グランド・チェスボードを巡る闘争(2023年)
続き。
グランド・チェスボードを巡る闘争(2024年)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/12/20のCNNの論説は、恰もロシアが中国と共謀して秘密裏に北極を軍事化しているかの様な印象を煽っている。これは西洋が「露中の軍事的脅威」に対する「自衛」として北極を軍事化する口実を与えると予想される。
新冷戦の北極戦線を開いたのは誰か? CNNは嘘を吐いている(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/12/16、ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務副大臣が明らかにした大ユーラシア・パートナーシップに関する最新情報は、ユーラシア超大陸が秘める経済的ポテンシャルの未来を指し示している。
ロシアのアジア方面政策立案トップが大ユーラシア・パートナーシップに関する最新情報を明らかに(抄訳)
マフディー・ダリウス・ナゼムロアヤ氏の記事。西洋の橋頭堡としてのイスラエルの役割が西アジアやアフリカの分断統治であり、その為に多文化主義が否定され、差別が人為的に拡大再生産されている。「文明の衝突」とはつまり、西洋の自己実現的な予言のことだったのだ。
Preparing the Chessboard for the “Clash of Civilizations”: Divide, Conquer and Rule the “New Middle East”
「文明の衝突」のためのチェス盤準備:「新中東」を分割し、征服し、そして支配せよ
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/22、フィナンシャル・タイムズの報道は、インドと西洋の蜜月関係が遂に終焉を迎える可能性を示唆しているが、それが世界の多極化プロセスに於て果たす役割は極めて重要なものとなる。インドとロシアの戦略的パートナーシップは、米国のリベラル・グローバリスト派閥が望む米中二極化の未来に対抗する上で不可欠の役割を果たす。
インドと西洋の蜜月関係が遂に破局?(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/20、フーシがイスラエルと関係が有るとされる船を拿捕したが、紅海の安全を確保すると云う使命を、紅海評議会は怠ったことになる。これによりNATOが紅海を軍事化する口実が生まれてしまったが、これはエリトリアやスーダン等の加盟国にとって、予期せぬ安全保障上の課題を引き起こすかも知れない。
フーシがイスラエル関連と言われる船を拿捕した事件で、紅海評議会の信用が失墜(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。中米間の緊張緩和が進んでいるが、これは対立が解消すると云う意味ではなく、単により良く管理出来る様になると云うだけだ。これは他国(特にインドとロシア)にとっては新たな課題も伴う。
理想的には、これらの利益の間にプラグマティックなバランスが達成されることが望ましいが、それは約束された未来ではない。
習-バイデン首脳会談は、中米対立をより良く管理する助けとなるだろう(抄訳)
★2023/11/14のヌリ・ヴィタチ氏の解説動画の抄訳。
世界支配に向けた米国の秘密計画———ウォルフォウィッツ・ドクトリンとは?(抄訳)
★2023/11/12のベン・ノートン氏の記事から、異端の経済学者マイケル・ハドソン氏による地政学的分析の部分を抄訳した。知っている人は既に知っている内容ではあるだろうが、重要なことなので復習しておく。その後のインタビューは割愛したがこれも興味深い。日本のメディアでは米国のイスラエル支援を説明するに際して今だに「イスラエル・ロビーの影響」などと云う話がまことしやかに語られているが、話はもっと単純であって、ユダヤ人の歴史や宗教対立の話もこの際殆ど無視して良い。全ては(英米)帝国の地政学的戦略の問題だ。
何故米国はイスラエルを支持するのか? 経済学者マイケル・ハドソンによる地政学的分析(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアの特別軍事作戦は多極化プロセスを前例の無い程加速させたが、経済協力機構には中間回廊と南北輸送回廊と云うふたつのメガ・プロジェクトの調整役としての役割を期待出来る。有望な解決策は、ECOとBRICSの間で調整を図ることだ。
経済協力機構は台頭する世界秩序の極となるかも知れない(抄訳)
★ベン・ノートン氏の記事の抄訳。西洋は常々、自分達こそが人類文明の担い手であり、進歩的価値観の体現者であり、他の国々は道徳的に劣っている為、「我々」が善導してやらなければならないと公言して憚らない。だが、2023/11/07に国連総会で行われた投票結果は、寧ろ西洋こそが正に人類文明の進歩を妨害しようとする悪質な反動勢力であることを証明している。
西洋は国連で民主主義、人権、文化的多様性に反対票を投じ、傭兵と制裁を促進する(抄訳)
★2023/11/04にドイツのマクデブルクでコンパクト誌が主催した「ロシアとの友情」会議に於ける、ティエリー・メイサン氏の講演の抄訳。「国際秩序」とはそもそもどんなものだったかについてのお浚い。
国際秩序? どの国際秩序?(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/17、中央アジア共和諸国(CARs)5ヵ国は全て南北輸送回廊に参加する予定であると発表された。このルートはCARsが特定の貿易相手国に不均衡に依存する可能性を先制的に回避する為の多角化の取り組みを補完し、それによって戦略的自治を最大限確保するのに役立つ。
