合理的だ。



何故ワグナーはモスクワへ向かう途中で止められなかったのか?

 プリゴジンはワグナーが空軍を攻撃し、自軍が数人の犠牲者を出したにも関わらず、地上では誰も殺すこと無く、モスクワへの進軍ルートに沿った全ての軍事施設を封鎖し無力化したと主張した。

 これについてまた独自に確認することは出来ない。推測が許されるならば、被害が出なかったのは、プーチン大統領が最後の手段以外では武力の行使による鎮圧に対して消極的だったことが理由である可能性がある。

 プーチン大統領は国民向けの声明で、事件の関係者達を「処罰」し、「法に基付いて解決」する為に、「軍と他の政府機関は必要な命令を受けた」と述べた。だがそうした任務を負った人々は、武力行使に関しては裁量権を行使するよう命じられたかも知れない。
 
 プーチン氏は声明の中で「(ロシア人によるロシア人殺し、兄弟殺しの)再発は許さない」 と述べているので、これは根拠の無い推測ではない。

 そのシナリオでは、ワグナーの進軍ルート沿いの軍事施設の人々は、ワグナーの方から先に発砲しない限り、彼等を止める為に武力に訴えることはせず、その代わり可能な限りプーチン大統領の言葉に従うのが最善であると計算したかも知れない。



ワグナーの戦闘員達は本当は何を考えていたのか?

 プリゴジンは、彼の戦闘員達は行進の最終目標を知っており、それに参加することを強制されなかったと主張しているが、これも部分的にしか真実ではないかも知れない。 

 多くの者は、これは反乱ではなく、上司に言われた通り「汚職撲滅」キャンペーンだと本気で信じていたかも知れないし、進軍前に携帯電話を没収されたと報じられているので、プーチン大統領の声明によって真相を知るのは後になってからだったかも知れない。

 ワグナーが進軍途中で武力によって止められなかったと云うプリゴジンの主張が真実であれば、彼等のそうした気持ちは、彼等がモスクワに近付き、撤退しなければ確実に流血沙汰になると悟るまで続いたことだろう。だが最後の瞬間には、彼等は何かが間違っており、軍が彼等を止める為なら武力行使を厭わないことに気が付いた筈だ。

 そしてこの行進がプーチン大統領の暗黙の支持を得ていると云う幻想は、その時点で吹き飛んだことだろう。若しプリゴジンに国家元首に挑戦するつもりが無かったのであれば、プーチン大統領が国民向けの声明の中で行進の中止を求めた時に、モスクワ行きを中止していた筈だ。

 行進の継続したと云う事実は、これは特別軍事作戦を失敗させた人々を裁判に掛ける為の単なる抗議活動だったと云うプリゴジンの主張とは矛盾する。




ロストフのワグナー支持者たちは本当は何を考えていたのか?

 プリゴジンが掲げる反汚職の大義と、これまでの特別軍事作戦の実施に関するロシア軍上層部への批判は、一部の国民の間で人気が有ったが(尤もなことだ)、その多くはこの時点まで、プリゴジンは大統領政権を支持を得ていると思っていた。軍への名誉毀損を禁じる厳しい法に違反したとして彼が逮捕されなかった、少なくとも起訴されなかった事実自体が、彼が強力な後ろ盾を得ている証拠だと思われたのだ。

 プーチン大統領が「肥大した野心と個人的利益」によって祖国を「背後から刺した」としてプリゴジンを反逆罪で厳しく非難した後でも、それは彼が腐敗した軍部に人質に取られて強要されてそう言ったのだと思う人も居たかも知れない。つまり古典的な「佞臣に囲まれた善良な皇帝が解放されるのを待っている」と云うファンタジーだ。

 重要なのは、プリゴジンを公に支持したロストフの人々の全員が、プーチン大統領を打倒したいと云う彼の意図に共感したと考えるべきではないと云うことだ。

 また報じられた映像に映っている、ワグナーの行進を歓迎したロストフの人々の数が極く僅かであることも指摘しておかねばならない。但しプリゴジンの掲げていた上述の大義が広い共感を得ていたことは事実だ。
Crowds cheer Wagner fighters as they leave Rostov-on-Don




プリゴジンが撤退した本当の理由は何だったのか?

