米国は囚人のメンタルヘルスを破壊する独房監禁に於て世界をリードしている(抄訳)
2023/09/26のジョン・キリアコウ氏の記事の抄訳。米国の非人道的な独房監禁の慣行についての警告。
人間は良くも悪くも社会的動物なので、他の人間との関わりを絶たれれば、精神衛生上悪い影響を被る。従って独房による物理的隔離は拷問の手段としても用いられる。例えば、ROK(大韓民国)の人権専門家に拠ると、南に来たDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)出身者(どんな事情で南に来た人であろうと、一律に「脱北者」と呼ばれる)は先ず、亡命者抑留センター(山中の鉄条網で囲まれた隔離施設)の、手を伸ばせば反対側の壁に届いてしまう様な極めて狭い独房に、長時間(1週間〜半年)拘束される。彼等はその間に繰り返し「尋問」を受けるのだが、3ヵ月を過ぎる頃には大抵の亡命者達が「自分は北のスパイだ」と「自白」する様になる。
また2020年以降世界各地で実施される様になった、「COVID-19パンデミック対策」としてのロックダウンやソーシャル・ディスタンスや各種隔離政策は、独房監禁の希釈化ヴァージョンと解釈することも出来るだろう。科学的には「感染拡大」には全く効果が無いどころか多大な害を齎すことが繰り返し証明されているにも関わらず、これらの似非科学政策が実施された理由のひとつは、ここ40年ばかり、新自由主義勢力が何をやって来たかを振り返れば、自ずと見当が付くだろう。
マーガレット・サッチャーの言い草を借りれば「社会など存在しない」と宣言する彼等は、労働組合や左派政党等、民衆がその最大の力である数を頼みに纏まった政治的勢力として自らの主張を訴える為の手段を解体し、或いは乗っ取って無力化して来た(例えば国鉄民営化は、当時の最大野党社会党の最大の支持母体である国鉄労組を解体するのが目的だった)。新自由主義勢力がLGBT+等の、社会全体の共通課題ではなく個々人の細かな差異に焦点を当てた運動に資金提供を行っているのは、個々人は分断されていた方が彼等にとっては都合が良いからだろう。個々人をより即物的に互いに自己隔離させる手段として見れば、COVID-19「対策」はそれなりに合理性が有るとも言える。だがそれによって特に小さな子供は、精神の安定や、知能や認知能力や言語能力に著しい悪影響を被ることになるのだから、実に邪悪極まり無い所業だ。
U.S. Leads the World in Solitary Confinement that Destroys Prisoners Mental Health
米国独房監禁の事例
アンソニー・ゲイは重度の精神疾患を患っている。そして重度の精神疾患を患い犯罪を犯した多くのアメリカ人と同様、彼は有罪判決を受けた後、統合失調症の治療を受けることが出来た筈の精神病院ではなく、独房に監禁された。
6フィート×10フィートの独房に1日24時間、週7日隔離された彼は、妄想に陥り、ショッキングな自傷行為に手を染める様になった。
ゲイはカミソリで自分の目を刺した。
彼は自分の肉を切り取って食べた。
自分の睾丸のひとつを切り取って独房のドアにぶら下げた。
そして囚人服のズボンから引きちぎったジッパーで陰嚢を縫い閉じた。
病院や刑務所の精神保健病棟に移される代わりに、ゲイは刑期を延長され、更に独房で過ごした。7年の刑期は最終的に97年になった。
彼はどんな罪を犯したのだろう? 彼は1993年に1ドル紙幣を盗んだ罪で有罪判決を受けた。
ゲイは2093年に釈放される予定だったが、裁判官は最終的に刑務所のシステムが彼にとって不適切であったことを認めた。
彼は漸く刑務所から釈放されて病院に送られたが、その時彼は既に22年間を独房で過ごしていた。

独房監禁とは
独房監禁とは、長期間に亘って囚人をあらゆる人間との接触から隔離する慣行だ。
独房監禁は、懲罰や行動制御の手段としてよく使用されるが、メンタルヘルスに深刻な悪影響を及ぼす可能性が有る。
世界の殆どの国では、囚人が独房で過ごすことが出来る期間を15日間に制限している。米国ではそうではない。米国には何年も、場合によっては何十年も独房に入れられている囚人が大勢居る。
独房は既に悪い状況を更に悪化させるだけだ。これは誰にとっても(裁判所、州、連邦刑務所局)明らかな筈だ。これはそもそも使用されるべきではない。
独房監禁の歴史
これは昔から分かっていたことだ。