南北輸送回廊は中央アジア共和諸国のバランス調整にとって決定的だ(抄訳
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。イスラエルとウクライナに対する西洋の二重基準は余りにも明々白々なので、西洋の偽善に対するロシアの一貫した批判の信憑性が高まっている。
イスラエルとウクライナに対するその二重基準により、西洋はグローバル・サウスで信用を失っている(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。インドとカナダの論争は、米国が関与していたと云う暴露を受けて、インドと米国の対立に発展した。米国のリベラル・グローバリスト派閥はプラグマティスト派閥が計画している印米協力関係を損なおうと陰謀を巡らせているが、これは今後の展開次第によっては世界のバランスを大きく変える危険性が有る。
インド・カナダ論争に於ける米国の二重取引は、デリーとの関係を台無しにする危険性が有る(抄訳)
★2023/09/13のマシュー・エレット氏の記事。西洋の植民地主義勢力がアフリカの成長を阻害したが、ユーラシアの文明諸国家は安全保障や経済発展、そして国際秩序の推進によって、それを復活させようとしている。
西洋はアフリカを破壊した。ユーラシアはそれを復活させる
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/09/09のG20サミットに於てイタリアは一帯一路構想から撤退することを発表したが、全体的に見れば、サミットの結果は多極主義者にとっては喜ばしいものだった。
G20でイタリアは一帯一路構想からもう直ぐ撤退すると報じられたが、全体的に見ればまだマシだった(抄訳)
★素敵な地図を見付けたので紹介する。世界中の大規模インフラ開発プロジェクトの地図。世界中が今正に猛烈な勢いで繋がりつつあることが目で見て解る。これらのプロジェクトの多くは西洋の覇権を脅かすものなので、この地図は戦争や紛争やテロ、各種ハイブリッド戦争が展開するシナリオを読み解く上でも重要なものとなる。
世界中の大規模インフラ開発プロジェクトの地図
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋が一極覇権は失われたと云う現実を認めない限り、事態は先へ進まない。紛争解決に向けて決定権を持っているのはロシアではなく、(最初からだが)西洋の方だ。
特別軍事作戦に関するラヴロフの最新の洞察を分析する(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/08/07に報道されたアリューシャン列島付近での中露合同海上偵察演習は、米軍による一極覇権の時代が終わったことを示している。「地政学的なライヴァルの軍が自国の国境付近で演習を行うことは、戦争挑発行為と解釈されても仕方が無い」と云う単純な事実を、漸くアメリカ帝国の住民は実体験として理解することが出来る様になった。
アラスカのアリューシャン列島付近の中露海上偵察演習で、米国は形勢逆転される(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の解説より抜粋。2023/07/28の第2回ロシア・アフリカ首脳会議での、エリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領による新冷戦の本質の解説。ずっと加害者サイドに居る日本人にはピンと来ないのかも知れないが、被害者サイドからしてみたら新冷戦が何を意味するのかは明らかだ。
新冷戦に関するエリトリアのアフェウェルキ大統領の説明を皆読むべきだ(抜粋)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアが中国と仲良くし、インドが米国と仲良くしていたら、ロシアとインドは仲良く出来ないのだろうか? そんなことは全くない。
中国も米国も、ロシアとインドの戦略的パートナーシップに影響を与えない(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多極化へ向かう趨勢の中での米国の外交は、一極覇権が最早通用しないことを物語っている。
最近の米国の中国、インド、イランとの外交の点と点を結んでみる(抄訳)
2023/06/14〜17に開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでロシアのラヴロフ外相は、ウクライナ紛争が終結すれば「世界は変わるでしょう」と述べ、西洋の一極覇権体制の終焉を公言した。
‘The world will be different’ when the Ukraine conflict ends – Lavrov to RT
2023/06/16、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでのプーチン大統領の演説。「新植民地主義的な国際システムは終焉を迎え、多極的な秩序が構築されつつある。これは必然的なプロセスである。」世界全体の平和と安定と繁栄を願う者であれは喝采を送るべきだろう。だが帝国主義プロパガンダに洗脳されていると、新植民地主義システムの実態は全く目に入らなくなるものらしい。
【ライブ】プーチン露大統領 サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで登壇
‘Ugly’ neocolonial system is dead – Putin
Deeply Japanさんとこのこの記事なんかは、西アジア周辺の脱西洋化の趨勢をさっぱりと纏めてくれている。「今回、ウクライナとロシアが停戦すれば終わりよ、みたいなことを言っている人は、過去10年ぐらい眠ってたんじゃないかと思われる」と云う指摘はその通りで、西洋のゴールデン・ビリオンが「俺達こそが/だけが国際社会」とか言ってガラパゴス化した世界観の中に閉じ籠もっている間に、それ以外の世界はどんどん動いていた。日本のマスコミとかだけ見ていたらこうした動きは到底理解出来ない。