 プリゴジンがモスクワの手前で撤退したことに、ロシア国民の誰もが安堵したことは、議論の余地の無い事実だ。

 彼は大規模な流血を引き起こさずに行軍を続ける方法は無いと悟ってそうしたと主張しているが、ロシア人の血を流したくないと云う彼の発言は真実ではない。ワグナーは既に、正当防衛の為だと言ってはいるが、既にロシア空軍を攻撃したことを認めているからだ。ロシア人の血は既に流されていた。

 従って有りそうな説明は、彼が引き返すことを決めたのは、それが自殺ミッションだと悟ったからだと云うものだ。

 また彼は自身の行動は抗議行動であり、政府を妥当することを目指したものではないと主張しているが、これも真実ではない。彼は国家元首からはっきり止めろと言われたにも関わらず、その儘行進を続けた。それまでは単なる「反汚職」キャンペーンであったと信じている人も居るが、彼の行進はその時点でレジームチェンジ(政権転覆)作戦に変わっていたのだ。



ワグナーの行進は本当に特別作戦に匹敵するのか?

 メッセージの締めの言葉としてプリゴジンは、今回の行進によってワグナーはルート沿いに有る全ての軍事施設を無力化した、これは国の深刻な安全保障上の問題を暴露した、と主張したが、先に既に分析した様に、この主張は真実ではない。

 また彼は今回の行進で、ワグナーはロシア軍が特別軍事作戦の開始当初に行ったよりも更に遠くまで移動した、特別軍事作戦も適切に実行されていれば直ぐに終わらせられたと主張しているが、これもまた疑わしい。

 ワグナーが同僚達よりも優れたエリート部隊であると広く認識されているのは事実だが、彼等は行進中、敵から攻撃を受けていた訳ではなかった。キエフがアルチョモフスクで数ヶ月もワグナーを足止めするのに十分な挽肉を用意出来たことを思い出すと、彼の比較は不正確だし、誘導的だ。

 プリゴジンは恐らく、クーデター未遂で下落した評判を回復し、国防省対する批判を改めて力説することで、政治的ポイントを稼ごうとしたのだろう。



まとめ

 まとめると、クーデター未遂以来初の音声メッセージは次のことを伝えている。
 ・プリゴジンは依然として正義を求めている。
 ・彼はプーチン大統領を打倒する如何なる意図も持っていない。
 ・ワグナーは確かに空軍を攻撃し、パイロット達を殺害したが、それは正当防衛でやったことだ。

 これらのファクトチェックは、彼があらゆる点で真実を歪曲していることを証明しているが、それはエゴから行われている可能性が高いだけでなく、彼がまだ将来の政治的野心を捨て切れないでいる可能性を示している。

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 Twitterを追放されてから検索に引っ掛かる率が激減してしまった上、検閲に引っ掛かる様なテーマばっかり扱っているものだから、あんまり外部からの閲覧者が増えません。Twitterで「今はブログの方で情報発信していますよ」とでも告知出来れば良いのですが、自分ではもう何も書き込めなくなってしまったので、それも出来ません。

 まぁ気休め程度ですが、私の発信している情報は日本語環境では本当に超少数派の様なので、少しでも多くの人の目に触れる機会が増えてくれればと思います。
 
 このブログは基本的に何よりも自分の勉強と意地の為にやっていることなので、誰も見てくれなくても当面は続けますが、この国はもう、朝っぱらから恥知らずなナチのプロパガンダを堂々とお茶の間に流す様な猥褻な国に成り下がってしまったし(それとも、元々そうだったのがいよいよ本格的に露呈して来たと言うべきなのでしょうか?)、自分の身近にはメディアリテラシーの低い人しか見当たらないので、時々正気の人間がまだ残っていることを無性に確認したくなります。気分はH・G・ウェルズの寓話的短編SF「盲人の国」の主人公です。


 まぁ帝国システムの内部では戦争に反対する様な人間は牢屋に入れられるのが当たり前なので、小林多喜二が拷問死を遂げたのなんかに比べれば、ネットの片隅でちまちま呟いているだけの私のやっていることなんて、お遊びみたいなものです。