懲罰としての独房監禁は、1829年にペンシルベニア州フィラデルフィアのイースタン州立刑務所で考案された。このアイディアは、堂々としたネオ・ゴシック様式の、逃亡不可能で警備厳重な刑務所を建設して、全ての囚人を独房に監禁すると云うものだった。それぞれの小さな独房には、ベッド、椅子、小さなテーブル、便器、そして聖書しか無かった。

これはつまり囚人が聖書を読む以外に何も時間を過ごすことが無ければ、釈放される頃には法を遵守する善良なキリスト教徒になっているだろうと云うアイディアだった。
ところが、全員が正気を失った。
独房監禁の非人道性
現在使用されている独房監禁は、不安、鬱、偏執狂、幻覚、自殺願望等、様々な深刻な精神的問題を引き起こす可能性が有ることを示す研究が増えている。
これらの問題は非常に深刻で、長期的な障害や死に繋がることすら有る。
米国で独房監禁されている精神疾患を抱えた囚人の数に関する真実の記録は、ひとつの図書館をいっぱいに出来る程だが、話は概ね一貫している。
独房に居る時間が長くなればなる程、精神状態は悪化する。
独房での刑期が始まった時にその人が若ければ若い程、精神状態は悪化する。
そして年齢に関係無く、既に精神疾患を患っている人が独房に入れられると、状況は通常、絶望的になる。
国連が米国の独房監禁の慣行を拷問の一形態であると宣言したのも不思議ではない。
囚人達の証言
独房で数十年を過ごし、時にそこで死亡した囚人達は、例えば次の様な証言を残している。
・「そこは寒さと静寂と空虚が混ざり合い、骨に染み込み、やがて心に染み込む、独自の世界です。」
・「私の人間としてのまともな感覚は日に日に薄れて行きました。」
・「彼等が私の周りに新しい壁を建てていると、私は生き埋めにされている様に感じました。………変わらない明るい人工照明と、腕時計や時計が無かったので、昼なのか夜なのか判りませんでした。私は頻繁に眠りに落ちましたが、目が覚めた時には5分眠ったのか5時間眠ったのかも判らず、何日なのか、何時なのかも判りませんでした。………今では、そこに収容されていたのは4年程だったと分かっていますが、若しそう聞かされていたら10年だと信じていたでしょう。それは永遠で終わりが無く、計り知れないものの様に思えました。」
・独房生活の25年間は「死よりも酷い刑期」だった。
・「私はとても辛い時期を経験し、退屈と孤独がまるで私の中に在る物理的なものの様に感じられる程でした。………それは余りに濃密で窒息させられる様で、私の心から正気を、私の魂から精神を、私の体から生命を絞り出そうとしているかの様でした。………私は心が正気の坂を滑り落ち、狂気に陥って行くのを見て目にして来ました。そして私は自分が周りの連中の様に、頭がおかしくなって狂ってしまうのではないかと恐れていました。」
・「時には彼等が首を吊って青くなっているのを看守が見付けることも有ります。ベッドから飛び降りる時に首が折れることも有ります。首に巻かれたシーツが天井の照明を覆う格子にも巻き付けられていて、ピンと張ってバキッと折れるんです。」
・「私は或る女性が頬と鼻から肉の塊を掻き毟って、自分の血で窓に書くのを見ました。私の隣人はコンクリートに頭を打ちつけ、結局看守達が彼女をクッション付きの独房に引き擦って行きました。………私の独房の真向かいでは、或る女性がカミソリで自分の喉を切り裂き、担架で運び出されました。他の2人はブラジャーと靴紐で窒息しようとしました。………別の女性は鉛筆の消しゴムの金属バンドで手首を切りました。………誰かの心がウサギの穴に落ちて行くと、残された血溜まりや糞便の汚れを掃除させられるのは何時も、可哀想な囚人ポーターです。」
・またリュックを盗んだ容疑で逮捕された或る16歳の少年は、3年間独房監禁された後、自殺した。彼は有罪判決を下されていた訳ではなかったが、裁判を待つ間独房に拘留されていた。彼の遺族に拠ると、彼は独房監禁中に不安、鬱、妄想等の深刻な精神的問題に悩まされていた。
結論
独房監禁がメンタルヘルスに与える影響に関する研究は明白だ。独房監禁には何ひとつ良いことは無い。それは深刻な心理的問題を引き起こしたり悪化させたりし、往々にして長期の障害や死に至る。
国連は独房監禁を非難しており、世界の他の多くの国々の刑務所は独房監禁の慣行を許していない。
これは米国の刑務所システムと米国のメンタルヘルスケア・システムの両方の失敗を示す生きた事例だ。