金融危機、フランス大混乱、アサド大統領モスクワ訪問とシリア動乱振り返り
藤永茂氏が『人道的帝国主義』等の著作で知られるジャン・ブリクモン氏の2022/11/05のインタビューを訳しておられたので紹介しておく。一言で言うと「西洋、終わってる」。
Jean Bricmontの最近の発言: NATOを解体すべし
★ベン・ノートン氏の記事の抄訳。ドルの覇権に関する後半1/3程度は割愛した。
「世界は益々多極化」し、西洋の覇権は衰退すると、欧州中央銀行が認める(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。新冷戦の本丸はロシアではなく中国だ。幾つものアジア諸国が下劣な中国包囲網に取り込まれようとしている。
米国は中国との戦争の可能性を前に同盟国を纏めている(抄訳)
★西アジアの安全保障上の地殻変動について、フセイン ・アスカリー氏の記事。西洋の卑劣な分断統治策に対する、和解と協力による反撃が始まっている。
ロシア、イラン、中国はペルシャ湾の安全保障の再起動を目指している(抄訳と補足)
何故イランは「中東」」ではなく「西アジア」と云う呼び方を使うのか? それは前者が、欧州を世界の中心と捉えた時の呼び方だからだ。
なぜ「中東」ではなく「西アジア」なのか? イラン最高指導者の見解
★スーダンとその周辺の地政学的状況についてのマシュー・エレット氏の解説から、一部の要点を抜き出して補足してみた。地域全体が西洋の軛から脱し、統合と開発に向けて動いている。
スーダン:東と西の間の新たな地政学的戦場?(抜粋と補足)
★コンゴ共和国の主要野党の国会議員、ジェレミー ・リスーバ氏の論説の抄訳。西洋は傲慢な性根を入れ替えなければ、グローバルサウスから愛想を尽かされるだけだ。
アフリカ、アジアとの関係は崩壊の瀬戸際———得をするのはロシア(抄訳)
2023/03/31にプーチン大統領によって署名された、ロシア連邦の外交政策構想について、ティエリー・メイサン氏の解説。これを、落ち目のケチな詐欺師の売り口上の様なバイデンの一般教書演説と読み比べてみると良い。ワシントンとモスクワ、どちらがより正気を保っていて、良心的で、歴史の正しい側に立っているかは一目瞭然だ。西洋は国連憲章に書かれている様な理想を、最早帝国主義的野心を覆い隠す為のイチジクの葉としか考えていないが、ロシアはこれらを文字通りの意味で支持している。法の支配と国家間平等の原則に基付く多極的国際平和を望む人間であれば、どちらの勝利を望むか、そう迷いはしないだろう。
How Russia Sees its Role in the Construction of the Multipolar World
★西洋の衰退を示す様々な兆候をざっとお浚い。
西洋の衰退を示す10の統計データ(要点)
2023/03/22、中国の習近平主席がロシアのプーチン大統領と中露協商を話し合った時の発言:「ここ100年、起こらなかった変化が起ころうとしています。そして私達は共にこの変化を推進しています。」———まぁ私としては「ここ500年」とすら言いたい気分だが、「俺達こそが/だけが国際社会」と驕り高ぶっていたゴールデ・ビリオン(全人類の13%)の世界観以外のものの見方を知らない人達は、世界全体から見れば自分達は寧ろ少数派だと云うことが理解出来ていないから、自分達以外の人々から見たら物事がどう展開しているのか、さっぱり理解出来ない儘だろう。中国の経済力(生活保障能力)とロシアの軍事力(安全保障能力)が組み合わさる展開は、一極覇権主義者にとっては最悪だろうが、より公正で安全な世界を望む多極主義者にとっては福音だ。
Watch: Xi Jinping tells Putin ‘change not seen in 100 years’ is coming
Xi Jinping and 'dear friend' Putin agree that 'change is coming' in final exchange in Moscow
★ベン・ノートン氏の記事。西洋(the West)全体が今やその他の世界(the Rest)から孤立しつつあることを、EUの報告書が再確認している。
西洋は政治的にその他の世界から切り離されていると、EUの研究が認めた(要点)
地政学アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏の自己紹介。この記事でも述べられているが、世に地政学アナリストは数多いが、この1年間で彼程多くの(1日3本から5本!)、そして広範囲に亘る分析を発表した人は居ない。少なくとも私の知っている限りでは、これ程精力的に記事を発表している人は他に思い付かない(過労が心配になる程だ)。量が質を保証する訳ではないが、彼の場合は量と範囲だけではなく、その質も素晴らしい(但し文章は読み難いので、私が彼の記事を紹介する時にはその辺は多少手を加えることが多い)。たまに間違えることも有るが、彼の記事からは、他のアナリストからは得られない独自の視点と洞察を数多く学ぶことが出来るので、私の様なズブの素人は大変助かっている。世界情勢の大きな流れについて理解したい人には、是非彼をフォローしてみることをお勧めする。彼は当代を代表するアナリストの一人と言って良いと思う。

Here’s What I Learned From Analyzing The New Cold War For 365 Consecutive Days
★ロシアと帝国主義との関係についての短いエッセイを全訳してみた。冷戦には植民地主義対植民地解放主義の戦いと云う側面が有った。
ロシアの帝国主義?