 このブログは出来るだけ広く浅く、自分に向いていて、他の方々とはテーマがそれ程被らず、それでいて多少は有意義と思われる情報発信の仕方を無理無く続けられるよう、試行錯誤しつつ作っていますが、Twittetからブログと云う形式に移行したことで、瞬発力は落ちるかも知れないけれども、その分、物事の全体像やそれぞれの関連が見易いように心掛けているつもりです。自分用の勉強ノートにちょこっと手を加えて公開しているのに近い感じなので、恐らく講義録を元に編纂されたアリストテレスの著作集の様な解り難さが有るかとは思いますが、長くお付き合い頂ければ慣れて来るかも知れません。

 私も日々間違いを繰り返しつつ新しい毎日を送っていますが、今は本当に世界史レヴェルの地殻変動が起こっている、良くも悪くもとんでもない時代だと思います。それを目撃するワクワクを味わえるのは、目の前で何が起こっているのかに気が付いて、それを理解する為に努力を惜しまない人達だけです。その特権を十全に味わう為の一助としてこのブログが何かのお役に立てば幸いです。

WHOのマスク研究には重大な欠陥が有る(要点)

WHOがCOVID-19パンデミック宣言後に書かせたマスクについての論文の解説記事の要点。この記事では5つの欠点を挙げているが、ひとつに絞って解説してみた。
WHO Mask Study Seriously Flawed



 2020年6月、世界で最も権威有る医学雑誌のひとつである『ランセット』に、WHOが委託したマスクの有効性についてのメタアナリシス論文が掲載された。
Physical distancing, face masks, and eye protection to prevent person-to-person transmission of SARS-CoV-2 and COVID-19: a systematic review and meta-analysis

 これは29の論文を扱っているが、奇妙なことに、エビデンスレヴェルが最も高いと言われているランダム比較試験(RCT)の結果が何故かひとつも含まれていなかった。

 RCT論文でマスクの感染予防効果を証明したものは存在しない。この論文のはエビデンスレヴェルの低い既存の論文を繋ぎ合わせて、マスクに感染予防効果は有るかも知れないと主張している訳だが、「これらの介入の証拠をより適切に提供するには、しっかりしたランダム化試験が必要である」とわざわざ断っており、この論文がかなり不完全で、確実性が低いものであることを認めている。

 何故こんなデタラメな論文を書いたのかと云うと、「資金源の役割」と云う項目にそのヒントが有る。そこには、「資金提供者はレビューの範囲の定義を提供した」と書かれている。つまり資金を提供したWHOは、どの論文を使ってどの論文を排除すべきかを研究者達に指定したのだ(この論文を書いた研究者達も、自分達がこんな間抜けな論文を書いたのは自分達の実力ではないことを示しておく為に、この点について断りを入れておかねばならなかったのかも知れない)。

 その結果としてエビデンスレヴェルの高い論文はひとつも含まれず、エビデンスレヴェルの低いものばかりを使って、従来の知見とは180度異なる見解を示したメタ分析が行われたと云う訳だ。

 何故WHOはこんな不可解な指示を出したのだろうか。それはWHOに訊いてみないと判らない。だが従来の研究から得られた成果を全く無視する様な措置が取られたことは明らかだ。そこに何か科学的な根拠が有った様には思えない(誰かこの措置を正当化する科学的な理由を提示出来るだろうか?)。WHOは、どう云うものは解らないが科学とは関係の無い、恐らくは政治的な理由から、「マスクの着用には感染予防効果が有る」と主張する論文をでっち上げたのだ。

プリゴジンのクーデター未遂に関する陰謀論トップ2のデバンキング(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンのクーデターには何か深い裏が有るのか? そんなものは無い、プリゴジンは西洋諜報部の傀儡でもプーチンの傀儡でもない、自身の利害に基付いて行動している、と云うのがコリブコ氏の現時点での見立て。
Debunking The Top Two Conspiracy Theories About Prigozhin’s Failed Coup Attempt



 プリゴジンのクーデター未遂は一連の陰謀論を引き起こしたが、その中で最も人気が有るのは次の2つだ。

 1)プリゴジンはプーチン大統領打倒を命じられた西洋の傀儡である。
 2)プリゴジンはプーチン大統領と共謀して心理作戦を実行した。

 どちらも同様に馬鹿馬鹿しいものだが、どちらも代替メディア全体に浸透している為、これらの誤った主張がこれ以上広がるのを防ぎ、人々の認識を正しておく必要が有る。



1)プリゴジンは西洋の傀儡?

