プーチン大統領は、現在は無効となっているウクライナとの条約草案の詳細を明らかにするのに最適な時期を選んだ(抄訳)
2023/06/17、プーチン大統領がアフリカの和平使節団に対して提示した、2022年3月のロシアとウクライナとの和平協定草案について、アンドリュー・コリブコ氏の解説の抄訳。多少補足した。
Putin Chose The Perfect Time To Reveal Details About The Now-Defunct Draft Treaty With Ukraine
2023/06/17、プーチン大統領はアフリカの和平使節団に対して、現在は失効しているロシアとウクライナとの協定草案の詳細を明らかにした。
Putin shows treaty on Ukraine’s neutrality, signed by Kiev but dumped under Western pressure
これは2022年3月にトルコの仲介でロシアとウクライナとの間に結ばれた「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と云う条約で、ウクライナが憲法に「永世中立」を明記しなければならなず、常備軍の規模も制限すると規定するものだ。この条約にはロシア、米国、英国、中国、フランスが保証人として名を連ねている。
プーチン氏に拠れば、この条約はウクライナ側も署名していたのだが、合意の一環としてロシアがキエフから軍隊を撤退させることで善意を示したにも関わらず、英米枢軸(Anglo-American Axis/AAA)からの圧力に応えてウクライナ側が協定を破棄した。
つまり、ロシア軍の特別軍事作戦は開始から僅か1ヵ月で終わっていた可能性が有るのだ。
言い換えればそれ以降の展開は全て、AAAが停戦を妨害し、NATOがキエフに追加の大規模支援を行ったからこそ可能になったものだと言える。NATOがそれまでキエフ支援に全力を尽くしていなかったことを考えると、2022年4月以降の戦闘は、キエフとロシアとの戦争ではなく、NATOとロシアとの代理戦争だったと言える。AAAはキエフによるドンバス再征服計画(2022/02/16以降のドンバス攻撃の激化)を、プーチン大統領が特別軍事作戦を発動することによって先制的に回避したことに、確かに驚きはしたが、最終的にはこの紛争を終わらせないことによって、ロシアを弱体化させる機会を見出したのだろう。
彼等は代理戦争と制裁圧力によって直ぐにロシアが崩壊するだろうと計算していたが、そんなことは起こらなかった。
その後の15ヵ月は、西洋による対ロシア金融制裁が発展途上諸国に食糧危機と燃料危機を引き起こし、ロシアよりもグローバル・サウスに大きな打撃を与える結果となった。その対策としての所謂「穀物協定」もまた、キエフがそれらの国々に物資を輸送せず、EU諸国への輸出を優先した為、彼等の苦しみを和らげはしなかった。
こうした窮状を背景として、これらの国々の一部の指導者達は、キエフとロシアとの和平ミッションに取り組むことを決意した。両国はグローバル・サウスにとってはこれまでは信頼出来る穀物輸入元だったのだが、この輸入を回復させる為、彼等は停戦や制裁の一部解除等の緊張緩和策に合意するよう、双方を説得しようとした。
プーチン大統領は、彼等が何故自分を訪問したのかを承知しており、ロシアが彼等の問題に責任を負っていないことを証明する機会を利用した。
多極化へ向かう世界的なシステム移行の中で、ロシアはアフリカのことを、台頭する新たな極だと見做しているので、アフリカとの関係を包括的に拡大することが重要だと考えている。その為ロシアの指導者は、食糧危機の原因をロシアになすりつけようとする西洋のプロパガンダにアフリカの人々が惑わされないようにする必要が有る。特に、穀物協定はキエフ側が条件を履行していないので更新される可能性は低く、ロシアを悪魔化する情報戦が繰り返されるだろうからだ。
そこでプーチン大統領は、それまでは信頼出来る輸入元だったウクライナからの穀物供給を妨害しているのはロシアではなく、キエフとそのスポンサーであるAAAであることを示す為に、ロシアとキエフとの現在は無効になっている条約草案の詳細を明らかにする絶好のタイミングを選んだ。
また、NATOが支援するキエフの自殺的反攻作戦と云う状況を踏まえることで、そもそもAAAが和平プロセスに介入しなければ、この大惨事は完全に回避可能であったことを、平均的な西洋人に示すことも出来た。
アフリカが仲介する和平協議は、キエフの反攻が最終的に終わってから、冬頃に再開される可能性が非常に高い。その間にアフリカ和平使節団が双方から非公式の調停を要請される可能性が有る。
AAAの圧力によって最終的にウクライナが破棄することになった署名合意の詳細を予め使節団が知っておくことによって、両国は中断したところから再開することが出来る様になる。そうなれば交渉をより効果的に促進することが出来るだろう。
こうした理由から、プーチン大統領がこの条約の詳細を明らかにするのを今まで待っていた理由も理解出来る。恐らくは穀物協定が期限切れになる7月から、食糧危機の責任をロシアになすりつけようとする情報戦が再開されるだろう。ロシア・アフリカ首脳会談はその直ぐ後だ。 プーチン氏はこれに先立ってアフリカのパートナー諸国を安心させる為に、この証拠を和平使節団に提示し、食糧危機の責任がロシアには無いことを説明し、彼等が誤解しないようにしたのだ。