これらを修復するには、多大な時間、お金、努力が必要となる。
だがとにかく最初のステップは、独房監禁を終わらせることだ。
人間は良くも悪くも社会的動物なので、他の人間との関わりを絶たれれば、精神衛生上悪い影響を被る。従って独房による物理的隔離は拷問の手段としても用いられる。例えば、ROK(大韓民国)の人権専門家に拠ると、南に来たDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)出身者(どんな事情で南に来た人であろうと、一律に「脱北者」と呼ばれる)は先ず、亡命者抑留センター(山中の鉄条網で囲まれた隔離施設)の、手を伸ばせば反対側の壁に届いてしまう様な極めて狭い独房に、長時間(1週間〜半年)拘束される。彼等はその間に繰り返し「尋問」を受けるのだが、3ヵ月を過ぎる頃には大抵の亡命者達が「自分は北のスパイだ」と「自白」する様になる。
また2020年以降世界各地で実施される様になった、「COVID-19パンデミック対策」としてのロックダウンやソーシャル・ディスタンスや各種隔離政策は、独房監禁の希釈化ヴァージョンと解釈することも出来るだろう。科学的には「感染拡大」には全く効果が無いどころか多大な害を齎すことが繰り返し証明されているにも関わらず、これらの似非科学政策が実施された理由のひとつは、ここ40年ばかり、新自由主義勢力が何をやって来たかを振り返れば、自ずと見当が付くだろう。
マーガレット・サッチャーの言い草を借りれば「社会など存在しない」と宣言する彼等は、労働組合や左派政党等、民衆がその最大の力である数を頼みに纏まった政治的勢力として自らの主張を訴える為の手段を解体し、或いは乗っ取って無力化して来た(例えば国鉄民営化は、当時の最大野党社会党の最大の支持母体である国鉄労組を解体するのが目的だった)。新自由主義勢力がLGBT+等の、社会全体の共通課題ではなく個々人の細かな差異に焦点を当てた運動に資金提供を行っているのは、個々人は分断されていた方が彼等にとっては都合が良いからだろう。個々人をより即物的に互いに自己隔離させる手段として見れば、COVID-19「対策」はそれなりに合理性が有るとも言える。だがそれによって特に小さな子供は、精神の安定や、知能や認知能力や言語能力に著しい悪影響を被ることになるのだから、実に邪悪極まり無い所業だ。
U.S. Leads the World in Solitary Confinement that Destroys Prisoners Mental Health
米国独房監禁の事例
アンソニー・ゲイは重度の精神疾患を患っている。そして重度の精神疾患を患い犯罪を犯した多くのアメリカ人と同様、彼は有罪判決を受けた後、統合失調症の治療を受けることが出来た筈の精神病院ではなく、独房に監禁された。
6フィート×10フィートの独房に1日24時間、週7日隔離された彼は、妄想に陥り、ショッキングな自傷行為に手を染める様になった。
ゲイはカミソリで自分の目を刺した。
彼は自分の肉を切り取って食べた。
自分の睾丸のひとつを切り取って独房のドアにぶら下げた。
そして囚人服のズボンから引きちぎったジッパーで陰嚢を縫い閉じた。
病院や刑務所の精神保健病棟に移される代わりに、ゲイは刑期を延長され、更に独房で過ごした。7年の刑期は最終的に97年になった。
彼はどんな罪を犯したのだろう? 彼は1993年に1ドル紙幣を盗んだ罪で有罪判決を受けた。
ゲイは2093年に釈放される予定だったが、裁判官は最終的に刑務所のシステムが彼にとって不適切であったことを認めた。
彼は漸く刑務所から釈放されて病院に送られたが、その時彼は既に22年間を独房で過ごしていた。

独房監禁とは
独房監禁とは、長期間に亘って囚人をあらゆる人間との接触から隔離する慣行だ。
独房監禁は、懲罰や行動制御の手段としてよく使用されるが、メンタルヘルスに深刻な悪影響を及ぼす可能性が有る。
世界の殆どの国では、囚人が独房で過ごすことが出来る期間を15日間に制限している。米国ではそうではない。米国には何年も、場合によっては何十年も独房に入れられている囚人が大勢居る。
独房は既に悪い状況を更に悪化させるだけだ。これは誰にとっても(裁判所、州、連邦刑務所局)明らかな筈だ。これはそもそも使用されるべきではない。
独房監禁の歴史
これは昔から分かっていたことだ。