 米国の諜報機関はプリゴジンがクーデター計画を進めていることを事前に察知していたと報じられたことは、この陰謀論に説得力を与えている。米国がロシアにこのことを知らせようとしなかったのは、クーデターが実行された場合にロシアが不安定化するシナリオを回避したくなかったからだ。

 だがこれらの報告はプリゴジンが米国の傀儡であることを証明するものではない。米国は彼のクーデターを止めようとしなかったことを証明しているだけだ。若しロシアの治安当局が、プリゴジンが自国の存亡を脅かしている敵と内通していると本当に考えていたなら、プーチン大統領は恩赦とベラルーシへの亡命を提案したりはしなかっただろう。プリゴジンは少なくとも逮捕されるか、最悪の場合は暗殺されていた筈だ。



2)プリゴジンはプーチンの傀儡?

 プーチン大統領は憶測するしか無い何等かの理由で、失敗する予定の自分に対するクーデターを秘密裏に画策していたのだろうか? この説の支持者の多くは、これはプーチン氏がより多くの権力を掌握するのが目的だったと主張している。
 
 この説明は、例えば2020/06/13にプーチン大統領と会見した従軍記者達の一人、アレクサンダー・コッツ記者の様な信頼出来る情報源が、クーデターが阻止されるまでに6機以上の航空機がワーグナーの戦闘員によって撃墜されたと報告している事実を完全に無視している。クーデターがマスキロフカ(やらせ芝居)だったとしたら、これはやり過ぎだ。

 これは明らかに、アレクサンドル・ドゥギンの言う所謂「第6列」、つまり或る大義を支持している振りをしながら、密かに大義に反対する人物の兆候を指し示している。プーチン大統領は何等かの利己的な理由でプリゴジンと共謀し、ロシア人パイロット達を殺害したとでも言うのだろうか? 

 更に言えば、プーチン大統領は既に国内で、やりたいことを何でも出来る権限を持っている。これ以上権限を強化したところで何がどうなると云うのだろうか?

 こうした主張を行う代替メディア・コミュニティのインフルエンサー達は、以下のことを仄めかしていることになる。
 
 ・プーチンは同盟国であるベラルーシを不安定化させる為に、数千人の西洋の工作員を派遣した。

 ・プーチンはプリゴジンと共謀してロシア人パイロット達を殺害し、反逆罪を犯した。

 どちらの主張も不条理であり、何の事実的根拠も無い主張だ。



それで真相は?

 実際に何が起こったのかと云うと、ロシア国防省とワグナーの対立が激化した結果、ワグナーのトップはクーデター未遂を起こした。

 そのクーデター未遂はロシアを最大限に不安定化させようとする情報戦によって、外国の諜報機関によって悪用された。彼等は代理人を通じてプリゴジンに接触し、彼に対する弾圧に先んじるには、クーデターの日程を早めなければならないとの偽情報を伝えた可能性すら有る。

 何れにせよ、プリゴジンが西洋の諜報部の正式な代理人として活動していなかったことは確かだ。そうでなければプーチン大統領からの恩赦もベラルーシへの亡命も認められていなかっただろう。

 またプーチン大統領がクーデターに関与していなかったことも確かだ。でなければ全国に向けた声明の中で、プリゴジンによって「背中を刺された」と云うロシア連邦保安庁の主張を繰り返すことはしなかっただろう。



まとめ

 これらの陰謀論に騙された人々は、こうした主張を広めた代替メディア・コミュニティのインフルエンサー達を信頼しており、恐らく彼等がロシアに対して好意的で、以前の分析の一部がかなり正確だとの評判を得ていた為、恥じることは何も無い。