2023/01/16、ゼレンスキー政権の弾圧によってウクライナから追放された野党指導者ヴィクトル・メドヴェチュクはインタビューで、ウクライナ紛争の原因を説明している。「西洋は間違い無く自分達を勝者と考えており、ロシアは敗戦国だと考え」、その結果、旧ソ連領土を「米国とNATOにとって正当な獲物」だと見做すに至った。他方モスクワは冷戦以降一貫して対立の終結を望んでおり、西洋諸国との友好関係と、EUとの経済的・政治的統合を求めて来た。だがNATO拡大やバルカンでの紛争に見られる様に、米国の目的は曾ての敵を支配し貪り食うことだった。現在の紛争は、平和派の政治家の発言が許される場合にのみ解決すること出来る。西洋諸国はロシアがウクライナに於て正当な利益を有していることを認めなければならない。さもなくば「更に拡大して欧州や他の国にも波及」し、核戦争に発展する可能性も有る。
West sees Ukraine as a Cold War 'prize' – exiled opposition leader
2023年に大西洋評議会が発表した、160人以上の専門家達が予想する10年後の未来についての報告書。何かもう色々と酷過ぎてコメントする気も起こらない。「米帝の覇権は今まで通りには行かないかも」と多少は譲歩する姿勢は見せているものの、殆どが帝国主義者の妄想を垂れ流しているだけだ。本気でこう考えている連中が西洋諸国の支配権を握っているのだとしたら、西洋の迷走と凋落は今後も続くだろう。
Welcome to 2033
コリブコ氏の分析。2023/01/10のロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官はインタビューで、米国は過去1年間、ロシアとアジアのパートナー諸国との間に楔を打ち込むことが出来なかったことを確認した。今までのロシアのアジア外交の展開から、次の5点を指摘出来る:
1)米国はロシアとアジアのパートナー諸国との間に楔を打ち込むことに失敗した。
2)ロシアとアジアの関係は中国中心ではなく、ASEAN 、特にインドとの戦略的パートナーシップによってバランスを取っている。
3)(米国の属国である)ROKと日本でさえ、ロシアとの関係を完全に断ち切った訳ではない。
4)アジア全体が米国からの独立を強めている。
5)アジアは急速に世界の多極化の中心になりつつある。
The US Failed To Drive A Wedge Between Russia & Its Asian Partners
★ヴィジャイ・プラシャド氏が序文を書いている、ワシントンの新冷戦について手軽に読める本のレビュー。
新冷戦を阻止しよう。さもなければ人類に未来は無い。
★アメリカ帝国こそが全世界を導きくべきだと考える方々の発言集。
アメリカ帝国は世界を導く責任を負っているそうだ
エマニュエル・トッド氏は、日々のニュースは西洋のプロパガンダ・メディアでチェックしていると云う、どちらかと云うと情弱さんらしいのだが(彼はロシア兵が捕虜を虐待するのは当然だろうとか思う様な人だ)、それでも著名な知識人の中では、「ウクライナ紛争を始めたのはロシアではなくNATO」と云う極く当たり前の事実を公言出来る稀有な人。彼の名前がウクライナの殺害リストに載っているかどうかは私は知らないが、西洋の公式プロパガンダに真っ向から異を唱えているのは確か。「有名人や権威者の言うことでなければ信用出来ない」と云う日本人の読者には、彼のインタビュー集はお薦め。現在、世界史で扱う様なレヴェルで大きな地政学的地殻変動が起こっているので、その入門編として手頃だ。
‘World War 3 has already started’ between US and Russia/China, argues French scholar
2022/02/24以降、ウクライナに武器を供与した国は少なくとも28ヵ国。つまりこれらの国々が現在のナチ陣営であり、全人類の敵であると言って差し支えない(トルコなんかは立ち位置が微妙ではあるが)。

Which countries are supplying tanks to Ukraine?
★ベン・ノートン氏の記事の要点。ソ連が共産主義体制だったから脅威だった、と云うのは間違いで、共産主義だろうと資本主義だろうと、アメリカ帝国の一極覇権の野望にとって邪魔になる国は、どの国であろうと「脅威」なのだ。
元米副大統領ディック・チェイニーは、米国の目標がソ連だけでなくロシアを解体することであることを認めた(要点)
2023/01/11、ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトルシェフ長官のインタビュー全文。私は機械翻訳で読んだが、仲々興味深い点が盛り沢山。彼はアメリカ帝国でさえ「世界を支配しようとする巨大企業の集合体の単なる殻」に過ぎないと喝破し、真の敵は「グローバルな搾取のシステムを維持」しようとする多国籍企業(軍産複合体を含む)だと捉えている。国境を越えたエリートはどの国にも忠誠心を持っておらず、「豊富な資源、広大な領土、自国とその伝統と歴史を愛する知的で自給自足の人々」を持つロシアを煩わしく思っている。西洋諸国は「自分達が野蛮から文明を守っているのだ」と云う幻想を作り出すことがよく有るが、アル=カイダ、タリバン、ISIS、そしてウクライナのネオナチを作り出したのは他ならぬ彼等だ。パトルシェフ氏は彼等の人口削減アジェンダや炭素帝国主義の問題にも気付いており、それらをナチ人種科学と同列に置いている。そして「人類の可能性は尽きることがありません」と、人類の未来については楽観的な展望を抱いている。

«Россию хотят превратить в Московию». Николай Патрушев — о Западе и Украине