懲罰としての独房監禁は、1829年にペンシルベニア州フィラデルフィアのイースタン州立刑務所で考案された。このアイディアは、堂々としたネオ・ゴシック様式の、逃亡不可能で警備厳重な刑務所を建設して、全ての囚人を独房に監禁すると云うものだった。それぞれの小さな独房には、ベッド、椅子、小さなテーブル、便器、そして聖書しか無かった。

これはつまり囚人が聖書を読む以外に何も時間を過ごすことが無ければ、釈放される頃には法を遵守する善良なキリスト教徒になっているだろうと云うアイディアだった。
ところが、全員が正気を失った。
独房監禁の非人道性
現在使用されている独房監禁は、不安、鬱、偏執狂、幻覚、自殺願望等、様々な深刻な精神的問題を引き起こす可能性が有ることを示す研究が増えている。
これらの問題は非常に深刻で、長期的な障害や死に繋がることすら有る。
米国で独房監禁されている精神疾患を抱えた囚人の数に関する真実の記録は、ひとつの図書館をいっぱいに出来る程だが、話は概ね一貫している。
独房に居る時間が長くなればなる程、精神状態は悪化する。
独房での刑期が始まった時にその人が若ければ若い程、精神状態は悪化する。
そして年齢に関係無く、既に精神疾患を患っている人が独房に入れられると、状況は通常、絶望的になる。
国連が米国の独房監禁の慣行を拷問の一形態であると宣言したのも不思議ではない。
囚人達の証言
独房で数十年を過ごし、時にそこで死亡した囚人達は、例えば次の様な証言を残している。
・「そこは寒さと静寂と空虚が混ざり合い、骨に染み込み、やがて心に染み込む、独自の世界です。」
・「私の人間としてのまともな感覚は日に日に薄れて行きました。」
・「彼等が私の周りに新しい壁を建てていると、私は生き埋めにされている様に感じました。………変わらない明るい人工照明と、腕時計や時計が無かったので、昼なのか夜なのか判りませんでした。私は頻繁に眠りに落ちましたが、目が覚めた時には5分眠ったのか5時間眠ったのかも判らず、何日なのか、何時なのかも判りませんでした。………今では、そこに収容されていたのは4年程だったと分かっていますが、若しそう聞かされていたら10年だと信じていたでしょう。それは永遠で終わりが無く、計り知れないものの様に思えました。」
・独房生活の25年間は「死よりも酷い刑期」だった。
・「私はとても辛い時期を経験し、退屈と孤独がまるで私の中に在る物理的なものの様に感じられる程でした。………それは余りに濃密で窒息させられる様で、私の心から正気を、私の魂から精神を、私の体から生命を絞り出そうとしているかの様でした。………私は心が正気の坂を滑り落ち、狂気に陥って行くのを見て目にして来ました。そして私は自分が周りの連中の様に、頭がおかしくなって狂ってしまうのではないかと恐れていました。」
・「時には彼等が首を吊って青くなっているのを看守が見付けることも有ります。ベッドから飛び降りる時に首が折れることも有ります。首に巻かれたシーツが天井の照明を覆う格子にも巻き付けられていて、ピンと張ってバキッと折れるんです。」
・「私は或る女性が頬と鼻から肉の塊を掻き毟って、自分の血で窓に書くのを見ました。私の隣人はコンクリートに頭を打ちつけ、結局看守達が彼女をクッション付きの独房に引き擦って行きました。………私の独房の真向かいでは、或る女性がカミソリで自分の喉を切り裂き、担架で運び出されました。他の2人はブラジャーと靴紐で窒息しようとしました。………別の女性は鉛筆の消しゴムの金属バンドで手首を切りました。………誰かの心がウサギの穴に落ちて行くと、残された血溜まりや糞便の汚れを掃除させられるのは何時も、可哀想な囚人ポーターです。」
・またリュックを盗んだ容疑で逮捕された或る16歳の少年は、3年間独房監禁された後、自殺した。彼は有罪判決を下されていた訳ではなかったが、裁判を待つ間独房に拘留されていた。彼の遺族に拠ると、彼は独房監禁中に不安、鬱、妄想等の深刻な精神的問題に悩まされていた。
結論
独房監禁がメンタルヘルスに与える影響に関する研究は明白だ。独房監禁には何ひとつ良いことは無い。それは深刻な心理的問題を引き起こしたり悪化させたりし、往々にして長期の障害や死に至る。
国連は独房監禁を非難しており、世界の他の多くの国々の刑務所は独房監禁の慣行を許していない。
これは米国の刑務所システムと米国のメンタルヘルスケア・システムの両方の失敗を示す生きた事例だ。
これらを修復するには、多大な時間、お金、努力が必要となる。
だがとにかく最初のステップは、独房監禁を終わらせることだ。