  彼等が単に「無邪気に」誤解しているのか、それとも意図的に読者を誤解させようとしているのかに関係無く、上記2つの陰謀論にはひとつの共通点が有る。
 
 実際には全てが見掛け通りに単純であると云う事実を、彼等は説明出来ていない。プリゴジンは国防省との対立を深めた挙句にプーチン大統領に対してクーデターを起こし、その後国外追放された。

 一部の人々がこの事実を受け入れたがらない理由は、これらふたつの理論のどちらを信じているかに応じて、西洋またはロシアについての自分達の先入観に反することになるからだ。

 1)を信じている人は、西洋が関与すること無しにクーデターが発生する可能性を受け難いと思っているので、プリゴジンが西洋の傀儡であると考えた方が、彼等にとっては筋が通っている。

 2)を信じている人は、特別軍事作戦では「全てが計画通りに進んでいる」、そしてそれに反する主張は全て「西洋のフェイクニュース」だと云う彼等の誤った認識を再確認してくれるので、その説明を信じている。

 両方の先入観は、実際に起こった出来事によって打ち砕かれたが、これらの陰謀論を広める一部の詐欺師達は、この出来事に対する説明を求める読者のニーズを利用することで、自分達のイデオロギーを広めるか、或いは寄付を募ることが出来ることに気が付いて、虚偽の物語を広めた。陰謀論者の全員がそうした意図を持っていると言いたい訳ではないが、代替メディア・コミュニティの平均的なメンバー達は、そうした危険性も有ると云うことを認識しておいた方が良い。

プーチン大統領が慈悲深く彼の命を救う最後のチャンスを与えた後、プリゴジンは観念した(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。プリゴジンとその部下達に最後のチャンスを与えたのは、プーチンの「弱さ」の表れではない、その逆だ。
Prigozhin Blinked After Putin Mercifully Gave Him A Final Chance To Save His Life



 2023/06/24、ペシュコフ報道官は記者団に対し、武装反乱に参加したワーグナー戦闘員達の前線での功績を考慮し、当局は彼等を迫害しないと語った。

 翌06/25には、プリゴジンに対する刑事訴訟が取り下げられることが発表された。

 ロシア国民とそのエリート層はプーチン大統領支持に回った為、プリゴジンのクーデターが成功する見込みは全く無かった。だからこそ、プーチン大統領はこれまでの功績の大きい反逆者達に慈悲深くベラルーシへの亡命と云う選択肢を与え、起訴を取り下げたのだ。反逆者達がモスクワ周囲に敷かれた強靭な防御網を突破出来る筈も無く、況してやロシアの新たな支配者としてモスクワを制圧することは不可能だった。反逆者達は賢明にも取引に応じたが、それは恐らくプリゴジンが、自分の部下達がクーデターには興味が無いことを悟った後だったろう。

 反逆者達の殆どは、これは軍の諜報部のエリート層、或いはプーチン大統領自身の承認を得た、単なる所謂「反汚職」キャンペーンであると思い込むように洗脳されていた様だ。 彼等の携帯電話は、プリゴジンがモスクワへの進軍を命令する前に彼等から取り上げられたと伝えられているが、プーチン大統領がその日の朝の全国演説で直ぐに中止するよう指示したことを、最終的には何等かの形で知っただろう。

 プーチン氏はクーデターの参加者達が「欺瞞や脅迫によってこの犯罪的冒険に引き摺り込まれ、重大な犯罪、つまり武力反乱を犯すに至った」と述べている。そしてこれは「我が国、我が国の国民に対する反逆であり、ワグナー・グループの兵士達と指揮官達が我が国の他の部隊や軍と共に肩を並べて戦って死んで行った共通の大義に対するものだ」と付け加えている。

 プーチン氏はノヴォロシアの英雄達がプリゴジンの「肥大した野心と個人的利益」に操られていると信じたからこそ、慈悲深く彼等の命を救う最後のチャンスを与えたのだ。プリゴジンの恩赦とベラルーシへの追放の申し出は、弱さの表れではなく、彼が状況を完全に掌握しており、西洋が望んでいた様な流血沙汰を起こすこと無く事態を終結させるだけの十分な力を持っていることの証拠だ。

民間軍事会社ワグナーのクーデター未遂の最中、プーチン大統領の国民向け演説の要点(要点)