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★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/12/20のCNNの論説は、恰もロシアが中国と共謀して秘密裏に北極を軍事化しているかの様な印象を煽っている。これは西洋が「露中の軍事的脅威」に対する「自衛」として北極を軍事化する口実を与えると予想される。
新冷戦の北極戦線を開いたのは誰か? CNNは嘘を吐いている(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/12/16、ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務副大臣が明らかにした大ユーラシア・パートナーシップに関する最新情報は、ユーラシア超大陸が秘める経済的ポテンシャルの未来を指し示している。
ロシアのアジア方面政策立案トップが大ユーラシア・パートナーシップに関する最新情報を明らかに(抄訳)
マフディー・ダリウス・ナゼムロアヤ氏の記事。西洋の橋頭堡としてのイスラエルの役割が西アジアやアフリカの分断統治であり、その為に多文化主義が否定され、差別が人為的に拡大再生産されている。「文明の衝突」とはつまり、西洋の自己実現的な予言のことだったのだ。
Preparing the Chessboard for the “Clash of Civilizations”: Divide, Conquer and Rule the “New Middle East”
「文明の衝突」のためのチェス盤準備:「新中東」を分割し、征服し、そして支配せよ
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/22、フィナンシャル・タイムズの報道は、インドと西洋の蜜月関係が遂に終焉を迎える可能性を示唆しているが、それが世界の多極化プロセスに於て果たす役割は極めて重要なものとなる。インドとロシアの戦略的パートナーシップは、米国のリベラル・グローバリスト派閥が望む米中二極化の未来に対抗する上で不可欠の役割を果たす。
インドと西洋の蜜月関係が遂に破局?(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/11/20、フーシがイスラエルと関係が有るとされる船を拿捕したが、紅海の安全を確保すると云う使命を、紅海評議会は怠ったことになる。これによりNATOが紅海を軍事化する口実が生まれてしまったが、これはエリトリアやスーダン等の加盟国にとって、予期せぬ安全保障上の課題を引き起こすかも知れない。
フーシがイスラエル関連と言われる船を拿捕した事件で、紅海評議会の信用が失墜(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。中米間の緊張緩和が進んでいるが、これは対立が解消すると云う意味ではなく、単により良く管理出来る様になると云うだけだ。これは他国(特にインドとロシア)にとっては新たな課題も伴う。
理想的には、これらの利益の間にプラグマティックなバランスが達成されることが望ましいが、それは約束された未来ではない。
習-バイデン首脳会談は、中米対立をより良く管理する助けとなるだろう(抄訳)
★2023/11/14のヌリ・ヴィタチ氏の解説動画の抄訳。
世界支配に向けた米国の秘密計画———ウォルフォウィッツ・ドクトリンとは?(抄訳)
★2023/11/12のベン・ノートン氏の記事から、異端の経済学者マイケル・ハドソン氏による地政学的分析の部分を抄訳した。知っている人は既に知っている内容ではあるだろうが、重要なことなので復習しておく。その後のインタビューは割愛したがこれも興味深い。日本のメディアでは米国のイスラエル支援を説明するに際して今だに「イスラエル・ロビーの影響」などと云う話がまことしやかに語られているが、話はもっと単純であって、ユダヤ人の歴史や宗教対立の話もこの際殆ど無視して良い。全ては(英米)帝国の地政学的戦略の問題だ。
何故米国はイスラエルを支持するのか? 経済学者マイケル・ハドソンによる地政学的分析(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアの特別軍事作戦は多極化プロセスを前例の無い程加速させたが、経済協力機構には中間回廊と南北輸送回廊と云うふたつのメガ・プロジェクトの調整役としての役割を期待出来る。有望な解決策は、ECOとBRICSの間で調整を図ることだ。
経済協力機構は台頭する世界秩序の極となるかも知れない(抄訳)
★ベン・ノートン氏の記事の抄訳。西洋は常々、自分達こそが人類文明の担い手であり、進歩的価値観の体現者であり、他の国々は道徳的に劣っている為、「我々」が善導してやらなければならないと公言して憚らない。だが、2023/11/07に国連総会で行われた投票結果は、寧ろ西洋こそが正に人類文明の進歩を妨害しようとする悪質な反動勢力であることを証明している。
西洋は国連で民主主義、人権、文化的多様性に反対票を投じ、傭兵と制裁を促進する(抄訳)
★2023/11/04にドイツのマクデブルクでコンパクト誌が主催した「ロシアとの友情」会議に於ける、ティエリー・メイサン氏の講演の抄訳。「国際秩序」とはそもそもどんなものだったかについてのお浚い。
国際秩序? どの国際秩序?(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/10/17、中央アジア共和諸国(CARs)5ヵ国は全て南北輸送回廊に参加する予定であると発表された。このルートはCARsが特定の貿易相手国に不均衡に依存する可能性を先制的に回避する為の多角化の取り組みを補完し、それによって戦略的自治を最大限確保するのに役立つ。