Putin Chose The Perfect Time To Reveal Details About The Now-Defunct Draft Treaty With Ukraine
2023/06/17、プーチン大統領はアフリカの和平使節団に対して、現在は失効しているロシアとウクライナとの協定草案の詳細を明らかにした。
Putin shows treaty on Ukraine’s neutrality, signed by Kiev but dumped under Western pressure
これは2022年3月にトルコの仲介でロシアとウクライナとの間に結ばれた「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と云う条約で、ウクライナが憲法に「永世中立」を明記しなければならなず、常備軍の規模も制限すると規定するものだ。この条約にはロシア、米国、英国、中国、フランスが保証人として名を連ねている。
プーチン氏に拠れば、この条約はウクライナ側も署名していたのだが、合意の一環としてロシアがキエフから軍隊を撤退させることで善意を示したにも関わらず、英米枢軸(Anglo-American Axis/AAA)からの圧力に応えてウクライナ側が協定を破棄した。
つまり、ロシア軍の特別軍事作戦は開始から僅か1ヵ月で終わっていた可能性が有るのだ。
言い換えればそれ以降の展開は全て、AAAが停戦を妨害し、NATOがキエフに追加の大規模支援を行ったからこそ可能になったものだと言える。NATOがそれまでキエフ支援に全力を尽くしていなかったことを考えると、2022年4月以降の戦闘は、キエフとロシアとの戦争ではなく、NATOとロシアとの代理戦争だったと言える。AAAはキエフによるドンバス再征服計画(2022/02/16以降のドンバス攻撃の激化)を、プーチン大統領が特別軍事作戦を発動することによって先制的に回避したことに、確かに驚きはしたが、最終的にはこの紛争を終わらせないことによって、ロシアを弱体化させる機会を見出したのだろう。
彼等は代理戦争と制裁圧力によって直ぐにロシアが崩壊するだろうと計算していたが、そんなことは起こらなかった。
その後の15ヵ月は、西洋による対ロシア金融制裁が発展途上諸国に食糧危機と燃料危機を引き起こし、ロシアよりもグローバル・サウスに大きな打撃を与える結果となった。その対策としての所謂「穀物協定」もまた、キエフがそれらの国々に物資を輸送せず、EU諸国への輸出を優先した為、彼等の苦しみを和らげはしなかった。
こうした窮状を背景として、これらの国々の一部の指導者達は、キエフとロシアとの和平ミッションに取り組むことを決意した。両国はグローバル・サウスにとってはこれまでは信頼出来る穀物輸入元だったのだが、この輸入を回復させる為、彼等は停戦や制裁の一部解除等の緊張緩和策に合意するよう、双方を説得しようとした。
プーチン大統領は、彼等が何故自分を訪問したのかを承知しており、ロシアが彼等の問題に責任を負っていないことを証明する機会を利用した。
多極化へ向かう世界的なシステム移行の中で、ロシアはアフリカのことを、台頭する新たな極だと見做しているので、アフリカとの関係を包括的に拡大することが重要だと考えている。その為ロシアの指導者は、食糧危機の原因をロシアになすりつけようとする西洋のプロパガンダにアフリカの人々が惑わされないようにする必要が有る。特に、穀物協定はキエフ側が条件を履行していないので更新される可能性は低く、ロシアを悪魔化する情報戦が繰り返されるだろうからだ。
そこでプーチン大統領は、それまでは信頼出来る輸入元だったウクライナからの穀物供給を妨害しているのはロシアではなく、キエフとそのスポンサーであるAAAであることを示す為に、ロシアとキエフとの現在は無効になっている条約草案の詳細を明らかにする絶好のタイミングを選んだ。
また、NATOが支援するキエフの自殺的反攻作戦と云う状況を踏まえることで、そもそもAAAが和平プロセスに介入しなければ、この大惨事は完全に回避可能であったことを、平均的な西洋人に示すことも出来た。
アフリカが仲介する和平協議は、キエフの反攻が最終的に終わってから、冬頃に再開される可能性が非常に高い。その間にアフリカ和平使節団が双方から非公式の調停を要請される可能性が有る。
AAAの圧力によって最終的にウクライナが破棄することになった署名合意の詳細を予め使節団が知っておくことによって、両国は中断したところから再開することが出来る様になる。そうなれば交渉をより効果的に促進することが出来るだろう。
こうした理由から、プーチン大統領がこの条約の詳細を明らかにするのを今まで待っていた理由も理解出来る。恐らくは穀物協定が期限切れになる7月から、食糧危機の責任をロシアになすりつけようとする情報戦が再開されるだろう。ロシア・アフリカ首脳会談はその直ぐ後だ。 プーチン氏はこれに先立ってアフリカのパートナー諸国を安心させる為に、この証拠を和平使節団に提示し、食糧危機の責任がロシアには無いことを説明し、彼等が誤解しないようにしたのだ。