Key points of Putin’s address to nation amid PMC Wagner coup attempt
Russian President Vladimir Putin Addresses Nation On The Mutiny Attempt | Putin LIVE | Russia News




 2023/06/24、プリゴジンの武装蜂起未遂を受け、プーチン大統領は国民に向けて演説した。

 その中で国民の団結の重要性を説くと共に、今回の反乱を第一次世界大戦中のボルシェビキ革命に準え、プリゴジン個人への言及は避けたものの、今回のクーデター未遂を明確に「裏切り」と位置付けた。

 彼はこの「国と国民への裏切り」の背後に有る理由として、特定の個人の「巨大な野心と個人的利益」を挙げた。

 そしてクーデターが成功すれば、「無政府状態と兄弟殺し」が起こり、長期的にはロシアの「敗北」と「降伏」を齎すことになると述べた。



 演説全文はこちらで読める。
Обращение к гражданам России
Address to citizens of Russia
President Putin’s Address to Citizens of Russia
【全文】プーチン大統領の国民への演説

米国が支援するテロリズムはより広範な対中国戦争でヴェトナムとミャンマーを標的にしている(要点)

西洋諸国は何故ミャンマーとヴェトナムでテロリズムを正当化しようとしているのか、ブライアン・バーレティック氏の解説の抄訳。毎度のことだがバーレティック氏の解説はメディア報道の行間を読む訓練として大変為になる。
US-backed Terrorism Targets Vietnam & Myanmar in Wider War on China

Why the West is Whitewashing Terrorism in Vietnam and Myanmar



 米中の緊張が高まっているが、貿易、投資、インフラ開発等の面に於て、米国が中国に真っ向から太刀打ち出来ないことが益々明らかになって来ている。それにつれ、米国は政治的介入、政治的強制、転覆工作、テロを含む暴力等の非正規的な手法に益々頼る様になって来ている。

 中国周辺の東南アジア諸国では、米国は最近は「ミルクティー同盟」と呼ばれる反中同盟を支援しているが、このミャンマー、タイ、香港の各団体は自らの政治的野心と米国の外交政策目標の両方を推進する為に、時に過激な暴力に訴えている。

 ここではそうした暴力事件の中から、最近の2つの事例を解説する。



ミャンマーでのテロ

 ミャンマーでは米国は何十年にも亘って、アウンサンスーチー率いる傀儡政権に権力を握らせようと、隠然公然と努力を続けて来た。軍がこれを追放した後、米英その他の西洋諸国は、傀儡政権に再び権力を握らせる為に、テロリズム(西洋大手メディアでは内戦とか反乱とかと呼ばれている)に訴えて来た。

 2023/05/30、軍政権を支持する歌手のリリー・ナイン・チョー氏が、米国が武装集団に襲撃されて撃たれて死亡した。これを報じるBBCの記事には、「テロ」と云う言葉は一度も使われていない。特定の政治的見解を示しているだけの民間人を殺害することはテロリズム以外の何物でもないのだが、この記事の大部分は、被害者が軍政権を支持する立場の人物だったから死に値したと読者に納得させる為の試みで占められている。西洋の所謂人権団体も、この件には何の抗議も行っていない。 
Lily Naing Kyaw: Killing of Myanmar singer unnerves pro-military celebrities

 この記事は、犯人達は軍政権に反対する多くの「武装抵抗」グループの一員、つまり米国が「民主主義の為に戦う自由の戦士達」と呼ぶ者達であったことを認めている。言論の自由を暴力によって封じることは反民主主義的な行為ではないかと思われるが、BBCはそうした批判を一切行っていない。

 この記事は、この事件の4日前、著名なナショナリストで軍支持者のティント・ルウィン氏がヤンゴンの紅茶店で頭を撃たれて死亡した件についても触れている。これもまたテロリズムだ。反体制派は全国的に組織的なテロを繰り広げている。