南北輸送回廊は中央アジア共和諸国のバランス調整にとって決定的だ(抄訳
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。イスラエルとウクライナに対する西洋の二重基準は余りにも明々白々なので、西洋の偽善に対するロシアの一貫した批判の信憑性が高まっている。
イスラエルとウクライナに対するその二重基準により、西洋はグローバル・サウスで信用を失っている(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。インドとカナダの論争は、米国が関与していたと云う暴露を受けて、インドと米国の対立に発展した。米国のリベラル・グローバリスト派閥はプラグマティスト派閥が計画している印米協力関係を損なおうと陰謀を巡らせているが、これは今後の展開次第によっては世界のバランスを大きく変える危険性が有る。
インド・カナダ論争に於ける米国の二重取引は、デリーとの関係を台無しにする危険性が有る(抄訳)
★2023/09/13のマシュー・エレット氏の記事。西洋の植民地主義勢力がアフリカの成長を阻害したが、ユーラシアの文明諸国家は安全保障や経済発展、そして国際秩序の推進によって、それを復活させようとしている。
西洋はアフリカを破壊した。ユーラシアはそれを復活させる
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/09/09のG20サミットに於てイタリアは一帯一路構想から撤退することを発表したが、全体的に見れば、サミットの結果は多極主義者にとっては喜ばしいものだった。
G20でイタリアは一帯一路構想からもう直ぐ撤退すると報じられたが、全体的に見ればまだマシだった(抄訳)
★素敵な地図を見付けたので紹介する。世界中の大規模インフラ開発プロジェクトの地図。世界中が今正に猛烈な勢いで繋がりつつあることが目で見て解る。これらのプロジェクトの多くは西洋の覇権を脅かすものなので、この地図は戦争や紛争やテロ、各種ハイブリッド戦争が展開するシナリオを読み解く上でも重要なものとなる。
世界中の大規模インフラ開発プロジェクトの地図
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。西洋が一極覇権は失われたと云う現実を認めない限り、事態は先へ進まない。紛争解決に向けて決定権を持っているのはロシアではなく、(最初からだが)西洋の方だ。
特別軍事作戦に関するラヴロフの最新の洞察を分析する(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/08/07に報道されたアリューシャン列島付近での中露合同海上偵察演習は、米軍による一極覇権の時代が終わったことを示している。「地政学的なライヴァルの軍が自国の国境付近で演習を行うことは、戦争挑発行為と解釈されても仕方が無い」と云う単純な事実を、漸くアメリカ帝国の住民は実体験として理解することが出来る様になった。
アラスカのアリューシャン列島付近の中露海上偵察演習で、米国は形勢逆転される(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の解説より抜粋。2023/07/28の第2回ロシア・アフリカ首脳会議での、エリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領による新冷戦の本質の解説。ずっと加害者サイドに居る日本人にはピンと来ないのかも知れないが、被害者サイドからしてみたら新冷戦が何を意味するのかは明らかだ。
新冷戦に関するエリトリアのアフェウェルキ大統領の説明を皆読むべきだ(抜粋)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。ロシアが中国と仲良くし、インドが米国と仲良くしていたら、ロシアとインドは仲良く出来ないのだろうか? そんなことは全くない。
中国も米国も、ロシアとインドの戦略的パートナーシップに影響を与えない(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。多極化へ向かう趨勢の中での米国の外交は、一極覇権が最早通用しないことを物語っている。
最近の米国の中国、インド、イランとの外交の点と点を結んでみる(抄訳)
2023/06/14〜17に開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでロシアのラヴロフ外相は、ウクライナ紛争が終結すれば「世界は変わるでしょう」と述べ、西洋の一極覇権体制の終焉を公言した。
‘The world will be different’ when the Ukraine conflict ends – Lavrov to RT
2023/06/16、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムでのプーチン大統領の演説。「新植民地主義的な国際システムは終焉を迎え、多極的な秩序が構築されつつある。これは必然的なプロセスである。」世界全体の平和と安定と繁栄を願う者であれは喝采を送るべきだろう。だが帝国主義プロパガンダに洗脳されていると、新植民地主義システムの実態は全く目に入らなくなるものらしい。
【ライブ】プーチン露大統領 サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで登壇
‘Ugly’ neocolonial system is dead – Putin