 この記事には、反体制派の人々がFacebookで彼女の死を祝っていることについても触れているが、これはFacebookの利用規約に対する明確な違反だ。

 「民主化支持者」で有名なソングライターのアウン・ナイン・サン氏は、車の中に横たわるチョー氏の死体の写真に「いいね!」をしたとして逮捕された。彼は「死は悲しいことだ」が、「しかし個人的な痛みと憎しみが有ったので満足した」と投稿した。テロを応援する者は、自由、民主主義、人権の為の運動とは明らかに相容れないものだが、BBCはこの点について全く何の疑問も差し挟んでいない。

 これらテロを支持する「自由民主主義者」のFBアカウントは、ミャンマーでは規制されること無く自由に活動出来るが、対照的に軍を支持するアカウントは禁止される。つまりFBはミャンマーに於ける情報の流れを恣意的にコントロールしている訳だ。FBは自身が定めた規約に違反し二重基準を用いている訳だが、これはFBと提携している米国務省が推進している外交政策には一致している。
Facebook’s Ban of Myanmar’s Military Will Be a Test of the True Power of Social Media Platforms

 西洋諸国の大手メディアは、その行動が明らかに反民主的でテロリストのものであったとしても、西洋諸国の支援を受けた勢力を「親民主主義」だの「自由」だの「人権」だのの言葉で常に正当化しようとする。が、それが単に西洋の代理勢力を宣伝する為でしかないことは、行間を読めば明らかだ。

 バーレティック氏が在住しているタイについても事情は同じで、西洋大手メディアは、西洋諸国が支援する反体制派が過激な暴力に訴えてもそれを報じず、その暴力に対してタイ警察が対応すると、彼等が何の理由も無く平和的なデモ隊を襲ったかの様に切り取って報じるのが常だ。



ヴェトナムでのテロ

 次に取り上げるケースはヴェトナムだ。

 2023/06/11、ヴェトナムの警察署を武装集団が襲撃し、39人が逮捕された。国営メディアの「ヴェトナムの声」の報道では、事件で死亡した9人の内訳は、警察官が4人、地元の当局者が2人、地元住民が3人となっている。
Armed group attacks Vietnamese police stations, 39 people arrested

 これを報じたのは米国が資金提供するラジオ・フリー・アジア(RFA)で、この記事は「中央高地での攻撃の背後に有る理由は明らかではないが、この地域の人々は抑圧され、騙されていると感じている」として、テロリズムを正当化しようとしている。BBCと同じくRFAもまたこの記事の中で一度も「テロ」と云う言葉を使っていない。

 この記事は犯行の背景として「数十年に亘る政府の監視、土地紛争、経済的苦境」を挙げており、2020年にヒューマン・ライツ・ウォッチが、この犯行を行った少数民族であるモンタニャード族が「絶え間無い監視やその他の形態の脅迫、公の批判、恣意的な逮捕、治安部隊の拘留中の虐待」に曝されていると報告したことも引用している。

 またこの記事は「ヴェトナム戦争中、モンタニャード族は中央高地で米陸軍特殊部隊と共に戦った」と述べているが、つまり彼等は自国の侵略者達に加担したと云うことだ。そして敗戦後は、「ヴェトナム政府による弾圧、主にキリスト教徒の少数派に対する宗教的迫害、土地収用等を理由に、過去数十年に亘って数百人が国境を越えてカンボジアに入国した。多くの人が帰国を余儀無くされ、再定住とより良い生活への希望を絶たれている」と解説しているが、彼等がその後何十年間も分離主義運動を広め、それを米国が支援していることについては何も触れていない。

 AFP通信の報道は犯人のモンタニャード族についてこう書いている:「自治権の拡大を求める人も居る一方、国外では地域の独立を主張する人も居る。」
2 Vietnam police station shootings leave several killed, wounded, including civilians

 新疆やチベットで中国に対して行っている様に、米国はこうした分離主義勢力を支援して標的とされる地域を不安定化し、最終的にはレジームチェンジ(体制転換)を狙っている。

 2000年の「米国・ヴェトナム貿易関係」に関する米国下院公聴会には、モンタニャード族の代表も出席しており、彼等は「モンタニャード人権組織」に所属していた。これは公式サイトを見れば判る様に米国が支援するフェイクNGOのひとつで、ウイグル世界会議の様に、分離主義を推進していること公言している。
UNITED STATES-VIETNAM TRADE RELATIONS
Montagnard Human Rights Organization (MHRO)