Deeply Japanさんとこのこの記事なんかは、西アジア周辺の脱西洋化の趨勢をさっぱりと纏めてくれている。「今回、ウクライナとロシアが停戦すれば終わりよ、みたいなことを言っている人は、過去10年ぐらい眠ってたんじゃないかと思われる」と云う指摘はその通りで、西洋のゴールデン・ビリオンが「俺達こそが/だけが国際社会」とか言ってガラパゴス化した世界観の中に閉じ籠もっている間に、それ以外の世界はどんどん動いていた。日本のマスコミとかだけ見ていたらこうした動きは到底理解出来ない。
金融危機、フランス大混乱、アサド大統領モスクワ訪問とシリア動乱振り返り
藤永茂氏が『人道的帝国主義』等の著作で知られるジャン・ブリクモン氏の2022/11/05のインタビューを訳しておられたので紹介しておく。一言で言うと「西洋、終わってる」。
Jean Bricmontの最近の発言: NATOを解体すべし
★ベン・ノートン氏の記事の抄訳。ドルの覇権に関する後半1/3程度は割愛した。
「世界は益々多極化」し、西洋の覇権は衰退すると、欧州中央銀行が認める(抄訳)
★アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。新冷戦の本丸はロシアではなく中国だ。幾つものアジア諸国が下劣な中国包囲網に取り込まれようとしている。
米国は中国との戦争の可能性を前に同盟国を纏めている(抄訳)
★西アジアの安全保障上の地殻変動について、フセイン ・アスカリー氏の記事。西洋の卑劣な分断統治策に対する、和解と協力による反撃が始まっている。
ロシア、イラン、中国はペルシャ湾の安全保障の再起動を目指している(抄訳と補足)
何故イランは「中東」」ではなく「西アジア」と云う呼び方を使うのか? それは前者が、欧州を世界の中心と捉えた時の呼び方だからだ。
なぜ「中東」ではなく「西アジア」なのか? イラン最高指導者の見解
★スーダンとその周辺の地政学的状況についてのマシュー・エレット氏の解説から、一部の要点を抜き出して補足してみた。地域全体が西洋の軛から脱し、統合と開発に向けて動いている。
スーダン:東と西の間の新たな地政学的戦場?(抜粋と補足)
★コンゴ共和国の主要野党の国会議員、ジェレミー ・リスーバ氏の論説の抄訳。西洋は傲慢な性根を入れ替えなければ、グローバルサウスから愛想を尽かされるだけだ。
アフリカ、アジアとの関係は崩壊の瀬戸際———得をするのはロシア(抄訳)
2023/03/31にプーチン大統領によって署名された、ロシア連邦の外交政策構想について、ティエリー・メイサン氏の解説。これを、落ち目のケチな詐欺師の売り口上の様なバイデンの一般教書演説と読み比べてみると良い。ワシントンとモスクワ、どちらがより正気を保っていて、良心的で、歴史の正しい側に立っているかは一目瞭然だ。西洋は国連憲章に書かれている様な理想を、最早帝国主義的野心を覆い隠す為のイチジクの葉としか考えていないが、ロシアはこれらを文字通りの意味で支持している。法の支配と国家間平等の原則に基付く多極的国際平和を望む人間であれば、どちらの勝利を望むか、そう迷いはしないだろう。
How Russia Sees its Role in the Construction of the Multipolar World
★西洋の衰退を示す様々な兆候をざっとお浚い。
西洋の衰退を示す10の統計データ(要点)
2023/03/22、中国の習近平主席がロシアのプーチン大統領と中露協商を話し合った時の発言:「ここ100年、起こらなかった変化が起ころうとしています。そして私達は共にこの変化を推進しています。」———まぁ私としては「ここ500年」とすら言いたい気分だが、「俺達こそが/だけが国際社会」と驕り高ぶっていたゴールデ・ビリオン(全人類の13%)の世界観以外のものの見方を知らない人達は、世界全体から見れば自分達は寧ろ少数派だと云うことが理解出来ていないから、自分達以外の人々から見たら物事がどう展開しているのか、さっぱり理解出来ない儘だろう。中国の経済力(生活保障能力)とロシアの軍事力(安全保障能力)が組み合わさる展開は、一極覇権主義者にとっては最悪だろうが、より公正で安全な世界を望む多極主義者にとっては福音だ。
Watch: Xi Jinping tells Putin ‘change not seen in 100 years’ is coming
Xi Jinping and 'dear friend' Putin agree that 'change is coming' in final exchange in Moscow
★ベン・ノートン氏の記事。西洋(the West)全体が今やその他の世界(the Rest)から孤立しつつあることを、EUの報告書が再確認している。
西洋は政治的にその他の世界から切り離されていると、EUの研究が認めた(要点)
地政学アナリスト、アンドリュー・コリブコ氏の自己紹介。この記事でも述べられているが、世に地政学アナリストは数多いが、この1年間で彼程多くの(1日3本から5本!)、そして広範囲に亘る分析を発表した人は居ない。少なくとも私の知っている限りでは、これ程精力的に記事を発表している人は他に思い付かない(過労が心配になる程だ)。量が質を保証する訳ではないが、彼の場合は量と範囲だけではなく、その質も素晴らしい(但し文章は読み難いので、私が彼の記事を紹介する時にはその辺は多少手を加えることが多い)。たまに間違えることも有るが、彼の記事からは、他のアナリストからは得られない独自の視点と洞察を数多く学ぶことが出来るので、私の様なズブの素人は大変助かっている。世界情勢の大きな流れについて理解したい人には、是非彼をフォローしてみることをお勧めする。彼は当代を代表するアナリストの一人と言って良いと思う。

Here’s What I Learned From Analyzing The New Cold War For 365 Consecutive Days
★ロシアと帝国主義との関係についての短いエッセイを全訳してみた。冷戦には植民地主義対植民地解放主義の戦いと云う側面が有った。
ロシアの帝国主義?
2023/01/16、ゼレンスキー政権の弾圧によってウクライナから追放された野党指導者ヴィクトル・メドヴェチュクはインタビューで、ウクライナ紛争の原因を説明している。「西洋は間違い無く自分達を勝者と考えており、ロシアは敗戦国だと考え」、その結果、旧ソ連領土を「米国とNATOにとって正当な獲物」だと見做すに至った。他方モスクワは冷戦以降一貫して対立の終結を望んでおり、西洋諸国との友好関係と、EUとの経済的・政治的統合を求めて来た。だがNATO拡大やバルカンでの紛争に見られる様に、米国の目的は曾ての敵を支配し貪り食うことだった。現在の紛争は、平和派の政治家の発言が許される場合にのみ解決すること出来る。西洋諸国はロシアがウクライナに於て正当な利益を有していることを認めなければならない。さもなくば「更に拡大して欧州や他の国にも波及」し、核戦争に発展する可能性も有る。
West sees Ukraine as a Cold War 'prize' – exiled opposition leader
2023年に大西洋評議会が発表した、160人以上の専門家達が予想する10年後の未来についての報告書。何かもう色々と酷過ぎてコメントする気も起こらない。「米帝の覇権は今まで通りには行かないかも」と多少は譲歩する姿勢は見せているものの、殆どが帝国主義者の妄想を垂れ流しているだけだ。本気でこう考えている連中が西洋諸国の支配権を握っているのだとしたら、西洋の迷走と凋落は今後も続くだろう。
Welcome to 2033
コリブコ氏の分析。2023/01/10のロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官はインタビューで、米国は過去1年間、ロシアとアジアのパートナー諸国との間に楔を打ち込むことが出来なかったことを確認した。今までのロシアのアジア外交の展開から、次の5点を指摘出来る:
1)米国はロシアとアジアのパートナー諸国との間に楔を打ち込むことに失敗した。
2)ロシアとアジアの関係は中国中心ではなく、ASEAN 、特にインドとの戦略的パートナーシップによってバランスを取っている。
3)(米国の属国である)ROKと日本でさえ、ロシアとの関係を完全に断ち切った訳ではない。
4)アジア全体が米国からの独立を強めている。
5)アジアは急速に世界の多極化の中心になりつつある。
The US Failed To Drive A Wedge Between Russia & Its Asian Partners
★ヴィジャイ・プラシャド氏が序文を書いている、ワシントンの新冷戦について手軽に読める本のレビュー。
新冷戦を阻止しよう。さもなければ人類に未来は無い。
★アメリカ帝国こそが全世界を導きくべきだと考える方々の発言集。
アメリカ帝国は世界を導く責任を負っているそうだ
エマニュエル・トッド氏は、日々のニュースは西洋のプロパガンダ・メディアでチェックしていると云う、どちらかと云うと情弱さんらしいのだが(彼はロシア兵が捕虜を虐待するのは当然だろうとか思う様な人だ)、それでも著名な知識人の中では、「ウクライナ紛争を始めたのはロシアではなくNATO」と云う極く当たり前の事実を公言出来る稀有な人。彼の名前がウクライナの殺害リストに載っているかどうかは私は知らないが、西洋の公式プロパガンダに真っ向から異を唱えているのは確か。「有名人や権威者の言うことでなければ信用出来ない」と云う日本人の読者には、彼のインタビュー集はお薦め。現在、世界史で扱う様なレヴェルで大きな地政学的地殻変動が起こっているので、その入門編として手頃だ。
‘World War 3 has already started’ between US and Russia/China, argues French scholar
2022/02/24以降、ウクライナに武器を供与した国は少なくとも28ヵ国。つまりこれらの国々が現在のナチ陣営であり、全人類の敵であると言って差し支えない(トルコなんかは立ち位置が微妙ではあるが)。

Which countries are supplying tanks to Ukraine?
★ベン・ノートン氏の記事の要点。ソ連が共産主義体制だったから脅威だった、と云うのは間違いで、共産主義だろうと資本主義だろうと、アメリカ帝国の一極覇権の野望にとって邪魔になる国は、どの国であろうと「脅威」なのだ。
元米副大統領ディック・チェイニーは、米国の目標がソ連だけでなくロシアを解体することであることを認めた(要点)
2023/01/11、ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトルシェフ長官のインタビュー全文。私は機械翻訳で読んだが、仲々興味深い点が盛り沢山。彼はアメリカ帝国でさえ「世界を支配しようとする巨大企業の集合体の単なる殻」に過ぎないと喝破し、真の敵は「グローバルな搾取のシステムを維持」しようとする多国籍企業(軍産複合体を含む)だと捉えている。国境を越えたエリートはどの国にも忠誠心を持っておらず、「豊富な資源、広大な領土、自国とその伝統と歴史を愛する知的で自給自足の人々」を持つロシアを煩わしく思っている。西洋諸国は「自分達が野蛮から文明を守っているのだ」と云う幻想を作り出すことがよく有るが、アル=カイダ、タリバン、ISIS、そしてウクライナのネオナチを作り出したのは他ならぬ彼等だ。パトルシェフ氏は彼等の人口削減アジェンダや炭素帝国主義の問題にも気付いており、それらをナチ人種科学と同列に置いている。そして「人類の可能性は尽きることがありません」と、人類の未来については楽観的な展望を抱いている。

«Россию хотят превратить в Московию». Николай Патрушев — о Западе и Украине
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