 この公聴会に於て「米国はヴェトナムの経済・政治改革のペースと方向性にどの様に最も効果的に影響を与えることが出来るか」と云う(つまり米国の内政干渉を当然視する)質問に対し、ダナ・ロラバッカー議員は次の様に答えている:

 「一番の目標は、ヴェトナムの経済成長を助けることではありません。 何故なら、ロナルド・レーガンはソ連について、最終的にはロシアの自由に繋がったソ連経済弱体化の為に我々は何をして来たのか、と毎週言っていたからです。」

 ここで言われている「ロシアの自由」とは、西洋諸国によるロシアの解体とロシア経済の乗っ取りと収奪のことであり、2000年当時は、ロシアはまだそのダメージから回復しようと苦闘している途中だった。

 そしてロラバッカー議員はこう続けている:「代わりに我々がしなければならないのは、レーガン大統領がした様に、ヴェトナムとその地域で民主主義を求める人々を支援し、より自由で開かれた民主社会を求めるヴェトナムの人々同士のコミュニケーションを支援することです。」そして彼はその手段としてNED(全米民主主義基金)やRFA等のCIAのフロント組織を利用するよう推奨している。

 実際、今回の事件でも、NEDの支援を受けたモンタニャード族がテロを行い、それをRFAが正当化している。そして米国の代理勢力は加害者ではなく犠牲者であるかの様な印象操作を行っている。無論こうした内政干渉は国連憲章に反する違法行為だ。

 2000年の公聴会では、モンタニャード人権組織の代表は次の様に発言している:

 「米国政府は、モンタニャード族の人々がヴェトナムから脱し、中央高地に残るモンタニャードの人々が生きる権利を持ち、生活を発展させる機会を得られるよう助けて下さる、唯一の希望です。」
 
 つまり彼等はヴェトナムから独立して独自の領土を主張する分離主義勢力であることを公言している。米国の議員がヴェトナムを解体すべきだと公言している訳だが、米国から支援を受けている分離主義勢力が、ヴェトナムを分割するワシントンの企みの一部として機能していると云うことだ。

 今回のテロ事件も、犯人達は米国から資金提供や政治的支援を受け、米国と共に活動している者達だった。だからこそRFAの報道は、このテロ行為を正当化しようとしているのだ。



東南アジア諸国の対策

 分離主義勢力を利用したこの種のレジームチェンジ工作を、米国は世界中で行っている。

 2022/09/16の上海協力機構サミットでは、米国のこうしたカラー革命タイプの内政干渉に協力して反対することが、公然と話し合われた。
SCO summit: China urges member states to ward off foreign-backed ‘colour revolutions’

 ASEAN諸国は互いの内政に対する不干渉を原則としているが、ASEAN諸国全体は西洋全体からの干渉を受けまくっている。

 米国を拠点とするソーシャルメディア・プラットフォームが情報空間を独占する状況を変えなければ、こうした干渉を跳ね除けるのは難しい。だから東南アジア諸国は独自の情報空間を構築する為に協力する必要が有るのだ。
 
 そしてまた西洋諸国が東南アジア各国の反体制派に注ぎ込んでいるカネの流れも止めなければいけない。この反体制派の一部は分離主義者であり、一部はあからさまなテロリストだ。

 例えばバーレティック氏が拠点としているタイはNEDのカネの流れを止めようとしているが、その為に西洋諸国やその大手メディアから標的にされている。近隣諸国はこれに関してタイを助けるべきだし、別の国が狙われたら今度はタイもその国を助ける為に協力しなければならない。

 東南アジア全体で各国の主権を守り、治安を守るには、こうした努力が絶対に必要だ。西洋は集団で攻撃して来るのだから、こちらも集団で立ち向かわなけばならない。

 中国が台頭を続け、米国の一極覇権に挑み続ける限り、衰退を恐れる米国は中国とその周辺諸国の台頭を抑え込む為に、益々非合法な手段に訴えてレジームチェンジ工作を増大させるだろう。東南アジア諸国がこれに対抗する為に団結出来るのか、それとも各個撃破されて無力化されるのかは、時間が経てば判るだろう。
プロフィール

川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

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